みんなのケータイ

 夏休みにミャンマーへ行ってきた。ミャンマーへは、昨年12月にKDDIが支援する現地の国営キャリアであるMPTの取材をしに行って以来、2度目となる。その時にMPTのSIMカードを空港で購入済みであったので、まずは前回同様に、ヤンゴン国際空港に到着してすぐのMPTカウンターに直行した。

バガンにあるケータイショップ「モバイルバガン」。近所にも何軒か似たようなショップが存在した
安価な値付けで、中国からの輸入もあり、ファーウェイが人気のようだ

 前回のミャンマーでは、MPTが「時間課金」しか設定しておらず、スマホを使う際も、わざわざモバイル通信をオンにして、メールやウェブ、SNSをチェックし、使い終わったら、モバイル通信をオフにするという使い方をしていた(1分で4チャット、1チャットは0.09円程度なので、滞在中は1チャット0.1円で計算していた)。かなり面倒であったが、「そのほうがミャンマーの人にはわかりやすく、安価に使えるために意外と好評だ」(MPT関係者)ということもあり、郷に入れば郷に従えとばかりに時間課金でスマホを使っていた。

ヤンゴン国際空港のMPTカウンター。去年、訪れたときよりも綺麗になっていた。お姉さんは英語が通じるのでSIMカードの購入なども問題ない

 しかし、ミャンマーでは、MPTだけでなく、カタールのウーレドゥーとノルウェーのテレノールといった競合キャリアも存在する。そのため、今年になって、MPTでも定額制の導入に踏み切っている。

 今回は9日間、ミャンマーに滞在すると言うことで、カウンターのお姉さんには5GBのプランをお願いすることにした。ちなみに400MBで2800チャット、1GBで6500チャット、5GBで2万5000チャットという値付けになっている。いずれも有効期間は30日間だ。5GBで2500円と考えると、悪くない値付けだ。

 初日から2日目にかけてはヤンゴンに滞在した。MPTはKDDIが経営に参加してから、ネットワークの強化に努めているが、ヤンゴンではかなり快適に使えた。LTEはサービス提供していないため、3G接続のみであったが、2日間で700MBぐらい使っただろうか。「このペースで使ったら、5GBは使い切るかも」そんな不安を抱いたほどだ。

 3日目からは、数多くの遺跡が存在するバガンに滞在した。バガンはヤンゴンから飛行機で80分ぐらいの場所にある。ミャンマーは3週間ほど前に洪水の影響を受けた場所があったが、滞在した場所は特に洪水にあっていなかった。今は雨期で観光客も少なめであるが、滞在中は晴天が続き、過ごしやすかった。

 しかし、イマイチだったのが通信環境だ。SIMフリーのiPhone 6にMPTのSIMカードを挿入していたが、ホテルに滞在中、ほとんどが「E」、つまりEDGE接続で、満足にデータが流れてこない。たまに3G接続にもなるが、かなり不安定で、イライラさせられるばかりだ。繋ごうと思っても、今度はEも3Gも表示されなくなるほどだ。

 結局、5日間ほどバガンに滞在したが、数十MB程度しか使えなかった。実際のところ、バガンは遺跡は豊富だが、かなりの田舎で通信環境の整備はこれからといったところのようだ。

 ただ、政府からは「観光地の光ファイバー化を強化する」という指令が下っているようで、今後は急速に改善していくものと期待される。実際、町中(といっても農道のようなところだが)をクルマで走行していると、道の脇でのMPTの工事現場に遭遇することができた。

 道沿いに、手作業で掘った長い穴があり、そこにケーブルを這わせる作業を行っていたのだ。重機などはなく、穴掘りも手作業ならば、ケーブルの敷設するのも何十人がかりで手作業で行っていた。正直言って、相当な時間と労力が必要そうだが、確実にバガンの通信環境は良くなっていくようだ。

 その後、ヤンゴンを経由し、日本に戻ってきたが、結局、1GBも使い切れなかった。通信環境が発展途上なわりには、市内や遺跡でスマホに没頭している人や僧侶を数多く見かけたのが不思議であった。

偶然遭遇した、MPTの工事現場。地中に直接、ケーブルを埋めてしまうようだ
見渡す限り、遺跡しか見えないバガン。雨期で観光客は少なめであったが、欧米からの観光客の姿もあった
レストランのおばちゃんも、スマホに夢中であった。女性が頬につけているのが「タナカ」というミャンマーでは一般的な日焼け止め。MPTのためにKDDI田中社長がミャンマーに訪れる際に「I'm TANAKA」といっては、ミャンマーで爆笑をとっているという噂
電波も満足に入らない場所であっても、僧侶はスマホやタブレットに夢中であった