ブラザーの複合機を買いまして

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


ブラザーの複合機を買いまして

 7年くらい使ってきた複合機が故障。詳細はスタパブログ書いたとおりだが、常用してきたHP PSC2450 Photosmartが突然故障した。ので、急遽、ブラザーのMyMio(マイミーオ)MFC-695CDNを購入した。

ブラザーのMyMio MFC-695CDN。プリンタ、スキャナ、コピー、FAX、電話などの機能を備えたインクジェット複合機。実勢価格は2万1,000~2万2,000円前後

 MyMio MFC-695CDN(以下、695CDN)はインクジェット複合機ですな。PC用のカラーインクジェットプリンタとして使えるほか、PC用カラーフラットベッドスキャナ、カラーコピー、カラーFAX、PC-FAX、電話/留守番電話などの機能まで備えたテンコ盛り複合機だ。

 てか、695CDNを選んだのは、最初はこういった多機能性を求めたからではない。「ドキュメント印刷あたりに向いて、FAXの送受信ができれば何でもいいかな」的なスタンスで複合機を物色。

 ところが&やっぱり、意外にナイのが、小型でありかつFAX送受信にも対応している複合機。もはや個人ではFAX送受信って時代じゃないんでしょうな。FAX付きとなるとイキナリ大きめな本体。案の定、探し始めてすぐ、選択肢がブラザーのMyMioシリーズに絞られたという感じである。てか珍しいっスよね、小型の複合機シリーズでFAX対応機種が5機種もあるって。

 で、結局この695CDNを選んだのは、FAX対応のMyMioシリーズ5機種のうち、無線LAN接続対応で……あ、ツイデに留守番電話にもなるならソレ!! でもタッチパネルは不要。てなわけで、695CDNとなった。

 さて、購入後早速イロイロと使ってみたが、率直なところ大いに満足している。写真画質印刷にはどーも向かないカラープリンタではあるが、日常使うビジネス向け複合機としてはスゲくイイ!! と感じた。てなわけで以降、695CDNの使用感などを書いてみたい。

なんか凄く設置しやすいんですが

 前述のように695CDNは、さまざまな機能を持つインクジェット複合機だ。単体でカラーコピー、フォトメディアキャプチャ~デジカメ画像プリント、カラーFAX、電話/留守番電話といった機能が使える。また、PCと接続すれば、カラープリンタ、フォトメディアキャプチャ(メモリカードからPCへの画像読み込みなど)、PC-FAXを使える。なお、PCとの接続方法は有線/無線LANもしくはUSBとなる。

695CDNの操作パネル部。メニューなどを表示するカラー液晶ディスプレイを中心に、FAX、スキャン、コピーなどスタンドアロンでも使える機能のためのボタンが並ぶ。さらにPCと接続すれば、PC周辺機器としての機能を利用できるA4サイズドキュメントなどの読み込みに対応するフラットベッドスキャナを利用できる。光学解像度は1200×2400dpi。695CDNにADFはないので、スキャンやコピーは1枚ずつ手動でセットすることになる695CDNは電話/留守番電話機能付き。本体にはこのような受話器(付属)をセットでき、これとは別にワイヤレス子機(1台付属)を利用できる。留守番電話関連機能は695CDN本体の操作パネルから使用する

 パーソナル~SOHOユースでは、まあ考えられる機能をほぼ全部詰め込んだというインクジェット複合機ですな。ここまで機能を詰め込んでいるわりには非常にコンパクトだというのが拙者的第一印象……つーか、その小ささゆ695CDNを狙い撃ちしたってのがある。

 具体的なサイズはブラザーの製品紹介ページでご確認いただきたいが、その小ささに加え、通常の操作は全部フロントから行えるという使い勝手もナイス。ボタン類の操作、給紙/排紙、インク交換などを本体前面~前方から行えるのだ。

