2.5インチHDDをリムーバブルドライブにしてみる

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


2.5インチHDDをリムーバブルドライブにしてみる

 メリッ!! という音とともに、愛用のリムーバブルドライブ(キャニスター)の電源スイッチ部が壊れた。ていうか壊しちゃった。破損したリムーバブルドライブは、ラトックシステムの「REX-SATA M シリーズ」

 コレ、デスクトップPCの5インチベイに入れるタイプのリムーバブルドライブ製品で、専用トレイに入れた3.5インチや2.5インチのHDDなどをリムーバブルにできるというもの。PCとはSATA接続となる。電源のオンオフを鍵によって行うんですけど、まさにソコが壊れ、にっちもさっちも行かない状態になったので、買い換えることに。

写真左が「REX-SATA M シリーズ」の「SAM-RC1-LG」。中央はそれを5インチベイに組み込んだ様子。ドライブ右側に見える鍵穴に、専用の鍵を入れて回すことで、ドライブ電源のオンオフを行う

 で、買い換え時に型番などを確認していたら、ちょいと興味深い製品を発見した。同じくラトックシステムの「SA25 シリーズ」だ。こちらもリムーバブルドライブ製品で、2.5インチHDD/SSD専用となる。PCとはSATA接続する。

ラトックシステムの「SA25シリーズ」。デスクトップPCの3.5インチベイに内蔵するタイプのリムーバブルドライブで、専用トレイには2.5インチHDD/SSDなどをセットできる。PCとの接続はSATAだが、トレイがUSB3.0接続対応品なら、トレイ単体をPCとUSB3.0接続できる

 この「SA25 シリーズ」に興味を持ったのは、専用トレイとして「単体でUSB3.0接続の外付けHDDとして使えるタイプ」が用意されているところ。いつもはデスクトップPC用リムーバブルHDDとしてSATA接続して使い、必要ならトレイ単体でUSB3.0接続のHDDとしても使えるわけですな。なんか活用幅広そう。てなわけでコレも購入した。

 目論見的には、SATA接続の2.5インチHDDが、サブのドライブやバックアップ用のドライブとして十分高速なら、こちらに乗り換えちゃおうか、と。ツイデに、俺環境ではあまり活用されていないデスクトップPCのUSB3.0ポートにトレイ単体で接続してみて、実用的な速度なら鋭意USB3.0インターフェースも使っていきたいナ、みたいな。

 最近は2.5インチHDDが価格的にも入手性的にも非常に身近になってきた。それと、リムーバブルHDDは便利なんだが、3.5インチHDDを入れるトレイってデカくて邪魔。重いしネ。実は震災のとき、机上に置いておいた3.5インチHDD入りトレイが落下し、トレイが壊れたのであった。床には深めの傷が。そのあたりまで考えると、できれば3.5インチHDDはヤメて、2.5インチHDD~2.5インチSSDに移行したいと思うのだ。でも……速度はどうなんだろう?

 てなわけで以降、「SA25 シリーズ」の使用感なども交え、デスクトップPCで2.5インチHDDがどの程度役立つか、俺的視点でレポートしてみたい。


まずはPCに内蔵

 SA25シリーズは、前述のとおりPCに内蔵するタイプのリムーバブルドライブ。3.5インチベイにインストールするわけですな。このドライブとPCは、ケース(シャーシ)内部でSATA接続することになる。

 細かいコトはさておき、インストールした様子を写真で見てみよう。なお、SA25シリーズをインストールしたデスクトップPCの詳細はこちら

いちばん下がSA25シリーズ。下から3番目は、前述の「鍵部分が壊れた3.5インチHDD向けリムーバブルドライブ」で、新品と交換してある。どちらのドライブもSATA接続で、PCの電源をオフにしなくても挿抜できる「ホットプラグ」に対応している

 SA25シリーズを使うには、PC側にSATAインターフェースが必要になる。また、SATA II対応のインターフェースやドライブなら、PCの電源を入れた状態でリムーバブルドライブを挿抜可能な「ホットプラグ」を利用できる。コレができると超便利なので、俺の場合はホットプラグ対応のSATAインターフェースカードを使用している。

