スタパ齋藤のコレに凝りました「コレ凝り!」

e-bikeのバッテリーを自己責任で活用する

BOSCHのドライブユニットから12Vが出てる~♪

 愛用中のe-bike、Tern「Vektron S10」(レビュー記事)。スポーツタイプの電動アシスト自転車でありかつ小径車(ミニベロ)です。見かけによらず、よ~く走る。最近はこのe-bikeで奥多摩方面を走ったりしています。

Ternの「Vektron S10」(公式ページ)。折り畳み可能なe-bikeです。左がノーマルの状態で、右がオプションのキャリアなどを取り付けた筆者所有Vektron。e-bikeでありかつ小径車なので、走り出しの加速や登坂が驚くほどスムーズです。試乗できるショップも多いので、ぜひお試しを。
Vektronで奥多摩通い。奥多摩湖を見下ろせる高台へも余裕をもって上れたりします。
急坂を走ってみたり、古道を巡ってみたり。気軽に扱えて、ラクに乗れる小径車のe-bikeはとても楽しいです。

 街を走っても激坂を上っても楽しいe-bikeですが、このVektron、前後のライトが標準装備で、電源をアシスト用バッテリーから取っているのが実用的。奥多摩方面って暗いトンネルが多いんですが、トンネルに入ったらポンと前後ライトを点けられるのがイイですし、電池切れの心配もまずありません。フロントライトは路面を照らすに十分明るく、赤い尾灯は自転車の存在をクルマなどに示すに十分な目立ち方。ちなみに、ライトの点灯消灯はハンドル部のディスプレイで行います。

Vektronのハンドル部。Intuviaと呼ばれるディスプレイ部が装着されていて、これを使ってライトのオンオフができます。ライトの電源は、もちろんe-bikeアシスト用のバッテリーから得ています。
このディスプレイ、右側に給電用のmicroUSBポートがあります。対応ケーブルか変換コネクターを使えばスマートフォンなどへ充電可能。出力をメーカーに確認したところ、5V/最大500mAだそうです。
ちなみにVektronの電動アシスト走行を担うドライブユニットは、BOSCH(ボッシュ)の「Active Line Plus」(公式ページ)です。パワフルながらも静音性が高いのが特徴的。現在、このユニットと組み合わせて使われているのがIntuviaディスプレイです。

 サイクルコンピュータとしても機能するディスプレイ部が、給電用USBポートとしても機能して便利~♪ Vektronに搭載されているバッテリーは、BOSCHの「PowerPack 300」という製品で、定格電圧36V/容量8.2Ah/電力量300Whというスペック。モバイルバッテリーとして考えると、災害時向け据え置きタイプのような超大容量バッテリーです。

 そんなバッテリーを搭載しているので、前後ライト点灯させつつスマホも充電しつつ電動アシスト走行をさせても、ライトやスマホへの給電でバッテリーが減る感覚は全然ナシ。こういう点でもe-bikeは便利です。

 Vektron快適だし便利だし、やっぱりイイなあ……とニヤニヤしながら改めて車体を観察していたら、おろっ? 何コレ? なんかライトの所に端子があるんですけど。

Vektronのライト。ディスプレイ部のボタン操作で点灯/消灯できます。けっこう明るい。
ライト部を後ろから見たところ。電気が供給されるケーブルの左に端子らしきものが。
あっ、左側が出力端子で、右側が入力端子らしい! しかも極性まで刻印されている!

 このライトはTernの「Valo 2」(公式ページ)と思われる製品ですが、それはさておき、この出力端子を試しにテスターで測ってみると、バッテリー満充電時に13Vが出ていました。ライトと連動していますが、電源とつながっているわけですね。電源に対してライトと出力端子は並列でつながっているはずです。

 ぐぬぬ~気になる! ライト用の電源部分から、最大何mAの電流が取り出せるのかが超気になる!

 そこでBOSCHに質問してみましたところ、「ドライブユニットのライト用出力はDC12V最大1500mAが供給可能」だそうです。ただし、これは自転車メーカー/販売店のレベルで使う端子類なので、個人で勝手に使った場合は「自転車メーカー/ボッシュ補償対象外」に。使うなら自己責任で、というわけです。

 ちなみに、2020年に日本市場で発売されるBOSCH製ドライブユニット「Performance Line CX(パフォーマンス ライン シーエックス)」では、ライト用出力端子とは別にサードパーティー用に電源供給ポートが追加されているとのこと。これにより、様々なサードパーティ製の自転車用電気製品を取り付けられるようになるそうです。

2020年に日本発売が予定されているBOSCH製ドライブユニット「Performance Line CX」。ヨーロッパでe-MTBの爆発的なブームを生み出した同名のドライブユニットの新型で、2020年に世界同時発売されます。「Gen.4CX」とも呼ばれるそう。ディスプレイ部は「Purion」と呼ばれ、一体化・小型化されています。PurionにもUSB端子はありますが、USB給電機能はないそうです。新型Performance Line CXに対応したサードパーティ製のUSB充電機器に期待ですね。

 な~んか、さすが世界的な電動工具・自動車部品メーカーですね~。バッテリーの使い方っていうか使わせ方を心得ている。やっぱりe-bikeって大容量バッテリー積んでるんだから、これをアシスト以外にも活用しなきゃモッタイナイですもんね。

どうやって電気を頂戴しようか?

