スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

昇降スタンディングデスクを導入してみたッ!!!

電動で上げ下げできる“流行りの仕事机”、その価格は? 実用性は? 効果は?

 座っても立ってもデスクワークができる昇降デスク。以前からずーっと購入を考えていたのだが、今年に入って購入した。そして(購入してとりあえず満足しちゃって数ヶ月放置して)夏になって使い始めたのであった。

 で、その使用感を大雑把に言えば「なるほど便利」「体の疲れも低減できた」ということ。もともと「立っているのが好き」な俺であるが、昇降デスクにより「立ったままデスクワークができる」ことの良さを知った感じである。てなわけで以降、昇降デスクの使用感などをレビューしてゆきたいッ!!!

昇降脚に好みの天板を組み合わせて、合計4万1900円!!!

 最初に「昇降デスクを使いたい」と思ったのは、岡村製作所の上下昇降デスク「Swift(スイフト)」の発売を知った約6年前。2015年1月から発売されるとのことで、思わず予約注文しようとした。が、税別16万8000円と高価なので、実物を見てからにしようと考えた。

岡村製作所(okamura)の「Swift」。電動で昇降するデスクで、立ち姿勢を取り入れた新しい働き方「+Standing(プラススタンディング)」のコンセプトで発売された。※画像はメーカーWebサイトより抜粋

 Swift発売後に「オカムラ ガーデンコートショールーム」に実物を見に行った。結果、すっごくよくできた昇降デスクであった。のだが、「これは俺的にちょっと……」と思った要素が一点。デスクのエッジ形状が「スムースフォルムエッジ」や「スラントエッジ」といった「端が薄くなっているデスク」なのであった。

Swiftのデスク用天板の端はスムースフォルムエッジやスラントエッジとなっている。横は同一の厚みのようだった……が、よく覚えていない。※画像はメーカーWebサイトより抜粋

 じつはこれまで使っていた仕事机がスラントエッジで、デスククランプの類が使えない。クランプ式のデスクライトやモニター用アームなどをセットしても、デスクの端をしっかり挟めず安定しない(もしくは挟むことすらできない)。「あ〜なんて不便!!!」と思いながら、クランプとはほぼ無縁で仕事机を使い続けてきたのであった。

これまで使ってきた仕事机(モノとしては食卓などに使うテーブル)。全てのエッジがスラントエッジ形状になっているので、どのエッジにもクランプが使えないのであった。机上に重めのモノを固定する場合、机面に穴を開けてアームや支柱をねじ止めする必要があった。上の方に見えるのはそのネジ穴

 ……でもエッジ形状以外はかなりナイスなSwiftだったので、「クランプ無し生活を続けるってことで買っちゃおうか?」「確かデスクの横側は普通のエッジだったし」などと何度も考え直しはした。のだが、「やっぱりクランプを自由に使えるとナニカと便利」「モニター用アームと使うときに机にネジ穴開けるのはもうイヤ」などと思ったりも。でも〜、いやいや、う〜ん、などとモヤモヤし続けていたうちに「昇降デスクはまたそのうちでいいや」的にフェードアウトしていった。

 そんな昇降デスク熱フェードアウトから約6年が経ち、再び昇降デスク欲望フェードイン!!! そして調べてみたら、んまっ!!! えっえっえっ、今ってこんな値段で買えるの? と衝撃を受けたのが2020年の暮れ。その年末年始で選んで購入したのがRELAXWORK「電動式昇降デスク RS5-W ホワイト」である。Amazonで当時2万8900円だった。↓こんなの。

RELAXWORK「電動式昇降デスク RS5-W ホワイト」の「天板なし」を購入。Amazonで2万8900円だった。昇降範囲は70.5〜120cm、昇降速度は35mm/s、耐荷重は120kg
モノとしては、スチール製のデスク脚。しっかりした作りだ。購入直後はある程度バラバラな状態で、自分でねじ止めなどしてこの形状にする。天板は適合する大きさのものを自分で調達・ねじ止めする必要がある
こちらは「天板あり」のRELAXWORK「電動式昇降デスク RS5-W ホワイト」。天板はホワイトのほか、メープル色も選べる

 天板としては幅140×奥行き70cmのものを別途購入し、上記昇降デスク(脚)にねじ止めした。天板は約2cm厚で頑丈そうなのを選択。ネット通販で1万3000円だった。そして↓これが完成形っていうか使用中の様子。

