ケータイにつながる腕時計、アイバートM

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


ケータイにつながる腕時計、アイバートM

 かな~り以前から興味津々……というか「これ絶対欲しい!!」と思っていた腕時計がある。シチズンのアイバートMだ。

シチズンのアイバートM(i:VIRT M)。ケータイとBluetooth接続できるデジタル腕時計で、ケータイへの着信やメール到達などを腕時計上のディスプレイで確認できる

 アイバートMはケータイとBluetooth接続できるデジタル腕時計。ケータイとBluetooth接続すると、ケータイへの着信、メール、SMS、ニュースなどを腕時計の画面上で確認することができる。また、腕時計上の操作で、ケータイのマナーモード切替、ケータイのカメラ機能の操作(遠隔シャッター操作)を行えたりもする。ケータイの日時を腕時計が読み取って時刻合わせをすることも可能だ。

本体はやや大ぶり&厚手の腕時計。雰囲気的には男性向けですな各種機能は5つのボタンで操作する。インターフェースはシンプルで理解しやすい時計としては充電式で、専用充電器を使って充電する(非接触充電方式)。フル充電からだと、ケータイとBluetooth接続したまま約5日間程度使える
ケータイに着信があると、着信状態がアイバートMにも通知される。着信履歴もこのように残るケータイにメールが届くと、アイバートMにもメールが。受信メール履歴やその内容がアイバートM上に10件まで保存されるアイバートMからケータイのマナーモードを切り替えたり、あるいはケータイのカメラ機能のシャッターを制御できる

 アイバートMの詳細についてはシチズンの製品紹介ページをお読みいただきたいが、このテのガジェットが好きな拙者としては、今すぐ欲しい!! 猛烈に欲しい!! 腕時計したくない派だけどアイバートMの機能を堪能するために無理矢理腕時計派になってゆきたい!! と思った。

 が、アイバートMを買えない理由があった。

アイバートM、欲しいけど買えない俺

 率直な話、俺がアイバートMを買えない理由は、対応ケータイの少なさにある。具体的にはアイバートM携帯電話対応機種一覧にあるが、SoftBank端末の一部とDisney Mobile端末3機種にしか対応していない。

 さらにダイレクトな話、拙者はiPhone 3Gユーザーであって機種変するつもりはなく、さらにシャープ端末にも大した興味はなく、てか手持ちソフトバンク端末の番号を通話のために常用するつもりもなく、などなど、アイバートM衝動買いを禁ずる環境にいるのである。

 しかし、後述するが、実際にアイバートMを使ってみると便利でありかつ痛快でもあり、近未来を感じさせるものでもある。ので、今すぐ買いたいんだが、しかし、アイバートMのために上記のハードルを乗り越えるのは、ちょっと……みたいな。

 とかモヤモヤと考えていたところ、ケータイWatch編集部からアイバートMとその対応ケータイ(SoftBank 931SH)をまとめてお借りする機会を得た。ので、早速試用。短期間の試用ではあるが、以下にその使用感などを書いてみたい。

サクッと使えてジワリと有用

 最近のBluetoothモノは使い始めの面倒が少ない製品が多い。が、無線モノなので、ハマるときにはハマる。ペアリング失敗から始まって、片方の機器の設定ミスでうまく通信できないとか。Bluetooth機器をアレコレ使ってきて慣れてはいるツモリの拙者だが、新機軸なBluetooth機器を使うときはいつも微妙に「ハマったらヤだな」と緊張するのであった。

 が、アイバートMとSoftBank 931SHは、ヒジョーに簡単に使い始められた。基本的にはアイバートMをBluetooth接続待ち状態にして、ケータイからBluetooth機器を検索し、ケータイ上でアイバートMを発見したらペアリングのパスキー(初期値は1234)を入れれば完了。以降、ケータイ側の着信やメール、ニュース、アラームなどがアイバートM側にも伝わるようになる。ペアリングだけすれば、他はほぼ設定不要って点が実用的ですな。

アイバートMに付属するクイックマニュアル。これを見ればBluetooth未経験者でもサクッと接続できる予感ペラ1枚のクイックマニュアルだが、アイバートMの充電~Bluetooth接続手順まで一通り説明されているBluetoothペアリングを終えたアイバートMとSoftBank 931SH。以降は接続設定はほぼ不要になる。アイバートMと端末のBluetooth接続が切れた場合でも、アイバートM側から再接続すればOK

 ケータイと接続したアイバートMをしばらく使ってみると、腕に情報が届くという楽しさを実感するとともに、むしろソレって楽しいってより実用的かも、と思った拙者である。

 ということで、アイバートMの使用感的結論から言っちゃうと、アイバートMが持つ機能のうち50%くらいは実用的だと感じられた。残り30%は、便利と感じる人もあるかも、的な付加機能。残りの20%は、なくても全然困らないかも的なものだ、と拙者は思った。

 例えば、メールの着信が即わかり、その内容(件名や本文)をアイバートM上で(全角70文字まで)読めるのは超実用的。着信も同様。ケータイをバッグに入れたままでも、誰かがケータイへアクセスしてきたことがわかるので、ある種の安心感が高まり、手間が減ると実感した。

 アイバートMからケータイのマナーモードを切り替えられる点もナイス。例えば会議などの直前、腕時計操作だけでマナーモードに入れるってスマートでいいですな。また、恐らく、マナーモードにする必要のある場所に入る前、ケータイを取り出してあせあせと操作するような状況が減って、気楽度が上がると思う。

