スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

スマホでテレビを観たいナ~

サンワサプライ「フルセグチューナー STV100」

スマホでテレビを観たいナ~

 本連載のバックナンバー「寝転がってタブレットを使う方法」で書きましたが、寝ながらタブレットで動画を観たりしている最近です。iPadでネット配信の映画とかを観ているわけですが、そうしていて思うのは「コレでテレビも観られたらナ~」ということ。ニュースとかライブ中継とかイロイロ。

 じゃあアレか、ソニーの「nasne」(公式ページ)とか買って、ナニすればいいのかな。安いトコロだと2万円少々で……と買う算段に入ったら、より安価なiOS専用のフルセグチューナーを発見。サンワサプライの「フルセグチューナー STV100」(公式ページ)です。通常価格が税込1万4000円ですが、タイミング良く1割引セールをしていて税込1万2600円だったので、その値段に釣られて即購入。

サンワサプライの「フルセグチューナー STV100」。サイズが約幅13.2×奥行き10×高さ4.3cm(実測値)の箱形チューナーで、端子は3つ(LANポート/アンテナ端子/電源ジャック)。Wi-Fi対応ルーターとLANケーブルで接続して使い、iOS端末でテレビ番組(フルセグ解像度)を視聴できます。番組視聴は室内(同一LAN内/Wi-Fi)でも屋外(インターネット経由)でも可能。サンワダイレクト価格は税込1万4000円。
本体には、LANケーブル、ACアダプタ+電源用USBケーブル、mini B-CASカードおよび説明書が付属。使用時は本体に3本のケーブルがつながります。テレビ番組の視聴などはiOS端末にインストールした専用アプリ「そとでもテレビ」(App Store)で行います。

 使ってみた印象を書いてしまいますと、「自宅内にてタブレットでテレビ番組を観たい」と考える筆者にとっては必要十分の製品となりました。家庭内のWi-Fi環境下にて、各iOS端末でテレビ番組を視聴できるようになりましたし、高機能ではありませんが一応は番組の予約録画(別途NASが必要)もできます。屋外でのテレビ番組視聴は通信条件にもよりますが、画質を落とせばわりと現実的。ともあれ以降、「フルセグチューナー STV100」の機能や使用感について書いてみたいと思います。

セットアップは簡単! でも環境によっては……!?

 まずはセットアップですが、筆者の環境では非常にスムーズにセットアップが完了。すぐ使い始めることができました。底面サイズがハガキ大なので、設置場所にも困りませんでした。

 具体的な手順は取扱説明書(PDF形式)にあるとおりですが、本体にアンテナケーブルを接続し、本体とWi-FiルーターをLANケーブルで接続し、本体にmini B-CASカードを挿して電源ケーブルを接続。自動的に電源がオンになり、地上デジタル放送局をサーチしてくれます。なお、ファームウェアアップデートがある場合、これも自動的に行われます。

セットアップの手順。手順3と4の間は、場合によっては30分程度時間がかかります。※画像は製品公式ページより抜粋。

 筆者の場合、上記の手順を踏むとファームウェアアップデートがあり、その後に再起動があって放送局のサーチが行われ、セットアップが完了しました。作業としては3本のケーブルをつないだりカードを挿したりする程度で、ファームウェアアップデートと放送局サーチの待ち時間で合計20分くらいでしたでしょうか。「ケーブルつないでほっといたら使用準備が完了していた」という感じ。その後、後述の専用アプリで使用開始です。

 ただ、この製品を買ってもちゃんと動作しなかったという人もいるようで、サンワダイレクトの製品ページのユーザーレビューやネット上の使用報告などで問題が報告されているのを散見します。恐らく固定回線用のルーターに関連するユーザー環境の違いからくるものだと思われます。

 この製品を正しく動作させるには一定の条件があり、それは上記製品ページにも書かれています。具体的には「アンテナレベルが適切であること」「2重ルーター環境でないこと」などです。使用中のLANが2重ルーターかどうか調べるための資料も公開されています(PDF形式)。

 てな感じで、使うLAN環境が適切でなかったりすると、たぶん「ただの箱」と化してしまう「フルセグチューナー STV100」。ですので、購入前に使用条件を満たしているかどうかチェックするのが無難です。

室内で観た感じは?

 テレビ番組の視聴をはじめとする「フルセグチューナー STV100」の利用には、専用アプリの「そとでもテレビ」(App Store)を使います。これをiOS端末にインストール。「フルセグチューナー STV100」が接続されたLANにWi-Fi接続した状態でこのアプリを起動すると、iOS端末と「フルセグチューナー STV100」をペアリングできます。以降、室内(チューナーと同じLANへWi-Fi接続)でも、屋外(インターネット経由)でも、テレビ番組を観られるようになります。

 なお、視聴には制限があり、一度に視聴できるiOS端末は1台のみです。また、NexTV-F準拠の仕様であるため、3カ月に1度の「Wi-Fi LAN内での再ペアリング」が必要です。ちなみに、1台のチューナーとペアリングできるiOS端末は6台までです。

