Androidにつながる無線ラベルプリンター

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


Androidにつながる無線ラベルプリンター

 2012年の2月にブラザーから携帯して使えるラベルプリンターが発表された。「RJ-4040」と「RJ-4030」の2機種ですな。

 どちらも業務用のラベルプリンターで、USBおよびRS-232C経由でPCなどと接続して使える。また、「RJ-4040」が無線LAN対応、「RJ-4030」がBluetooth対応。PCなどと無線接続してのプリントも可能というわけだ。

ブラザーのポータブル型ラベルプリンター「RJ-4030」。PCやAndroid端末などとBluetooth接続してラベルを印刷できる。ブラザー直販価格は4万4980円

 で、この業務用ラベルライターの仕様を見ていたら興味津々状態に。結論から言えば、Android端末などと無線接続し、かなり高速でプリントできるようだ。また、バッテリー駆動も可能なので、イイ感じにモバイルでプリントできそう。

 ただ、ちょっとデカそう。そして重そう。サイズは約幅16.2×奥行き17.6×高さ7.7cmで、質量は約850g(専用リチウムイオン電池装着時)となっている。けっこーゴツいですな。

 ともあれ、非常に興味が出てきたので、実機を借りて使ってみた。借りたのはBluetooth接続対応の「RJ-4030」だ。以降、このRJ-4030の機能や使用感についてレポートしてみたい。


RJ-4030ってどんなプリンタ?

 RJ-4030は業務用のラベルプリンタだ。前述のとおり、PCなどとUSB/RS-232C/Bluetooth経由で接続できる。サイズは約幅16.2×奥行き17.6×高さ7.7cmで、質量は約850g(専用リチウムイオン電池装着時)。用紙はRDロールという専用の感熱ロール紙を使い、印字解像度は203dpi×203dpi、印字速度は最大127mm/秒となっている。

RJ-4030は業務用のラベルプリンタで、専用の感熱式ロール紙に印字する。ロール紙は8種用意されている。最大印字幅は104mm


RJ-4030はUSBやRS-232Cといったケーブル接続のほか、Bluetoothによる無線接続にも対応する。電源は別売ACアダプタや別売カーアダプタのほか、別売リチウムイオン充電池でも使える


ストラップやケースなどのオプションも充実している。Bluetooth対応端末や別売リチウムイオン電池などと組み合わせればモバイル運用も現実的だ

 あとこのプリンタ、耐衝撃性にも優れている。具体的は1.8mの高さから落下させても大丈夫。防塵防滴性能も備える。上の写真のオプション電池やストラップなどと組合せ、PCなどの端末とBluetooth接続すればモバイル運用もバッチリこなせるというわけだ。
 なお、実際にはどういう用途で使われているかといえば、倉庫とか工場とか店舗バックヤードなどで、配送関連ラベルや入出庫ラベル、あるいは店舗独自のバーコードやラベルなどの印刷用途に使われている。前述の専用紙RDロールは8種類あるが、そのうち2種類がレシート用紙、6種類が印刷後に剥がして貼れるプレカット紙ラベルとなっている。


PCと接続して手軽に使える

 かなり業務用色の強いRJ-4030だが、プリンタとしては至ってノーマルに使える。PCからは普通のプリンタとして見えていて、ブラザーのラベルプリンタ全般で利用できるラベル作成ソフト「P-touch Editor」から容易に印刷できる。

ブラザーのラベルプリンタで共通して使えるラベル作成ソフト「P-touch Editor」を使って容易にプリントアウトできる。印刷はモノクロとなるが、203dpi×203dpiの印字解像度があるので画像もまずまず良好に印刷できる。QRコード印刷なんかにもよく向きますな

 また、ちょっと無理のある使い方にはなるが、各種ビジネスアプリからの印刷も可能だ。たとえばMicrosoft WordなどからRJ-4030にドキュメントを出力することもできる。

Microsoft WordのドキュメントをRJ-4030で印刷してみた。やや細かな用紙設定が必要になるが、それさえ行えば一般のプリンタと同様に文書などをRJ-4030で印刷できる。レシート用紙を使えば、巻物のような長~いプリントアウトが得られたりもする

 てな感じで、カタチや用紙や価格は特殊だが、中身はフツーのプリンタであるRJ-4030。これをPCと接続して使ってみて感じるのは印刷の速さだ。

 前述のとおり「印字速度は最大で127mm/秒」。1秒間に12cm以上も排紙される。じつはMicrosoft Wordからのプリントアウトのテスト中、用紙設定を間違えて印刷してしまい、レシート用紙が超高速でベロロロロロ~ッと排紙されて「あわわわわっ!!」と焦ってしまった。こういう速さがあれば、業務用途において「印刷速度が遅くてストレスがたまる」というようなことはないだろう。

