スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

AIの力で写真や図版をキレイにするゼ!!!

Topaz Photo AIがスゴかったのでUS199$お布施した話

Topaz Labs「Topaz Photo AI」を使っている様子。60年くらい昔に撮影した写真を読み込ませたが、AIが画質を判断し美化してくれた。

 今回のネタはTopaz Labs「Topaz Photo AI」というAI画像処理アプリ。Topaz Labsは人工知能を使って静止画・動画を自動編集するアプリをいくつか販売している。代表的なアプリとしては、画像のノイズを除去する「DeNoise AI」、画像の画質を保ちつつ拡大する「Gigapixel AI」、画像(写真)のブレやボケを除去してシャープにする「Sharpen AI」がある。

 今回レビューする「Topaz Photo AI」は上記3本のアプリの機能をまとめたようなアプリ。画像のノイズを取りつつ拡大しつつシャープさを増したりできるわけだが、これらの処理をアプリが全自動で行ってくれたりもする(autopilot機能)。

 冒頭のスクリーンショットがautopilot機能を使っている様子だが、ユーザーっていうか俺がやったのは、デジタル化した昔の写真をTopaz Photo AIにドラッグ&ドロップしただけ。「ソレちょっと美化し過ぎ〜」みたいなこともあるが、そういう場合は手動でパラメーターを調整して「違和感がない写真」へと編集することもできる。

Topaz Photo AIのautopilot機能を停止し、手動で各種パラメーターを調整して画像を美化している様子。

 Topaz Photo AIは買い取りタイプのアプリで、価格はUS199$……あ〜っ!!! 4月21日までUS40$引きでUS159$で売るって書いてある〜っ!!! ついこの間US199$で買ったのに〜US40$が〜US40$が〜。

Topaz Photo AIはWindowsおよびmacOSで動作し、動作環境はコチラにあるとおり。ちょっと処理能力の高いPCが必要になる。トライアル版も用意されている。

 US199$つまり日本円にして約2万6600円も出してTopaz Photo AIを買った理由は、トライアル版を使ってみたら「すっご!」という言葉が声として出たっつーかその性能にマジで驚いたから。静止画を自動編集するアプリではあるのだが、高解像度化とかさせると、編集というより「描き直し」をしているという感じ。

画像生成AI「Midjourney」に描かせた人物画を、Topaz Photo AIにより解像度を4倍に高めている様子。画像編集というよりも、もはや描画しての高解像度化と言えよう。

 そして多くの写真類を自然に高画質化・高解像度化してくれるので「これなら仕事にバッチリ使える」と判断して購入したというわけだ。てなわけで以降、Topaz Photo AIの機能や性能を試しつつレビューしてゆきたいっ!!!

なんでTopaz Photo AI買ったの?

 Topaz Photo AIを買った理由は、低解像度の図版や写真を高解像度化したかったから。手持ちの写真を美化しようって感じではなく、記事に添える写真や図版のサイズを拡大しつつ画質低下をなるべく抑えたかったのだ。

 たとえば、2019年に作った↓こんな画像。サイズは横703×縦363ピクセル。記事中に説明図として使った。

 現在、記事にこの図版を使っても大きな問題はない。だがこれから年数が経過して、読者がより高解像度のディスプレイで記事を読むようになると、上の図版は「なにこのギザギザが多い汚いグラフィックは」てな感じになることが予想される。そのとき、記事中に同じ図版を入れたい場合、図版は高画質で作り直すか、高解像度化処理が必要になる。

 実際、こういう問題というか違和感アリ状態は現在でもあって、それもけっこうな頻度だったりする。「昔撮ったこの商品写真、こんな解像度低かったんだ……ちょっと今の記事には載せにくいなあ、でも再撮影とかゲンブツがなくて無理だし」みたいな。

 低解像度の写真を高解像度化する無料のWebサービスは、最近増えている。実際に使ってみると「まあギリギリ大丈夫かな」という仕上がりにもなるが、無料だと扱える画像サイズに制限があったり、時間がかかったりしがち。料金を支払えば制限がなくなるものの、「このギリギリな感じのクオリティに料金を支払うのはなあ……」という感じだったりする。

 そんな状況がありつつ、Topaz Photo AIを使ってみたらアラびっくり! このくらいデキるコなら十分ツカエる! と感じたのであった。

前出の図版をTopaz Photo AIで高解像度化している様子。横703×縦363ピクセルの画像を、Topaz Photo AIのUP SCALE設定「MAX」で横4218×縦2178ピクセルへと拡大している。

 前出の図版をTopaz Photo AIにドラッグ&ドロップしてUP SCALE設定の「MAX」をクリックしただけで、図版の高解像度化が済んだ。すっご〜い! こんなコトできるキミには、おじさんUS199$払っちゃうゼ!!! てなわけである。

 ただ、どんな図版でもビシッと拡大できるわけではない。元の図版の解像度がある程度低かったりすると、高解像度化したときに違和感が残ることもある。また、元画像の解像度があまり高くないのに加えて、それが文字入りだったりすると、文字の高解像度化に違和感が残ることが多い。

文字入りのスクリーンショットを高解像度化している様子。漢字などの複雑で細かな図形は形が変わってしまったりする。

 といった感じなので、「Topaz Photo AIならどんな図版でも高解像度化できて便利」ってわけでもない。文字やフォントまでAIが検知してくれて、高解像度化しても滑らかでキレイな文字が再現されたらサイコーだなぁと思う次第。でもきっとそういうコトもできるようになるんでしょうな、近い将来に。

