ケータイ用語の基礎知識
第926回:災害救助法とは
2019年10月15日 14:24
各通信事業者が適用地域居住者に「支援措置」
2019年10月、伊豆半島から上陸した令和元年台風19号は、縦断した東日本のいたるところで河川の氾濫、土砂崩れといった災害をもたらしました。
これに対して各携帯電話事業者は、2019年10月13日現在、被災地に住むユーザーに対して「料金支払い期限の延長」「付属品の無償提供」「追加データ購入料金の無償化」「データ復旧サービスの支援」といった「支援措置」を行うことを発表しています。
KDDI・沖縄セルラー、ソフトバンク・ワイモバイル、UQコミュニケーションズでは、支援対象者の定義を「災害救助法が適用された地域のお客さま」としています。NTTドコモは、独自の救済地域リストを公表していますが、これもほぼ「令和元年台風第19号による災害にかかる災害救助法」の適用地域と一致します。
災害救助法適用地域は、今回大きく報道されている、千曲川の氾濫による被害があった長野県長野市・千曲市や越辺川の氾濫で被害の大きかった埼玉県川越市、土砂崩れで死者を出した福島県二本松市などはもちろん、東京都墨田区や世田谷区や埼玉県さいたま市といったニュースではあまり取上げられていない地域も対象となっています。
では、災害救助法とはどのような法律で、その対象区域はどのように決められるのでしょうか?
柔軟に判断適用される傾向の「災害救助法」
災害救助法とは、日本の災害対策法制のひとつで、災害が起きた直後の「応急期」における応急救助に対応する主要な法律です。
この法律によって国は、災害が起きた際に被災者に対して、地方公共団体や日本赤十字社、そのほかの団体及び国民の協力の下に、応急的に必要な救助を行い、被災者の保護と社会の秩序の保全を図ることができるようになっています。
災害救助法の適用は、市町村区域レベルで行われることになっています。これは、災害救助法施行令によって定められています。
どのような市町村区が災害救助法の適用区域になるかですが、従来は、たとえば住家などへの被害が生じた際、市町村区域内の人口が5万人以上10万人未満の場合は、住家滅失世帯数が80となった場合であるなど、厳密な数字上の基準がありました。
しかし、被害の確定に時間を要するため、災害発生後ただちに適用判断することが困難です。そのため現在では「多数の者が生命又は身体に危害を受け又は受けるおそれが生じた場合であって」「所在する多数の者が、避難して継続的に救助を必要とする」と柔軟に判断できる基準が適用される(いわゆる「4号基準」)傾向になっています。
なお、災害救助法の適用区域は本来、国が「被災地」と指定した市町村区域です。ほかの民間事業者などが行っている支援措置の地域を決める際に使っているのは、その援用ということになります。