スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

ソニーの新型グラスサウンドスピーカー登場!

小型化&高機能化&低価格化した新型「LSPX-S2」

 つい先日、2019年3月16日に発売されたソニーのグラスサウンドスピーカー「LSPX-S2」(公式ページ)。有機ガラス管を振動させて音を出すという独自機構のスピーカーです。従来機種となる「LSPX-S1」(レビュー記事)を愛用している筆者としては興味津々。早速実機を借りて試用してみました。

ソニーのグラスサウンドスピーカー「LSPX-S2」。アクリルの有機ガラス管全体を震わせて音波を発生させる駆動方式で、周囲360度に音が伝わる「ちょっと不思議な音の聞こえ方」がします。ガラス管内部には電球色LEDが内蔵され、緩やかな光を放つ照明器具としても利用可能。蠟燭のように光が揺らぐ新機能「キャンドルモード」も搭載しています。ソニーストア税別価格は1本4万4880円。
音源との接続は、Bluetooth、Wi-Fi、有線に対応。本体を直接操作することも、スマートフォンアプリから操作することもできます。ハイレゾ対応。
サイズは約最大直径90mm×高さ277mmで、質量は約1100g。キャンプ用のガスボンベ+ランタンのようなサイズ感で、細い筒の下のくびれ部分を握るようにすれば容易に持ち運べます。右写真はスマートフォン(ケース入りiPhone 7 Plus/写真は合成)や従来機種LSPX-S1と大きさを比較した様子。

 グラスサウンドスピーカー・シリーズの従来機種LSPX-S1と新機種LSPX-S2は、どちらも独自駆動方式のワイヤレススピーカーで、まず独特の美しい音質が特徴的です。また、雰囲気を演出するLED照明や、インテリアとして成立するデザイン性も特徴的。

 ソニーストア税別価格は、従来機種LSPX-S1が7万3880円で、新機種LSPX-S2が4万4880円。新機種は3万円近く値段が下がったのに加え、新たにWi-Fi接続やハイレゾにも対応。LED照明もより目に優しくなり光が揺らぐモードが追加されるなどして機能性が向上しています。音質的にもより幅広い楽曲に対応した感じ。

 ザッと使った感じを書いちゃいますと、スピーカーとして相変わらずクリアで美しい「独特のサウンド」を楽しめるのに加え、音質的にも使用スタイル的にもより汎用性が高くなり、お値段も安くなって、完成度がググッと上がったと思います。従来機種LSPX-S1ユーザーとしても魅力的を感じる新機種LSPX-S2。ということで以降、この新機種の機能性や使用感についてレビューしたいと思います。

Bluetooth+Wi-Fi+有線接続対応、ハイレゾにも対応

 まずは新しいグラスサウンドスピーカーLSPX-S2の概要から。モノラルのスピーカーです。ソニー独自のスピーカー駆動技術「アドバンスド バーティカル ドライブ テクノロジー」を搭載し、本体上部有機ガラス管部のトゥイーターから高音が周囲に均等に伝わります。高音域を再生するトゥイーターのほか、中音域を再生する小型35mmウーファーや低音域を発生させるパッシブラジエターも内蔵しています。

LSPX-S2の構造。有機ガラス(アクリル)の筒状トゥイーターが特徴的で、黄色で示された加振器でガラス管を叩いて高音域を再生しています。これは楽器の発音原理に近いスピーカー駆動方法だそうです。
普通のスピーカーだと、指向性の強い高音がスピーカー前面から出るので、スピーカー前方に位置して聴かないと高音域の音質が偏って聞こえてしまいます(中音域や低音域は指向性があまり強くないので大きな違和感は感じにくい)。一方、グラスサウンドスピーカーの場合、指向性の強い高音域がスピーカーから周囲360度に広がる構造なので、部屋のどこに置いてどこで聴いても、クリアで偏りのないサウンドを楽しめます。

 音源との接続ですが、BluetoothにもWi-Fiにも有線接続にも対応しています。Bluetooth接続時の対応コーデックはSBCとAACとLDAC(LDAC解説ページ)。Bluetooth接続時、LSPX-S2を2台同時に使ってのステレオ再生も可能です。また、2台のLSPX-S2から同じ音を出すダブルモードでの使用も可能。

