スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

iPad Pro 2020年モデル買ったゼ!!! iPadOS 13.4でノートPC的な使い心地♪

最新iPad ProはノートPC的存在へと変貌を遂げた!?

 2020年3月25日発売の最新 iPad Pro。11インチ(第2世代)と12.9インチ(第4世代)の2モデルが発売になったが、11インチの第1世代を激愛用中の俺の場合、思わずポチッと11インチの最新型つまり11インチiPad Pro第2世代を購入!!!

Apple「iPad Pro」の11インチ2020年モデル。11インチのiPad Proとしては2世代目となり、初期搭載OSはiPadOS 13.4。A12Z Bionicチップを搭載し、iPadシリーズとしては初めてデュアルカメラを搭載した世代となる。他、VRコンテンツ制作などに有利なLiDARを搭載し、Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)にも対応。11インチモデルは税別8万4800円から購入できる。iPad Pro 2020年モデルの詳しいスペックはコチラ

 俺が買ったのはWi-Fi+Cellular/256GBモデル(A2230)で、税別11万2800円。あれ? ちょっと安いような……実は第1世代と比べると、どのモデルもちょっと安くなっているのであった。また「Smart Keyboard Folio」も安くなっていたので、これも購入してみた。

 で、以下にレビューをお届けしようと思うが、まずここで、ひとつの俺的結論を書いてみると、iPad Proとしては超広角カメラやLiDARスキャナーが加わって活用幅が広がってまずまずイイ感じ。しかし、驚いたのは“ノートPCライクな利便”が急に生じたという感触。iPad Proとしても使えるし、場合によってはノートPC的に活用することもできてしまうのであった。

 もうひとつの俺的結論もここで書いてみる。第1世代の11インチiPad Proを使っている人で、第2世代に買い換えて幸せになれる人は、そーんなに多くないかも、と。

 それぞれ詳しくは後述する。てなわけで以降、11インチiPad Proの2020年モデルの使用感などを。

11インチiPad Pro 2020年モデル、どうよ?

 購入後に速攻で開梱して即座に前の11インチiPad Proから復元して使い始めたが、購入動機のひとつでもあった超広角カメラがやはり良い。カメラは広角と超広角の2眼で、広角が1200万画素/f1.8、超広角が1000万画素/f2.4で視野角125°。iPhone 11シリーズの超広角カメラは1200万画素/f2.4で視野角120°。iPad Proの方が視野角が広くより広角だが、画素数がちょっと落ちるわけですな。

11インチiPad Pro 2020年モデルのデュアルカメラ
デュアルカメラで撮影した写真。視野角125°の超広角撮影に対応したので、とても広い視野を1枚の写真に収められる

 俺的には全てのiOS端末で超広角撮影ができるようになるとイイな〜と考えているので、iPad Proの超広角撮影対応はかなり嬉しい。のだが、他はあまり嬉しいって要素はナイのであった。「カメラ期待の最新iPad Pro購入?」と問われると、ハイッそうですと答えてしまう俺なのである。

 と言うのは、他の要素にはあまり期待していなかったから。たとえばLiDARスキャナー(ライダースキャナー:光を使って広い範囲の奥行きを瞬時に測れるスキャナー)はこの先にARなどで活用されるスキャナーなので今のところは一般ユーザーにとっての面白みはない。あるいはWi-Fi 6対応も、もう少しして周囲の環境が対応してから嬉しいと感じる要素だと思う。

 最新型なので処理速度も♪ という点ではちょっと期待したわけだが、実際は第1世代と第2世代のiPad Proを並べて比べても、「最新型の方が重いアプリの起動が気持ち速いかな」といった程度の差しかない。データのキャッシュ状態によっては第2世代より第1世代の方がアプリ起動が速いなんてこともある。処理速度に大きな差はないんですな。てゅーか現時点において第1世代iPad Proでも十分サクサク動作するので、旧世代でも最新世代でも十分速い11インチiPad Proなのである。

 あと意外だったのが5G非対応という仕様。このタイミングで非対応とは、って感じですな。

 そういったことから考えて、率直なところ、超広角カメラ欲しいっ!!! とは考えていない第1世代ユーザーは、わざわざ買い換える必要はないかもしれない。一方で、11インチiPad Proは速いし便利だしヒッジョーにツカエル端末なので、2〜3世代前からの乗り換えは大いにアリって気がする。前の世代のiPad Proと比べるとちょっと割安感があるし。

iPadOS 13.4でガラリと変わったiPad

 iPad Pro 2020年モデルの初期搭載OSはiPadOS 13.4。様々な新機能が搭載されたが、俺的には新機能の多くが“iPadをノートPCライクに使えるようにするための機能”だと感じられた。

