スタパ齋藤のコレに凝りました「コレ凝り!」

ヤマハのサイレントギターが凄~くイイ!

静かに練習できる電気仕掛けのアコースティックギター

 超ひっさびさにギターの練習でも始めようかな~、とか思いまして。昔と違い、今はギター練習に関わる情報を手軽に多々得られますし、独学でもいろいろ楽しめそう♪ ということで練習開始……したんですが、細々したハードルがあり、結局、ヤマハの「サイレントギター」シリーズ(公式ページ)の「SLG200N」というモデルを購入して使い始めました。

ヤマハの「サイレントギター」シリーズの「SLG200N」。カラーはナチュラル、タバコブラウンサンバースト、トランスルーセントブラックがあり、メーカー希望税別小売価格は7万3000円。弦の響きを電気的に増幅するタイプのアコースティックギターで、エレアコの範疇になると思います。

 使い始めて「あっらぁ~便利~♪」と思いました。外見は↑こんなふうで、かなり独特。なんですが、音もイイし、何かと好都合にできているし、何よりも練習にはピッタリ! と痛感。

 じつは古くボロく安いアコースティックギターを持ってはいまして、一応は演奏に使える程度の品質は保っているんですが、普通のギターなので弾くと当然音が出ます。しっかり弾くほど音が大きめに出ちゃいます。

 筆者は一応社会人なので昼間は仕事をしており、ギターの練習は夜になりがち。ヘタなギターの音を夜な夜な響かせるのもな~、てゅーか巧い下手以前にウルサいと思われるしな~、と。

 アコースティックギターの音を抑えるグッズなどもあります。弦の振動を抑えるスポンジ的なやつとか、ギターのサウンドホール(真ん中の穴)を塞ぐフタとか、超薄ピックとか、いろいろ。でもそういうのを使うと、音質的に全然おもしろくない。静かに練習するにはまあまあイイかもですが、んぐぬぬ~、音がこもって弱まって楽しくな~い!

 そこで目が向いたのがヤマハの「サイレントギター」シリーズ。発売後既に何年か経っている製品なので、サイレントギターでの演奏動画なんかも多々あります。そんなのを観てみると、あら~イイじゃないですかぁ~静かだし、音もイイし、ちょっと高いけどソレにしましょう! ということになったのでした。

サイレントギターの実使用感

 では、サイレントギターの特徴を挙げつつ、その実使用感なんかを少々。ただ、筆者がギターを頻繁に弾いていたのはもう40年近く前。中高生の頃です。現在はギターの超初心者って感じですで、そんなユーザーからの実使用感レビューということをお含み置きください。

 また、以下はSLG200Nという機種についての印象です。SLG200Nはクラッシックギタータイプ(ナイロン弦使用)でネックが細めのタイプ。ほかに、ベーシックなクラッシックギタータイプのSLG200NWと、スチール弦使用のフォークギタータイプSLG200Sもあります。

 さてさて、SLG200Nの特徴と使用感。単3形電池×2本もしくは別売ACアダプターを電源とする、エレアコという感じのギターです。

 最も惹かれたのは、その静粛性。電源オフ状態で弾いても一応音は出ますが、そのときの音量は普通のクラッシックギターの約10%だそうです。指でつま弾くような弾き方だと、夜に練習しても全然問題にならない音量です。

 ただし電源オフ状態で弾いても、エレキギターをアンプにつながずに弾いたときのような鳴り方。音質的な良さは……あまり感じられません。っていうか音を楽しむ的なスタンスではまるで物足りません。

 でもこのギター、電源をオンにしてギターアンプなどにつなげば、とてもイイ音がします。アンプにつないでボリュームを落とした状態で弾けば「高音質・小音量でギターの練習ができる」という感じ。この場合も、ボリューム次第ですが、夜の練習に向くと思います。

 さらにこのギター、ステレオイヤホン端子まで搭載しています。ヘッドホンやイヤホンをつないで電源をオンにすれば、室内には、弦を弾く「普通のクラッシックギターの約10%」の音が流れますが、耳にはたっぷりの音量でギター音が響きます。夜間のギター練習には最高に好適ですね~♪

 実際にSLG200Nで夜間に練習していますが、SLG200N本体から出る音は小さく、音楽を静かめに流している程度かそれ以下という感じ。ステレオイヤホンを片耳に入れ、もう片耳ではYouTubeのギター講師が弾く音を聴き、みたいな感じで練習したりしていますが、まあまず騒音とはなり得ない音量でギター練習ができています。

 ところで、肝心のSLG200Nの音質ですが、個人的にはかなりイイと感じています。ヤマハのサイレントギターシリーズはエレアコとしてはちょっと特殊な製品で、サドル下部に埋め込まれたピエゾピックアップが拾う弦の響きと、「SRT POWERED システム」によりボディ共鳴がシミュレートされた音が出ます。前者はややエレキギターの寄りの音で、後者はクラッシックギターに近い音。これらを好みでブレンドして鳴らせます。

サドルの下にピエゾピックアップが内蔵されていて、それで弦の音を拾っています。その音を独自技術で「ギターのボディ共鳴音を高品位なマイクロフォンにてスタジオ録音したサウンド」へとシミュレート・出力していると思われます。ピエゾピックアップからの音、シミュレート後の音、それらをブレンドした音は公式サイトで聴き比べることができます。