 Wi-Fi接続は、LSPX-S2とスマートフォンなど音源を同じLANに無線接続しても使います。LSPX-S2を1台で使ってもいいですし、2台使ったステレオ再生もできますし、最大10台までつないで同じ音を出すこともできます。また、同一ネットワーク上にあるPCやNASやスマートデバイスの音楽をワイヤレス再生可能。これらの操作は専用の「Music Center」アプリで行います。

 それと、Wi-Fi接続で使った場合、Music Center アプリからの操作で、音楽ストリーミングサービスSpotifyの楽曲をLSPX-S2から流すことができます。加えて、本体のボタンを押すだけでSpotifyの曲を再生することも可能(プッシュ&プレイ機能)。LSPX-S2がSpotifyプレイヤーになる感じですね。本体のボタンを押して再生できるSpotify楽曲は、「最後に再生した音楽」「お気に入りの音楽」「グラスサウンドスピーカーのおすすめ」です。

「Music Center」アプリの表示例。LSPX-S2をBluetoothやWi-Fiで接続したとき、このアプリからLSPX-S2の各種設定を行えます。Wi-Fi接続時にLSPX-S2から音楽を再生する場合、このアプリを使う必要があります。アプリからは同一ネットワーク上の音源を選ぶことも可能。
本体にはプッシュ&プレイ機能のボタンがあります。アプリでの設定により、「最後に再生した音楽」「お気に入りの音楽」「グラスサウンドスピーカーのおすすめ」をボタン一押しで再生・停止することができます。ちなみに、これらのうち「グラスサウンドスピーカーのおすすめ(Spotifyへのリンク)」は、グラスサウンドスピーカー向け音質の楽曲なので、LSPX-S2の音質を試すのにオススメ。

 てな感じで、Wi-Fi接続して使うと活用幅が広がって好印象です。ただ、Wi-Fi接続時は、基本的に曲の再生を専用アプリ「Music Center」から行う必要があります。アプリにはRadikoやYouTubeなどの音が出る系のほかアプリを登録することができ、そういったアプリの音もLSPX-S2で再生できます。

LSPX-S2の音質

 続いてLSPX-S2の音質ですが、普通のスピーカーと比べると特性がけっこう異なる独自駆動方式を使っていますので、文章では音質面をなかなか伝えにくいところがあります。できればぜひ試聴してみてください。

 それを含み置きいただいた上で、音質的印象を書いてみます。Bluetooth接続で試聴しましたが、まず1本で使ったときと、2本でステレオモードとして使ったときで、ちょっと印象が変わります。

 1本の場合、モノラルとなるわけですが、「どこからか音が聞こえてくる」という感覚。意識しないと音源の位置をちょっと特定しにくいのは、従来機種LSPX-S1とよく似ています。グラスサウンドスピーカー独特の聞こえ方ですね。

 2本にしてステレオモードで聴いた場合、音源の位置を特定しにくい感覚はだいたい同じですが、なんかこう音場に立体感が加わります。左右の分離はそーんなにハッキリしていないんですが、モノラル時とはけっこう違います。空間の深みと広がりを感じさせる聞こえ方をするので、やはり筆者はステレオモードが好みです。

 なお、2本から同じ音を出すこともできます。つまりモノラルですが、このときに2本を適度に離して設置すると、部屋全体から音が生まれ出ている感じで、音源位置の特定がさらに難しくなります。難しいと書くと印象が悪いかもしれませんが、実際は空間から音源が発生している感じで、慣れるととても自然に音楽が聞こえてくる感覚でイイです♪

 どちらにせよ、どこに置いてどこで聴いても、まあだいたい不自然な偏りがない感じで聞こえるので、神経質にスピーカー設置場所を考える必要がない。このあたりも、グラスサウンドスピーカーの良さでしょう。従来機LSPX-S1も同様です。

