みんなのケータイ

もっと増やしてほしい「フレックスモード」対応アプリ

【Galaxy Z Fold3 5G】

 メインで使っていたメーカー版の「Xperia 1 II」を、ドコモ版の「Galaxy Z Fold3 5G」に機種変更した。フォルダブルスマートフォンをじっくり個人用の端末として使うのは初。折りたためることで、ユーザー体験がどれだけ変わるのかを実感してみたかったのが、Galaxy Z Fold3 5Gを選んだ理由だ。3代目にして初めておサイフケータイに対応したのも、躊躇なく購入に踏み切れた要因と言っていいだろう。

フォルダブルスマホをメイン端末として使ってみたい。そう思って購入したGalaxy Z Fold3 5G

 フォルダブルといっても、スマホはスマホ。使うアプリやサービスがガラッと変わったというわけではない。電話やLINEなどのメッセンジャーはこれまでと同様使うし、写真や動画を撮るのも変わっていない。銀行関連や決済関連のアプリも、ほぼそのままXperia 1 IIからGalaxy Z Fold3 5Gに移行している。TwitterやFacebookといったSNSもよく使っているが、これらは閉じたままで起動することも多い。

 一方で、大画面だからこそ使いたくなるサービスもある。雑誌のサブスクリプションは、その1つと言っていいだろう。「dマガジン」などをお使いの方は分かると思うが、紙の雑誌をそのままデジタル化したサービスは縦長のディスプレイを搭載したスマホだと、読みづらい。縦横比が大きく異なっているからで、画面サイズに合わせて全画面表示すると、写真や文字がかなり細かくなってしまう。

雑誌を画面いっぱいに広げて読めるのは、フォルダブルスマホならでは。電車の中でサッとポケットから出してすぐに雑誌が開けるのは、タブレットにはない使い勝手だ

 これに対し、Galaxy Z Fold3 5Gのメインディスプレイはアスペクト比が22.5:18で、一般的なスマホよりも正方形に近く、紙ベースの情報を丸ごと表示しやすい。雑誌といっても、その判型は様々だが、A4ないしはA4変形のものは、Galaxy Z Fold3 5Gのディスプレイにかなりピッタリとフィットする。文字情報中心の週刊誌はそれでもやや読みづらいが、写真が多いファッション誌などはこのサイズでも十分。結果として、dマガジンを読むために「iPad Pro」を取り出す頻度は大きく下がった。

 動画も、大画面でこそ楽しめるコンテンツだ。11インチ前後のタブレットやそれよりもさらに大画面のテレビと比べると、さすがに迫力は劣るが、逆に、Galaxy Z Fold3 5Gは片手で持てるサイズなこともあり、寝転びながらでも動画が見やすい。重量が272gと一般的なスマホよりは重いが、タブレットよりは軽い。そのため、11インチ前後のタブレットが入り込みづらかった寝ながらの動画という利用シーンを、きれいに埋めてくれた格好だ。

動画の迫力も一般的なスマホを大きく超えている

 とは言え、大画面である程度、コンテンツの消費が増えるのは想定の範囲内。どちらかと言えば、フレックスモードの便利さは実戦投入してから気づいたことだ。このモードを使うと、たとえば、以下のように本体を机に置いておき、シャッターボタンを押すだけで簡単に記者会見の模様が写真に撮れる。三脚を使えば従来のスマホでも同様のことはできるが、スマホ単体で完結すれば、荷物も減るし、持ち運ぶのを忘れる心配もない。

最前列に座った場合限定だが、発表会のスライドを余すところなく記録できる

 同様に、机の上に置きながらなら、ビデオ通話やビデオ会議もしやすい。半開きにしたままテーブルや机に置けるというのは、フォルダブルスマホの価値の1つだ。もちろん、サムスン側もこうしたアピールはしているが、こうした使い勝手のようなところは、発表会で説明を聞いただけだとなかなか実感がわかない。実機を毎日のように試してみて、改めてその利便性に気づいたというわけだ。

 もっとも、フレックスモードにきちんと対応しているアプリは、思っていた以上に少ない。先に挙げた写真は、フレックスモードにすると自動的に画面が2つに分割され、上半分がファインダー、下半分が操作パネルや撮った写真を表示するスペースになる。仕上がりを確認しながらシャッターを押していけるUIは、使いやすい。一方で、ここまで練られているアプリは、内蔵アプリの中でも少数派になる。

 「設定」の「ラボ」にある「フレックスモードパネル」で、フレックスモードをオンにするかどうかをアプリごとに設定できるが、これはあくまで簡易的なもの。オンにしても、スクリーンショットや音量変更などのボタンが表示されるだけで、アプリ内の操作を下半分の画面で行えるようになるわけではない。Zoomのスクショを簡単に取れるのは意外と便利だったりするが、せっかくのフレックスモードなので、ボタンなどのタッチが必要な項目は、下半分にまとめて表示してほしい。

ラボの中で、フレックスモードパネルをオンにするかどうかを選択できる
画像はZoom。フレックスモード専用のUIがないと、このようなパネルが表示される

 フレックスモードに対応したスマホは、まだまだ一般的ではないため、アプリ側の対応が十分進んでいない印象だが、サムスン電子はGalaxy Z Fold3/Flip3 5Gの発表会で、2機種を「スモバイルにとっての新たなスタンダード」とぶち上げるほど、力を入れている。実際、国内外での売れ行きを見ると、過去のフォルダブルスマホを大きく超えていることも分かる。鶏が先か卵が先かの問題だが、アプリ側のフレックスモード対応が進むことを期待したい。