 たとえばマウスの接続性とカスタマイズ性。あるいはキーボード接続時の使い勝手。iPadOSはBluetoothやUSBのキーボードやマウスを接続して使用できたが、iPadOS 13.4になってさらに機能性が充実し、実用性が高くなったように感じる。

 具体的には、Bluetoothマウス接続時は単にペアリングするだけでOK。以前のように、設定アプリ→[アクセシビリティ]→[タッチ]の順で開いてAssistiveTouchをオンにする、という手間は不要になった。また、マウス自体のカスタマイズ性も高くなり、多ボタンマウスの各ボタンへ機能を自由に割り振ることもできる。

BluetoothマウスはペアリングするだけでiPad Pro画面上に丸いポインターが表示される。ポインターのスピードやホイールによるスクロール方向なども自由に設定可能
多ボタンマウスのボタンカスタマイズも行える。設定アプリから[アクセシビリティ]→[タッチ]の順で開いてAssistiveTouchをオンにする必要があるが、[AssistiveTouch]内の[デバイス]から接続したマウスを選んでカスタマイズを始められる。次いで“カスタマイズしたいボタンをクリック”して“割り振りたい機能を選択”すればOK

 Bluetoothマウスの接続が容易になり、さらに多ボタンマウスのボタンカスタマイズをかなりの自由度で行えるようになった。結果、マウスがかな〜り役立ちまくり♪ たとえばマウス操作だけでAppスイッチャーを呼び出してアプリを切り替えたりできるし、スクリーンショットを撮ることもできる。iPadOS 13.4以前は「iPadで一応マウスも使えてまあまあ便利」という感じだったが、iPadOS 13.4からは「iPadでマウスを使うと凄く効率良くなる!!!」と利便を実感できるようになった。

 iPadOS 13.4からはキーボードの使い勝手も高まった。ハードウェアキーボード接続時に「ライブ変換」が利用できるようになったからだ。ライブ変換は入力された文字を文章の文脈に応じて最適に変換するという日本語入力システム。macOSにあったシステムだが、これがiPadでも使えるようになった。

 ライブ変換自体については好き嫌いが分かれるところだが、俺的には「ライブ変換を使うとメモ取り時の入力効率がグッと高まる」という印象。iPadではメールやメモをよく書くが、ライブ変換の作法(なるべく長い文章を入力すると変換効率が高まる等)を心がけて使うと、iPadでの日本語入力効率がとても高くなる。一瞬「もうノートPC要らないかも」と思うほどに、だ。

左は11インチiPad Pro 2020年モデルにSmart Keyboard Folioと多ボタンマウスをつないで使っている様子。マウスのボタンカスタマイズができ、ライブ変換による日本語入力にも対応したので、iPad Proの使用感がかなりパソコンに近づいた感じがする。右は、さらにテンキーパッドをBluetooth接続した様子。このテンキーパッドには[prtscn]ボタンがあり、これによりiPad Proのスクリーンショットを撮れたりしつつ、大きめのカーソルキーが文字入力時に便利だったりもする。テンキーパッドのレビューはコチラ

 他、各アプリでのキーボードショートカットも増えているようだ。キーボードの[cmd](Command/コマンド/⌘)ボタン長押しでショートカットが表示されるが、「これならキーボードを多用しよう」と思う実用的なショートカットが増えている。

 こういったiPadOS 13.4の機能は、もちろんiPad Pro 2020年モデル以外でもiPadOS対応端末なら利用できる。対応端末は、iPad Pro各機、第5〜7世代のiPad、第4〜5世代のiPad mini、第2〜3世代のiPad Airとなっている。

常用アプリがすご〜く便利になった♪

 最初からiPadOS 13.4がインストールされているiPad Pro 2020年モデルは、Bluetoothマウスを手軽に接続&快適に利用でき、ライブ変換が使えるようになったことでハードウェアキーボードの利便も高まった。で、実際にどのくらい便利なのかと言えば、Macに近いスムーズさがあるところ。

 たとえばハードウェアキーボードでのショートカット。macOSでは[cmd]キーを使うキーボードショートカットがあり、[cmd]+[X]ならカット、[cmd]+[C]ならコピー、[cmd]+[V]ならペースト、[cmd]+[Tab]ならアプリの切り替えができ、他にもたくさんのキーボードショートカットがある。その多くがiPadOSでも使える。

