ケータイ用語の基礎知識
第803回:ベゼル とは
2017年4月26日 12:22
今回紹介する「ベゼル」とは、スマートフォンのディスプレイの「枠」の部分を指す言葉として使われています。この部分は、「額縁」などと呼ばれることもあります。時計のガラス板をはめる部分などを意味する英単語“bezel”からきています。
転じて、自動車ではライトの「端部金具」、Blu-rayやDVDのドライブにあるフロントパネルのように、「縁の部分にあり、その先のものを守るパーツ」といった意味として、さまざまな機械でも使われています。
スマートフォンにはディスプレイがあり、その表示部分があります。表示部分の周りにはディスプレイの中ですが何も表示されない部分があります。ここを「縁」と呼ぶことがあります。スマートフォンのベゼルは、その外側のプラスチックや金属でできたパーツのことを指すことが一般的です。
最近では、ベゼル部分の面積の少ない「スリムベゼル(狭額縁)」のスマートフォンが多くなりました。ベゼル部分を極端に狭くし、ユーザーからベゼル部分がないかのように見えるデザインを「ベゼルレス」「ベゼルフリー」と呼ぶこともあります。
スリム/ベゼルレスで、表示部分の割合を多くするには
スマートフォンではベゼル部分が少ない(狭い)と、どういったメリットがあるのでしょうか。
スマートフォンは手に持つものである以上、大きさはある程度限られてしまいます。しかし、ディスプレイは大きい方が表示できる情報量が増えます。手で持ちやすい大きさと、ディスプレイの大型化という2つの要素があるわけで、ベゼルが狭ければ、手に持ちやすくディスプレイを大きくしやすい、と言えます。
だからといってスマートフォンを設計をするのに、そう簡単にはベゼル面積を削ることはできません。なぜならば、まずスマートフォンのディスプレイには、液晶や有機ELのディスプレイパネルだけではなく、画面表示に関わる周辺のパーツが必要だからです。
たとえば液晶ディスプレイは、液晶とそれを操るトランジスタが敷き詰められた装置です。これでどの部分を何色で表示するかといった1箇所1箇所のトランジスタのON/OFFを制御するための装置が必要になります。この装置をベゼル部分に収納するか、あるいは、他のどこかに置くとしても配線やそのための端子は必要になるでしょう。
またタッチ操作するためには、ディスプレイの表示部分の上に、静電容量や圧力などを感じるセンサーの膜が貼ってあります。このようなセンサーからの情報を収集するためのICもベゼル内に収納してあります。つまり、これまでスマートフォンのベゼル部分には、さまざまなデバイスが収納されていたため、そう簡単にベゼルは小さくはできなかったのです。
またベゼルには「ディスプレイを守り、支える役割」もあります。ベゼルの縮小はそのままスマートフォンの強度不足に直結しかねません。
そのため、多くのスマートフォンメーカーは、ベゼルを小さくするため、ディスプレイ表示に関する装置の小型化や、ドライバーICを物理的に小さくする、ディスプレイのガラス板の上に透明トランジスタで作り一体化する(SoG)など、新しい技術の開発や創意工夫をこらして、スマートフォンの設計や製造現場に導入しています。