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Xperia初のトリプルカメラに感じる、楽しさと物足りなさ

【Xperia 1】

 先日、ひょんなことから購入したXperia 1。試してみたかった機能の1つに「カメラ」がある。縦横比21:9の縦長ディスプレイが目立っているが、メインカメラはXperia初のトリプルカメラ仕様だ。

 Xperia 1のトリプルカメラは、画角の切り替えだけに活用されている。少し前のファーウェイの「カラーセンサー+モノクロセンサー」の組み合わせや、Galaxy Note 10+などが搭載する「ToFセンサー(深度センサー)」によるボケ味の調節機能などと比べたら、シンプルな作りと言える。

 3つのカメラはそろって約1220万画素のセンサーを採用。違うのは画角とセンサーサイズで、メインカメラは焦点距離26mmの広角でセンサーサイズは1/2.6型。2倍望遠(52mm)と超広角(16mm)は、1/3.4型のセンサーを積んでいる(焦点距離はいずれも35mm換算)。つまり、メインのカメラの方が多少暗い場所に強いという仕様となっている。

 最近のスマホカメラではAIによる画質改善で、はっきりとした色表現をする機種が多いが、Xperia 1のカメラ描写は控えめ。どちらかというと被写体の“見た目の色”を忠実に再現するような写りだ。鮮烈な印象を与える“映え”写真ではないが、見ていて疲れない写真だと思う。

Xperia 1のメインカメラ(広角)で撮影。強調しすぎない写りが好印象

 そして、素直に楽しいと思えるのが超広角カメラ。このコーナーでも大泉氏がGalaxy S9+を手に紹介しているように(※関連記事)、超広角という画角は、思いもしなかった写りを楽しめる。また、佐野氏が「HUAWEI P30」で触れているように(※関連記事)、近い場所から周囲の様子を写し取るという点でも、実用的だ。

街撮りをダイナミックに写したり、料理と景色を一緒に撮ったりと、工夫次第でなかなか使える超広角カメラ

 そして2倍の望遠カメラも「もうちょっと寄りたい」と思うシーンで、画質を落とさず撮れるという分かりやすいメリットがある。超広角と望遠があることで撮れるものの幅が広がるというと、この機種を選ぶ分かりやすい理由になるだろう。

左の写真が標準カメラ、右の写真が2倍望遠カメラ。もう少し寄りたい、という時に便利

 一方で、Xperia 1のカメラアプリには少々もの足りなく思う点もある。1つは標準カメラアプリが今ひとつパッとしないこと。シャッターを押す前のプレビューが遅く、ピントの合焦がきちんと反映されているのかが分からないときがある(撮った写真を確認すると、問題ないことが多い)。また、挙動が重く、ロック解除時に起動できないこともあり、大事なシーンを取り逃すこともままあった。

 そして納得いかないのが「電池残量5%以下では一切撮影ができない」という仕様だ。過去のAndroidスマホでは一般的な仕様ではあったが、電池の総容量も増えているなかで、他社で同じ制限を設けている例はほぼ見ない。実際に使ってみても、もう少し粘れるのでは……と思うところで撮れなくなることが多い(5%から電池切れまで、ポケモンGOを20分くらい遊べたりする)。

これはちょっと、イケてない

 もっと細かいツッコミを続けるとしたら、1番の売りのキネマサイズの画角(アスペクト比2:1)が標準のカメラアプリで選べないのが気になる。“映画撮影用”の「Cinema Pro」アプリならこの画角で撮れるのだが、このアプリはファイル管理の方式に癖があり、写真撮影で常用するのは向かない。

「キネマサイズ」で撮れるCinema Proアプリ。一応写真も撮れる
Cinema Proでフィルターを選んで映画テイストの動画を撮れる。撮影は楽しいが、普段の記録用に使うには手間がかかりすぎる印象

 先述したとおり、Xperia 1のカメラの写りは、昨今のスマホのカメラとしては自然な写りで、筆者としては好印象だ。なんでもビビッドな色にするようなAI加工に頼らず、この路線で続けてほしい。一方で、カメラアプリの操作性には、まだまだ改善の余地があるとも思う。