みんなのケータイ

 Googleから「Chrome Remote Desktop」というアプリが配信されている。WindowsにAndroidスマートフォンからリモート接続できるというもので、筆者もさっそく「isai LGL22」にアプリをインストールして試してみた。

 Windowsパソコンには、Webブラウザの「Chrome」が必要。Chromeのアプリとして「Chrome リモートデスクトップ」アプリをインストールし、6桁のPINコードを設定しておく。実際のリモートデスクトップを利用する際、Webブラウザの「Chrome」を起動しておく必要はない。今回は、筆者の自宅で常時起動させているWindows 7のパソコンで試してみた。

 Android端末にはGoogle Playから「Chrome Remote Desktop」をインストールしておく。インストール後のアプリは「リモートデスクトップ」とストレートな名称で表示された。Androidでアプリを起動すると、先ほどセットアップしたWindowsパソコンに設定してあるコンピュータ名がリストに表示されるので、タップして6桁のPINコードを入力すると接続を開始、ほどなくしてWindowsのデスクトップが表示された。Googleアカウントと一部で連携することもあってか、期待に違わぬ簡単さだ。

1280×960ドットのWindows 7のデスクトップに「Chrome Remote Desktop」アプリでアクセスしたところ
同じコンピュータにWindows用の別のリモートデスクトップソフト「Siegfried」でアクセスしたところ
縦画面でも操作可能
ピンチ操作で拡大・縮小が可能

 良い点は、スマートフォンで操作がしやすいこと。この類のアプリはとにかく、マウス、キーボードでの操作が前提となっているWindowsをタッチパネルで操作するという形になるため、直感的な操作が難しい(Windows 8なら事情が違うかもしれないが)ことが多いが、このアプリではタッチ操作を駆使して便利に使えるようになっている。

 マウスカーソルの移動は、ノートパソコンのトラックパッドのようなイメージで画面のどこでもいいのでタッチしてスワイプすると、カーソルが動きはじめる。もっとも、これはリモートデスクトップアプリにおいては普通の操作方法で、驚くほどではない。

 ドラッグ&ドロップはどうか。マウスの左クリックボタンを押し続ける操作を再現するには、画面をタップしてホールドする。そうするとカーソルにポワンと波紋の効果が見えるので、波紋が見えたら指をスワイプさせる。これでマウスカーソルによるドラッグ&ドロップや領域指定が可能になる。

 右クリックも簡単で、指2本でタップするだけ(中央クリックは指3本でタップ)。上下スクロール(マウスのホイール)は指2本でスワイプだ。これらの操作で、Windowsのマウス操作の多くはカバーできるだろう。当然ながら、画面が大きいタブレットなら操作はさらに快適だろう。

 Windowsのキーボードからの文字入力は、入力フォームにカーソルがある状態でAndroid側の文字入力システムを起動させて入力する。指3本を上にスワイプするとAndroidのキーボードが下側に表示されるので、比較的サクサクと操作を進められる。

 指2本でピンチ操作をすれば、画面を拡大して表示が可能。動きもスムーズだ。

アプリ内のヘルプに書かれている操作方法
キーボードアイコンのタップのほかに、指3本を上にスワイプするとキーボードを表示できる

 便利だと感心したのは、半自動スクロールとでもいうべき機能だ。デスクトップ画面を拡大表示している際、マウスカーソルが表示画面の端に近づくと自動的に画面がスクロールを始める。マウスカーソルの移動と、拡大表示している範囲の移動が連動しているのだ。これにより、デスクトップ画面の一部しか表示されていない状態でも、マウスカーソルの移動だけでデスクトップ画面の端から端まで移動できるのだ。

 また、マウスカーソルの移動では、勢いを付けて指をスワイプすると、トラックボールでの操作のようにマウスカーソルの移動に慣性が付く。例えば「とにかく左下の隅まで、一気に移動したい」という場合なら、シュッと勢いよくスワイプすれば、マウスカーソルが転がるように移動していく。

 このほか、Windowsパソコン側ではWindowsのサービスとしてエントリーされているようで、起動直後などWindowsへのログオン前でもリモート接続が可能だ。サーバーとして運用している場合には重要なポイントという人も多いだろう。

 この再起動にも少し関連するのだが、筆者の環境では、Windowsパソコンの起動後に、「Chrome Remote Desktop」からしかアクセスしていない場合、Windows 7の視覚効果「Windows Aero」が有効にならないようだ。これはWindows側で起動しているChromeアプリの問題だと思われる。ほかのリモートデスクトップのツールなどでアクセスしてデスクトップ画面を表示させると「Windows Aero」は有効にできる。

起動後のログオン画面からリモート接続が可能
「Chrome Remote Desktop」のみだとデスクトップの表示でWindows 7の「Windows Aero」は有効にならない(タスクバーの色や装飾効果が異なっている)

 前述のようにGoogleアカウントと関連して管理されている関係と思われるが、Wi-FiやLTEといったAndroid側の通信環境に関係なく、Androidのアプリ上で登録済みのコンピュータ名を選ぶだけで、簡単にアクセスできる。映像を見るのはフレームレートの面でキビシイが、それでもただの確認というだけなら十分可能だ。個人で運用するサーバーのファイル操作やマウスによる操作、プログラムの起動・確認という用途なら、十分に実用的だと感じられた。