スタパ齋藤のコレに凝りました「コレ凝り!」

「オレンズネロ」を213日間使ってみて

ノック不要の折れないシャープペンシル

 知っている人は超知ってる、ぺんてるのシャープペンシル「オレンズ」シリーズ(公式ページ)。初代が2014年2月12日に発売(ニュースリリース)されて以来、人気商品として売れ続けているようです。

 筆者は2年くらい前から芯が折れにくいシャープペンシルを好んで使い始めましたが、いちばん気に入れたのが「オレンズ」シリーズ。なかでも「メタルグリップタイプ」(公式ページ)を愛用していました。その件については本連載バックナンバーに書きました。

ぺんてる「オレンズ メタルグリップタイプ」各種。金属パイプにより芯が常に保護されていて、0.3や0.2といった極細芯でも(正しく使っていれば)折れることはありません。メタルグリップタイプは金属質感が美しく、適度な重さがあって書きやすく、しばらく愛用していました。

 筆者的には、0.2や0.3といった極細芯でスラスラ書いたり描いたりできる点がツボ。小さい文字・細い文字でメモ帳などに細かく書くことができますし、絵のディテイルを丁寧に描くのにも向きます。そして、そんな細い芯を使っていても「全然折れない!」というのが高い実用性に直結していました。

 あ、たまに「オレンズ使ったけど折れまくって全然ダメ!」と言う人がいます。筆者的には「どう使えば折れるんだろう?」と不思議です。まあ、オレンズは普通のシャーペンとは使い方が少し異なります。でも、メーカーウェブサイトにある「オレンズの正しい使い方」に従って使えば、折れることはまずありません。

 話が逸れましたが、そんなオレンズに超話題となった新製品が加わったのが、去年2017年2月16日。「オレンズネロ」(ニュースリリース)という「さらに凄いオレンズ」が登場しました。メーカー税別価格3000円。高級シャーペンです。

ぺんてる「オレンズネロ」。適合芯径別に0.2用と0.3用があり、どちらも「芯が折れないシャープペンシル」です。また、オレンズネロには「自動芯出し機構」が搭載され、ノック不要で書き続けることができます。

 芯が折れない! ノックも不要! あら便利そう~♪ と思って買おうとした頃には時既に遅し。オレンズネロは発売前から話題沸騰で、発売後は在庫払底店続出でありかつ転売野郎続出。前述のようにメーカー税別価格3000円ですが、2倍3倍のボッタクリ価格で転売される始末です。

 転売屋からは極力買わない主義の筆者なので、超絶気になりつつもオレンズネロは見送り。そうして約1年後の2018年1月、何となく立ち寄った文具店でオレンズネロを発見! あらメーカー価格! じゃあ買おう~♪ ということで、0.2と0.3を購入して使い始めました。

 主に使っているのは0.2のほう。日報的なものを書いているので、毎日使っています。この原稿を書いている時点で213日間使ってきまして、最近ではオレンズネロの実売価格もメーカー価格やそれ以下になって「かつての異常さ」がなくなってきましたので、ちょっとレビューをば。

 なお、現在でもオレンズネロを高値で売る転売屋が存在します。オレンズネロのメーカー税別価格3000円です。消費税込みで3240円。それ以上の価格で売られているようでしたら……ちょっとご注意を。

オレンズネロってどんなシャーペン?

 まず「オレンズネロ」(公式ページ)の概要から。「オレンズシステム」と「自動芯出し機構」がオレンズネロの大きな特徴です。芯が折れず、ノックせずとも芯が出てくるという2つのしくみ。

 ひとつめの「オレンズシステム」ですが、これは金属パイプで芯を保護することで、極細芯でも折れずに書けるというもの。書いていって芯が減るのに応じてパイプも縮み、書くのを邪魔せずに芯を守り続けるというわけです。なお、対応芯径別に0.2と0.3のオレンズネロがあります。

 もうひとつの「自動芯出し機構」。書いている途中、ペン先を紙面から離すたびに芯が繰り出されるという機構です。ペン先収納状態からの書き始めには1度ノックする必要がありますが、それ以降は芯がなくなるまでノック不要です。

オレンズネロには芯を保護する金属パイプ製の可動ペン先があります。保管時にペン先が曲がらないよう、ペン先は収納可能。使用時は、ペン先と芯を出すために1回だけノックすればOK。以降はペン先が紙から離れるたびに自動的にノックと同等の芯出し動作が行われますので、通常ではユーザーがノックする必要はありません。
「オレンズシステム」と「自動芯出し機構」の図説。※メーカーウェブサイトより抜粋。

 なかなかハイテクなシャーペンですね~。また、質感も独特で、ややマット仕上げで金属のような樹脂のような……けっこう渋めの高級感があります。なお、メーカーウェブサイトに「オレンズネロの正しい使い方」が掲載されていますが、オレンズとだいたい同様にオレンズネロにも「ほかのシャーペンとちょっと異なる使用時の作法」があったりします。

オレンズネロの使用感

 さて、肝心のオレンズネロの使用感。筆者はオレンズネロがかなり気に入っておりますので、以降は「オレンズネロを好んで使っている人の声」として読んでいただければと思います。

