第450回:位置情報ゲーム とは
「位置情報ゲーム」とは、携帯電話の位置情報機能を利用したゲームのことです。「位置ゲー」と省略した呼び方も定着してきました位置情報と連動し、その性質を生かしたコンテンツの総称として「ジオメディア」という言葉もありますが、その中でもゲームのみを指した言葉が「位置情報ゲーム」であると言ってもいいでしょう。
携帯電話では、GPS搭載機種はもちろんですが、GPS非対応機種であっても、最寄りの基地局と通信を行うため、おおよその所在を確認でき、携帯電話上で動作するアプリケーションも自分のいる位置を知ることができます。
こういった携帯電話の位置情報機能をこの性質を利用して、ユーザーが今いる位置や、移動した距離などをゲームの進行状況やスコアに反映させる携帯電話用のゲームが提供されています。そうした「位置情報ゲーム」の中で、有名なサービスの1つが、コロプラの運営する「コロニーな生活☆PLUS」です。
「コロニーな生活☆PLUS」は、NTTドコモやau、ソフトバンクモバイル、ウィルコムの携帯電話・PHSで測定した移動距離に応じて、ユーザーの“コロニー”を繁栄させるというゲームです。土産物店などと提携し、観光地の店舗へ実際にユーザーが訪れてショッピングした結果、ゲームへ反映させられる、といったように「現実の行動」と「ゲーム内の進行状況」を密接に組み合わせることで、ゲームに新たな楽しみをもたらすことに成功しています。ちなみに、コロプラでは「位置ゲー」を商標として出願しています。
位置情報を利用した携帯電話向けゲームとしては、マピオンの「ケータイ国盗り合戦」、ホンダの「ケートラ」などもよく知られています。
このうち「ケータイ国盗り合戦」は、日本全国を約600のエリアに分け、ユーザーが訪れた先で“国盗り”(登録)すると、そのエリアを「統一」でき、日本中の全ての国を統一していくことが目的のゲームです。2008年には、モバイルビジネスの優秀なプロジェクトを表彰する「モバイルプロジェクト・アワード2008」において、モバイルコンテンツ部門優秀賞に選ばれたゲームでもあります。
一方の「ケートラ」は、サブタイトルが「ketai traveler」とされているとおり、遠くにいけばいくほど進展していくタイプのゲームです。ユーザーが移動した地域にちなんだオリジナルお土産をゲーム内キャラクター(モバター)が「買って」きたり、何らかのアイテムを拾ってきたりします。そういったアイテムを集めるといった楽しみ方のほか、ユーザー自身が移動する際に他のユーザーのキャラクターを“ケータイに乗せて”あげると、ゲーム内ポイントが付与され、ポイントを貯めて新しいアイテムを買うこともできます。
■リアルの世界と影響しはじめたケータイゲーム
携帯電話の位置情報を利用したゲーム自体は、アプリケーションで位置情報を使えるようになった2000年ごろから提供されてきました。たとえば、2000年12月には、当時のJ-PHONEのエリア別情報配信サービス「ステーション」で、「誰でもスパイ気分」というゲームの提供が開始されています。同ゲームは、地域を指示通りに移動することで完了する任務が与えられ、成功すると昇進に必要な経験値が与えられるというものでした。
コンテンツ作成者が、基地局情報を利用した“簡易位置情報”を取得・利用できるようになったことをきっかけに、さまざまなゲームで位置情報が利用されるようになり、位置情報利用ゲームのバリエーションも豊かになっていきました。
現在では、位置登録した場所を登録していくスタンプラリーのようなゲームは、移動距離に応じてキャラクターや街が成長したりするシミュレーションのようなゲームを楽しめるようになり、ユーザー数も増加してきています。ユーザー数の増加により、位置情報ゲームでは、コンテンツ提供者がリアルの店舗・企業とのコラボレーションイベントなどを行っています。
たとえば、「コロニーな生活☆PLUS」では、観光地などのタイアップ店舗で買い物をすれば、ゲーム内アイテムと連動した「コロカ」というカードを入手でき、ゲーム中でもレアアイテムを入手できるようになりました。たとえば、佐賀県の有田焼窯元を訪れるツアーに参加し、現地で陶器を購入するとゲーム内でもアイテム「有田焼コーヒーカップ」を、大分では酒蔵で買い物をするとゲーム内で「粕漬け」を手に入れることができます。いつでも購入できるというわけではないようで、販売店舗では在庫限りと案内することもあります。また、JR九州でも地域内乗り放題のフリー切符とコロカをセットにした「コロプラ★乗り放題きっぷ」を発売しています。
「ケータイ国盗り合戦」なども各企業とタイアップをおこなっています。たとえば、2009年夏に行われたイベント「2009年夏の陣決戦!関ヶ原」では、地域限定コラボアバターとして、訪れた地域によってゲーム中のデータに企業タイアップのデータが入手できるようなイベントを開催しました。たとえば、北海道や四国などではANAとコラボしたアイテムが、近畿(滋賀県除く)を訪れるとプロ野球チームのオリックスバファローズ協賛で「Bsユニフォーム」というアイテムを入手できるようになっていました。
このようなタイアップにより、ゲームの影響はバーチャルの世界だけでなく、リアルの世界にも波及しており、世間での認知度も高くなりつつあるようです。
2010/1/12 12:27