 気分次第でいろいろとブレンド量を変えて鳴らしていますが、総じて雑味のないクリアな音が出て好印象。購入時に装着されていた弦しか使っていませんが、深みもあってキレイな音だと感じられます。まあ音質についての好みは人それぞれだと思いますので、実際に店頭などでサイレントギターの音を確かめてみてください。

 あ、あとSLG200Nは、普通のアコースティックギターのようなボディがないので、ボディを叩いて鳴らすようなことはできません。サドル部を直接指で叩くと、その音がピエゾピックアップに伝わって鳴るには鳴りますが、ヴォーカル用のマイクを指で叩いたときのノイズのような音しか出ません。ほかのサイレントギターシリーズも同様だと思います。

イロイロ便利なサイレントギター

 夜中でも静かに練習できる~♪ アンプを使えば大音量でも鳴らせる~♪ てな感じで、かなり実用的なサイレントギター。エレキギターと同様にサウンドを出力できますので、サイレントギターの音を録音するとか、エフェクトをかけつつDAWで使う素材としてPCに録音保存するといった応用もできますネ。

 フォークギターやクラッシックギターだと、録音やパソコン保存となると、マイクやピエゾピックアップが必要とか、マイク位置やピックアップ貼付位置やプリアンプ云々でけっこうタイヘンですけど、こういう製品なら手軽&幅広く活用できそうです。ともあれ、ほかにもSLG200Nを使って気付いた細かな便利点がイロイロありましたので、思いつくままに挙げてみましょう。

サイレントギターシリーズの側部。右利きの人が構えて見下ろした位置にあるコントロールパネルですが、ここでいろいろな機能を使えます。この反対側にはステレオミニのAUX INジャックがあります。

 まず、チューナーが内蔵されているのが激便利です。オベーションなどのエレアコには当然の機能のようですが、音叉でチューニングしていた世代にとって、手軽に使えるチューナーがギターに内蔵されているのって、「!」を付けたいくらい便利。操作も簡便で、ボタン一押しでチューナーモードに移行して利用できます。

 あと、エフェクターも内蔵なんですね。リバーブ2種とコーラスですが、退屈な練習中に音質的な「色気」を加えて遊んだりするのに使っています。イコライザーもありますが、高音と低音のみなので、ちょっと物足りない感じ。バッチリ演奏できる方にとっては、実際の演奏時に役立つ機能なのかな~とか思いますが、でも今時的な高機能ギターアンプとかにはフツーにエフェクター入ってますし、より本格的な単体エフェクターや単体イコライザーのほうが実用性が高いでしょうし、そう考えると練習時にちょっと役立つオマケ的機能なのかも。

 AUX IN端子もあります。ので、音楽プレイヤーを接続して曲に合わせて演奏するといったことも可能。自分の演奏を録音したものを流し、その上に演奏を重ねて練習するようなこともできますね。このギター+AUX IN音源の2チャンネルをミックスして出力するミキサーが内蔵されているわけですので、いろいろ活用できそうです。

 使っていていつものように「やっぱコレいいわ~」と思うのは、サイレントギターのコンパクトさです。セミアコースティックのエレキギターよりも少し薄い感じの本体で、いちばん嵩張る部分の厚みでもだいたい10cm。実質は多くのエレキより薄い部分が多いので、好みは分かれるかもしれませんが、筆者的にはより軽快・気楽に構えて弾くことができます。

 あと、ボディ部が中空になっている点。ヘンな使い方ですが、筆者はこの取っ掛かりを使い、吊しての収納をしています。

サイレントギターシリーズのボディは中空。フレームがあるだけの構造です。SLG200Nなどのクラッシックギタータイプには、糸巻き部も中空部分があります。そこにナイロン紐を通して輪をつくり、フックで吊して壁掛け収納~♪ 撮影のためドアに吊していますが、いつもは棚の横側のフックに吊しています。

 吊しての収納、最初は自分でも「まさか」的に思いましたが、サイレントギターシリーズはあまり重くもなく、構造的にもわりと強靱で、吊した状態でも背面が壁に接する箇所が非常に少ない感じ。吊しての収納はなかなか便利だと感じております。

 ちなみに、SLG200Nの質量は約2.1kg。フォークギターとまあだいたい同じくらいの重さで、クラッシックギターと比べると500gくらい重いですね。でもエレキと比べると1kg以上軽いという感じです。

 サイレントギターシリーズは、フレーム部分を外して付属ケースに収められる点もちょっとイイです。普通のギターよりコンパクトに保管したり携帯したりできるわけですね。

サイレントギターは本体上部のフレームを外すことができます。手で2つのネジを回せば脱着できます。2分割した本体を付属ケースに収めると、普通のギターよりもスリムな状態で保管したり携帯したりできます。

 ナニゲにこの2分割構造、とても便利です。数日サイレントギターを弾かないような場合、付属ケースに入れて保管している筆者ですが、もともと薄いサイレントギターがさらに細身になりつつ保管できて、邪魔にならずにスッキリ。願わくは、フレームの反対側も脱着可能になって、棒状本体+フレーム2本の3分割になればさらにイイな~、と。そこまでは無理なんでしょうか?

 ともあれ、そんな感じのサイレントギターSLG200N。筆者的にはホントに凄~くイイです♪ あまりにイイので、この勢いでスチール弦モデルのSLG200Sも買ってみようなナとか思うほど。外見は独特ですが、使い勝手も音もイイ現代のギターだと思いますので、興味があればぜひ実物に触れてみてください。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。