フリック入力がイケることに気がついた

2009年2月17日 11:00
(白根雅彦)

 iPhoneにはハードウェアのキーボードがない。その代わりに、画面上に表示されるソフトウェアキーボードで文字を入力する。日本語用には、QWERTY配列とテンキータイプの2種類のソフトウェアキーボードが用意されている。

 テンキータイプのキーボードでは、普通のケータイのようにテンキーを連打していくほか、テンキーの上で指を滑らせる、いわゆる「フリック」でも入力ができる。

 このフリック入力のパフォーマンスが意外なほど高いことに、恥ずかしながら先週になってようやく気がついた。子音キーをロングタップしてパレットを呼び出さないといけないと勘違いしていたが、実際にはパレット表示を待つことなく、フリックさせるだけで良かったのだ。基本的に濁点や撥音をのぞき、すべての仮名を1フリックだけで入力できる。これならば片手の親指だけでいけるし、フルキーボードと違って各キーが大きいので、歩きながらでもそこそこ操作できる。

 慣れないとまったく意味のわからない入力方式だが、自称「変なUI好き」のわたしとしては、手を出さないわけにはいかない。そんなわけで、1週間ほど、寝しなに根暗な独り言を書き綴りつつ、フリック入力を練習してみた。

 そして、119文字の例文入力で入力の速さを比較してみた。純粋にかなの入力効率を見るため、いずれも1回は試し入力をし、単語を学習させているが、いずれも予測変換による文字入力数の省略は行なっていない。

  • パソコン(両手・卓上):33秒
  • Nokia E61(両手):68秒
  • iPhoneの横画面フルキーボード(両手):98秒
  • iPhoneの縦画面フルキーボード(両手):102秒
  • N905iμのT9入力(片手):105秒
  • iPhoneのフリック入力(片手):114秒
  • N905iμの通常入力(片手):199秒

 わたしにとっての最速はパソコンだ。これはまぁ、四六時中キーボードを叩く職業なので、当然ではある。逆に普通のケータイの入力方式が遅いのは、ケータイをメシのタネにしている人間としては恥ずかしい限りだが、ここは敢えてスルーして欲しい。

 立ったままの両手操作での最速は、取材時のメモに使っているNokia E61となる。片手操作での最速はT9になっているが、T9は予測が基本なので、辞書になく、学習もしていない固有名詞の入力効率は著しく低い。

 意外だったのは、iPhoneで両手を使うフルキーボードと片手でのフリック入力があまり変わらなかったことだ。これならば、フリック入力だけでも良さそうなものですらある。そしてさらに、フリック入力は慣れればまだまだ速くなりそうな感触もある。

 フリック入力は、正直言ってちょっと変わった方式だと思う。万人にお勧めできるものではないかも知れないが、「iPhoneは、歩きながらとか片手で文字入力しにくいっ」と感じている人は、食わず嫌いをせずに試してみることをオススメしたい。