山根康宏の「言っチャイナよ」

世界初の210W充電モデルやファーウェイ5G対応機が登場

 世界最大のスマートフォン市場、かつ最大の5G加入者数を誇る中国で毎月発売された5Gスマートフォンを香港在住の携帯電話研究家、山根康宏が紹介する。2022年10月に発表・発売された5Gスマートフォンは10機種。内訳はvivo 1機種、シャオミ4機種、HONOR 3機種、その他メーカー4機種。

 シャオミから2億画素カメラに210W充電対応の「Redmi Note 12 Explorer」が発表。中郵通信はファーウェイ「nova 10」を5G化したモデルを2機種投入した。HONORは低価格モデルを投入。また高級端末を展開するVERTUからWeb3.0スマートフォンが登場した。

HONOR初の1000元スマホ「HONOR Play6C」

 1099元という格安価格のスマートフォンが「HONOR Play6C」(榮耀暢玩6C)である。vivoなどが1000元前後の低価格スマートフォンを出しているが、HONOR Play6CはHONORのモデルの中でも最安値のモデルとして対抗を図る。ディスプレイやカメラはエントリークラスの性能だが、チップセットはメディアテックではなくクアルコム製を搭載しているのも特徴だ。

項目内容
発表日2022年10月8日
価格1099元(約2万2000円)から
チップセットQualcomm Snapdragon 480 Plus 5G
ディスプレイ6.5インチ1600x720ピクセル
リアカメラ画素数1300万+200万深度測定
インカメラ画素数500万(水滴型ノッチ)
RAM/ROM構成6GB+128GB、8GB+128GB
バッテリー5000mAh、22.5W充電(有線)
5G NR対応バンド非公開
サイズ163.66x75.13x8.68mm、194g

価格を抑えたゲーミングスマホ「HONOR X40 GT」

 2022年9月に発売した「HONOR X40」をゲーミング仕様としたモデルが「HONOR X40 GT」である。とはいえ本体サイズやスペックは同一ではなく、HONORのミドルレンジモデル「Xシリーズ」のゲーム特化派生モデルとして作られた。ディスプレイリフレッシュレートは高速な144Hzに対応、本体内には13層(うちグラファイト8層)で1万6300平方mmの冷却面積の冷却板と、4001平方mmの設置面積の液体冷却で本体の発熱を速やかに放熱する。上位モデルはメモリ12GBにストレージからの仮想メモリ7GBを加え最大19GBを合計して使用できる。本体のデザインもブラック&グリーンとクールな仕上がりのモデルを加えた。

項目内容
発表日2022年10月13日
価格2099元(約4万1000円)から
チップセットQualcomm Snapdragon 888
ディスプレイ6.81インチ2388x1080ピクセル、144Hz
リアカメラ画素数5000万+200万マクロ+200万深度測定
インカメラ画素数1600万(パンチホール)
RAM/ROM構成8GB+256GB、12GB+256GB
バッテリー4800mAh、66W充電(有線)
5G NR対応バンド非公開
サイズ166.1x75.8x8.45mm、199.5g

大容量バッテリーと高画質カメラのコスパモデル「HONOR Play40 Plus」

 HONORの低価格ラインPlayシリーズの上位モデルが「HONOR Play40 Plus」(榮耀暢玩40 Plus)である。ディスプレイは液晶ながらリフレッシュレートは90Hzに対応。メインカメラはエントリーモデルながらも5000万画素を搭載する。またバッテリーは6000mAhと大容量で長時間の利用も安心だ。

項目内容
発表日2022年10月20日
価格1199元(約2万4000円)から
チップセットMediaTek Dimensity 700
ディスプレイ6.74インチ1600x720ピクセル、90Hz
リアカメラ画素数5000万+200万マクロ+200万深度測定
インカメラ画素数500万(水滴型ノッチ)
RAM/ROM構成6GB+128GB、8GB+128GB、8GB+256GB
バッテリー6000mAh、22.5W充電(有線)
5G NR対応バンド非公開
サイズ167.48x76.85x8.27mm、196g

パフォーマンスと表示にこだわったゲーミングモデル、vivo「iQOO Neo7」

 メディアテックの最上位チップセットと自社独自開発のディスプレイチップ「V1+」を搭載するゲーミングモデル。ディスプレイもLTPOのサムスン E5を採用し表示にも力を入れている。デュアルバイブレーターや画面タッチ感度アップなどゲーミング操作も快適。メインカメラにはソニーIMX766Vセンサーを搭載し写真性能も高い。高級モデルとしてビーガンレザーモデルも提供、青と橙の2色のカラバリがある。

項目内容
発表日2022年10月20日
価格2699元(約5万3000円)から
チップセットMediaTek Dimensity 9000+
ディスプレイ6.78インチ2400x1080ピクセル、120Hz
リアカメラ画素数5000万+800万超広角+200万マクロ
インカメラ画素数1600万(パンチホール)
RAM/ROM構成8GB+128GB、8GB+256GB、12GB+256GB、12GB+512GB
バッテリー5000mAh、120W充電(有線)
5G NR対応バンドn1 / n3 / n5 / n8 / n28A / n40 / n41 / n77 / n78
サイズ164.81x76.9x8.5mm(黒)、8.85mm(青、橙)、202g(黒)、197g(青、橙)