スペックによるとこの昇降デスクは耐荷重120kg。そこまで乗せて昇降するのか? とは思うが、ディスプレイやPCなどを乗せても問題なく昇降する。ディスプレイは、43インチ4KディスプレイDELL「P4317Q」。奥に見えるのは別のテーブル

 昇降する脚が2万8900円で、天板が1万3000円。合計4万1900円。有名メーカー品と比べると格安と言えよう。なお、もっと安い昇降テーブルもけっこうあったりする。

単純明快に使えて昇降もスムーズ、高くすると揺れやすい

 俺の場合、昇降する脚を買って組み立てて、そこに天板をねじ止めして、仕事場に設置。必要なモノを机上に置いて、必要な配線をして、はい昇降デスク環境の出来上がり、てな感じ。設置自体はそーんなに手間はかからない。

仕事机が昇降デスクになった♪ の図
昇降デスクを下から見上げた様子。電動昇降機構は左右の脚に内蔵されている。モーターは左右の足の最上部。ACアダプターは中央にある
ACアダプター部。ここから伸びる電源ケーブルをACアウトレット(100Vコンセント)へつなげば使える状態になる

 この昇降デスクの場合、衝突感知機能があり、昇降中に何らかの障害物に当たるなどして昇降動作が妨げられると停止し、少し戻る。昇降中に手でグイッと押した程度でこの機能が作動するので、昇降動作が原因でモノを倒したり潰したりするトラブルが起きることはあまり考えられないが、デスクやその上に乗ったモノを含めて、昇降中にそれらが何かに当たらないように設置する必要はある。しかし昇降の力により細いケーブルが切れたりプラグが抜けるようなことはありそうだ。

昇降デスクの右側にはちょっとした棚などを置いている。当然、昇降デスクがこれらと干渉しないように設置する必要がある
昇降デスク右側を裏から見た様子。デスクとACアウトレット(100Vコンセント)は接続する必要がある。また俺環境の場合、オーディオ機器やEthernetケーブルともつなぐ必要がある。結果、3系統(3本)のケーブルが昇降デスクとつながるカタチに。昇降幅を考え、これらケーブル長には余裕を持たせている

 細かな準備が整ったら使用開始。デスク手前端に装着したコントローラーを使えば、任意の高さへの昇降、記憶させた高さへの昇降を行える。

 昇降範囲は70.5〜120cmで昇降速度は35mm/sなので、いちばん下からいちばん上まで一気に上げても15秒かからない。が、速いと感じられるほどの昇降スピードでもない。適切って感じの速さですな。

デスク右端付近に取り付けたコントローラー。コントローラーは天板裏面にねじ止めしている。右の↑↓ボタンを押せば、押している間のみ昇降する
1〜4のボタンに高さをセットし、ワンボタンで目的の高さまで自動昇降させられる。俺の場合、1が70cm、2が84cm、3が107cm、4が120cmと設定している。昇降範囲仕様の最低高70.5cmより低い位置(70cm)にセットできてしまったのが謎である

 操作は至って容易。単純明快に使える昇降デスクだ。俺の場合、座り姿勢で2パターンの高さ、立ち姿勢で2パターンの高さとして使っている。それぞれどんな雰囲気で、どんな使い方をしているのか、写真と説明文で見てみよう。

高さを70.5cmにした様子。わりと標準的なデスクの高さだと思う。いつもはこの高さで座って仕事をしている
高さを84cmにした様子。机上に対象物を置いての細かな作業のときはこの高さに。顔と作業対象を近づけるわけですな。机上に腕を置くようにして作業できるので、細かな作業も安定的に行える
高さを107cmにした様子。立ってキーボードを叩きやすい高さで、毎日何度かこの姿勢で仕事している
高さを120cmにした様子。立った状態で細かな作業をするために使える高さだが、立って細かな作業はほとんどしないのであった。120cmはこの昇降デスクの最も高い位置だが、この高さだとデスクをくぐって移動できたり、デスク下方を掃除しやすかったり、デスク下部の配線をラクに行えたりしてナニカと便利だ

 なかなか快適&便利に使えている。ただ、この昇降デスクの場合、立ち仕事の高さだとやや揺れやすい感じ。最大高の120cmだと「大きめの地震が来たらデスクごと倒れそう」という雰囲気だ。普通のデスクワークに使うぶんには気になる「揺れやすさ」ではないが、4本脚の一般的デスクと比べると「ちょっと揺れが気になる昇降デスク」かも。地震はけっこうマジメに心配なので、デスクから離れるときは最低高にするようにしている。

健康効果は明らかに感じられる、ちょっと嬉しい副次効果も♪

 デスクワーク中に立ったり座ったりと姿勢を変えることで、健康効果があるなんて話を聞く。実際のところ、そのあたり、どうなんだろうか?