「そとでもテレビ」アプリの表示例。縦表示では番組映像とともに番組表も表示されます。横表示では番組映像が全画面表示に。画面をタップすると、「選局」「録画」「設定」のメニューが表示されます(縦表示/横表示とも)。右画像の薄茶色の表示は選局表示で、チャンネルを選べるほか、画質を「低画質」「標準」「高画質」の3段階から選ぶことができます。
画質比較。左から「低画質」「標準」「高画質」のドットバイドット表示です。「低画質」や「標準」だと、動きのある映像になるほど画質低下がより強く感じられます。

 画質は上の画像のような感じで、「高画質」だと全体的に非常にキレイな映像が表示されます。「標準」でもまずまずキレイですが、動きのある映像だと若干のブロックノイズが現れます。「低画質」だと映像の粗さが目立ちますが、動きの少ない映像ならソコソコキレイ、でも動きが増えるとブロックノイズも盛大に増える、という感じです。

 LAN内での視聴については、Wi-Fi環境や電波環境にもよりますが、オススメはもちろん「高画質」。画面が大きめのiOS端末で視聴すると満足度が非常に高いです。

 ただしこのアプリ、テレビ専用機のように扱えるかと言うと、そういうわけではありません。チャンネルの切り換えには数秒~十数秒かかりますし(Wi-Fi接続状況や画質設定による)、全体的に必要十分といったレベルの機能性なので「快適に操作できる」という印象でもありません。そのぶんシンプルさ、使いやすさはありますが、スムーズさという部分ではテレビ専用機に及びません。

 でもまあ、「フルセグチューナー STV100」をWi-Fi対応ルーターに有線接続するだけで、手持ちのiOS端末がハイビジョンテレビになり、家中どこでも番組を観られるのは便利。税込1万4000円でソレができたという時点で、なかなかの満足感があります。

けっこーキビシい屋外視聴

 それから、出先からの視聴。インターネット経由でのテレビ番組視聴です。その実用性は通信回線の状況に大きく左右されますが、筆者が試した結論から言えば「画質を抑えれば使えないこともない」という感じでした。

 たとえば画質を「低画質」に設定していて、ある程度電波状況が良く、データ通信を行っているユーザーが少ないエリアなら、大きなストレスもなく番組を観られます。映像が表示されるまでにかかる時間も長くて十数秒という感じ。動きが多めのシーンで多発するブロックノイズを我慢すれば、まあまあフツーに使えるという実用性です。

 ただ、画質を上げていくと、映像が表示されるまで時間がかかるようになります。一度表示されてしまえばスムーズに映像が流れることが多いですが、そうでないことも。具体的には、「高画質」で視聴すると映像が出てくるまでに数十秒から数分待たされることが多いという印象で、電波状況によってはもっと時間がかかったりします。画質を「標準」にすると待たされる時間も短くなりますが、それでも「こんなに時間がかかるならテレビ観るのやめよう」と思いがちな筆者です。

 なお、これは4G(LTE)で接続したときの話。4Gでもかなり時間がかかる印象なので、3Gだとかな~りキビシい「モバイルでのフルセグ番組視聴」になると思います。筆者の場合は「室内でiOS端末がテレビとして使えればOK」程度の要望ですが、モバイルで多用したいと考えるなら、あるいは端末直付けのチューナー機器などのほうが実用性が高いかもしれません。

 ご参考までに、公式の製品情報ページで公開されている「必要となる回線スピード」を掲載しておきます。

※画像は製品公式ページより抜粋。

NASがあれば予約録画なども可能

 この「フルセグチューナー STV100」、じつは番組の録画もできたりします。ただし、録画は「フルセグチューナー STV100」と同じLAN内のNAS(LAN上にネットワーク接続されたHDDなどストレージ)に行われますので、NASが必須です。

 筆者のLAN環境には、バッファローの「LS-WSX2.0L/R1WHJ」(公式ページ)というNASをつなげています。ので、早速録画を試してみました。結果、アッサリと録画完了。録画した番組はLAN内Wi-Fi経由でもインターネット経由でも観ることができました。なお、録画機能を使うための設定は、公式ページにも資料としてあります(PDF形式)。

番組の録画予約や録画は、番組表の長押しで行えます。画質を指定して録画。録画番組はNAS内に残り、録画済み番組はLAN経由でもインターネット経由でも再生することができます。

 録画機能を使ってみた印象としては「けっこー便利」という感じ。NASが必須ではありますが、番組が残せるとナニカと利用範囲が広がります。

 ただ、チューナーが1基であるため、録画中はチャンネルを変えられないなどの制限はあります。また、あまり高画質で録画してしまうと、インターネット経由で再生する場合に「高画質であるほど再生されるまで待たされたりする」といった通信速度上の問題(前述)も生じます。なお、録画結果は上のスクリーンショットのようにリストで表示され、そこには画質も表示されます。

 てな感じの「フルセグチューナー STV100」。わりとお手頃な値段で買えて、機能的には必要最小限ながらシンプルに使えつつ、NASがあれば録画も可能。「ときどきiOS端末をハイビジョンテレビとして使いたい」くらいのヘビーでないユーザーにとっては手を出しやすいチューナー製品だと思いますので、興味があればジックリとチェックしてみてください。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。