 筆者的には握り心地と書き味が気に入っています。オレンズシリーズは各種使っていますが、タイプによって太さや重さが微妙に異なります。ほかのオレンズシリーズと比べると、オレンズネロはちょっと重めで微妙に細身? というイメージ。12角形の軸と前方の細かな凹凸が、安定感と滑りにくさにつながっていると感じます。

オレンズネロの軸。ほかのオレンズと比べると少し重め。12角軸はやや細身。握り部分にギザギザもあって安定的に握れます。

 それから、芯が折れない「オレンズシステム」とノック不要の「自動芯出し機構」ですが、芯が折れない感じはさすがのオレンズ。たま~にウッカリとノックして芯を出してしまい、そうして書くと芯の先端がペキッと折れたりも。ですが、出過ぎた芯が折れただけなので、そのまま書いていけます。ともあれ、うっかりノックして芯を出し過ぎてしまうというようなミスをしなければ、芯はまず折れないです。

 金属パイプが芯を保護しているので、紙面にも金属パイプ端が接触します。筆者の場合はそれが障害になると感じられませんが、ペンをある程度以上斜めにして書く癖がある人の場合、金属パイプが紙に引っ掛かって書きにくいと感じることがあるかもしれません。

 また、オレンスネロなどのオレンズシリーズで絵を描く場合、ペンを寝かせて広い面に影を描こうとすると、やはりペン先の金属部が邪魔になって線が擦れたりします。線画ならわりと描きやすいオレンズですが、芯を寝かせて広く塗るような用途には向きません。

 ノック不要の「自動芯出し機構」ですが、これは非常に快適です。普通のシャープペンシルにつきまとう「小さなイラッ」が完全解消される感じ。ノックしなくて済むので効率がイイんですが、それ以前に「芯が減ってペン先金属パイプが紙にゴリッと当たる(ので芯がなくなったのがわかってノックする)」ということが無くなって素晴らしい。筆記や描画を中断させる要因がなくなるわけです。これが凄く快適。後戻りできない系の良さです。

 あと、ノックという操作がほぼ不要になったためか、ほかのオレンズシリーズよりも「芯詰まり」のトラブルが少ないように感じます。オレンズネロを使い始めて213日目ですが、ペン先で芯が潰れるなどして詰まって、それを除去・掃除する作業をしたのは……記憶にございませんっ♪ これは筆者がオレンズ慣れしているというのもあるかもしれませんが、ほかのオレンズシリーズだと1カ月に1度くらいは「芯詰まり」トラブルの作業をしていた記憶があります。

 ちなみに、オレンズネロの場合、芯がなくなってくると、独特の手応えがあります。芯の紙面への接触感がフニフニと腰が弱くなってくる感じ。実際は書くたびにペン先金属パイプが出たり引っ込んだりするようですが、ともあれその手応えにより「あっ芯が終わりだな」と気づけます。そこで何度かノックして芯を出すと、短い芯がポロリと出てきて、新しい芯と入れ替わります。

 この使用感も好都合。芯がなくなりつつあることが的確にわかり、そこで芯送りのノックを意識して行えます。「そろそろ芯がなくなる?」と思って試しに連続ノックしてみたら予想外に芯が長く出てきて「あーまだ芯はけっこう残ってた~」みたいなことも、オレンズネロにはない感じ。ノックせず書き続けられて、書く手応えが変わってきたときに限って数度ノックするだけです。

 そんな感じで、オレンズネロではユーザーが行うノック回数が最小限に抑えられています。も~しかしたら、ユーザーが無駄にノックする回数が減った結果、オレンズネロって「芯詰まり」のトラブルとかが非常に少ないのかな~、と。

 個人的には、芯径0.2を使うなら、ほかのオレンズシリーズよりも、このオレンズネロがいいように思います。上記のようにノック操作が非常に少なくて済むので、たぶん芯を折ったり潰したりするトラブルが減るのではないでしょうか。

 ともあれ、筆者的には現在のところオレンズネロがヒッジョーに気に入っています。芯径0.2を毎日使用中で、芯径0.3はそれに次いで使用中。芯はHBやBや2Bを気分次第で使用。

使用中のオレンズネロと芯。芯は一度に2~3本くらいしか入れず、無くなったら別の濃さ(硬さ)のものにしています。2Bのような柔らかい芯だと、場合によっては少し黒鉛粉が出る気がします。ただ、太い芯を使うシャーペンとは違って、どの芯でもわりと近い書き味・濃さになるような気が……ちょっとします。

 使って半年以上経過しているわけですが、月に何度か改めてオレンズネロであることを意識して書いてみると「やっぱりイイわ~このシャーペン~」と感じる筆者。先日、近くの文具店に行ってみたら、またもやボッタクリでない通常価格で売られていたので買い増しちゃいました。オレンズ好きならたぶん、オレンズネロを気に入れると思います♪

 まあでも、オレンズネロとほかのオレンズって、ちょっと使用感違うかも。その差異が違和感となる人もいるかも。それと、オレンズネロを含めてオレンズシリーズ全般、普通のシャーペンとはちょっと違う操作の作法があったり、0.2という極細芯が使えたりしますので、大雑把に言えば「フツーじゃないシャーペン」です。なので、買う場合は、やはり一度実物に触れて操作して書いてみるのがいいと思います。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。