 さて、Vektronのライトに見える出力端子からは、12Vの直流を取り出せることがわかりました。そのライトがつながっているドライブユニット内ライト電源からは、最大1500mA(1.5A)を取り出せることも判明。ライトに流れる電流を測ってみたら約250mAでしたので、追加できる電気製品が使える電流は、1500-250で1250mAあります。うへへ~いろいろ使えそう。

 ともあれ、どうやって電気を取り出すか。Vektronのライト部にせっかく端子が出ているので、素直にそこから取り出すことに。具体的には、本連載バックナンバー「ぜ~んぶDCコネクター化してしまえっ!」で紹介した「DCコネクター化」にしました。

これは防水対応のDCコネクターです。その一端に110型の平型端子(メス)を取り付けて、Vektronからの12VをDCプラグから出せるようにしました。使う機器側にDCジャックを取り付けてつなぐ、というわけです。
作成したDCプラグは平型のメス端子でVektronのライトに接続。これで12V対応機器を容易に挿抜しつつVektronで使えるようになる……ハズ!? また、2又や3又などのDC分岐ケーブルを使えば、Vektron上で複数の機器を同時に使えるハズです。

 余談ですが、前出の記事「ぜ~んぶDCコネクター化してしまえっ!」では、電源供給側のDCコネクターがジャックで、機器側がプラグになっていました。フツーとは逆。結局、その後に電源供給側をプラグにし、機器側をジャックに作り変えました。

BOSCHのドライブユニットから12Vを取り出せるのが非常にイイ!

 前述のとおり、っていうかメーカー公称のとおり、BOSCHのドライブユニットActive Line Plusからは12Vの直流を最大1500mA取り出せることがわかっています。既につながっているライト以外に、最大約1250mAまで電気を使えるということも、前述のとおりです。

 じゃあ何をつなごうかナ~♪ とりあえず、2台のバイク(モーターサイクル)で共用しているドライブレコーダーをつないでみることにしました。自転車でも、走る場所によってはドライブレコーダーがあったほうがいいですしネ!

まず、Vektronにバイク用のドライブレコーダーを装着してみることに。ユピテルの「BDR-2WiFi」(公式ページ)です。端子は前出の防水ジャックに変更済み。Vektronの電源側DCジャックと問題なくつながります。ドライブレコーダーのケーブルの途中にある出っ張りは、防水の平型ヒューズホルダーです。
ドライブレコーダーに電力を供給するには、ディスプレイのボタンでライトを点灯させる必要があります。ライト連動型のドライブレコーダーという、ヘンな仕様ですが、ライト電源を使っているのでしょうがないですネ。ともあれ、ドライブレコーダーはインジケーターが点灯して正常に動作しました。ちなみに、ドライブレコーダーが使う電流は、ちょっと幅があって200~250mAくらいです(刻々と変動します)。
こちらは同じドライブレコーダーをシートポストに装着した様子。自転車は後ろからぶつけられる可能性も高いので、けっこう実用的な装着位置という気がします。

 アッサリとVektronでバイク用ドライブレコーダーが使えるようになりました。BOSCHのドライブユニットActive Line Plusから直流12Vが出ているところがナニゲに非常にイイです。というのは、直流12Vで使える電気製品は案外多いから。クルマ用やバイク用として売られている電気製品の多くが直流12Vで動作します。

 このドライブレコーダーは防水型ですが、防水にこだわらなければクルマ用ドライブレコーダーで同様のことができますね。最近ではドライブレコーダーがかなり安価になってきましたので、e-bikeへのクルマ用ドライブレコーダー搭載は現実味があります。ほかにも、いろいろ。

例えばコレはバイク用の気温/電圧計付きUSB電源。バイクのバッテリー電圧や外気温を表示しつつUSB給電もできるという製品ですが、こういう製品もVektronでも使えちゃってちょっと愉快。右写真矢印の部分が温度センサーなので、走行中の外気温がだいたいわかる感じ。ちなみに、流れる電流は60mA弱で、iPhone×1台を充電中の電流は560mAでした。

 直流12Vで使える製品で、流れる電流が1250mA以下なら、Vektronで使えちゃいます。クルマ用品店やバイク用品店の電気製品売り場が、なんだかVektron用電気製品売り場っていうか、Active Line Plus用電気製品売り場に思えてきます!

 でも、こういう使い方をした場合、自転車メーカーやボッシュの補償対象外。使用してトラブルがあっても全て自己責任となりますのでご注意を。筆者もこういう使い方を推奨いたしません。また、自転車走行上危険につながるような電気製品接続は特に控えてください。

 とか書いちゃったりする筆者ではありますが、いや~12V電源出てるって超絶愉快なんですけど~♪ グリップヒーターとか電熱ホットベストとかを使うのに1250mAでは足りませんが、LED電飾系とかならいろいろ使えますね。

 e-bikeのドライブユニットや車種によっては、わりと手軽に電源として使える。コレって、新たなe-bike利用スタイルにつながるのかもしれません。大容量バッテリー搭載型自転車とも言えるe-bike、これからも目が離せません。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。