 じつはこの原稿も途中から立ち姿勢で書いている。座っていて腰や腿などに少し負担を感じたら立ったり、軽く気分転換したいときに立ったり。「立って原稿ってどうなの?」と思ったりもしたが、フツーにアリですなアリ。思考中に体を左右などに動かしたり、軽く足踏みしてみたりすると、なんかこう体の血流が上がったような気分になり、原稿が早く進むような気がする。

 そう言えば、かのヘミングウェイも立ったままタイプライターを叩いていたそうな。立って原稿書くと進捗が良いから? 一説によるとデスクに向かって座ると愛猫が仕事を邪魔しにくるから、とも。でもあのヘミングウェイの立ち仕事写真を見ると、確かに「猫が来なさそうな狭いスペース」にタイプライターを置いて仕事してますな。

 閑話休題。この昇降デスクを使い始めて、立つと何となく仕事が進むような気がしたこと以外に、明らかな健康関連効果が感じられた。

 ひとつは眠気の解消や集中力の増加だ。夏場は暑さに体力を奪われるのか、俺とか午後3時付近は「眠くて死ぬ〜」という状態になることが多い。そこで立ってディスプレイに向かってみると、間もなく眠気が和らぐ。そして15分も立って仕事を続けていると、「明らかにさっきの眠気が消え去った!!!」と感じられつつ「立っていることを意識しないくらい集中できる」ということが多い。カフェインを摂取するより効果的で健康的かも、みたいな。

 もうひとつは、翌日の体の痛みがほとんどないこと。まあフツーに仕事しているぶんには、デスクワークのために翌日体が痛いということはほとんどない。のだが、たまに超集中して10時間など長い時間、座りっぱなしで仕事しちゃったりすると、翌日には首や胸の周りや腰のあたりが痛かったりする。筋肉痛のような、凝りのような……。

 しかし、立ったり座ったりしつつ仕事していると、長時間仕事を続けても、翌日にそういう体の痛みを感じることがほとんどない。「今日は時間かかりそうだから」と意識して立ち座りを繰り返していると、なおさら。仕事中でも体がそこそこほぐれるってことなのだろうか。

 そんな感じ。もちろん、昇降デスクを使って立ち座りしながら仕事して、さらに軽い運動をしたりすればいいんでしょうけどネ。でもまあずーっと座りっぱなしより、昇降デスクを使って「時々立って仕事をする」ほうがずいぶんイイとは感じられる。

 あ、あと、昇降デスクを使ったからゆえの、嬉しい副次効果もあった。それはデスク周辺の配線がキレイになること。いや、キレイにしなければマズそうなので、マズいことになる前にキレイにしているのであった。↓こんな感じ。

昇降デスクの背面。コンピュータを中心に配線がごちゃごちゃしているように見えるが……。じつは床にケーブルが着いていない。昇降デスク上のモノから伸びるケーブルが床に着いていると、昇降時にそのケーブルが床付近の何かに引っかかる可能性を拭いきれない。ケーブルが昇降デスク以外に触れていなければ、昇降時にそのケーブルが原因でトラブルが起きることは考えにくい、というわけだ
ケーブル類が昇降デスクとともに上がり下がりすれば、昇降時にケーブルが引っかかるなどのトラブルを、より予見しやすくなる。そんな理由で、電源用マルチタップも昇降デスクと合体させているのであった
昇降デスクの左脚。こちらは別系統からの電源がつながっている。脚に固定した白いマルチタップから昇降デスク上の機器への給電を考えており、脚の下部に付けた黒いマルチタップからは昇降デスク上の(白いマルチタップ以外の)機器へは給電しない

 昇降デスクを使うと「昇降によりケーブルが引っ張られたりしたらヤだな」という不安がつきまとうので、導入したては「この状態で昇降デスクいちばん上まで高くしてもケーブルだいじょうぶだよね?」と慎重に試したりする。すると「ここはこう配線すればだいじょうぶだ」などとわかりつつ、配線の最適化を行う。結果、あらまあいつの間にか昇降デスク周辺の配線がスッキリとキレイに〜♪ といった副次効果があるというわけだ。

 てな感じの昇降デスク体験談。予想以上に便利で快適であり、最近では安価にて手に入るようになってきたのであり、興味のある方はぜひ、色々な昇降デスクを吟味してみてほしい。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。