スタパ齋藤のコレに凝りました「コレ凝り!」

キヤノン「EOS 5Ds R」すすすす、すっげぇ~!

5060万画素のデジカメを試す

 本連載にて先週書きました「オリンパス「OM-D E-M1 Mark II」すげー!」(該当記事)という記事。「OM-D E-M1 Mark II」は手ブレ補正の効果が非常に高いし画質も良くなっているし、イロイロと凄いカメラだゼ! と。

 そんな「OM-D E-M1 Mark II」ですが、意外なほど驚かされたのが「50Mハイレゾショット」機能(該当記事)。撮像素子を微妙に動かしつつ8連写し、それを本体内で合成することで5000万画素相当の静止画を生成しちゃうという機能です。これがかな~り衝撃的な高精細画像を生成してくれて、あらビックリ! そして、おもしろ~い♪ てな感じでした。

 ただ、弱点があって、動く被写体には使えません。連写なので被写体が動いて位置が変わると、合成後にブレたような画像になっちゃうわけです。また、基本的には三脚必須。カメラ側が動いても、やはりブレたような画像に。

 ん~むむむ。「OM-D E-M1 Mark II」5000万画素相当の画像、凄いんだけど、「静物のみ」で「要三脚」か~。悩ましい。

 とか考えていて思い出したのが、あのカメラ。「EOS 5Ds/EOS 5Ds R」(ニュースリース)です。2015年6月18日に発売されたデジタル一眼レフカメラですが、「約5060万画素の圧倒的な高解像度」で話題をさらいました。

 このカメラ、撮像素子自体が約5060万画素で、つまりはワンショットで約5060万画素の高精細写真が撮れちゃう。動きのある被写体でもシャッター速度をそれなりに上げれば撮れるし、要三脚ってわけでもないし……「EOS 5Ds/EOS 5Ds R」じつは超便利で超愉快かもしれない!

 と思ったので早速……えっコレ実勢価格の最安値でも、ボディが40万円以上するんですね! ズギャッ! というわけでメーカーから借りしてみました。

借りたのは「ローパスフィルター効果をキャンセルした高解像バージョン」の「EOS 5Ds R」(公式ページ)。レンズとして「EF24-105mm F4L IS II USM」(公式ページ)と「EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM」(公式ページ)も借用。

 早速試し撮りに出掛けてみました♪ さて、どんなふうに写るんでしょう?

あ~っ! マジで圧倒的! ブレも浮き彫りに!

 前述の機材を引っ提げて撮影に。マイクロフォーサーズのユーザーにとってはけっこー重いんですが、撮ってみたらあ~ら凄い! 凄まじい解像感です。撮像素子が約5060万画素なので、カメラの扱い方はほか一連のデジタル一眼レフカメラとまあ同じ。フツーに撮れば超高精細画像が得られちゃうんでした。

 以下、「EOS 5Ds R」で撮った写真を掲載してみます。写真はリサイズもしくはトリミングしか処理を施していません。左側が全体像で、右側がドットバイドットの画像。なお、写真をクリックすると別ページで拡大されますが、横位置写真の場合は画像左上にカーソルをもっていくと虫眼鏡アイコンが表示され、それをクリックすると正しいドットバイドット画像になりますので、お試しください。

「EOS 5Ds R」と「EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM」で撮影。目から鼻毛までバッチリ写っています。
こちらも「EOS 5Ds R」と「EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM」で撮影。羽根の細部まで解像されていてビックリ!

 何というか、「機材が凄いからフツーに撮りゃそこそこイケるだろう」的に若干ナメて撮ったんですけど、ホントに機材が凄いからフツーに撮っても凄い解像感を提供してくれちゃうのでした! ビーックリ! 「うわこのカメラやっべぇ!」とか撮影直後の画像確認時につぶやいちゃったら、園児の集団を引き連れた保育士的な人に「ほぇ?」的な顔で見られちゃいました。

 ただし、やや当然ではありますが、撮影時に十分考慮する必要があります。何を考慮?

