みんなのケータイ
スマホとパソコンを組み合わせて「OBS」でリモート会議環境を強化
【iPhone】
2020年8月4日 06:00
最近、Zoomなどのリモート会議アプリを使う機会が増えてきたという人は多いのではないだろうか。筆者も増えている。仕事のときもあるが、プライベートのZoom飲みも多い。
筆者がよくZoom飲むをするプライベートの友人に中高一貫校の教師がいるのだが、彼らは最近、リモート授業や動画教材作成をするもんだから、YouTuberのような動画撮影・編集・配信の技術と環境を備えつつある。そんなもんだから筆者も対抗して凝ったリモート会議環境を整えていたりする。
筆者の環境のポイントは、「パソコンを使い、仮想カメラ出力のできるアプリを中継させてリモート会議アプリに映像を出力する」というところだ。筆者は「OBS」というアプリを使っている。
OBSはWebカメラの映像やパソコン上のアプリウィンドウなど、さまざまな映像ソースを好きなように構成し、ひとつの画面にまとめて録画したり配信したりできるアプリだ。ゲーム実況などの生配信などでも広く使われている。オープンソースのフリーソフトで、さまざまなプラグインも開発されていて、仮想カメラのプラグインを入れれば、OBSで作った映像をZoomなどのテレビ会議アプリにWebカメラからの映像のように入力できるようになる。
どんな絵を作れるかは、どれだけ作り込むか次第だが、たとえば次のスクリーンショットのように、複数の映像ソースを組み合わせた絵を作ってZoomなどに入力できる。ここではMac版を使っているが、OBSはWindowsでも(Linuxでも)使えるので、同じようなことが可能だ。
卓上の映像は、iPhone上の「NDI HX Camera」というアプリで撮影した映像をOBS(要プラグイン)に入力している。Wi-Fi接続でもOKなのでカメラアングルの自由度が高く、ここではiPhoneをアーム付きのリングライトに装着して撮影している。自分の顔を映すカメラだけだと、Zoom飲みで自分が飲み食いしているものを見せたり、最近買ったガジェットを自慢したりしにくいが、こうしたサブカメラがあるといろいろとはかどる。
Mac上では、試しにCPUモニターを表示している。同じパソコン上で動作中のアプリなら、OBSの標準機能で取り込める。参加人数の多いZoom飲みでは、会話に常時参加するとは限らないので、ひねくれ者の筆者はたまにネトゲをプレイしながら、その画面を表示させつつZoom飲みに参加することがある。異世界からのZoom飲み参加という趣向だ。
iPadでは、「NDI HX Capture」というアプリを使い、OBSに入力している。前述の「NDI HX Camera」の兄弟アプリで、どちらも5月に無料配布されていたので、そこで入手した人も多いことだろう。
映像出力するiPadにはApple Pencilと手書きメモアプリを用意しておくと、会話では伝えにくい内容もぱぱっと描いて伝えられて便利だ。話題に出てきたWebサイトやアプリ、写真、資料などを表示することもできる。Vtuberのような3Dアバターアプリを使えば、いわゆるバ美肉も可能だ。ただし通知なども見えてしまうので、必要に応じて「おやすみモード」などを使うようにしよう。
筆者自身の映像(頭上に前述のリングライトが映っている)は、iPhone上の「EpocCam HD Webカメラ」で撮影し、Wi-Fi経由でパソコンに入力している。この「EpocCam HD」、Face ID対応のiPhoneのインカメラだと、背景を自動で緑に塗りつぶした映像を出力できる。それをOBS上でクロマキーフィルタに通すことで透過処理させれば、ほかの映像に重ねることができるのだ。
見ての通り、切り出しは若干荒く、距離が離れすぎると背景が見えてしまったりするのだが、iPhone側で切り出し処理をするので、パソコン側の負荷が軽めで、遅延もそこまで大きくない。実際に背景に緑のスクリーンを設置した方が綺麗に切り出せるが、家の間取り的に背景スクリーンを設置できない場合にも対応できるし、980円のアプリで背景スクリーン代わりになるのだから安上がりとも言える。
OBSにはこのほかにもHDMI入力デバイスからの映像や画像ファイル、動画ファイル、テキストなども画面に加えられる。いろいろ使うにはドライバやプラグインが必要だったり、設定するべき項目も多く、使いこなすにはそれなりの知識や技術が必要だが、使いこなせばかなり面白い。
OBSはやや専門的なアプリなので、使いこなすにはある程度のパソコンの知識と経験が必要だ。しかし使いこなせばリモート会議はもちろん、Zoom飲みを盛り上げるのにも使える。パソコンに詳しい人は連携するスマホ向けの仮想カメラアプリとともに導入してみてはいかがだろうか。