スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」
スマホからWi-FiでSDカードを読み書き♪ 挑戦者「NUBES」
(2013/1/21 06:00)
スマホからWi-FiでSDカードを読み書き♪
今回のブツは挑戦者(アイ・オー・データ機器)の「NUBES(ヌーベス)」。「iPhone用Wi-Fi SDカードリーダー」として売られている無線LAN(Wi-Fi)対応のSDカードリーダーである。pqi Japanの「Air Drive」や日立マクセルの「AirStash」と良く似た、「スマートフォンからSDメモリカードに無線でアクセスするためのアダプタ」ですな。
NUBESを使ってデキることを大雑把に言えば、iPhoneなど端末内の静止画や動画をNUBESに挿したSDカードに保存できたり、SDカード内の静止画/動画/音楽ファイル/各種ドキュメントをiPhoneなど端末で再生できる。静止画や動画ファイルはSDカード→iPhoneなど端末へのコピーも行える。
よくある使い方としては、デジカメで撮った写真をiPhoneなど端末を使ってネットに送信するというもの。デジカメで写真を撮り、画像が入ったSDカードをNUBESにセットし、そこへiPhoneなど端末からWi-Fiでアクセス。デジカメで撮った写真をiPhoneなど端末に転送し、あとはいつものように写真サイトやSNSへ画像を投稿。デジカメで撮ったキレイな写真を数ステップの手間でネットに送信できるというわけだ。
このテのアダプタの難点としては、iPhoneなど端末とアダプタがWi-Fi接続中に、インターネット接続ができなくなる点。たとえば上記のような使い方をする場合、端末をいったんアダプタとWi-Fi接続し、写真をコピーし、改めて端末をインターネットに接続しなおす、というやや面倒な手順が必要だった。
が、NUBESはWi-Fiのブリッジ機能を持つ。ので、結論から言えば、iPhoneなど端末でSDカード内のデータを閲覧しつつ、切り替えなどの設定ナシに、同時にインターネット接続できる。この点で、前述のAir DriveやAirStashより一歩アドバンテージがある。
ともあれ以降、NUBESの機能や使用感をレポートしてみたい。なお、NUBES、iPhone/iPod Touch/iPadに対応とあるが、後述のように基本的な機能部分はAndroid端末でも利用できる。ただしAndroid端末で使った場合、販売元(アイ・オー・データ機器)の保証外となる。
小型で軽量、約4時間利用可能
NUBESはポケットサイズ。小型&軽量なアダプタだ。サイズは8.35×1.23x5.8cmで、質量は約57g。携帯性は抜群ですな。ただ、外装はあまり高級感のない樹脂で、つくりが良いという印象ではない。でもまあ、質実剛健と言えば、そうかも。
電源は内蔵電池で、充電はUSBケーブルで行う。ACアダプタなどは同梱されていないので、別途用意するか、PCのUSBポートに接続して充電する必要がある。
ちなみに、NUBESの電源をオフにした状態でPCにUSB接続すと、NUBESは単なるSDHC/SDXCカードリーダーとして機能する。USBポートやUSB ACアダプタに接続した状態で、NUBESの電源をオンにすると、カードリーターとしては機能しなくなり、Wi-Fiアクセスポイント/サーバとして機能する。充電しながらでもNUBESのWi-Fi関連機能が使えるってわけですな。
さて、NUBESを使い始めるには、事前に各専用アプリをインストールしておく必要がある。iOS用アプリはこちら、Android OS用アプリはこちら。
使用開始の手順としては、まずiOS端末やAndroid端末とNUBESをWi-Fi接続する。NUBESの電源を入れると「NUBES_xxxx」のようなWi-Fiアクセスポイントが立ち上がるので、iOS端末やAndoroid端末でそこに接続すれば良い。初期状態では接続パスワードが未設定になっているので、アクセスポイントを選ぶだけでつながる。
前述のとおり、初期状態では、NUBESにはSSID(アクセスポイント名)のみが設定されており、パスワードは設定されていない。パスワードはアプリから設定できるので、SDカード内の個人情報の流出を防ぐためにも、なるべく設定してから使い始めたほうがいいですな。
SDカード内のファイルを扱う
各OS用アプリを使ってNUBES内のファイルを扱うわけだが、iOS用アプリとAndroid OS用アプリでは挙動が少々違う。というか、iOS用アプリはだいたい問題なく動くようだが、Android用アプリだと一部機能が使えなかったりして、若干未完成風味が漂うところ。
もしかしたら、挑戦者(アイ・オー・データ機器)の製品ページでAndroid端末対応が明記されていないのはこのためかもしれない。ともあれ、以下、スクリーンショットともに各OS用アプリを使用している様子を見ていこう。
てな感じで、iOS用アプリはだいたい便利に使えるが、Android用アプリは一部ファイル転送が不可だったり、表示が不可能だったりして、開発途上という印象がある。もしかしたら他の端末で使ったらちゃんと動くのかも?
