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アイピーモバイル本社の入り口は扉が閉められており、あたりに人気はない
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扉には弁護士事務所への連絡先が張り出されていた
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アイピーモバイルは10月30日、東京地裁に自己破産の申し立てを行なった。
東京地裁への申請は、丸の内中央法律事務所が代理人として行なった。担当弁護士によれば、破産の申請を行なったことは事実で、負債総額は9億円とのこと。債権者は110名で、その多くは法人企業となる。破産に至った理由として、11月9日のサービス開始期限までに提供することが困難と判断したことを挙げている。
一方、総務省には、アイピーモバイルより2GHz帯の周波数帯の認定を返上する旨が伝えられた。同省担当者は、アイピーモバイルの経営破綻については認識していないとしたが、認定の返上があり、これを総務省が受け付けた。
アイピーモバイルは、2005年11月、2GHz帯でのTD-CDMA方式のモバイルブロードバンドサービスを展開するとして、総務省より免許が割り当てられた。この中で、免許の割り当てから2年以内のサービス開始が条件となっており、その期限は11月9日にせまっていた。
担当弁護士によれば、「免許認定を返上し、アイピーモバイルが事業を行なう意味が無くなったため、破産の申請を行なった。サービス開始への投下資金は潤沢とは言えず、破産までに資産はほとんど何も残っていない状況だった」という。
なお、総務省の担当者は、「サービスが期間内に提供できないからといって、簡単に免許の認定が返上できるものではない」としており、アイピーモバイルからの申し入れを今回は受け付けただけとの認識を示した。同省では今後、電波監理審議会などでの審議を踏まえ、認定取り消しに向けて手続きを進めていく。
■ アイピーモバイル、破産申請までの流れ
「ポケットの中のブロードバンド」を目指すとしていたアイピーモバイルが、他の事業者と大きく異なっていた点は、TD-CDMA方式を使ったデータ通信特化型のサービスを展開するとしていたことだ。この方式は、無線通信の上りと下りに同じ周波数を利用するTDD方式を採用しており、端末間通信(アドホック通信)が可能となっている。
同社では当初、2006年10月のサービス開始としていたが、サービス開始時期は2007年春に延期。さらに、その後、商用サービスのスタートが2007年秋に再延期されることが明らかにされた。また、2007年4月には、筆頭株主だったマルチメディア総合研究所(現 MM総研)の保有株が森トラストに譲渡され、経営陣を刷新した。森トラストはその後、米通信事業者のNextWave Wirelessへ株式を譲渡した。
しかし、NextWaveへの株式譲渡にはオプションがあり、株式譲渡から2カ月以内であれば、同じ条件で森トラストへ反対売買できるようになっていた。NextWaveが9月にこのオプションを行使したため、アイピーモバイル株式は再び森トラストが買い戻すことになった。
その際、森トラストは同時に、アイピーモバイル会長の杉村五男氏と株式譲渡契約を締結したと発表。これを受けて、アイピーモバイルの代表取締役社長である竹内一斉氏(当時)は、取締役会の承認を得ていないため、杉村氏への株式譲渡が無効である主張し、森トラストが杉村会長以外の取締役の解任を求め、泥沼の状況となった。
2007年10月、新社長に杉村五男氏が再び就任し、アイピーモバイルの筆頭株主が森トラストから杉村氏になったことが発表された。23日には、香港の通信関連企業であるディスタコムグループから支援を受けて、通信方式をTD-CDMAからTD-SCDMA方式に変更してサービス開始を目指す方針が明らかにされたばかりだった。
■ URL
アイピーモバイル
http://www.ipmobile.jp/
報道資料(総務省)
http://www.soumu.go.jp/s-news/2007/071030_5.html
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(津田 啓夢)
2007/10/30 15:05
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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