スタパ齋藤のコレに凝りました「コレ凝り!」

炭酸ボンベ式の空気入れが好き

頼りになるCO2インフレーター

 今回は、スポーツ自転車用の便利道具の話。ポータブルの空気入れです。

 普通の自転車に比べて、スポーツ自転車だとより遠くまで行けます。長距離走れるわけですが、場合によっては周囲に自転車屋さんどころか人家さえないエリアを走ることも。そんな場所でパンクするとタイヘン! 最寄りの町まで自転車を押して……って、それは明らかに苦行ですので、スポーツ自転車で遠くに行く人はたいていパンク修理セットを携帯しています。

荒川沿いのサイクリングロード(上流)。整備された川沿いのサイクリングロードで景色も良かったりしますが、場所によっては周囲にな~んにもなかったりします。サイクリングロードを抜ける道さえない的な。こういう場所でパンクしたら非常に困るので、多くのサイクリストがパンク修理セットを携行しています。

 パンク修理セットさえあれば、パンクしたその場で修理OK! 走行を続けられる! ……ハズなんですが、パンク修理ってけっこうタイヘン。

 スポーツ自転車の場合、まずホイールを外しやすくできています。また、最も普及しているクリンチャータイプ(タイヤとチューブが分離しているタイプ)のタイヤの場合なら、パンク後にホイールを外してチューブを取り出し、パンクの穴にシールのように使えるパッチを貼り、チューブを戻して空気を入れる程度。修理手順もシンプルです。

 しかし、実際に出先にて自力でパンク修理をすると、最後の空気入れ作業が大変です。携帯用ポンプ(空気入れ)は小型だったりするので、手で何度も何度もポンプを押し引きして空気を注入する必要があります。ロードバイクなどですと適切な空気圧が8BAR前後(約116psi前後)と高く、携帯用ポンプでの空気注入作業はすご~くタイヘン!

 実際に筆者も数度経験しましたが、真冬ならまだしも、真夏の携帯ポンプでの空気入れ作業は「昭和の部活におけるシゴキか!」ってくらいツライです。汗ダクで頭クラクラ。苦行です。

 そんなときに超絶役立つのがCO2(二酸化炭素)ボンベ式の空気入れ。CO2インフレーターなどと呼ばれて市販されていますが、圧縮炭酸ガスにより数秒でタイヤの空気入れが完了するというグッド過ぎるグッズです。実際に使うと、「シュフッ~」的な音とともにドバッとタイヤが膨らんで空気入れ完了。ロードバイクのクリンチャータイヤにでも8BARくらいの圧力で気体が入っちゃいます♪

最もシンプルな類のCO2インフレーター。この製品の場合、ノズル部の下にCO2ボンベをネジ込み、その状態で赤いノズルをタイヤのバルブに強く押し当てると、ほぼ一瞬でタイヤに空気が入ります。コンパクトで軽いため、自転車での常時携行にもよく向きます。なお、CO2ボンベは使い捨てで、1本300円前後で売られています。

 一度使うと「CO2インフレーター……恐ろしいコっ!」とか思うくらいデキる道具。スポーツ自転車で遠くまで行くときには、ものすご~く心強く、実際に頼りになる存在です。というわけで筆者はCO2インフレーターに目が無く、良さそうな製品を無駄に買っちゃうんでした。

CO2インフレーター、どんなのがある?

 CO2インフレーターには、いくつかタイプがあります。それぞれを見ていきましょう。

 まずは最もシンプルなタイプ。CO2ボンベの先にネジ込んで使うタイプです。タイヤのバルブにセットしてからCO2ボンベをネジ込むとか、CO2ボンベをネジ込んでからタイヤのバルブに押し当てるとか、製品によって少々使い方が異なりますが、非常にコンパクトに携帯できるのが特徴です。

CO2ボンベの先にセットして使う、非常にシンプルなタイプ。小型軽量で使い方を理解しやすいタイプです。

 それから、CO2ボンベを内蔵するなどして携帯できるタイプ。CO2ボンベとノズルなど注入機構部分が一体化されるので、携帯するときにまとまりが良いです。また、ボタンを押すとCO2注入が始まるなど、より扱いやすい機構を搭載した製品もこのタイプには多い感じ。

左は前述のシンプル・タイプに「CO2ボンベを一体化できる一工夫」が加わったタイプ。右は本体内にCO2ボンベを内蔵できるタイプで、CO2注入をオンオフできるボタンも搭載しています。
LUFT「ディスペンサブルCO2インフレーター」。本体内にCO2ボンベを収納して携帯できます。仏式バルブにも米式バルブにも対応し、バルブ固定レバー搭載。CO2注入をボタンでオンオフできます。

