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いつの間にか日本でもポッドキャストが復権(?)していた

 皆さんラジオ聞いてますか? 私は朝起きたらまずはラジオを点けてニュースを聞き、夕方や夜になって仕事が一段落したらプロ野球中継やバラエティ番組に耳を傾ける──そんな生活を軽く30年は過ごしております。

 ただコロナ禍のせいか、ラジオとの接し方も大分変わりました。電波受信機としてのラジオで直接聞くのではなく、自宅のWi-Fiでスマートフォンに音声コンテンツをダウンロードし、オンデマンドで好きな時に聞く機会が本当に増えました。そう、ポッドキャストの台頭……いや、正確には復権というべきでしょうか。

こちらが「Googleポッドキャスト」アプリ。このおかげでAndroidでもポッドキャストがグッと聞きやすくなりました
一方のiOS用「ポッドキャスト」。昔に比べたら大分デザインが変わりました

 ポッドキャストはそれこそ(20)00年代半ば、iPod流行期に日本国内でも愛好者が広がっていたように記憶しています。その後スマートフォンが登場し、ますますポッドキャストを聞く環境が整っていったところでしたが、2016年、トップランナー的存在であったTBSラジオが配信を終了。収益化の見込みが立たないのが理由とされましたが、いやぁ、これには大分落胆しました。

 しかし、それから数年。他のラジオ局を中心に地道な取り組みは続いていましたが、あれ、気付いたら妙にポッドキャストの話題を見聞きするようになった気が……。

 まず2018年。GoogleがAndroid端末向けにポッドキャスト再生アプリをリリースしました。iPhoneと比べて、Androidはポッドキャスト聴取環境が貧弱でしたが、この問題が解消。音楽ストリーミングのSpotifyも2019年頃からポッドキャスト配信を強化し、いまやアプリ1つで音楽サブスク、無料ポッドキャストの両方が聞けるようになっています。2021年の時点では、Amazonの音楽アプリ(Amazon Music)でもポッドキャストが聴取できます。

お気付きの方も多いでしょうが「Spotify」でもポッドキャストが聞けます
そして「Amazon Music」でも

 こうしてインフラが整う一方で、TBSラジオもいつの間にか(?)一部番組のポッドキャスト配信を再開しました。放送履歴やSNSの書き込みなどを漁った限り、2020年4月がそのタイミングだったようです。ちなみにJ-WAVEの「SPINEAR」も同月スタートでした。

 国内におけるポッドキャスト再台頭の理由は、牽引車たる米国市場が成長し、その波及効果が日本にも及んでいるというのがまず1つ。そしてもう1つの理由はあくまで筆者の推測ですが、配信に関するコストが大幅に低減したからかも? Spotify傘下のポッドキャスト関連企業「Anchor」のブログ記事を読んでみると、その一端が伺えます。課金手段の多様化に筋道がついたのも要因でしょう。

 ポッドキャストは、本来の電波ラジオ放送時と比べて、著作権対応のために著名アーティスト楽曲がカットされているなど、多少の制限がかかっています。とはいえ、楽しいトークや掛け合い等々、その魅力がスポイルされるものではありません。

 その真髄とも言えるのが、TBSラジオ「アフター6ジャンクション」2020年4月13日放送回の「今、世界には『ウルトラマンA』が必要!…なのか?特集 by タカハシヒョウリ&ガイガン山崎」。名曲「TACのワンダバ一週間」こそポッドキャストには含まれませんが、まさしく神回と呼ぶに相応しい。約48分の内容ですが、この1年でたぶん50回は聞き直しています(リンク先ページからSpotify埋め込みプレイヤーで直接聞けます)。

 閑話休題。考えてみますと、2021年初頭に大きな話題となった「Clubhouse」も、ポッドキャストと同様に音声コンテンツの一種です。またTwitterでも5月に音声ライブ配信機能の「スペース」が追加されました。投げ銭対応の音声配信アプリなども、かなり目にするようになりました。

 「アップルが携帯電話を作った!」というほどのサプライズではないかも知れません。しかし、さまざまな立場の企業が少しずつチャレンジし、結果として大きな変化に繋がっていく可能性は十分ありそうです。