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iPhoneで「iOS 16」の新機能を使ってパスポート申請した

iPhone SEのみでパスポート申請の準備をしてみる

 ようやく海外渡航がしやすくなってきたところで、パスポートの期限が切れてしまったこともあり、新たに申請することにした。前回パスポートを作ったのは10年前。当時どうやって申請したのかはっきり覚えてはいないが、以前よりはきっとデジタル化も進んでいるはず。……と期待しつつ調べてみたら、申請書の作成がオンラインでできるようになっていた。おそらくここ10年の大きな変化としてはそれくらい、ではあるけれど、その他の作業も含めスマホ1台で申請に必要なあれこれがまかなえそうな感じだ。

申請書作成がオンラインでできるっぽい

 そんなわけで、今回は試しにiPhone SE(第2世代)で、パスポート申請に必要なひと通りの準備をしてみることにした。なぜiPhoneかというと、タイミングよく登場したiOS 16のVisual Look Up機能、いわゆるクソコラ作成がはかどる機能を、至極まっとうな用途で使ってみたいと思ったからである。ちなみに2回目以降のパスポート申請に必要なものは以下の通り。Visual Look Up機能はこの中の証明写真の作成に利用する。

パスポート申請(2回目以降)に必要なもの
  • 証明写真(35×45mm)
  • 戸籍謄本または戸籍抄本(戸籍証明書)
  • 本人確認書類(期限切れのパスポート、免許証など)
  • 発行手数料(東京都の場合計1万6000円)

 まずは証明写真の作成だ。iOS 16にしたiPhoneでカメラアプリを立ち上げ、インカメラで自撮りする。撮影後の写真の自分の顔を軽くホールドすると輪郭が光り、バストアップ部分だけの画像が得られる。

 ここまでわずか数秒。背景が多少複雑な感じでも、恐ろしく簡単に、精度高く判別して切り抜いてくれる。

 この画像をメニューの「共有」からファイル保存したら、今度は背景を別に作る。真っ白な背景でもいいが、証明写真と言えばブルーバック。たまたま自宅にブルーバックっぽいシートがあったので、それをただただシンプルに撮影する。

カメラアプリで自撮り。反転画像にならないよう注意
顔部分を軽くホールドすると輪郭が光ってバストアップ部分だけをコピー・保存できるようになる
次に背景となるブルーバックを撮影
ただのブルーバックである

 そうやって撮影した自撮り切り抜き写真と背景を、Adobeのレタッチアプリ「PhotoShop Express」の「Mix」プロジェクトでレイヤーに読み込み、自撮りレイヤーのサイズや傾きなんかを調整すれば証明写真用データは作成完了だ。パスポート用の証明写真では顔や余白の位置・大きさなどについて細かな規定があるので、それをある程度参考にしつつも、ここではあまり厳密に調整する必要はない。ただ、余白は少し大きめにしておいた方が、この後プリントするときに都合がいい。

「PhotoShop Express」で「Mix」プロジェクトを選択
レイヤーに自撮り写真と背景を読み込ませる
余白は少し大きめにしておくのがおすすめ

 証明写真の印刷は、コンビニにあるマルチコピー機のフォトプリントを利用する。自宅に昇華型プリンターがあるならそれでもいいかもしれないが、印刷の筋が残っているような写真だと認められない可能性がある。普通のインクジェットだとまず受け付けてもらえないだろう。スマートフォンで撮影した写真をコンビニで印刷する際には、マルチコピー機の種類によって異なるアプリが必要になるので、利用するコンビニのWebサイトなどであらかじめチェックしておきたい。

 筆者の最寄りコンビニはリコーのマルチコピー機だったので、「RICOH かんたん写真プリント」というアプリをiPhoneにインストールした。

 アプリを起動したら先ほど作った写真データを選び、クラウドにアップロードする。終わりに「プリント予約番号」が発行されるので、スクリーンショットを撮るなどして念のためメモしておこう。

「RICOH かんたん写真プリント」
「追加」から撮影(作成)した写真の選択へ
コンビニで印刷したい写真を選ぶ
クラウドにアップロードすると「プリント予約番号」が発行

 で、コンビニに走る前に、もう1つ用意しておきたいのがマイナンバーカード。必要書類の1つである戸籍証明書は、最近はマイナンバーカードさえあれば近くのコンビニでも発行できるのだ。なので、これも証明写真と一緒にプリントしてしまいたい。

 コンビニではマルチコピー機の画面の案内に従い、マイナンバーカードを使って戸籍証明書を出力(450円)。さらにフォトプリント機能で、プリント予約番号を入力して証明写真を印刷する(筆者が利用したコンビニでは100円)。ここで証明写真として適切な位置や大きさに調整することも可能だ。

マルチコピー機上で証明写真のサイズ調整ができる
できあがった戸籍証明書と証明写真(この証明写真は余白がギリギリ不足気味だったのでもう一度撮り直した)

 残る作業は申請書の作成。パスポートを発行してくれるパスポートセンターに行き、申請用紙を手書きすることもできるが、外務省のWebサイトにはオンラインで申請用紙を作成できる特設ページが用意されている。「パスポート申請書ダウンロード」ページにアクセスしよう。

外務省の「パスポート申請書ダウンロード」ページ
「一般旅券発給申請書(10年・5年)」の「申請書ダウンロード」から作成画面へ

 個人情報や既存のパスポートの情報などを入力することおおよそ10分ほど、必要事項をすべて埋めれば、記入済みの申請用紙をPDF形式でダウンロードできるようになる。

 ちなみに先に戸籍証明書を取得したのは、ここで本籍を戸籍証明書に記載されている通り正しく入力する必要があるため。現住所とは異なっている人が多いと思うので、戸籍証明書で確認しながら入力したい。

 で、ダウンロードしたPDFはA4用紙に印刷し、最後に自著と申請日を手書きすれば完了。あとは他の必要書類などと一緒にパスポートセンターに持ち込むだけだ。

必要事項をどんどん記入していく
本籍は現住所ではない可能性があるので要注意。戸籍証明書を参照しよう
最後にPDF出力
それを「プリント」
自宅のプリンターでA4用紙に出力する
申請書の印刷が完了

 混雑している時期でなければ10~20分で申請手続自体は完了し、1週間余り待てば手に入る。ただ、この原稿を執筆しているのは申請直後で、発行予定日に無事パスポートを受け取れるかどうかはまだわからない。

 というのも、実は今回、証明写真の顔の位置やサイズなどは(一度念のため撮り直して)問題なかったのだが、背景が少し明るかったせいか輪郭が光って見えてしまい、パスポートセンターでは一応受理されたものの、後で撮り直しが求められる可能性があるかも、と言われてしまったのだ。iOS 16のおかげで手軽に自撮りして輪郭を切り抜くことができるとはいえ、背景はもう少し選んだ方がいいのかも。

 ただ、もし撮り直しになったとしても、もう一度、iPhoneで自撮りしてコンビニに行って100円でプリントすればいいだけなので、そこまでの手間でも負担でもない(あらためてパスポートセンターに行く必要が出てくるとちょっと面倒だが)。

 申請書自体も、結局紙に印刷するというアナログな部分が残ってはいるけれど、オンラインで作成できるだけでも手書きするよりずっと楽ちんだ。今度パスポートの申請をするとすればまた10年後。そのときはさらにデジタル化が進んでいるだろうか。