人の写真をしっかりキレイ化してくれる

 Topaz Photo AIを使って毎度のように驚くのが、人物写真の……美化というかクリーンナップというか、人物写真のほとんどをキレイにしてくれること。古い写真には効果てきめん。使っていると楽しくなってきて、古い写真を片っ端から処理したくなる。

60年近く昔に撮影した写真を(デジタル化したものを)読み込ませたが、AIが画質を判断し、全自動でキレイにしてくれた。
ユーザーがやっていることは、Topaz Photo AIに写真を読み込ませる程度の操作(ドラッグ&ドロップもしくはファイル選択)。複数枚の画像を一括して読み込ませて処理させることもできる。また処理後の写真を一括して保存することもできる。
こちらは画像の解像度を4倍にしている様子。
これも解像度を4倍にしている様子。

 上のスクリーンショットの画像は100%や50%での表示なので、処理前と処理後ではイメージに大差があり、人工的な画像にも見える。そこまでキレイにしちゃうと違和感が残るのでは? という危惧もあるわけだが……。

 人物入りの写真の場合、背景のノイズなども軽減してくれるが、人物の顔がとくにキレイに修正される。Topaz Photo AIで人物写真を処理すると、「全体的にキレイになったし顔がくっきりした写真になった」という感じになることが多い。

元画像をリサイズ(縮小)したもの。
Topaz Photo AIで処理後にリサイズ(縮小)したもの。

 元画像と処理後の画像を比べても、色や形が激変しているわけではないので、あーんまり違和感はないのであった。また、元画像を比べたりしなければ、処理後の画像をみて「ああ、キレイでいい写真が残ってたね」という印象で、AI云々を思い浮かべにくいと思う。

 出来上がる写真の好みや、あるいはAIを使う心理的な抵抗は置いといて、Topaz Photo AIは「これは遺影作りに最適かも」とか思ったりする。遺影って、古くて小さい写真とかから作られがちじゃないスか。一昔前は手動レタッチで、現在はコンピューターを使ってのフォトレタッチで「ようやく見つかった故人の顔写真をできるだけ美しく編集する」といった作業をすることが多いと思う。でもTopaz Photo AIを使えば、顔の美化も高解像度化もほんの数秒。

 まあ遺影は極端な例だが、数十年前の紙の写真とか、まだデジタルカメラが十分高画質化していない時代のデジタル写真とかを、Topaz Photo AIで処理すると「マジか! スゲくキレイなった!」と驚くことしきり。たとえばデジタルカメラ黎明期の頃のデジタル写真って、サイズが320×240ピクセルとか768×576ピクセルとかで、現在のデバイスに表示する写真としては小さすぎる。これをTopaz Photo AIで高解像度化すると、細部には微妙な「AIによる新描写」という違和感が発生することがあるのの、全体的には「昔の写真を今の時代に扱いやすいサイズにできた!」という楽しさ&実用性のほうが勝る。

 実際にそういった各種人物写真をTopaz Photo AIで処理しており驚きの連続。でも、そういう画像をココでお見せできないのは肖像権やプライバシーの問題があるからだ。

 ともあれホントに凄いTopaz Photo AI。ぜひトライアル版で人物写真を処理していただき、驚いちゃったりしてほしい。

風景写真や猫写真やイラストでもイケる

 Topaz Photo AIは静止画なら処理でき、AIが認識する被写体も幅広いようだ。わりと低解像度の風景写真、猫の写真、イラストなを拡大処理をしつつ試したが、どれもしっかりキレイにしてくれる。

風景写真を高解像度化。元画像は640×480ピクセルだ。
100%表示位すると元画像のギザギザ感がなくなっていることがわかる。背景の木々やビルも鮮明な描写になっている。よーく見ると「AIっぽい描写」という部分も見えるが、100%表示にしなければ気づかないレベルだ。
元画像は640×497ピクセルの渓谷の川の写真。
川面も滝もその手前の木々も、自然な感じでキレイ化してくれた。
元画像は640×489ピクセルの猫の写真。
高解像度化しつつ首輪や毛並みのディテイルを増やしてくれた。
とある仕事の挿絵に使うつもりで、アニメ絵をMidjourneyにより描いたもの。元画像は1024×1024ピクセル。
サイズが十分大きくはないイラストで、さらにある程度拡大するとノイズが目立ったので、Topaz Photo AIで高解像度化。ノイズがスッキリと除去されつつ実用的な解像度となった。

 という感じで汎用性も高いTopaz Photo AIなのであった。使っていて何よりイイのは、強いこだわりがなければ、たいたいの画像を全部Topaz Photo AI任せで処理できること。ユーザーの手間はほとんどナシって感じ。

 処理時間はマシンにもよると思うが、M1 Ultraチップ搭載Mac Studioの場合は1枚の処理で4〜5秒というイメージ。書き出しのときにも処理時間がかかるが、それでも待っているだけだ。

 Topaz Photo AIを使っていて思うのは、長年の仕事の面倒が近い将来なくなるかもしれない、ということ。現在、いくつか面倒があるが、仕事のたびに感じるのは「撮影した写真の被写体(ハードウェア)に付着していたホコリなどゴミの除去」だ。

 撮影中にホコリ付着に気づかず、ハードウェアなどを撮り、それをあとでレタッチなどしているときに「あらまあこんなにホコリが……」ということがよくある。ホコリはPhotoshopの「スポット修復ブラシツール」や「コピースタンプツール」、場合によっては「ダスト&スクラッチ」フィルターを使って除去しているが、手作業で時間もかかるし面倒だし……。

 近い将来こういう問題を解決するAIが登場したら、おじさんUS199$くらい払っちゃうゼ!!! とか思うのであった。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。