ケータイ用語の基礎知識

第1003回:スマホの中の大切な写真をなくさない方法とは/写真・動画をバックアップする方法

 スマートフォンの中には、今まで撮影してきた大切な写真がたくさん詰まっていることでしょう。microSDカードが使える機種の場合、まずはここに入れておくのはひとつの手段です。ただ、補助ストレージとしてmicroSDカードが使える機種は徐々に減ってきています。

 人気の高い「iPhone」は以前からSDカードスロットがありませんし、GoogleのPixelシリーズなどもSDカードスロットを持っていません。

 逆にmicroSDカードスロットがある機種としてXperiaシリーズなどがありますが、写真用ストレージとして使うと、ちょっといらついてしまうことはないでしょうか? microSDカードへの書き込み速度が内蔵メモリに比べて時間がかかるため、使っているmicroSDカードによっては、シャッターチャンスを逃してしまう……というようなこともあるからです。これは、microSDカードのデータ書き込み速度(スピードクラス)などの問題もあり、その点はいずれお伝えしていきましょう。

 いずれにせよ、スマホで撮影した写真やビデオを端末本体にデータとして残したとすると、どうなるか。もし、スマホを壊してしまったら、中の写真やビデオのデータを取り出せなくなってしまうかもしれません。

 あるいは次に新しい機種に買い換えたいときに写真やビデオデータを、やっぱり新しい機種にも持っていきたいですよね。

 そう、そのために、データはバックアップしましょう、というのが今回のお話です。

クラウドバックアップを活用しよう!

 SDカードより安全なバックアップ方法が「クラウドへのバックアップ」です。

 クラウドとは、インターネット上の仮想的な空間でデータの保存やプログラムの実行ができるサービスのことです。簡単に言うとクラウドバックアップ(クラウドストレージサービス)を利用すると、インターネットでつないだ先に写真やビデオを保管しておくことができるわけですね。そして、使っているスマートフォンが変わっても、ユーザーのアカウントがあるかぎり、その写真・ビデオデータをなくさずにおけるわけです。

 たとえば、iPhoneではiCloudのフォト、AndroidスマホではGoogleフォトが、標準の写真・ビデオ用クラウドストレージに相当します。容量は、無料で使用する場合、iCloudの場合5GB、Googleフォトの場合15GBです。

 なお、iCloudの場合、写真・ビデオだけでなく

  • Appデータ
  • Apple Watchのバックアップ
  • デバイスの設定
  • ホーム画面とAppの配置
  • iMessage、テキスト(SMS)、MMSメッセージ

 といったものも、合わせて5GBまで無料で保管することが可能です。

 また、Googleフォトの場合も同様で、

  • Gmail
  • Googleドライブ
  • デバイスのバックアップ

 などが15GBの無料容量には含まれています。

 どちらも使い方は簡単で、iPhoneの場合は、設定から「写真」→「iCloud写真」をONにします。Androidスマホの場合は、「Googleフォト」アプリを起動し、写真へのアクセスや通知の許可をおこなうと、初期設定の画面が表示されますので、そこでGoogleアカウントの入力などを行えば利用できるようになります。

 iCloud、Googleフォトにどちらにしても容量を使い切った、もっと容量を多く使いたいという場合は月払い(あるいは年払い)で追加料金を払うことで、容量を増やせます。iCloud・Googleフォトどちらもメールの添付ファイルなども共用のストレージとしても利用しますし、写真にしても、RAWフォーマットや高精細な動画などを格納すると、あっという間に容量を使い切ってしまうこともあります。

 iCloudの場合は「iCloud+のアップグレード」から、Googleの場合はフォトの「設定」-「メンバーシッププランの変更」から、それぞれ使用容量を増やすことができます。ちなみに、最初の有料プランとなるのはiCloud(iCloud+という名称のサービスになります)の場合50GB(月払い130円)、Google(同じくGloogle One)の場合100GB(月払い250円/年払い2500円も選択可能)となっています。

 これは、ちなみに……なのですが、iPhone用にもGoogleから「Googleフォト」アプリは提供されていて、App storeからインストール可能です。Google Oneである程度クラウドストレージの容量を大きくしておき、ユーザーも共有できるようにしておいて、家族でAndroidを使う人も、iPhoneを使う人も、Googleフォトでアルバムを共有して写真を見せ合うようにできるようにする、なんていう使い方も可能です。

 また、写真に関して言えは、iCloud、Google以外にもクラウドバックアップ(フォトストレージ)を提供しているサービスがいくつかありますので、気に入ったものがあればそれを使うのもいいでしょう。たとえば、Amazonは利用客向けに5GB、Prime会員に関しては容量無制限のフォトクラウドストレージを提供しています。

 このストレージへのバックアップ方法は、アプリをスマホにインストールしてしまえば、iCloudやGoogleフォトと同様で、バックアップ対象にするフォルダを設定すれば自動的に写真とビデオをクラウド上のAmazonのストレージにバックアップを行います。

 このAmazonフォトストレージには、iPhone、AndroidスマホだけでなくFire TVにも連携でき、スクリーンセーバーを設定して、テレビの大画面で写真を表示することも可能といった特徴もあります。

クラウドは心配だなぁ、という場合…

 クラウドでなく、なんらかの事情で手元にデータとして置いておきたい場合、ハードディスクやSDカードを日々のバックアップメディアにする方法もあります。

 たとえば以前本誌で紹介したこちらのようなグッズがあります。

 このサンワサプライの「Qubii Duo」は、アップル純正のACアダプターと同じサイズ感で、microSDカードを挿すことができるカードリーダー・ライターです。

 ACアダプターと充電ケーブルの間に挿しておきスマホに専用アプリ「Qubii Pro」を設定しておきます。そうすれば、あとは充電したいときにケーブルにつなぐだけで、スマホ内の写真・動画データや連絡先、一部の音楽などを自動でバックアップしてくれるというすぐれものです。ちなみに「Qubii Duo」は容量512GBのmicroSDまで対応しています。

 ただ、microSDメモリには繰り返し書き替え回数に限度がありますし、書かないまま年数があまり経ちすぎると内容が失われてしまいます。バックアップメディアは複数枚用意し、かつ、最低でも年1回程度のペースで読み書きしておいた方がいいでしょう。

 SDメモリに比べれば比較的書き換え耐性に優れたハードディスクドライブに記録しておくというのは一理あるでしょう。

 たとえば、ハードディスク搭載の家庭用フォトストレージとして有名な製品としてはバッファローの「おもいでばこ」シリーズが挙げられます。

 「おもいでばこ」の便利なところは、テレビに接続して、デジタル写真を見られるところでしょう。

 Android(Googleフォト)、iPhone(iCloud)、デジカメ(PCなど)になどバラバラに保管されていた写真をひとところにまとめるのには最適なデバイスでもあります。容量としては、1TB、2TBのものがあります。

 ただし、おもいでばこ自体は内蔵の、1台のハードディスクに写真データを記録するだけの機械です。データの退避先として選んでも、これが故障する、ということはありえます。おもいでばこに内蔵されているハードディスクの寿命は公表されていませんが、一般的に言って2.5インチHDDのMTBF(故障間平均間隔)は100万時間程度が普通です。

 万全を期しておきたい場合は、おもいでばこの内容自体をほかのハードディスクにバックアップできますので、用意しておき、定期的に移しておくことをお勧めします。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)