 ケータイのバッテリー残量や電波状況をアイバートMで確認できたり、アイバートMでケータイのカメラのシャッターを切れるといった機能は、どうなんだろう? あればあったで役立つときが来るのかもしれないが、う~ん、拙者的にはピンと来なかった。

 てな感じで、以下、アイバートMの便利な機能についてやや詳しい使用感を書いてみたい。

たぶん手放せない系!? の機能

 この機能はたぶんきっと恐らく、アイバートMナシじゃイヤっ!! とか思わせるキラーな感じの実用性があるんだろーなー、と感じたのが着信を知らせる系の機能だ。

 アイバートMは、Bluetooth接続したケータイに電話がかかってくると、バイブレーションによりそれを知らせ(バイブレーションをオフにすることも可能)、画面上には発信もとの情報を表示する。着信中は保留、切断、ミュートなどの操作をアイバートMから行えて、着信履歴も10件まで残る。発信もとの情報がケータイ上のアドレス帳にあれば、例えば「ケータイWatch」といった名前で表示される。

アイバートMとBluetooth接続したケータイに着信中。初期設定では、着信中のアイバートMは振動し、画面はこんな表示になる電話に出る必要がある場合、保留にし、ケータイ側で通話を始めればよい。ちなみに、アイバートMをイヤホンマイク的に使って通話することはできない着信履歴はこのように残る。より詳細な情報を表示させれば、発信もとの電話番号なども確認できる

 単純だが、凄く役立ちそうな機能ですな。とくに拙者はそう感じる。

 てのは拙者、ケータイをポケットとかに入れないヤツでありかつ、ケータイの着信音を控えめにしてるヒトなんですよ。ケータイをポケットにずっと入れてるとか、首から提げてるとか、手に持ってるとかって、無理。わりと理解できない行為だと理解している。また、ドデカい着信音とかも、無理。俺のなかではドデカ着信音があり得ることは有り得ない。

 細けぇコトではあるが、着信って、わりと暴力的だと思う。だって突然イキナリ唐突に鳴り響くわけで。こちらがどのような心情で何をしていようがお構いなしに突如鳴るという、まったく空気を読まない動作であり、こちらは常々ストレスを与えられるわけで、そんな挙動をイチイチ意識したり重視したりする筋合いは全然ナイと言えよう。

 とか思ってるから、大事な電話を取り損ねたりする俺なんですな。うそ!! ヤベ!! この着信もう8時間も前じゃん!! みたいな。

 そのワガママと必要の摺り合わせをキッチリしてくれそうなアイバートM。腕の装置がちょっと振動or光るくらいなら、ストレスもさほどないし、一瞥程度で済ませられる。同時に、大事な連絡を逃すことも減る。

 ぶっちゃけ、着信の有無と発信もとの表示ができれば、とりあえずアイバートMは十分成立しているんかないかと思う。

腕時計でメールを読める

 ケータイに届いたメールも、即、アイバートMで確認することができる。ケータイにメールが届くと、着信と同様、やはりアイバートMが振動する。で、画面上には新着メールがあるとの表示が。これを開くと、メールを読める。メールは、件名・本文あわせて全角70文字まで読めて、アイバートM内に最大10件まで保存される。

メールが届くと本体が振動して知らせる。今回は端末の都合によりSMSで試しているメールはアイバートM内に最大10件まで保存される件名・本文あわせて全角70文字まで表示できる。絵文字にも対応

 前述のように、ケータイを四六時中確認したりしないヤツである俺の場合、この機能にも大きな利便を感じた───拙者、ケータイを半日バッグに入れっぱなしで全然確認しないことがある。ので、メール着信の都度、それがわかり、腕時計でメールの内容が読めるとなれば、やっぱりナニカと実用的だし問題も減ると思う。

 のだが、物足りなさも残る。てのは、アイバートMで表示できる内容は、上記のように「件名・本文あわせて全角70文字まで」という制限があるからだ。70文字って多いようで少ないっスよ~。

 例えば、件名が「ハードウェアレビューのお願い」だと、本文は「△△様 お世話になっております、インプレスの○○です。先日はお忙しいところありがとうございました。たいへん充実した打」あたりで終了ですな。和風ビジネスメールだとマトモな内容が掴めないのであり、結局、アイバートMではメールの着信、誰からのメールか、メール件名とちょっとした内容がわかる程度。実用的、という印象からはチト離れる。

 ただ、わりと親しい間柄なら、実用性高めかも。例えば件名が「RE:プロトタイパーズ」で、本文が「例の7セグドライバ買ったっス。送ります? 今度渡します? ま、テキトーに」だったりしても、「おお、買えたのか!!」みたいに了解でき、十分コミュニケーションが成立する。

 使うシチュエーションによりアイバートMのメール系機能の実用性が変わるわけだが、でも、やっぱ、件名・本文合わせて、うーん、300~400文字とか程度は読みたいような気がする。300文字くらい読めれば、そーとー回りくどくて冗長なメールでない限り、用件は把握できちゃうんではなかろうか。

 ちなみに今回試したアイバートMの実勢価格は2万9000円前後。この価格で、ケータイへの着信やメールが腕でわかる/腕で見られる的な実利、どう考えるかは人によるところ。

 拙者的には、もっと幅広く多くのBluetooth端末に対応してくれれば、買っちゃいそうな感じ。ケータイ単体では得られない利便が得られるし、ケータイの不便を実用的なレベルで補えたりするのは、大きな魅力だと感じる。

 アイバートMは大型量販店などで取り扱われているので、機能的な使用感、時計としての質感/使用感と合わせ、興味のある方は一度実機に触れてみてほしい。

2009/8/3 11:00