電子版オリジナルのコミック雑誌を買って読んでみた
タブレット型端末で電子書籍を手軽に楽しむ……というストーリーはこれまでも、なにかにつけて語られてきたのだが、実際にはどうなのだろうか。全サービスを横断レビュー、とはいかないのだが、“アリ”なレベルでまとまっているサービスで実際にコンテンツを購入し、試してみた。
試してみたのは角川コンテンツゲートの「BOOK☆WALKER」。コミックやライトノベルに力を入れているのが特徴なので、選んでみた次第である。角川グループのコンテンツを扱うので、例えばライトノベルでは角川スニーカー文庫だけでなく、富士見ファンタジア文庫や電撃文庫、ファミ通文庫などもある。コミックも同様だ。タイトル数はまだそれほどでもないのだが、人気シリーズは押さえてあるといった印象だ。
そもそも筆者が「BOOK☆WALKER」に引きこまれてしまったのは、コミック雑誌「ドラゴンエイジ」の電子書籍オリジナル版「エイジプレミアム」なる雑誌が創刊されるとアピールされていたからだ。しかも創刊号は無料。半信半疑(?)でダウンロードしてみたが、普通に紙のコミック雑誌のボリュームで収録されており、最後まで読んでしまった。
第2号からは有料になるのだが、高くなければ続きが読みたいなぁなどと思っていたところ、第2号は85円で配信が開始された。缶ジュース1本より安い。アニメやゲームでマルチ展開を行うタイトルが多く、峻烈な競争を繰り広げるコミック雑誌の業界においてクオリティはトップクラスとはいかないものの、ライトノベル原作のタイトルなど馴染み深いものもいくつかあり、空いた時間や寝る前に読むには十分以上だと感じられた。
購入・ダウンロードに関しては、アプリ上ですべて完結し、クレジットカードとWebMoneyが利用可能。クレジットカードは、1度利用すると次回から入力する手間は省かれる。XOOMで利用する「BOOK☆WALKER」アプリは、基本的にスマートフォン向けと同じなので、ストアや本棚などの表示はタブレット型端末に最適化されていない。(スマートフォン用の)縦画面用の表示のみで、XOOMでは妙に間延びしてしまう。ここはぜひタブレット向けの改修も行なって欲しいところだ。
閲覧アプリも兼ねている「BOOK☆WALKER」だが、閲覧機能自体はタブレットでも問題なく表示できる。縦・横の切り替えや、ページ指定の移動、しおり、目次へジャンプといった基本的な機能を利用できる。ちょっとややこしいのはページ数の表記。例えばコンテンツ内で149ページから始まると案内されているタイトルに移動する場合、画面を横位置にして見開き2ページで表示させていた場合は、アプリ上では74ページを指定する。縦位置の場合はそのまま149ページを指定すればよい。
パフォーマンスについては、ページ送りはワンテンポ遅れる印象だが、最低限の水準は満たされていると感じた。コミックとライトノベルでは、ライトノベルのほうが動作が軽いようだ。操作は、ページをめくりたい方向にフリック操作するか、画面の端をタップすればいいだけで、簡単。ダブルタップで拡大・縮小も行える。
XOOMの画面(1280×800ドット)に見開き2ページで表示させた場合の画質だが、「エイジプレミアム」では、セリフは比較的シャープで、漢字もルビもぎりぎり潰れずに読める。絵はもちろん綺麗なのだが、スクリーントーンにわずかだがモアレ(干渉縞)が確認できる。縮小して表示している都合上、仕方がない部分ではある。
「エイジプレミアム」を見開き2ページで表示 |
さて、「エイジプレミアム」は85円ということで食いついてしまったが、文字主体のコンテンツはどうだろうか。というのも、他社の電子書籍サービスでライトノベルの電子版を購入したところ、イラストがまったく収録されていないということがあったからだ。これは権利処理の関係だと推察されるが、「イラストの無いライトノベルって一体……」と思ったのは正直なところ。
「BOOK☆WALKER」でも、タイトルによってはそうしたタイトルがあるのかもしれないが、とりあえず買ってみたタイトルは無事、巻頭ピンナップや、作中にもイラストが収録されており、一安心。一方、価格は書籍版とほとんど同じ(609円)だったので、購入に至るテンションもリアル書籍と同じものが求められた。
ちなみにこちらは見開き2ページの表示では、実際の文庫を開いた時より、1行に表示できる文字数が少ない(短い)。画面を縦位置にするとちょうどよい塩梅になる。コミックのように見開き2ページを一度に見る必要はほとんどないので、縦位置で読むのがよさそうだ。
縦位置の画面でライトノベルを表示。XOOMの画面上では、背景は黄色ではなくほぼ白に見えた |
横位置の画面では表示できる文量がちょっと物足りないかもしれない |
最後に、複数のAndroid端末を持っている場合だが、同じアカウントでログインすれば購入履歴の同期が可能で、購入済みのコンテンツをそれぞれの端末にダウンロードできる。同期できる端末の数には“上限がある”と案内されている。現状は「どこまで読んだ」といった読書情報やしおりは共有されないので、移動中はスマートフォン、寝る前はタブレットで続きから読む、といった連携に期待したいところだ。
スマートフォンの画面。同じアカウントを利用すれば、複数のAndroid端末で購入済みコンテンツをダウンロードできる。ダウンロードしていないタイトルは表紙がモノクロで表示されている |