給紙カセットは本体前面から装着する。また、給紙カセットの上部が排紙トレイとなっているので、給紙/排紙はフロントから行える。合理的な作りですな排紙したところ。ちなみに、プリント時の動作音はまずまず静かな部類。ガチャガチャしたような乱暴な動作音はほとんどないので、夜間でもストレスなく利用できそうだインクカートリッジも本体前面からセットできる。インクカートリッジ交換のための小さな扉があり、ソコを開くだけで容易にカートリッジ交換を行えるのだ
液晶ディスプレイとして3.3型のワイドビューカラー液晶を搭載。視認性が高く扱いやすい液晶ディスプレイを本体に沿って寝かせたところ(収納したところ)。695CDNがやや低い位置にあるときはこの状態が使いやすい液晶ディスプレイはこのように起こせる。695CDN本体がやや高い位置にあるときは、こんなふうに起こして使うと便利ですな

 695CDNの突起部を除いた外形寸法は46×36.5×15cm。今時的な薄型ビデオレコーダーを2台重ねたようなサイズ/ボリュームで、奥行きが35センチ程度ある棚にならスコッと本体を入れられる感じですな。また、背面はフラット。用紙がジャミングを起こした場合、背面や本体正面を開く必要があるが、まあ、ほとんどその必要はないだろう。

本体背面は平ら。コード類は本体側面から出ている本体背面には用紙がジャムったときに開くカバーがあるジャミング時の手順がこのようにプリントされている

 それからこの複合機、有線/無線LAN対応。PCとはUSB接続のほか、有線/無線LAN経由で接続できる。ちなみに無線LANはIEEE802.11b/gに対応している。有線/無線LAN接続で使えるネットワーク複合機なので、家族みんなで1台の複合機をシェアできるんですな。

 実使用感として、無線LAN接続が非常に快適。ナニカと便利に感じるのだが、結局は設置場所の自由度の高さをもたらしてくれるところ。無線LANエリア内ならドコにでも設置できる感覚なのだ。さらに上記のようなサイズなので、棚の中段にセットするのも現実的。オマケにフロントアクセスなので、そうしても快適に利用できるのだ。

 もちろん、695CDNの電話系機能を使うには、本体と電話線(ローゼット)の位置関係も問題になる。が、電話用モジュラーケーブル(RJ-11)はけっこー長く敷設できるんで、実際は大した問題にはならない。

 あと、余談ではあるが、本体正面は操作パネル部分を除いてほぼ平ら。フラットベッドスキャナ部のフタはほぼ水平で平らなので、上にモノをチョイと乗せたりできますな。こういう部分にムダで無意味なカーブを付けていないあたりも好印象となった。

 てなわけで、設置作業中から既にこの695CDNが気に入れた拙者。てか、ここまで一般家庭における設置の自由度が高い複合機、初めてかも。ほかにナイかも。とかマジで思った。

ワイヤレス子機付きの留守番電話/FAX

 漠然と思ったんですけど、この695CDN、留守番電話/FAXとして買うのもイイかもしれませんな。695CDNは単体でも電話機/FAX/カラーコピー機/デジカメプリンターとして使えたりするのに加え、電話機としてもまずまずイケる。

 たとえば695CDN本体に受話器が付いていて、さらにワイヤレス子機が1台付属している点。親機(というか695CDN本体)と子機の間で電話を取り次げたり電話帳をコピーできたり、着信相手に応じて着信音を変えたり、もちろんマトモな留守番電話機能を利用できたり、さらにPCから親機の電話帳をエディットできたり、電話機として考えてもけっこーちゃんとしているのだ。

695CDNの本体左側にはこのような受話器(付属)を装着できる受話器を使用しない場合は外せちゃうもちろん、このようにフタを閉めてスッキリさせられる
695CDNにはこのようなワイヤレス子機も付属する。型番MFC-695CDWNにはワイヤレス子機が2台付属するコンパクト&薄めの子機ですな。ただ、機能的にはあまり充実しているとは言えない子機の充電器(充電台)は無接点式。ACアダプタのような存在もとくにないので、スマートに設置できる

 一点、残念なのは、子機の文字表示性能/機能が旧世代的だという印象を否めないところ。たとえばその表示が半角カタカナと英数字のみだったりして、電話帳の名前も半角カタカナで登録する必要があったりする。着信履歴も純粋な履歴で、着信日時を子機上で知ることができない(親機なら確認可能)。仕様的に素朴っつーか質素っつーか。慣れれば「まぁ、これでもいいか」となるが、表示も機能も必要最低限というあたり、微妙にチープなワイヤレス子機であった。

