みんなのケータイ
SIMフリー版iPad mini Retinaに予期せぬ朗報
【iPad mini Retina】
法林岳之
(2014/9/29 06:00)
巷はiPhone 6の発売でにぎわっている。かく言う筆者も本誌に掲載された速報記事などに続き、できるシリーズで書籍の制作に入っており、こちらも慌ただしい。できるだけ早く発売にこぎつけたいと頑張っているので、上梓の暁にはぜひ多くの方にご覧いただきたい。
とまあ、宣伝めいた話は置いといて、今回のiPhone 6の発売に合わせ、もうひとつ大きく変わったのがOS、つまり「iOS 8」のリリースだ。iOS 8の詳細については白根雅彦氏による「iOS 8 ファーストインプレッション」という記事が掲載されているので、そちらを参照していただきたいが、個人的に気になっていたのは、以前、本コーナーの「SIMロックフリー版iPadの憂鬱」でも書いたMVNO各社のSIMカードで利用する場合の制約。
簡単におさらいすると、今年1月、米国で「iPad mini Retinaディスプレイモデル AT&T版」を購入し、帰国後はIIJmioのSIMカードを挿し、NTTドコモのLTEネットワークに接続できていた。アジア各国やヨーロッパに出かけたときも現地でSIMカードを調達し、快適に使うことができていたが、今年5月、アップルからiPad向けに「キャリア設定(キャリアプロファイル)のアップデート」の配信が開始されたことで、ちょっとしたトラブルが発生。このアップデートを適用すると、NTTドコモのネットワークを利用するMVNO各社のSIMカードを挿した状態ではインターネット共有(テザリング)ができなくなり、環境によっては3Gでしかつながらなくなってしまった。バックアップから元の環境に戻すことで、とりあえずは事なきを得たけど、iPadの画面に表示される「キャリア設定アップデート/利用できる新しい設定があります。今すぐアップデートしますか?」というダイアログには、ひたすら「今はしない」をタップし続け、何とかトラブルを回避してきた。ただ、6月の段階で、9月にはiOS 8が公開されることがわかっていたため、SIMフリー版iPad mini RetinaディスプレイをMVNOのSIMカードで使い続けるには、iOS 8のアップデートを諦めるしかないと考えていた。
そして、いよいよ今回のiOS 8の公開。これまでの経緯から、当然、即座にアップデートすることはなく、これまでも参考にしてきたIIJのエンジニアの方が執筆している「てくろぐ」というブログからの情報を待っていたところ、SIMロックフリー版iPad mini RetinaディスプレイモデルをiOS 8にアップデートしてもAPN構成プロファイルをインストールすることで、LTE接続ができるうえ、テザリングまで利用可能という朗報がもたらされた。ちなみに、SIMロックフリー版のiPad AirやiPhone 6/6 Plus/5/5s/5cについても同じように、APN構成プロファイルをインストールすることで、LTE接続とテザリングが利用できるが、筆者も持っているiPad Retinaディスプレイ(iPad 4)についてはLTE接続ができないという。
早速、筆者も自分のiPad mini Retinaディスプレイモデル AT&T版(米国版も日本の技術適合認定は取得済み)をアップデートし、APN構成プロファイルをインストールしたところ、無事にLTE接続とテザリングの動作を確認することができた。ちなみに、セットアップ直後、設定画面で「インターネット共有」をONに切り替えたところ、いきなり画面最上段に「インターネット共有: 1台接続中」と表示され、「見知らぬスマートフォンか、タブレットが接続してる?」と慌てたけど、アップデートに使ったMac miniとUSBケーブルでつながったままでした(笑)。何事も慌てちゃダメですね。
ところで、今回はIIJmioが動作確認情報をいち早く提供し、APN構成ファイルを配布していたので、すぐに対応できたけど、すべてのMVNOがこうした対応を取っているわけではない。NTTドコモのネットワークを利用するMVNO各社の状況をチェックしたところ、IIJmio以外にはhi-hoや日本通信、OCN、BIGLOBE、DTI、ASAHIネットなどがAPN構成ファイルを配布していたが、ぷららやSo-net、@nifty、BB.excite、楽天ブロードバンドでは配布ページを確認することができなかった。他のプラットフォームで利用するのであれば、あまり気にする必要はなさそうだが、少なくともiPhone、iPadで利用する限りは、このあたりの対応状況をしっかりと踏まえたうえで、MVNOを選ぶべきだろう。