 また、高音がクリアで美しく、広く響き渡る感じも、従来機LSPX-S1と似ています。アコースティック楽器やボーカルなどの音は、とくにキレイに聞こえます。小さい音で聴いても、よく解像していて繊細な音まで聞こえる感覚。楽器数が少ない曲、クリーンな電子音が主体の曲、ピアノやトランペット、そういうサウンドを美しく響かせるという印象です。

 音の数が多めでそれぞれの音が強めの曲も、LSPX-S2はなかなかイイ感じで聞こえます。LSPX-S1はこういう曲がちょっと苦手という印象でしたが、LSPX-S2ではそういうジャンルの曲もいい音で鳴らせるように改良を加えてきた? また、そういう曲の場合はアプリでベースブースターをオンにするとさらに迫力が増します。

 全体的に、より広いジャンルの曲に対応させてきたLSPX-S2、という印象です。また、従来機種LSPX-S1と同様、空間に美しくサウンドが漂う鳴り方ですので、それに身を任せるように音楽と過ごしたいというスタイルによく合うと思います。まあでも、聞こえ方や感じ方は人それぞれ違うと思いますので、購入を考えるならぜひLSPX-S2実機を試聴なさってください。できればなるべく静かな環境で!

静かで主張しない存在感と、キャンドルのような光

 ワイヤレススピーカーとしての機能性がかなりイイ感じのLSPX-S2。インテリアとして見ても、あまり主張しない静かなデザインで、またコンパクトなので、さまざまな空間にマッチすると思います。

 それから、LSPX-S2には照明器具としても魅力があります。有機ガラス管底部にあるLEDランプが光りますが、キレイなデザインでありつつ、その照明もなかなかよくできています。

 LEDの光色は暖色系で、蝋燭の炎のような色です。このLEDは一定の明るさで光らせることも、蠟燭のように自然な揺らめきで光量が変化する「キャンドルモード」で光らせることもできます。そのキャンドルモードがなかなかイイ♪

とてもシンプルでさりげないデザインです。
LSPX-S2の透明の筒のなかには、電球色で光るLEDランプが内蔵されています。LEDは上向きで、光を様々な方向に反射するレンズに囲まれていて、光を直接見ても眩しい感じがしません。光量は32段階で調節でき、蠟燭の火が揺れるような光量変化があるキャンドルモードにすることもできます。光量を最大にした明るさは「本を読むには暗い」という感じ。音楽を聴いて寛ぐとき、雰囲気を盛り上げてくれる明かりになると思います。
【動画】キャンドルモードで光っている様子(光量変化がわかりやすいよう暗めにして撮影しています)。かなり自然な感じで光が揺れます。見つめていても眩しくないので、光の揺らぎを眺めながらリラックスすることもできます。

 キャンドルモードは、筆者が愛用中の従来機種LSPX-S1にはありません。正直、このキャンドルモードは雰囲気があるし明るさの変化も自然だし、羨ましい! ともあれ、見ていて綺麗な揺らぐ光です。思わず見続けてしまう。

 ただ、残念なのが、キャンドルモード時は光量の調節をアプリから行えないこと。キャンドルモードの光量は本体裏面のボタン操作で行うことになります。ちょっと面倒。でも実際は最大光量で使う人が多いような気がしますので、大きな問題ではないかもしれません。

 さておき、こういうワイヤレススピーカーをアウトドアに持ち出して、夜とかに使ったらイイんじゃないでしょうかね〜。安全だし。音楽も聴けるし。ていうか揺れる光で雰囲気がばっちり盛り上がると思います。

 ちなみに、LSPX-S2の電池持続時間は8時間。LEDを最大輝度で光らせて、音量は最大の半分くらいにして、8時間です。音量はかなり大きい音まで出るので、たぶん小さく絞って使うことになると思います。なので、アウトドアでの使用もけっこー現実的という気がします……LSPX-S2を傷付けないようにどう運ぶかが課題でしょうか。

 てな感じの新型グラスサウンドスピーカーLSPX-S2。音もイイし扱いやすさもイイし、LED光もかなりイイ。現在、ヒッジョーに惹かれている存在です。でも従来機種LSPX-S1を2台使っているんですよ~。悩ましいところ。ともあれ、かなりグッとくるワイヤレススピーカーですので、興味のある方はぜひ実機に触れてみてください♪

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。