 でも、テンコ盛り系のインクジェット複合機に、受話器とワイヤレス子機とマトモ感の高い留守番電話機能が付いててこの価格……と考えれば、かなり御の字度数が高いプロダクトだと言わざるを得ない。

 てゅーかですね、695CDN購入直前に「も~しかしたら電話機能とかオマケな感じで使えないかもニャ」と思ってたんですよ、ぶっちゃけ。しかし、実際に使ってみたらフツーもしくはフツー以上にイケたので、これまで使っていた固定回線用電話機を撤去。695CDNが常用の固定回線用電話機の役割を果たしまくりの現在である。

写真印刷の画質はそこそこ

 拙者の場合、695CDNを「イロイロととっちらかってるアレコレを1台にまとめられる装置」として考えて買った……というか、画質を求めてのプリンタ購入ではなかった。のだが「もしかして695CDNって画質も良かったりしちゃう?」的な期待も少ししていた。

 結果、その期待は裏切られたっていうか想定内っていうか、すなわち写真印刷の画質は「良い」って感じではナイですな。正直、写真をプリントして堪能したいとか思ったらキヤノンとかエプソンの写真画質印刷向けプリンタを買うべきであろー。

 とは言っても、695CDNの写真方面画質印刷がダメってわけではない。たとえば695CDNでカラーコピーをすればフツーに満足できたり、人によっては「えっ複合機のカラーコピーってこんなキレイなの!?」と驚けるように、十分使える画質でのデジカメ写真プリントが得られる。

 ただし、デジカメ写真を鑑賞目的でプリントアウトする場合、695CDNよりもずっと高画質なプリンタが多々あるヨ、てなことですな。やや乱暴な言い方をすれば、年賀状印刷とか、ちょっとしたカード~名刺印刷とか、そういった用途で使うなら十分キレイに印刷できる695CDNだと思う。

 なお、動作音は全体的に静かだと感じた。印刷時の振動も少ないと思われるので、前述のとおり夜間の使用でもあまり気にならないと思う。フツーに静かですな。

 また、プリント速度だが、スペック上はカラー印刷が最高28枚/分、モノクロ印刷が最高35枚/分となっている。実際の体感速度は、まあ印刷する対象にもよるし印刷設定にもよるが、印刷するのが遅いという印象が残るケースは少ない。まあ、サクッと印刷できる“遅くないプリンタ”と思っちゃっていいような気がする。

PC上からイロイロできる

 695CDNはControlCenter3ソフトウェアを使って、PCからさまざまな操作/設定を行える。スキャン、フォトメディアキャプチャ、コピー、PC-FAX、それから本体設定まで、PCのディスプレイ/マウス/キーボードを使って操作&設定できる。

ControlCenter3ソフトウェアの表示例。695CDNをPCから利用/設定するときに使うソフトウェアですな。たとえばこの状態なら、黄色い●をクリックすればスキャンを行えるフォトメディアキャプチャ機能により、695CDNのスロットに挿したメモリカードの内容をPCから閲覧するなどできる。つまり695CDNをメモリカードリーダ/ライタとして利用。無線LAN接続時でもフツーに使えるようですなコピー機能をパソコンから利用しているところ。コピー1~4には、それぞれ別の設定(たとえば解像度や拡大縮小率など)を設定できる
マジで凄く便利なPC-FAX機能。拙者はコレで一部業務のワークフローが激向上しましたヨ!! 感謝!!695CDNの本体設定もControlCenter3ソフトウェア(つまりPC)から行える当然かもしれないが、マニュアルもPC上で閲覧できる

 695CDNには電話/留守番電話としての機能があるが、たとえばそれらの細かな設定をControlCenter3ソフトウェアを使って行える。パルス式かプッシュ式か、ナンバーディスプレイの有無、着信音量や着信メロディはどうするか、さらには親機の電話帳を編集することもできる。

ControlCenter3ソフトウェアのリモートセットアップで695CDNの初期設定を行っているところこちらは695CDNの基本設定。電話の着信音量やディスプレイの状態を設定できる着信音や保留音もPCから設定できたりする
親機の電話帳をPCからエディット可能!! 親機←→子機への電話帳コピー(ただし1度に1件ずつ)も可能なので、実質、子機の電話帳をPCから入力することができると言えよう695CDNをスタンドアロンで使う際の印刷画質を設定しているところこちらは695CDNのプリンタドライバ。見やすく扱いやすい設定表示でなかなか快適だ