ファーウェイのセルフィーモデルの5G版が早くも登場、中郵通信「Hi nova 10」

 アメリカの制裁で5Gモデルを投入できないファーウェイのスマートフォンを、5Gモデルとして展開する中郵通信設備(China Post Communication Equipment)の最新モデルが「Hi nova 10」。ベースモデルは2022年7月に発売されたファーウェイ「nova 10」。nova 10はチップセットにSnapdragon 788 4Gを搭載しており、これを778G 5Gに変更した。インカメラは6000万画素とメインカメラよりも高画質で、セルフィーに強い。

項目内容
発表日2022年10月20日
価格2899元(約5万7000円)から
チップセットQualcomm Snapdragon 778G 5G
ディスプレイ6.67インチ2400x1080ピクセル、120Hz
リアカメラ画素数5000万+800万超広角+200万深度測定
インカメラ画素数6000万(パンチホール)
RAM/ROM構成8GB+128GB、8GB+256GB
バッテリー4000mAh、66W充電(有線)
5G NR対応バンド非公開
サイズ162.18x73.91x6.88mm、168g

前面に6000万画素デュアルカメラを搭載する中郵通信「Hi nova 10 Pro」

 Hi nova 10同様、ファーウェイの「nova 10 Pro」を5G仕様にしたモデルが中郵通信設備(China Post Communication Equipment)の「Hi nova 10 Pro」。インカメラは6000万画素と800万画素のポートレート(2倍望遠)と強力、充電速度も100Wと高速だ。ディスプレイ解像度も高く撮影したセルフィーなどを美しく表示できる。なおHi nova 10と合わせ、どちらのモデルも中国大手ECサイトのファーウェイ公式ストアでも販売されている。

項目内容
発表日2022年10月20日
価格3699元(約7万3000円)から
チップセットQualcomm Snapdragon 778G 5G
ディスプレイ6.78インチ2652x1200ピクセル、120Hz
リアカメラ画素数5000万+800万超広角+200万深度測定
インカメラ画素数6000万+800万ポートレート(パンチホール)
RAM/ROM構成8GB+128GB、8GB+256GB
バッテリー4500mAh、100W充電(有線)
5G NR対応バンド非公開
サイズ164.24x74.45x7.88mm、191g

6400万画素カメラを搭載し急速充電対応のZTE「Voyage 40 Pro+」

 最近トレンドとなっている本体の角をきっちりと出したスクエアな側面デザインのモデルが「ZTEのVoyage 40 Pro+」(運航40 Pro+)。Voyageシリーズは元々大容量バッテリーモデルとして長時間利用に長けていたが、V40 Pro+では66Wの急速充電に対応しながら価格を抑えた。メインカメラも6400万画素で他社のミドルレンジモデルより性能を上げている。

項目内容
発表日2022年10月21日
価格2198元(約4万3000円)
チップセットMediaTek Dimensity 810
ディスプレイ6.67インチ2400x1080ピクセル
リアカメラ画素数6400万+500万マクロ+200万深度測定
インカメラ画素数1600万画素(パンチホール)
RAM/ROM構成8GB+256GB
バッテリー4510mAh、66W充電(有線)
5G NR対応バンドn1 / n5 / n8 / n28A / n41 / n78
サイズ163.5x75.8x7.6mm、192.5g

超高級&ハイスペックなWeb3.0スマホ、VERTU「METAVERTU」

 ラグジュアリーモデルを展開するVERTUは現在中国資本のメーカーとなっている。今月発表された「METAVERTU」は流行りのキーワード「メタバース」をインスパイアしたネーミングだ。仮想通貨やNFT購入のウォレットアプリなどを内蔵し「Web3.0スマートフォン」を謳う。144Hz駆動ディスプレイ、18GBメモリ、1TBストレージ、高画質デュアルカメラなど他社のハイエンドモデルにも引けを取らない性能を有する。IPFSによるクラウド10GBストレージも提供。背面はカーボンファイバー、セラミック、カーフレザー、ヒマラヤレザー&18金&ダイヤモンドなど高級素材を贅沢にも使用した。天然素材はモデルごとに革の部位が異なるため、本体重量はモデルにより大きく異なる。最低価格はカーボンモデルが約50万円、最高価格はヒマラヤレザーの約480万円(3万4350ドル)。

項目内容
発表日2022年10月25日
価格3600ドル(約50万円)から
チップセットQualcomm Snapdragon 8 Gen 1
ディスプレイ6.67インチ2400x1080ピクセル、144Hz
リアカメラ画素数6400万+5000万超広角+800万光学望遠(ペリスコープ)
インカメラ画素数1600万画素(パンチホール)
RAM/ROM構成12GB+256GB、18GB+1TB
バッテリー4600mAh、55W充電(有線)、15W充電(無線)
5G NR対応バンド非公開
サイズ161.9x73.2x9.85mm、重量非公開