 そして前述のように、iPadOS 13.4ではマウスにも“さらによく”対応してきた。手軽に、違和感なく使えるようになった。

 結果、キーボードやマウスを接続したiPad Pro 2020年モデルなどiPadOS 13.4対応iPadは、macOSに近い感覚で使えてしまうのだ。もちろんiPad独自の作法はけっこうあるが、でも基本的なキーボードやマウスの操作感はMacに近い。冒頭で「iPad Pro 2020年モデルには急にノートPCライクな利便が生じていて驚いた」てなコトを書いたのは、まさに「iPadがMacに近い操作性になったから」である。

 総じて便利に使えるiPad Pro 2020年モデル+マウス+キーボードの組み合わせだが、具体的にどんな感じで? 以下、俺的常用アプリでちょっとご説明。

 まず超多用する「メモ」アプリ。iCloud経由で他のiOS/iPadOSと同期し、さらにMac上のメモアプリとも同期する、シンプルながらも超使えるアプリだ。主にテキストのメモを取ったりリストを作ったりするのに使っているが、これがマウスとキーボードで使えるとなると作業効率がドガーンと上がる。

左はメモアプリでテキストを範囲選択している様子。以前のiOSやiPadOSでは範囲選択がけっこう面倒だったりするが、マウスならドラッグするだけ、キーボードならカーソルキーやシフトキーを使って自在に範囲選択できる。その後、マウスの右クリックでサブメニューからコピーなどするもよし、キーボードショートカットを使うもよし。macOSと同じようにテキストを自然に扱える。ソフトウェアキーボードを使ってもできることではあるが、日頃パソコンを常用しているとハードウェアキーボードやマウスで行うほうがずっとスムーズだ

 それからmacOSやiOSやiPadOSの標準ブラウザであるSafari。ひとつの端末で開いているページを他の全ての端末で即開くことができたり、全端末間でブックマークの同期ができたりと、MacとiPhone/iPadを利用するユーザーにとって非常に手軽&便利なブラウザだ。

iPadOSの標準ブラウザSafari。30以上のキーボードショートカットが使えて、主要なショートカットを覚えてマウスも使用すれば、手をキーボードやマウスから動かすことなくブラウザを利用しまくれる。画面に触れないので画面への指紋付着も激減。スクリーンショットは単語を選択してマウス右ボタンを押し、単語の意味を調べている様子

 メモやSafariの使用パターンとして、Safariで調べ物をして、調べた結果の一部テキストや画像をメモへとペーストする、というのがある。これもマウスとキーボードを併用すると、物凄く効率が良くなる。

 具体的には、Safariで情報を調べ、テキストや画像を選択してコピー([cmd]+[C]など)。続いて[cmd]+[Tab]でアプリを切り替えてメモを表示。そこにペースト([cmd]+[V]など)。実際にやってみるとわかるが、画面を指でタップするよりもずっとスピーディに作業できる。また、アプリを切り替える[cmd]+[Tab]操作は、2つのアプリを交互に切り替えると最長でも3度目から“一度のショートカット操作”で済むようになって、さらに効率がいい。

 もうひとつ、iPadOSのファイルアプリ。iCloudやiPad内部/外部ストレージのファイル操作が可能なアプリだが、こういうアプリもやはりマウスやキーボードがあると何かと捗る。リスト表示にしたテキストファイルをスペースキーを押して簡易表示(クイックルック)できたりし、その使用感はmacOSに近い。

ファイルアプリではファイル共有がより容易に行えるようになり、たとえば共有フォルダなどのURLを生成し、それを人に知らせることでファイル共有ができる。マウスやキーボードが使えると、URLの通知をアプリお仕着せの方法ではなく“自分が好むスムーズなやり方”で行うのが容易なので快適だ。もちろんAppleID所有者間でのより手軽で安全なファイル共有も行える

 全部が全部ノートPCライクに、ってわけではないのだが、これまで「面倒臭いアプリだな」と思っていたアプリが、急に「このアプリってこんなにツカエル存在だったんだ!!!」という使用感になるのは痛快。「この操作があるからiPadOSってイラッとするんだよな」的な鬱憤もかなり解消できたと感じた。

 もはやiPadが急成長した感覚。最新の2020年モデルiPad Proもけっこうオススメだが、iPadOS 13.4はさらにオススメ。とりわけmacOSユーザーには超絶オススメな感じなので、ぜひ試してみてほしい。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。