 固定電話機の電話帳にPC上のデータを転送するにおいて、なかなかイカシたソリューションがない現状、「ControlCenter3ソフトウェアを使えばPC上の電話帳データを695CDNの親機に登録でき、親機の電話帳データは子機にコピーできる」という点にピクッと反応する方もあると思う。が、若干、制限があったりする。

 ひとつは、恐らくこれは子機に合わせた制限だと思うが、電話帳の読み仮名は半角カタカナ(か半角英文字など)で登録せねばならず、10文字以内でなければならないこと。地味に残念な制限ですな。

 それから、PC→親機への電話帳登録は一括で行えるが、親機の電話帳を一気に子機へとコピーすることができないこと。一件ずつコピーする必要がある。50件の電話番号が登録されていたら50回コピー操作を繰り返せば完了、的な。子機→親機への電話帳コピーも同様、一件ずつ行うしかない仕様になっている。

 とは言っても、こういった初期設定~データ登録をPCから行えるってコトだけで、実質、かなり、有り難い。実際、こーゆーコトができる固定電話機ってそうそうナイし、あっても非常に高価だったり特殊だったりする機種だからだ。

 さておき、PCから利用できる機能として拙者が(たま~に)物凄く便利だと感じるのがPC-FAX機能である。送られてきたFAXをPC上に受け取るとか、PC上のファイルをFAX送信するといた機能があるが、後者が便利。パソコンで作ったドキュメントをダイレクトにFAX送信するんですな。

PC-FAX機能は、695CDNが受けたFAXをPCに送ったり、PCのドキュメントを695CDN経由でFAXしたりできるというもの拙者が活用するのはPC→695CDN経由でのFAX送信。送りたいドキュメントを[Brother PC-FAX v.2.1]でプリント(つまり695CDNでファクス送信)するだけでOKだファックス送信時、このような画面が現れる。相手先のFAX番号を入力するんですな
PC-FAX用の送信先アドレス帳を作ることもできるFAXのカバーページも作成できるこんなふうなカバーページが相手に送信される

 拙者の場合、FAX受信にはD-FAXを使用中。これはユニークなFAX番号を取得でき、その番号にFAXが届くと自動的にTIFFファイル(マルチTIFF)に変換され、登録したメールアドレスに届くというサービスだ。

 このサービスを使っているので、既に“受信FAXの電子化”は完了している。拙者に送られたFAXは全て、メール添付のマルチTIFFになっている。……これにより、695CDNのせっかくのFAX受信機能は一度も使ってないんですけどネ。

 一方、FAX送信の電子化が全然進んでいなかった。695CDN以前は、送るドキュメントをいったんプリントアウトし、それをFAX送信していた。PCにモデムを追加すれば、PC上のドキュメントをそのままFAX送信することは容易だ。が、今さらモデム追加するのか!? 追加すればFAX送信も電子化できてペーパーレスになるが、拙者、FAX送信って年に数度程度だしなぁ……てなわけで、FAX送信は昔ながらの方法で行っていた。

 が、695CDNを買ってから、ぜーんぶPC上で行えるようになった。

 たとえばつい先日、合計12枚の資料に目を通し、問題がある部分にチェックマークを入れ、FAXで返送しなくてはいけない事態が発生した。このような場合、受け取ったFAX(前述のD-FAX;マルチTIFFファイル)をいったん印刷し、そこにマークを書き込み、これを手動でFAXする……のが以前の方法であった。

 しかし695CDNのPC-FAX機能のおかげでサササッ済んだ。受け取ったD-FAXつまりTIFFファイルを対応ソフトで開き、チェックマークを書き込み、そのままFAX送信。あーそうなんだよな~PC-FAXってこーゆーコトができて激便利なんだよな~と痛感した拙者であった。

 とまあ最後のPC-FAXの件は蛇足だが、このように“使いで”のある695CDN。ここまでアレコレできて2万円少々は、正直、ホントに安いと感じられる。率直なところ、「FAX」で「複合機」で「個人宅利用」あたりを考えているなら、695CDNやそれ以外のマイミーオシリーズをチェックするのが吉だと言えよう。

2010/3/15 06:00