 ……こういうモバイルプリンタ、もしかしたらWindows 8時代っていうか手書きタブレット時代に注目される存在なのかもしれない。以前にブラザーの「モバイルプリンター MW-260」を試用したが、アレは印刷速度がチト遅め。だがこのRJ-4030は高速。「来たメールをそのまま手軽にプリントアウト」とか「開いたドキュメントの1ページをサクッと印刷」てなコトをストレスなく行える。まあ、そういうコトする必要性の有無は別として、ですけどネ。


Android端末から印刷できる

 RJ-4030にはPC用およびAndroid OS用のSDKが提供されている。つまりRJ-4030用の「独自のプリントソフトウェアなどを開発できる環境が用意されている」わけですな。

 これとは別に、RJ-4030などのモバイルプリンタとAndroid端末を無線接続して印刷するためのアプリ「Brother Print SDK Demo」も無償提供されている。RJ-4030の印刷性能を評価するためのデモアプリという位置付けだが、画像ファイルやPDFファイルを印刷できる。対応OSは、Android 2.2/2.3/3.0。

 要は、このアプリを使えば、RJ-4030などのブラザー製モバイルプリンタとAndroid端末を組合せ、モバイルプリントアウト環境を実現できるというわけだ。

 なお、この「Brother Print SDK Demo」アプリで印刷可能なのは、画像ファイル(.JPG/.BMP/.PNG)とPDFファイル。ただし、PDFファイルは「初めてアプリを使ってから2ヶ月経つと印刷できなくなる」という制限が付いているので、以降、画像に絞っていくつかプリントアウトを試してみた。

手持ちのAndroid端末(GALAXY Note)に「Brother Print SDK Demo」アプリをインストール。Android端末とRJ-4030は、あらかじめBluetoothペアリングしておく。次に画像を1枚表示し、その画像を共有(インテント)し、「Brother Print SDK Demo」アプリに渡す


「Brother Print SDK Demo」アプリで用紙や印刷サイズ(用紙に合わせる)などを設定し、印刷。画像サイズにもよるが、十数秒~数十秒程度の送信時間の後、高速にてプリントアウトされる

 問題無く無線印刷完了。プリンタへの画像転送には(800×600程度のカラー写真の場合で)十数秒かかったが、印刷自体は一瞬というイメージだ。この速さは実用的。気分のいい印刷速度ゆえ、「RJ-4030買って出先でイロイロ印刷しちゃおうかな」とか、つい、思ってしまう。

 さて、このアプリではPDF以外の文書ファイルの印刷はできない。が、表示中の文書のスクリーンショットを取るなどして画像化すれば、一応は文章の印刷も可能だ。

Android端末に転送したMicrosoft Wordドキュメントを表示し、そのスクリーンショットを取った。その画像を「Brother Print SDK Demo」アプリにインテントしてプリントアウトした

 以前のAndroid端末だとスクリーンショットを容易に取れる端末が少なく、また画面の画素数が低かったので、「この方法」はイマイチであった。が、Android 4.0時代になればどの端末でも手軽にスクリーンショットが取れるようになるし、端末の表示解像度も高まりつつあるので、徐々に「使える方法」になっていくかもしれない。

 さておき、スクリーンショットを取れれば何でもプリントできるということは……たとえば地図とか印刷したら便利かも? あと、ここで使っているAndroid端末はGALAXY Note。デジタルペンで手書きできる端末だが、その手書きメモをプリントアウトしたりするのも便利では? 両方試してみた。

地図をプリントアウト。マップアプリのスクリーンショットを取り、その画像を「Brother Print SDK Demo」アプリにインテントしての印刷だ。イマイチですな


手書きメモをプリントアウト。手書きメモから「Brother Print SDK Demo」アプリに直接インテントして印刷できた

 道がわかんないって人にサササッと地図を印刷し、その紙を渡したりすると良さそう~♪ と期待したが、Googleマップをモノクロ印刷すると、どーやってもなーんか薄めで見づらい紙地図に。残念。

 GALAXY Noteの手書きメモ(Sメモ)アプリからの印刷は、なかなかイイ感じ。メモを紙にしてパッと手渡すには、見やすさ的にも印刷速度的にも実用性があると感じられた。

 てな感じでRJ-4030をイロイロ試したが、Android端末とプリンタを無線接続してプリントアウトという部分に一種の「萌え」がありますな。またこのプリンタの「最大印字速度127mm/秒」という速さもイイ。なーんか大きな可能性が感じられるような気がしなくもない!!

 っていうか、やっぱり結局、「何を印刷するの?」って話になりがち。ぶっちゃけ、スマホ使ってて、そうそう紙に出力したくなるシチュエーションってのはナイのだ。でもなーんか印刷したい気分になる。……Android端末とRJ-4030を無線接続して高速印刷することを目的として、RJ-4030を買おうかナ? 的な本末転倒感があるわけだが、なんでしょ!? この気分。

 モバイルプリンタ類大好き野郎の俺としては、やはりゼヒ鋭意、スマホから何をプリントアウトするとグレイトなのかを模索してゆき、個人でのモバイルプリンタ利用を正当化し、そのうち安心してRJ-4030を購入してゆきたい!!


2012/6/11 06:00