 このカメラ、被写体の細部の細部までシッカリ写す性能がありますので、その分、僅かな手ブレや被写体ブレやピント外しでも、画質にその影響が大きく出てしまいます。

 じつは試し撮り当日、100カットくらい撮ったんですが、手ブレや被写体ブレやピンボケが「まあこれなら、ほぼナシと言えそう」というカットが予想外に少なかったんです。手ブレ被写体ブレそしてピンボケ無しで、さらに露出や構図がそこそこ良好なものとなると、数カット。精査するほどに「あーシャッター速度が~」「う~被写界深度が~」「あらら~ピントが少し~」「あちゃ~もう少しアンダーで~」みたいに、小さな失敗もグイグイ拡大されて見えてきちゃう、なかなか難しいカメラ……というより「手が抜けないカメラ」なのでした。

「EOS 5Ds R」とレンズを購入♪

 扱いにはちょいと気を遣う必要があるカメラですが、でもコレ、イイ! 「EOS 5Ds R」サイコー! たまらねえし愉快過ぎる解像感サイコー! あと「EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM」ってレンズもかなり楽しめてイイ! 「EF24-105mm F4L IS II USM」もオールマイティで高画質! こんな良いハードウェアはさっさと返却(借り物だったので)! そしてガッツリと購入! 購入するぞ購入するぞ購入するぞ~ハードに購入してゴリゴリ使い込むぞ~! というコトで、買っちゃったワタクシなんでした。

 ちなみに、「EOS 5Ds」は2モデルあり、通常バージョンの「EOS 5Ds」(公式ページ)と、ローパスフィルター効果をキャンセルした高解像バージョンの「EOS 5Ds R」(公式ページ)。ローパスフィルター効果がないほうが、ディテールをより高精細に描写することができますが、一方で偽色やモアレが出やすいという問題も生まれてきます。でもまあ、どうせならより高精細なほうがイイっていうか、後から「もっと高精細に撮れるモデルがあるんだよなぁ……」とモヤモヤするのがイヤなので、「EOS 5Ds R」を購入しました。

 なお、その後「EOS 5Ds R」で屋外でアレコレ撮ったり室内でブツ撮りしたりと常用しておりますが、まだ問題と思える偽色を感じたことはなく、モアレも発生していません。鳥の羽根の細部を撮ったりすると出やすいらしいですが、そういうコトもありません。それより「うっわぁ~コレ~、こんなに細部まで写りまくってるぅ♪ ナンなのこのカメラ~!」という喜びの経験のほうが圧倒的に多いです。

 さておき以降、手ブレや被写体ブレやピンボケなどに気を付けつつ「EOS 5Ds R」で撮った写真を並べてみます。処理はリサイズもしくはトリミングのみ。左が全体で、中央や右がドットバイドットです。横位置のドットバイドット画像は、クリックしていったん拡大した後、さらに画像左上の虫眼鏡アイコンをクリックすると正しいドットバイドット画像となります。

「EF24-105mm F4L IS II USM」で花壇を撮影。中央と右は、写真の中心部を横位置と縦位置のドットバイドットでトリミングしたものですが、言われないとドットバイドットだとわからない解像感かも。
「EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM」で撮影。微妙にブレが出ている気がしますが、鱗粉まで写っちゃうんでした。
「EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM」で撮影。暑さにダレるネコ科女子。額あたりにピントを合わせていて、10m程度の距離ですが、それでもピント位置より少し外れた位置にピンボケが見えます。高解像度カメラではピントの甘さがごまかせません。
「EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM」で撮影。象の肌の細部まで見えてしまい、少しゾワゾワしますネ。
「EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM」で撮影。キリンの目に映り込む風景までもクリアに描写されてしまいます。
「EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM」で撮影。羽根の細部までよく解像されています。網越しでの撮影だからか、少し甘めの描写になっています。
「EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM」で撮影。森の人ことオランウータン。肌や毛の質感もバッチリですけど、オランウータンの毛ってけっこーキレイなんですネ♪
「EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM」で撮影。水たまり的な沼の鴨。ISO1600での撮影なので低コントラスト部にノイズ感がありますが、羽根などはしっかり解像されています。
「EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM」で撮影。毛も一本一本解像されています。
「EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM」で撮影。十二分に高解像度なので、羽毛の質感もリアルに再現されています。