学生向けのカジュアルな格安5Gモデル、シャオミ「Redmi Note 12 5G」

 クアルコムの次世代エントリー5Gスマートフォン用チップセットを搭載したモデルがシャオミの「Redmi Note 12 5G」。学生層をターゲットにしておりカラバリは黒、白、青と少ないものの、メモリ構成で4モデルを投入し予算に応じて選ぶことができる。低価格だがディスプレイ解像度はFHD+とし、4800万画素カメラに33W充電とコスパは高い。

項目内容
発表日2022年10月27日
価格1199元(約2万4000円)から
チップセットQualcomm Snapdragon 4 Gen 1
ディスプレイ6.67インチ2400x1080ピクセル、120Hz
リアカメラ画素数4800万+200万深度測定
インカメラ画素数800万画素(パンチホール)
RAM/ROM構成4GB+128GB、6GB+128GB、8GB+128GB、8GB+256GB
バッテリー4800mAh、150W充電(有線)
5G NR対応バンドSA : n1 / n3 / n5 / n8 / n28A / n41 / n77 / n78、NSA : n41 / n78
サイズ165.88x76.21x7.98mm、188g

薄型&ハイデザインのスタイリッシュ端末、シャオミ「Redmi Note 12 Pro」

 高スペックなチップセットを搭載しつつも本体の薄さとスタイリッシュなデザインで女性ユーザーもターゲットにしているのがシャオミの「Redmi Note 12 Pro」。5000万画素カメラに67W充電と普段使いも快適なスペックを搭載している。日本でも発売中の「Redmi Note 11 Pro 5G」の後継機と言える。

項目内容
発表日2022年10月27日
価格1699元(約3万3000円)から
チップセットMediaTek Dimensity 1080
ディスプレイ6.67インチ2400x1080ピクセル、120Hz
リアカメラ画素数5000万+800万超広角+200万マクロ
インカメラ画素数1600万画素(パンチホール)
RAM/ROM構成6GB+128GB、8GB+128GB、8GB+256GB、12GB+128GB
バッテリー5000mAh、67W充電(有線)
5G NR対応バンドn1 / n3 / n5 / n8 / n28A / n38 / n41 / n77 / n78
サイズ162.9x67x7.9mm、187g

Redmiシリーズも2億画素カメラを搭載、シャオミ「Redmi Note 12 Pro+」

 2022年10月に発売した2億画素カメラ搭載モデル「Xiaomi 12T Pro」と同じメインカメラを搭載する「Redmi Note 12 Pro+」はシャオミのカメラフォンとしてのイメージを引き上げる戦略的モデル。2099元の価格で高画質カメラを搭載した製品はライバルメーカーの同価格帯モデルには見当たらない。急速充電も120Wと高速だ。背面の文字やデザインがホログラムのように浮かび上がるYibo Editionも発売になる。

項目内容
発表日2022年10月27日
価格2099元(約4万1000円)から
チップセットMediaTek Dimensity 1080
ディスプレイ6.67インチ2400x1080ピクセル、120Hz
リアカメラ画素数2億+800万超広角+200万マクロ
インカメラ画素数1600万画素(パンチホール)
RAM/ROM構成8GB+256GB、12GB+256GB
バッテリー5000mAh、120W充電(有線)
5G NR対応バンドn1 / n3 / n5 / n8 / n28A / n38 / n41 / n77 / n78
サイズ162.9x76.0x8.98mm、208.4g

9分で満充電、世界初の210W充電対応のシャオミ「Redmi Note 12 Explorer」

 Redmi Note 12 Pro+の充電速度を世界初の210Wに引き上げたモデルが「Redmi Note 12 Explorer」(探索版)。シャオミとしても初の200W超えの高速充電対応モデルで、バッテリー容量は4300mAhとやや減らしながらも5分で66%、9分で満充電が可能。本体サイズやスペックはRedmi Note 12 Pro+と同等でこちらも2億画素カメラを搭載。背面のRedmiロゴの横に「210W」の文字が入ることで外観上の区別がつく。なおバッテリー容量を減らしたことで重量もわずかに軽くなっている。

項目内容
発表日2022年10月27日
価格2399元(約4万7000円)
チップセットMediaTek Dimensity 1080
ディスプレイ6.67インチ2400x1080ピクセル、120Hz
リアカメラ画素数2億+800万超広角+200万マクロ
インカメラ画素数1600万画素(パンチホール)
RAM/ROM構成8GB+256GB
バッテリー4300mAh、210W充電(有線)
5G NR対応バンドn1 / n3 / n5 / n8 / n28A / n38 / n41 / n77 / n78
サイズ162.9x76.0x8.98mm、207.5g
山根 康宏

 香港在住。中国をはじめ世界中のモバイル関連イベントを毎月のように取材し、海外の最新情報を各メディアで発信している。渡航先で買い集めた携帯電話は1000台以上、プリペイドSIMカードは500枚以上というコレクターでもある。