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Android 13にした「Galaxy Z Fold4」で感じる進化とデュアルSIMで困ったこと

【Galaxy Z Fold4】

 「Galaxy Z Fold4」が、Android 13にアップデートされた。元々、同モデルには大画面端末に最適化したAndroid 12Lが採用されていたが、その特徴的な機能は一通り引き継がれている。スマートフォン向けのOSとしては珍しい派生バージョンだったが、端末の発売からわずか2カ月強で、その役目を終えてしまったのは少し寂しい気もしている。

12月5日に、Android 13へのOSアップデートが始まった

 サムスンは、Androidを独自にカスタマイズした「One UI」と呼ばれるユーザーインターフェイスを採用している。OSのアップデートに伴い、このOne UIのバージョンも「5」に進化した。元々、すでにOSもある程度成熟しているため、大幅な進化のようなものはないが、Android 13に準拠しつつ、細かな使い勝手が改善されている。目につきすいのは、デザインの改良だろう。

Android 13にアップデートされたGalaxy Z Fold4

 たとえば、アニメーションの仕方が変わったり、通知パネルなどの配色やぼかし効果が変わったりと、より見やすい画面デザインが採用されている。ホーム画面の多くのスペースを占める、アイコンのデザインも一部更新された。目にする頻度が高いだけに、これだけでも受ける印象は大きく変わってくる。

通知パネルのデザインが改良されている

 また、Android 12から採用されている画面のカスタマイズ機能が進化しており、アイコンの配色をより壁紙をベースにしたカラーパレットに合わせやすくなっている。プリインストールされているサムスンアプリやドコモアプリ、Googleアプリは、一通りカラーパレットに合わせる設定ができたが、「PayPay」や「Jota+」といったサードパーティアプリの一部も、アイコンが変わっていた。非対応のアプリが残っているのは残念だが、かなり画面に統一感が出たように見える。

カラーパレットを反映した際のアイコンデザインが大きく変わった。一部のサードパーティアプリも対応する

 デザイン以外で便利だと感じたのは、マルチウィンドウの進化だ。One UI 5では、2本指で画面を下から上にスワイプするだけで、画面分割を呼び出すことができる。画面右上から左下方向にスワイプすると、アプリをポップアップ表示に切り替え可能。これらに加えて、画面上に常時、マルチウィンドウ用のメニュー時を表示するためのバーを設置できるようになった。なんだかんだ言いつつも、ゼスチャーよりも目に見えているぶん、操作が直感的だ。

「ラボ」と呼ばれる実験的な設定項目で、マルチウィンドウの呼び出し方を変更できる
画面上部に常時表示されるメニューバーを配置できるようになった

 エリアが非常に限られているため、恩恵はほぼほぼ受けられないが、通信面では5G SAに対応した。Sub-6とミリ波のデュアルコネクティビティを使えば、上りの通信速度は最大で1Gbps超。筆者は、端末を机に置いたまま大量の写真を撮ってアップロードしたり、手書きした校正を送ったりと、上りの通信を使うこと何かと多い。クリエイティブな使い方が可能な「Galaxy Z Fold4」だからこそ、5G SAへの対応はうれしいと言えるだろう。

デュアルSIMでトラブルも……

 一方、こうした対応でモデムのファームウェアにもアップデートがかかったためか、トラブルも発生した。サブとして使っていたソフトバンクの回線に、つながらなくなってしまったのだ。

 本コーナーでも何度か触れていたと思うが、筆者はメインのドコモ回線をeSIMで、サブのソフトバンク回線を物理SIMで使っている。後者のソフトバンク回線が、デュアルSIM有効時のみ、つながらなくなってしまった。

 厄介なのが、デュアルSIMでの利用はドコモの動作保証対象外ということ。また、ソフトバンクのSIMカードも基本はタブレットやパソコンのためのもの。「Galaxy Z Fold4」はサイズ的にタブレットと言い張れないこともないが、電話ができるデバイスはあまり想定していない印象。端末側、回線側双方が動作保証外のため、誰にも頼れない状況になってしまった。ソフトバンク回線は、筆者の行動範囲ではかなり優秀で、利用頻度もそこそこ高かったので残念だ。

ソフトバンクの「データ通信専用3GBプラン」を挿したところ。エリア内で、Android 12Lのときはつながっていたが、電波をつかまなくなってしまった

 なお、筆者の個体もしくはSIMカード側の不良という可能性もあったので、サムスンの協力を得て、別の「Galaxy Z Fold4」でも確認をしたが、同様に通信ができなかった。SIMカードは「Pixel 7 Pro」や「iPhone 14 Pro」などでは、問題なく通信できている。Android 12Lの「Galaxy Z Fold4」(別個体)でも動作したため、モデム回りのソフトウェア的な問題という線が濃厚だ。

 原因が分かったところで、このままではせっかくのデュアルSIMが宝の持ち腐れになってしまう。そこで、データ通信専用SIMというやや特殊な仕組みに原因があると推測し、契約していたLINEMOの回線をeSIMから物理SIMに変更。同じように端末に挿してみたところ、無事、ネットワークにつながった。動作保証対象外ということは重々承知しているが、何らかのバグである可能性も否定できないため、アップデート時の改善には期待したい。

同じソフトバンクでも、LINEMOのSIMカードは問題なく動き、ネットワークにつながっている

 一連の検証を経て、少し不安になったのが、非常時の代替的な通信手段として、デュアルSIMやeSIMの活用が検討されていること。有識者会議でも有識者からツッコミを受けていたが、動作保証対象外となると、使ってみてダメだったという事態になる可能性も十分考えられる。ただ、コストをかけて、全キャリアの接続検証を行うのがベストとも言いづらい。そのコストは、端末価格に跳ね返ってしまうからだ。なかなか難しい問題だが、動作保証対象外と切り捨てるのではなく、せめてバグレポートは受け付けるような対応を期待したい。