スタパ齋藤のコレに凝りました「コレ凝り!」

GPSで電波時計の時刻を合わせる!

電波時計の「電波受信しない問題」をスッキリ解決♪

 筆者は電波時計をかなり愛用しています。電波を受信して自動的に時刻を合わせる時計ですね。1997年頃に「JUNGHANS(ユンハンス)」(公式ページ)の電波時計の置き時計を買って以来、時刻合わせ不要という便利さからずーっと電波時計を使い続けています。

左は現在の拙宅仕事場にある壁掛けの電波時計。右写真の赤矢印の先に見えるのが、初めて買ったJUNGHANS製電波時計です。1997年頃。ちなみにこの写真は、1997年にPC Watchに掲載された「リレー連載 物欲道修行記・第57講 気絶派 師範スタパ齋藤・どんなの使ってますか? 俺のシステムを大公開!!」から抜粋してきたもの。1997年頃の筆者的PC環境を知りたい方は、ぜひ読んでみてください♪

 電波時計は、JJY(ジェイ・ジェイ・ワイ)という無線局(公式ページ)が発している「標準電波(標準周波数報時電波)」を受信して時刻を自動修正する時計です。標準電波って、電波による時報みたいなものですね。この電波は日本の二箇所から発せられていて、周波数は長波帯の40kHzと60kHzです。詳しくはJJYの標準電波運用ページなどにあります。どんな雰囲気の電波なのかを、可視化・可聴化した動画がありますのでご覧ください。

【動画】JJYが発している標準電波を、PCで受信して表示しています。中央の太めの縦線が標準電波に含まれる時刻等情報のイメージです。この縦線に合わせて音が出るようにしてあります。動画後半(00:43頃)には「JJY」を示すモールス信号(・--- ・--- -・--)も含まれています。なお、この動画は笠作貴弥(JI1ETF)さんの協力のもとつくられました。詳しい解説は PC Watch「武蔵野電波のプロトタイパーズ・簡単に作れるソフトウェアラジオでJJYを見てみよう」にて読めます。

 といった感じの電波時計ですが、電波状況によっては、時計が標準電波を全然受信してくれないことがあります。電波を受信できなくなると、普及価格帯の電波時計はけっこー時刻表示精度が低かったりします。困りものですね。

 そこで役立つのが、標準電波と同等の電波を発することができる装置。たとえば、ネットからNTP(Network Time Protocol)で正しい時刻を入手し、それを標準電波と同じ情報配列・周波数(40kHzや60kHz)に変換して発することができます。電波時計用リピーターと呼ばれたりもします。

 こういう装置、一昔前は業務用ばかりで非常に高価でしたが、最近ではお手頃価格の製品も出ています。そんな電波時計用リピーターを使えば、電波時計にままある「電波受信しない問題」をスッキリと解決できるというわけです。

 ただ、筆者は「NTPを標準電波に変換するのはネットの常時接続が必要だから、なんかこう電波時計の単体で使えるスッキリ感が失われる」みたいな気がして、NTPタイプの電波時計用リピーターをちょっと敬遠していました。便利そうだけど、何だかモヤモヤして手を出さず状態。

GPSから正確な時刻を得る電波時計用リピーター

 ところが、最近良さそうな電波時計用リピーターを発見。GPSからの電波(正確な時刻などの情報が含まれています)を受信し、それを標準電波と同等のものに変換し、長波で発するという製品です。これならネット必須じゃないから、いいかも! みたいな。モノとしては共立プロダクツの「GPS式電波時計用リピータ P18-NTPGR」(公式ページ)です。直販税込価格2万5380円。

共立プロダクツの「GPS式電波時計用リピータ P18-NTPGR」。2つのデバイスで構成される製品で、左が親機(付属ACアダプター駆動)で右が子機(単3形電池×3本もしくはUSB電源で駆動)。どちらもわりと小型です。親機・子機はWi-Fi接続で、子機が受信したGPS電波が標準電波と同等の形式・周波数に変換されて親機から発せられるというしくみ。親機から10mの範囲に電波が届きますので、その範囲にある電波時計をいつも正確に保つことができます。子機を窓際などに置き、親機は部屋の真ん中や奥に置いて使うことができます。GPS電波が受信できる環境なら、いつでもどこでもJJY! みたいな。

 スンナリと購入して使い始めたわけですが、イイ感じです♪ 前出の壁掛けタイプの電波時計、じつは標準電波を受信してくれないことがポツポツありました。鉄筋の壁の近くに吊しているからだと思いますが、P18-NTPGRを使い始めてから毎日確実に自動時刻修正が行われています。また、P18-NTPGRから5~6m離れたところにある置き時計や腕時計の電波時計もバッチリ受信中。「あ~なんか電波受信してないな~」というフラストレーションから解放されました。

 ちなみにこのP18-NTPGR、使い方は簡単で、親機と子機の電源を入れるだけでOKでした。親機はWi-Fiアクセスポイントになってスマホからアクセスすると詳細な設定も行えますが、通常はそういう必要性もないと思います。

親機のボタンを押してWi-Fiアクセスポイントとして立ち上げ、スマートフォンから接続。スマートフォン側でWebブラウザを起動してIPアドレスを入力すれば、P18-NTPGRの設定ページが開きます。ただ、国内で一般的な電波時計を使っている限り、この設定をいじる必要はありません。古い電波時計の場合、送信周波数の設定を変える必要があるかもしれません。

 使用感としては、電源を入れて設置するだけで使えて便利です。説明書には製品の非常に詳細な機能が書かれていて、それが逆にわかりにくさにつながっていたりするのが気になりますが、シンプルでよくできた製品だと思います。

 にしてもまあ、こういう電波時計用リピーターを使うと、当然なんですけど手持ちの電波時計各種の表示が正確になります。同時に、それぞれの電波時計の時針秒針がしっかりシンクロするように動いて小気味よい! メーカーの異なる電波時計だと、微妙に秒針の動きが違ったりもしますが、でも「全ての電波時計が正しく動作している!」という凄い満足感が得られます♪

電波時計の時刻修正、こんな方法もある

 電波時計用リピーター便利ですヨ~♪ とか言っても、2万円以上するのはちょっと……って感じですよね~。そういう場合は、スマートフォン用アプリで電波時計の時刻を修正しましょう。たとえばiPhoneなら「JJY Simulator」(App Store)、Androidなら「JJYEmulator」(Google Play)があります。

 また、パソコン用フリーソフトとして「電波時計用JJYシミュレータ」(スタアストーンソフト公式ページ)もあります。また、これをPC用Webブラウザで使える「JJYシミュレータWeb版」も存在します。

 どれも使い方は同様で、端末のイヤホンジャックに普通のイヤホンをつなぎ、そのイヤホンコードを電波時計の近くに置いたり、電波時計に巻き付けたりします。そうしてしばらくすると、電波時計の時刻が自動修正されるという流れです。

iOS用アプリ「JJY Simulator」の表示例。こういったアプリとコード式イヤホンだけでJJY電波を模擬的に発することができるなんて、不思議~♪ 音声の3次高長波成分を使って長波帯の電波を出しているそうです。

 てな感じで、使って便利な電波時計。でも電波を受信できないとイラッとする電波時計。電波時計を使ってイラッとしないための製品やアプリのご紹介でした。ご参考になれば幸いです。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。