 SA25シリーズと組み合わせてホットプラグを使えるSATAインターフェースカードは、ラトックシステムから複数発売されている。具体的には、REX-PE6S/REX-PE30S/REX-PCI15S/REX-PCI15PMの4枚だ。今回はREX-PE6Sを使用している。

 なお、この組合せでホットプラグを使うためには、専用ソフトウェアをインストールする必要がある。具体的なソフト名は「SATAホットプラグツール」で、ラトックシステムのサイトからダウンロードできる。

写真左はSA25シリーズの背面。PCとSATA接続するわけですな。中央と右はホットプラグ対応のSATAインターフェースカードのREX-PE6S。REX-PE6Sは内部SATA×2ポートを持つSATAインターフェースカードで、Low Profileブラケットや6Gbps対応SATAケーブル(約60cm)×2本が同梱されている
「SATAホットプラグツール」を使っている様子。Windowsの「ハードウェアの安全な取り外し」と同様の操作で、PCの電源をオフにすることなく、SATA接続されたリムーバブルHDDなどを挿抜できるのだ

 さて、SA25シリーズを3.5インチベイにインストールしたわけだが、最近はめっきり使われなくなった3.5インチベイがリムーバブルドライブ化するのは気分がイイですな。ちなみにSA25シリーズの場合、使用する時はドライブにトレイを押し込むだけで電源が入って使えるようになる。抜くときはホットプラグツールを操作した後、ドライブ右側のボタンを押すと、トレイが押し出される。鍵の機構よりずっとシンプルで壊れにくそうなのもイイ感じでである。


小さく軽く使いやすいトレイ

 SA25シリーズを手にして、けっこー喜べたのが専用トレイ。トレイは、2.5インチHDD/SSD専用で、厚さ9.5mm以下のHDD/SSDを入れることができる。

 まず良かったのは、HDDなどの入れやすさ。ネジ類は一切使わずにHDDを入れられる。トレイのフタ部分はトレイ右側のボタンを押すだけで開けられるので、ホントに道具とかネジは一切使わずにHDD/SSDをセットできるのだ。

トレイは2.5インチ外付けUSB HDDのようなサイズ。「SA25シリーズUSB3.0 2.5インチハードディスクケース」に限り、シルバーがある。トレイへのHDD/SSD組み込みは、道具やネジを一切使わず行える

 それから、当然と言えば当然だが、2.5インチHDDなどを収めるトレイだけに、非常に小型&軽量で好感触。HDDを入れた状態のトレイ質量を測ったら204gだった。ちなみに、前述の3.5インチHDD向けトレイ(プラスチック製)に3.5インチHDDを入れた状態で質量を測ってみたら、838gあった。

3.5インチと2.5インチでは、こーんなに違うんであった。当たり前なんですけどネ。しかし改めて比べると、やはり3.5インチはいろいろデカくて重いですのう

 こういう小型軽量なリムーバブルHDDなら、場所を食わないしラクに扱えるしで、やはり3.5インチのトレイよりずっと軽快に利用できる。ただ、問題は速度がどーなのか、ということ。軽快だけど用途に合わない遅さだったりしたら……。てなわけで早速その速さをチェックしてみたい。


予想より速っ!! USB3.0も速っ♪

 さて、リムーバブルHDDのベンチマークテストである。テストで使ったPCのスペックはこちら。使ったSATAインターフェースはREX-PE6S。SA25シリーズに入れた2.5インチHDDは、東芝の「MQ01ABD100」。ベンチマークソフトとしては「CrystalDiskMark 3.0.1 x64」を使った。