 ハイブリッドタイプというのもあります。CO2インフレーターであり、かつ、手動のポンプとしても使えるという製品。CO2インフレーターが便利とは言っても、パンク修理作業時には手動式ポンプが必要だったりもしますので、ハイブリッドタイプはちょっと魅力的です。

TOPEAK「HybridRocket HP」(公式ページ)。手動式ポンプにもCO2インフレーターにもなるハイブリッドタイプです。
TOPEAK「Two Timer」とBlackburn「MANMOTH CO2'FER MINI-PUMP」(公式ページ)。どちらもハイブリッドタイプであり、さらに本体内にCO2ボンベを収納して携帯できる製品です。CO2注入のオンオフはボタン式。
ハイブリッドタイプで本体内にCO2ボンベを収納できて、さらに空気圧を計れるゲージまで付いたものもあります。

 てな感じでイロイロなタイプがあるCO2インフレーター。どれも機能性や使い勝手、それからサイズや質量がけっこー異なります。より便利で多機能なものほど大きめ重めですネ。ともあれ、量販店系の自転車屋さんになら複数置いてあったりしますので、実物に触れつつ選んでみてください。

CO2インフレーター使用時の心得

 CO2インフレーターはパワルフで実用的でマジ有り難い空気入れなんですけど、使用時にいくつか注意すべき点もあります。思い浮かぶ注意点をザッと書いてみましょう。

 まず、タイヤにCO2を注入した直後、つまりボンベからCO2が放出された直後に、ボンベ自体が冷えること。圧縮CO2が膨張するときに気化熱として周囲から熱を奪うため、ボンベの表面が凍るレベルで冷えます。ですので、ハダカのボンベを直接握って作業するのは危険。軍手やグローブなどを装着して触れるようにしましょう。

 それから、タイヤのチューブに注入したCO2は、空気よりも短時間で抜けてしまいます。筆者の経験では、タイヤにCO2をパンパンに入れた状態でも2日程度で「指で押すとグニグニするほど空気圧が下がっている」という感じ。なので、CO2注入はあくまでもパンク時などの緊急処置。帰宅したらタイヤ内のCO2をいったん抜き、改めてタイヤに空気を入れるのが無難です。

 それと、CO2インフレーターと一緒に手動のポンプも携行するのが現実的です。パンク修理時には、チューブに空気を入れることで「パンクの原因となった穴」をたやすく見つけられるようになりますし、チューブをタイヤに戻すときにチューブ内にある程度空気が入っていると作業しやすかったりします。そういった「少しだけ空気を入れる」用途にCO2インフレーターは不向きですので、やっぱり手動ポンプが必要というわけです。……なーんだ両方持つのか~、って感じですが、CO2インフレーターにより「パンク修理最終段階の手動による超疲れる空気入れ作業」は確実になくなります。

 あと、CO2インフレーター製品にだいたい共通する「使用時のコツ」として、CO2インフレーターへのCO2ボンベ装着です。CO2ボンベにはネジ山ありタイプ(主流)とネジ山なしタイプがありますが、どちらにせよ、CO2インフレーター装着時には「力を入れてネジ込む」という作業が必要です。

CO2ボンベにはネジ山ありの主流タイプと、ネジ山なしのマイナーなタイプがあります。また、内蔵CO2量にも違いがあり、その主流は16gタイプだと思われます。ともあれ、どのタイプにせよ、使用時はCO2インフレーター側の針のようなしくみにより、CO2ボンベ先端に穴を開けます。穴を開けるとき、CO2ボンベ側やCO2インフレーター側をねじりますが、力強く一気にネジ込むと失敗しにくいと思います。

 ネジってCO2インフレーター先端に穴を開けるわけですが、そのネジり具合は、やはり一度体験しないとよくわからなと思います。中途半端にネジ込んだりするとCO2が漏れちゃったりも。CO2注入時には予想以上の音が出たりもします。

 また、タイヤの太さなどによって同じCO2ボンベを使っても注入後の圧が異なるので、事前に一度は「使用するタイヤにCO2を入れてみる」のが大切だと思います。MTBのファット系タイヤとかだと、1本のCO2ボンベだと足りないということもあると思われます。

 こういった使用感はCO2インフレーター製品毎、タイヤ毎に異なりますので、事前に何度か注入の練習しておくと良いと思います。……CO2ボンベは1本300円前後で、1回の練習に300円。ちょっとモッタイナイ感じですが、パンク時に確実にCO2インフレーターをスムーズに使うための勉強代ということで!

 てな感じのCO2インフレーター。パンクしたときにはきっと「すげー役立つ!」と思いますので、興味があればぜひ実物に触れてみてください♪

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。