DATAで見るケータイ業界

NTTドコモがすべきこと――基地局数から見える次の一手

 現在もなお、通信品質改善に取り組むNTTドコモ。通信品質の改善を大前提として、それ以外にNTTドコモがすべきことは何だろうか。総務省から発表されている基地局数をもとに、現時点での状況を説明する。

NTTドコモの現在地

 5G基地局数をみると、NTTドコモはKDDI(au)とソフトバンクに比べて少なく、その差が目立つ。一方、専用5Gのみをみると、NTTドコモはKDDI(au)に次いで基地局数が多く、転用5Gの少なさが際立っており、5G基地局数の合計ではKDDI(au)とソフトバンクに大きく引き離されている。

 現在、NTTドコモも転用5G化を積極化しているというが、緩やかな伸びにとどまっている。5Gネットワークの完成度の指標として、5G人口カバー率があり、現在はNTTドコモの5G人口カバー率が90%近くにまで達しているとされる。ただ、KDDI(au)は2023年3月末に同90%、ソフトバンクも2024年3月末に同95%を達成していた。他キャリアと比べると、NTTドコモの展開の遅れが目立つ格好になっている。なお、転用5Gが突出しているソフトバンク、専用5Gと同規模の転用5Gを展開するKDDI(au)は一気に転用5G化を進めていた。

現状打開には転用5G展開の積極化が必要

 果たして、NTTドコモが現状を打開するには、どのような展開が求められるだろうか。携帯電話ネットワークの完成度は基地局数の多寡だけで決まるものではないが、5G基地局数で大きく引き離されているNTTドコモには、転用5G展開の積極化が求められるといえる。

 ただ、NTTドコモによる転用5Gの展開が緩やかな背景には、転用5G対応無線機への交換が進んでいない点が考えられる。KDDI(au)とソフトバンクの場合、転用5G化は無線機ソフトウェアの更新で済むといわれている。NTTドコモは国内ベンダを採用しており、ソフトウェア更新での転用5G化が困難とみられ、転用5G対応無線機の新設で転用5G化を進めているとされる。

 なお、NTTドコモも新たに電気興業から700MHz帯無線機を調達するなどの策を講じているが、転用5G基地局数が大幅に拡大するには至っていない。

転用5G化の副産物

 転用5G化の副産物として、転用5G基地局が増えれば、5G SAの展開も一気に拡大する可能性がある。現在、国内市場で最多の5G SA基地局数を誇るのはソフトバンクであり、ソフトバンクの転用5G基地局数も国内最多になっている。これは転用5Gも5Gコアネットワークに接続すれば、5G SA化が可能ということを表している。

 従来の5G NSAでは、専用5Gでもトラフィックが4Gネットワークへ流れ、4Gネットワークを逼迫させていた。5G SAにより、専用・転用5Gを問わず、トラフィックを5Gネットワークへ流すことができ、4Gネットワークの逼迫も軽減させることができるのではないだろうか。

IT専門の調査・コンサルティング会社として、1993年に設立。 主に「個別プロジェクトの受託」「調査レポート」「コンサルティング」サービスを展開。 所属アナリストとの意見交換も無償で随時受け付けている。 https://www.mca.co.jp/company/analyst/analystinfo/