 まずはSATA接続でのベンチマーク。ベンチマーク対象は、PCのマザーボードのSATAポートに直結してデータドライブとして使っている3.5インチHDD(Seagate ST31000524AS)、REX-PE6SとSATA接続してリムーバブルドライブとして使っている3.5インチHDD(Seagate ST31000528AS)、そしてREX-PE6SとSATA接続したSA25シリーズ(HDDは東芝MQ01ABD100)だ。以下がそのベンチマークテスト結果だが、俺的環境設定を施してある常用PC上でのテストなので、あくまでも目安としてご覧いただきたい。

左から、PC内蔵のSeagate ST31000528AS(3.5インチHDD/マザボのSATAに直結)、Seagate ST31000524AS(3.5インチHDD)入りリムーバブルドライブ(REX-PE6SとSATA接続)、東芝MQ01ABD100(2.5インチHDD)入りSA25シリーズ(REX-PE6SとSATA接続)

 えっ? そういうモンなの? とか驚いて、俺がプチフリした。同じSATAインターフェースに接続した3.5インチHDDと2.5インチHDDのそれぞれのリムーバブルドライブが、まあ大雑把にだ~いたい同じような速度。3.5インチHDDのほうが明らかに速かったりするんだろ~な~と予想していたが、これが嬉しい方向で裏切られた。

 まあ、バックアップ用として使うには、書き込みの速い3.5インチのほうが良さそうではある。が、どーせ数時間かかるバックアップ作業なので、この差は大したことではない気がしている。

 うぞ~。じゃあもう全部2.5インチにしようかな~。この東芝の「MQ01ABD100」が速いのかな? しかも超静音だしイイねこの2.5インチHDD。ていうか常用の内蔵3.5インチHDDどーなのよ。2.5インチリムーバブルに負けてる感アリですな。BIOSの設定が間違ってるのかもしれない。でも超遅ってわけじゃないからいいや。などと、いろいろ考えちゃった俺なのであった。

 さておき、続いてSA25シリーズのトレイをPCとUSB3.0接続してのベンチマーク。マザーボードのバックパネルにあるUSB3.0ポートに、SA25シリーズのトレイのみを直結してのテストですな。とりあえずテスト結果を以下に。

写真左がSA25シリーズのトレイをPCとUSB3.0接続してのベンチマーク結果。写真中央と右は「USB3.0 2.5インチハードディスクケース SA25-TR1-U3」で、「SA25シリーズ対応でありかつUSB3.0接続にも対応しているトレイ/2.5インチHDDケース」だ。このタイプのトレイなら、SATA接続リムーバブルドライブとしてもUSB3.0対応外付けドライブとしても利用できる

 ズギャン!! これも速いんであった。ていうかUSB3.0 HDDのベンチマークって初めて取ったんですけど、USB2.0 HDDのイメージとは全く違うスピードなんですな~。

 うぞ~。じゃあホントに全部2.5インチにしちゃおうかな~。ていうか徹底して速度にこだわったりするんでなければ、全部USB3.0でいいのかもしれない。USB3.0ならOSレベルでホットプラグ対応だし。とかアレコレ思った俺なんでした。

 ちなみに、SA25シリーズは2種類あって、SATA接続および単体でUSB3.0接続対応のトレイが1個付属する「SA25-RC1-U3BK」と、SATA接続のみに対応のトレイが1個付属する「SA25-RC1-BK」となる。PC側に装着するリムーバブルケース部分は同じ。

 もちろんトレイのみも売られていて、SATA接続のみに対応する「SA25シリーズ 交換用トレイ」と、SATA接続および単体でUSB3.0接続対応の「SA25シリーズ USB3.0 2.5インチハードディスクケース」がある。SA25シリーズ用トレイについての詳細はこちら

 てな感じのSA25シリーズ。速度的パフォーマンスや長時間連続駆動時の安定性~安全性については、恐らく3.5インチHDDの方が有利だとは思う。のだが、SA25シリーズを使ってみたら、そのほかのいろいろな面で2.5インチHDDも十二分に実用的だと感じさせられた。SA25シリーズ自体もシンプルで使いやすいリムーバブルドライブ製品なので、興味のある方はぜひチェックしてみてほしい。


2012/10/1 06:00