iPadをテレビ化♪ アイ・オー・データ機器「Wi-Fi TV」
■iPadをテレビ化♪
今回のネタはアイ・オー・データ機器の「Wi-Fi TV(WN-G300TVGR)」(以下、G300TVGR)。フルセグの地デジテレビチューナーを搭載した無線LANルータですな。iPadとかで地デジ番組を見てみたいナ~とか思って購入した。Amazonで1万3480円だった。
アイ・オー・データ機器の「Wi-Fi TV」(WN-G300TVGR)。地デジチューナー内蔵の無線LANルータだ。無線LANは2.4GHz帯に対応し、1000BASE-T対応有線LANポートを最大で4つ使える。実勢価格は1万2800円くらい |
新しいiPadこと第3世代iPadを買ったんですけど、やっぱり結局iPad 2を全然使わなくなりますな。第3世代iPad、やっぱり表示が非常にキレイ。
にしても急激に使わなくなったiPad 2がちょいモッタイナイ。まだまだ現役機。そこでこのルータを使って「iPad 2を地デジテレビとして(も)使おう」と考えたのだ。
てなわけで以降、G300TVGRの機能や使用感についてレポートしたい。が、とりあえず的な結論を言えば「iOS端末やPCが非常に手軽にフルセグ地デジテレビになってスゲく快適」である。と同時に「テレビ視聴アプリ起動やチャンネル変更がかなり遅いのが残念」だと言えよう。
■「無線LANルータ」+「USB地デジチューナー」=G300TVGR
まずG300TVGRのシクミを少々。基本的には、「LANにG300TVGRをつなぐと、同じLANにつながっているPCやiOS端末からG300TVGR内の地デジチューナーを利用できるようになる」という製品である。
G300TVGRは、同社の「net.USB」機能を内蔵した無線LANルータだ。「net.USB」機能は、LANにUSB機器を接続すると、同じLAN上からそのUSB機器が使えるようになるというもの。
たとえば「net.USB」機能搭載のルータにUSBプリンタをつなげば、同じLANにつながったPCからそのUSBプリンタが使えるようになる。「net.USB」機能を使えるUSB機器としては、USB HDDやUSBハブ、あるいはTVキャプチャー製品などがある。
ともあれ、つまり、G300TVGRの内部では、無線LANルータとUSB地デジチューナーが「net.USB」機能で接続されているんですな。
この「net.USB」機能を搭載したルータなどはいくつかあるが、どれも「USB機器をつなぐためのUSB端子」を搭載している。たとえばWN-AG450DGRシリーズのUSB端子にテレキング(GV-MVP/FZ)を挿せば、LAN経由でテレキングを使える=LAN経由で地デジ放送を観られるようになる。
のだが、このG300TVGRはUSB端子を持たない。ので、ほかのUSB機器を追加接続することは(USBデバイスサーバーなどを使わない限り)できない。てなわけで、より多彩に「net.USB」機能を使いたい場合、G300TVGRは若干融通が利かない機種となるかもしれないのでご注意を。
■いろいろツブシが利くG300TVGR
G300TVGRは、ほかの今時的ルータと同様、手軽に使い始められる製品だと思う。詳しくはG300TVGR用の「画面で見るマニュアル」にあるが、WPS対応なのでボタンを押すだけでセキュアなWi-Fi接続ができるほか、iPhone/iPad/iPod touchアプリ「QRコネクト」を使えばiOS端末を手軽に無線接続できる。
また、機器としてもシンプルでわかりやすい。たとえばルータとしてもアクセスポイントとしても機能する。スイッチの切り替えで、新たにWANにつなぐルータとしても使えるし、既存のLANに新たなアクセスポイントとして追加することもできるのだ。
それから、無線LAN機能をオフにすることも可能。俺の場合、G300TVGRをアクセスポイントモードとし、無線LAN機能をオフにして使っている。というのは、既にシッカリと設定した無線LAN環境があるからだ。新たに無線アクセスポイントを追加して電波的な輻輳が起きたりするのもイヤ。なので、G300TVGRをLAN経由で地デジチューナーが使えるようになる機器としてだけ機能させている。
ちなみに、G300TVGRではTVチューナー機能をオフにすることもできる。まあ、わざわざG300TVGRを買ってTVチューナー機能を切るケースは希だと思うが、機器の余地としてこういう柔軟さと汎用性があるのが良い。
G300TVGRには「こう使うべき」的な独自性~特殊性が少ないので、いろいろツブシが利くわけですな。つまりG300TVGRを自分の環境に合わせてセットアップできる。
たとえば俺のケースだと、単純にLAN接続の地デジチューナーとして機能させているが、要は既存LANにチューナーの機能を追加しただけ。なので、無線を含むLAN関連の設定変更は不要で、従来の端末や接続設定をそのまま使えた。「こういう特殊っぽい無線LAN機器って設定いろいろやりなおしだから面倒」みたいなことも少ないというわけだ。
