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軽さ以外にも注目、待望のSIMフリー版「AQUOS zero」

【AQUOS zero SH-M10】

 液晶のシャープなのに有機EL搭載とか、どのメーカーも避けている“大型でも軽量”をウリにするとか、発表時から何かと注目を集めている「AQUOS zero」。当初はソフトバンクのみで取り扱われると案内され、ドコモやauのユーザー、MVNOのユーザーからは落胆の声が聞かれたが、ソフトバンク版の発売(2018年12月21日)から4カ月弱が経過、2019年4月9日からMVNOユーザー待望のSIMフリー版の販売が開始された。

AQUOS zero SH-M10

 普段、表裏ともにガラスに覆われた「HAUWEI Mate 10 Pro」を使っている身からすると、「AQUOS zero」を手にしたり置いたりした際の背面パネルの“滑らなさ”具合に安心感を覚える。昨今ではガラスでなくても背面がツルッツルのモデルは多いため、マットな仕上げはレアなタイプだ。もちろんボディは軽量で、ポケットに入れても重い塊を入れているという感覚は薄く、快適だ。

 画面の左右の端が曲がっているタイプのディスプレイは賛否両論あるかもしれないが、「AQUOS zero」は全体がゆるやかにカーブしているため、そもそも膨らんだ画面を見ているという感覚で、両端の曲がり具合に対する抵抗感は少ないかもしれない。画面両端の曲がり具合や側面の凹形状を駆使して、指がかりを良くしているのも見逃せないポイント。持ちにくい端末はすなわち、落としやすい端末だからだ。ディスプレイの色味は有機ELらしい濃い雰囲気が残っているが、漆黒の黒や鮮やかな発色は映像コンテンツをもっと楽しもうと思える出来栄えだ。ただ、画面上部のノッチはやや大きめで、ステータスバーの侵食具合はそれなりにある。

 突き詰めた軽量化を行ったためか、シャープのフラッグシップである「AQUOS R2」シリーズと比較すると、巧妙に取捨選択が行われていることも分かる。例えば3.5mmのイヤホンジャックは省かれているし、microSDカードスロットも非搭載。フラッグシップモデルでも主力の「AQUOS R2」シリーズでは怒られてしまいそうな、省けるところは省いた潔い仕様といえる。

 SIMフリー版ということで、IIJmioのSIMカードを入れてみたところ、問題なく動作した。筆者の隣の席には「AQUOS zeroのためにソフトバンクにMNPした」という同僚がおり、ちょっと申し訳ないと思ってしまったが……。ただ、SIMカードスロットはひとつしかないため、2つの回線を駆使するといった使い方はできない。キャリア版の仕様を継承しているのかもしれないが、ここはすこし残念な部分だ。

 SIMフリースマホのユーザーとしては、おサイフケータイに対応するモデルとしても注目だろう。いまだ海外メーカーでおサイフケータイ対応モデルは限られている。一足早く発売されているSIMフリースマホ「AQUOS R2 compact SH-M09」と合わせて、最新のハイエンドモデルでは貴重な選択肢といえるのではないだろうか。