第575回:au ID とは

大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我 ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連の Q&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 KDDIでは、マルチデバイス化が進む近い将来への布石として、「auスマートパス」「auスマートバリュー」「au ID」の3つの柱からなる“スマートパスポート構想”を打ち出しています。

 そのうちの1つ、「au ID」とは、auのポータルサービスを利用するために必要な専用のIDです。1つのIDがあれば、auが提供する複数のサービス、コンテンツを、さまざまなデバイスで横断的に利用できる、といった形になります。かつては、「au one ID」として使われていました。

 auでは、au one メールやauスマートパスなど、「au ID」でログインして利用するサービスを提供しています。なおau IDの登録は無料です。

OpenIDをベースにした共通ID

 「au ID」はOpenIDをベースにした共通IDの仕組みです。OpenID Foundationが定める、OpenID 2.0の仕様に準拠しています。

 OpenIDとは、世界中のOpenID対応サイトで共通して利用できる、URL形式のIDのことです。一般的にインターネットでは、サービスを提供しているサイトごとにIDとパスワードを取得しないと、そのサイトへのログインやサービスの利用ができません。しかしOpenID対応のIDが1つあれば、他社のOpenID対応サイトにアクセスしたとき、新たにアカウントを作成したり、ログインするために別々のIDやパスワードを入力する必要がなくなります。現在、世界中で数多くのWebサイトがOpenIDに対応しており、その数は日々増え続けています。

 「au ID」ログインを利用すると、対応サイトでは、「au ID」によるログインのほか、「auかんたん決済」が利用できます。

 「au IDログイン」は、事前にKDDIに登録された対応サイトでのみ利用できます。au IDとパスワードで対応サイトにログインし、パートナーが提供するサービスを利用できるようになります。つまり、その対応サイト専用のIDを新たに取得する必要がありません。

 au ID対応サイトで「au IDログイン」ボタンをクリックし、au IDとパスワードを入力して、利用時の注意事項に同意すれば設定完了です。

 また「auかんたん決済」とは、auのスマートフォンやパソコンなどで購入したデジタルコンテンツ、あるいは通販の代金をauの携帯電話料金と合算して支払えるサービスです。

購入したコンテンツなどがIDに紐づけ

 「au ID」の特長の1つは、ログイン後に購入したコンテンツが端末ではなく、IDに紐付けられるということになるでしょう。たとえば「au ID」でコンテンツを購入した後、機種変更をしても、IDが同じなら、購入したコンテンツは継続して利用できます。IDが同じで、手元に複数の端末があっても、追加料金なしでコンテンツを利用できるわけです。こういったコンテンツの使い勝手は、アップルやグーグルのIDに近いと言えるかもしれません。

 同じau IDであれば、さまざまなものが利用できる、という点では、コンテンツだけに留まりません。auひかり、au Wi-Fi SPOTなどもその対象です。たとえばauのスマートフォンユーザーであれば無料で利用できる「au Wi-Fi SPOT」は、Aさんのau IDを使えば、携帯電話回線が入っていないパソコン、タブレットからでも利用できるのです。こうした形で、KDDIのネットワークサービスを、「au ID」という共通IDで利用できるようになっています。




(大和 哲)

2012/8/7 11:07