■いちいち遅いG300TVGRでの地デジ視聴
さて、サクッとG300TVGRをセットアップし終え、視聴したい端末に「テレキングmobile」アプリをインストールすれば、すぐに同じLAN内のPCやiOSデバイスで地デジ放送を視聴できるようになる。対応デバイスはこちらにあるとおり。ただし、一度に1台の端末でしか放送を観るこができない。
G300TVGRでの地デジ視聴はイロイロとイイこともあるのだが、それを感じる以前に誰もが絶対に思うでであろーことがひとつある。「アプリ起動もチャンネル切り替えも遅い」ということ。「こんなに遅いと使い物にならない」と思う人がありそうなレベルだ。
LAN環境なども関係しているとは思うが、具体的に俺環境でどのくらいの「遅さ」なのかをザッと。「起動」はアプリのアイコンをタップしてから放送の映像が表示されるまでの時間。「切り替え」はチャンネル切り替え操作をしてからチャンネルが切り替わるまでの時間だ。おおよその値としてご参考までにどうぞ。
機種 | 起動 | 切り替え |
iPhone 4S | 30~35秒 | 8秒前後 |
iPad2 | 30~35秒 | 8秒前後 |
第3世代iPad | 30~35秒 | 8秒前後 |
PC | 20秒前後 | 4秒前後 |
起動は「アプリが落ちてる?」とか思うくらい遅い感じ。切り替えは、軽快なザッピングなんかまるでムリなレベル。これ以外の使用感はおおむね良好なので、ゼヒゼヒどうにかして、この遅さを改善して欲しい。
ただ、俺にとってこの遅さは「使えないほどではない」てな感じ。「9時からの映画を仕事場でチラ観しよう」とか「ちょっとニュースでも観ながら休もう」みたいな用途なので、まあ待てる遅さではあるのだ。
■なかなか便利♪ スゲくキレイ!!
手持ちのiOS端末でG300TVGRによるフルセグ地デジ視聴を試してみたが、ヒッジョーにクリアでキレイな画質にプチ驚いた。画質的には「iOS端末で地デジ(フルセグ)を鑑賞するのはアリ」だと思う。
まずiPhone 4Sだが、解像度が高く画面が大きくない端末なので、ヤケに高精細な映像が映っているように感じる。また、直感的に操作できるUIも良好だ。以下、画面を縮小して掲載する。
G300TVGRを使い、iPhone 4Sでフルセグの地デジ放送を表示した様子。縦位置だと画面がけっこー狭いが、画質は非常に良い。画面の拡大にも対応する。画面をタップすると理解しやすいUIが表示される。【注:画面は著作権に配慮して意図的にぼかしています(以後画面も同様)】 |
チャンネル一覧表示やブラウザを利用できる。ブラウザで番組表なんかを見られるわけですな。設定類の自由度は高くないが、とくに問題はなさそうだ |
横位置にしたところ。ブラウザを拡大表示すればどうにか番組表を閲覧できる。 |
iPhoneでワンセグを観たことはあるが、フルセグとの画質的なギャップはやはり非常に大きいのであった。まあ当然と言えば当然なんですけど。
このギャップ=フルセグの画質の良さにおけるオドロキ、iPadではさらに大きい。iPad 2と第3世代iPadで試したが、両方とも高画質。細かいことを言えば、第3世代iPadのほうが細部がよりクリアに見える。
ただ、どちらでも「とてもキレイに地デジ放送が映る」ということでは同様で、ヘタなテレビとかより気持ちよく映像を楽しめるかもしれない。ともあれ、これまた以下に第3世代iPadの画面を縮小状態で掲載する。
G300TVGRを使い、第3世代iPadでフルセグの地デジ放送を表示した様子。縦位置でも十分観やすい大きさになる。アプリの機能などはiPhone向けもiPad向けも同じだ |
画面が広いぶん、アプリを操作しやすい。またブラウザの内容も十分読み取れる |
横位置で表示した様子。第3世代iPadでもiPad 2でも、とてもクリアな映像表示となる |
iOS端末のLAN接続スタイルが無線のみなので、無線LAN環境によっては映像や音声が途中で途切れることがあるかもしれない。ただ拙宅環境ではそういった問題は皆無。前述の「アプリ起動やチャンネル切り替えの遅さ」以外は非常に快適に利用できている。
G300TVGRとiPadを組み合わせて使うと、ロケーション(ほぼ)フリーなフルセグ地デジテレビの利便がよくわかる。とりわけ、コードレスであることと、このサイズ感がよい。室内で移動してテレビを観るのにピッタリで、とても気軽&快適に利用できる。料理しながらキッチンでテレビとか、あるいはG300TVGRを風呂場近くにアクセスポイントとして設置して防水袋に入れたiPadを持ち込んでの長湯なんてのもアリですな。
あとやっぱりフルセグ地デジの画質。大画面テレビで観てもキレイに感じられるデジタル放送をiPadやiPhoneで観ると、やや過剰なクオリティだと感じられるほど。非常にリッチな映像体験、てな感じだ。
難点は、やはり前述の「遅さ」。2時間の映画番組を続けて観るなどの利用スタイルなら問題ないが、選局を繰り返すと間もなく苦痛になってくる。こういった面も含め、ぜひ一度どこかで実機に触れて検証してみてほしい。
2012/6/4 06:00