 約5060万画素の世界。間近で見たり、さらにルーペで拡大して見たときのような、いつもは全く意識できないディテールの世界がビッシバッシと繰り広げられ、痛快です。撮り損じも目立ちがちな高精細画像ですが、映像というものが持つ「美」を再確認できます。ヒッジョーに楽しい。この先、約5060万画素をさらに超え、35mmフルサイズで1億画素とかいう時代が来るんだと思いますが、も~の凄く期待して待っています。

ブツ撮りにも「EOS 5Ds R」使用中

 しかしまあ「EOS 5Ds R」はイイんですけど高価ですネ。「うわ~この解像感たまらねえ!」的な勢いで買ってはみたものの、その解像感が「ディテールがスゲぇ!」的な驚き以外で、どんな良さにつながるのかについては、ややモヤモヤしたものがありました。が、コレ、ブツ撮りにもヒッジョーに向くことがわかりました。

 これまでキヤノン「EOS 6D」(公式ページ)で記事に載せる商品写真を撮っていました。約2020万画素のカメラ。特に問題ナシでした。

 ですが、約5060万画素の「EOS 5Ds R」を買ったというコトで、「倍以上の解像度で撮れるから、商品の全体像を撮れば、商品のディテールの切り出し(トリミング)も現実的かも?」と思って、「EOS 5Ds R」でブツ撮りしてみることに。結果、わりとフツーにでき、実用レベル。

 たとえばスマートフォンなら、スマートフォン全体を撮って、それを商品全体の写真として使い、さらにボタン類など細部をトリミングすることで、各部ディテールの画像として使えます。高解像度デジカメだと、「1枚撮って、そこから複数枚の商品写真を得る」ということも(応急処置的な使い方ではありますが)可能です。なかなか便利。

 しかしそれ以上に超良かったのが、画像全体の精細感の向上です。「EOS 6D」でのブツ撮りしていたときは、撮影した5472×3648ピクセルの画像を1200×800ピクセルに縮小して使っていました(Web媒体用)。「EOS 5Ds R」では8688×5792ピクセルで撮り、それを1200×800ピクセルに縮小。結局、1200×800ピクセルに縮小しちゃうんだから、大して違いがないかもな、と思っていました。

 ところが、同じ1200×800ピクセルの画像でも大違い。明らかに「EOS 5Ds R」で撮ったほうの画像がキレイ。金属や樹脂や木材などの質感がよく出ていますし、ディテールがよりシャープでクリアです。使っているレンズや照明などは同じで、ボディが変わっただけで、仕上がりに大差が出ました。まあ少しは差が出るんだろうとは思っていましたが、非常に大きな差だったので驚きました。

 それと、オートホワイトバランスも良好化。詳細は省きますが、ここ数年は効率化のために蛍光灯を光源としてブツ撮りしています。ジェネレーターを使うスタジオ用ストロボも使っていますが、それと比べると蛍光灯はクセのある光源で、これまた詳細は省きますが、オートホワイトバランスで撮るのがいちばん「後処理がラク」な感じ。「EOS 6D」ではそうしてきました。

 その撮影環境は変えず、ボディだけが「EOS 5Ds R」に。こちらもオートホワイトバランスで撮影。結果、ホワイトバランスの的確さが格段に上がりました。妙な色カブリっていうか色転びが激減し、ブツ撮り後の画像処理がも~の凄くラクに♪

 コレって映像エンジンが「DIGIC 5+」→「DIGIC 6」になったから? よくわかりませんが、ハードウェアが変わると、やはり得られる結果もけっこー変わるんですネ、と実感しております。

 よく「写真はカメラじゃないよ、腕だよ腕」みたいな話を聞きますが、まあ確かにそういう側面もあると思います。撮影に関わるノウハウまで含めれば、大いにあると思います。ですが、レンズはもちろん、カメラをより高性能なものにすると、「機材の性能により得られるより好ましい結果」というのも確かにあるんだなぁ、などと再認識しました。やっぱり良い機材はイイですネ♪

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。