でもまあ、画像の表示~転送や、音楽の再生については、iOS/Android端末ともほぼ問題なくできた。基本的な機能はまずまず問題なく使えるという印象となった。
Android端末の場合、USBホスト機能対応機種なら一般のUSBカードリーダーを使ってSDカードに直接アクセスできるので、まあNUBESにこだわる必要もナイんですけどね。でも無線でデキるのはやはり便利なので、早くAndroid用アプリがしっかり使えるようになってはほしい。
SDカードにもネットにも同時にアクセス♪
NUBESの強みとして、スマホからSDカードにアクセスしている状態でも、同時にスマホからインターネット接続が可能だということがある。これはNUBESの「無線LANブリッジ接続」機能によるものだ。
具体的には、Wi-Fiアクセスポイントや無線ルーターに対し、NUBESがWi-Fi接続する。この状態でNUBESはインターネットにつながった状態になる。で、そのNUBESにスマホなど端末をWi-Fi接続すると、「スマホなど端末はNUBES内のSDカードにアクセスでき、かつ、NUBES経由でインターネットにもつながる」というわけだ。SDカードの中身見たりしている状態でもメールがちゃんと届いたりするわけですな。
ちなみに、NUBESに対して同時にWi-Fi接続できるのは3台までのスマホ等端末となっている。iPad miniとGALAXY Note IIを同時に接続した状態で使ってみたところ、SDカード内の画像など各種ファイルの表示や再生を同時に行ってもとくに問題はなかった。また、各端末で同時にウェブサイトなどを閲覧しても問題はなかった。
前述のとおり、このテの他のアダプタでSDカードなどを扱うときとネットに接続するときでは、スマホ等端末でいちいちWi-Fi接続先を切り替える必要があった。NUBESの場合はソレが不要というだけでヒッジョーに使いやすく感じる。この利便は、モバイルルータなんかを使っている方にも大きいと思う。
たとえば室内などでは……
[スマホ等端末]─[NUBES]─[Wi-Fiルータ]─[ネット]
という感じでつなげっぱなしで良いことになる。まあ、スループットにこだわらなければ、ではあるが。
また、屋外などでは……
[スマホ等端末]─[NUBES]─[モバイルルータ]─[ネット]
てな接続に。接続しっぱなしってのは若干考えにくいが、NUBESは充電しながらでもWi-Fi系機能を使えるので、用途によっては屋外でもNUBESが主役になるのかもしれない。
また、端末間での簡単なファイルのやりとりにもNUBESは便利だ。たとえば、NUBESのiOSアプリでもAndroidアプリでも、「NUBES内のSDカードにある写真のダウンロードが可能」だし、「端末からNUBES内のSDカードへ写真のアップロードが可能」なので、NUBESを仲介して画像の共有が可能だ。iPod touchで撮った写真をNUBES経由でAndroid端末に送ってSNSに投稿、みたいなことも簡単ですな。……このテの他の製品でもデキるんですけどね。
ちなみに、状況によってやや変わってくるとは思うが、数MB程度の画像ファイルならサクッと一瞬でアップロード/ダウンロードが済む感覚。待たされるという印象ではないので、転送速度も実用的だと思う。
てな感じのNUBES。ブリッジ機能の利便に加え、前述のアプリの機能性を考えると、iOSユーザーなら安心して買えるオススメのアダプターだと思う。Androidユーザーの場合は、静止画と音楽だけでいいよって人ならまあまあオススメな感じ。設定類も非常に簡単な部類なので、スマホ類から手軽にSDカードを扱いたいという人は、ぜひ一度チェックしてみてほしい。