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19日、アイピーモバイルと森トラストは、それぞれアイピーモバイル筆頭株主の変更に関する発表を行なった。アイピーモバイルからは、米通信関連企業のNextWave Wirelessが株式返却オプションを実行したことだけ明らかにされたが、森トラストはそれに加えてアイピーモバイル会長の杉村五男氏と株式譲渡契約を締結したと発表している。
19日時点で、アイピーモバイルでは森トラストと杉村氏間の契約について把握していなかったが、21日午前に尋ねたところ、「20日昼に取締役の竹内一成が杉村会長と電話で連絡がつき、森トラストと個人で契約を締結したことを確認した」(アイピーモバイル広報)と説明する。
今回の事態について「19日のお昼くらいに、一度森トラストからアイピーモバイル経営陣に株式買い取りのオファーをいただいたが、取締役会は全会一致で断ることを決議した。その後、詳しい経緯は不明だが、杉村会長が個人で引き受けることになった。森トラスト側の発表では杉村氏と“関係者”との契約とされているが、当社ではまだその関係者を把握していない」という。
また、取締役会で「株式買い取りを行なわない」としたにもかかわらず、杉村氏が契約したことに対して、「会社のためにとった行動とはいえ、経営会議に反する行動をとったことに変わりはない」として、竹内氏から杉村会長に対して辞任要請を出していることを明らかにした。
アイピーモバイルの株式が譲渡される場合、アイピーモバイル側の取締役会で承認する必要があるとのことで、現時点ではNextWaveから森トラストへの株式移動については決議している。ただし、森トラストから杉村氏への譲渡については、まだ正式な要請が来ていないため、決議していないとのこと。
■ 森トラストは発表から変更なし
森トラストに対して、あらためて現状を尋ねたところ、「19日にNextWaveから買戻し通知を受け取り、発表したが、現在、手続きをしているところ。おそらく9月25日頃には森トラスト側にNextWave保有分が戻ってくる。杉村氏に対する譲渡契約はその後行なわれるだろう。21日正午時点で、アイピーモバイル筆頭株主は正式にはNextWaveだ」と説明している。
アイピーモバイルの資本金は33億5,000万円で、筆頭株主間でやり取りされているのは、発行済株式のうち69.23%、16万4,422株に及ぶ。森トラストでは「杉村氏が(株式買収金額を)支払えることは確認している」としている。
■ 総務省は「事態を注視」
なお、総務省では、アイピーモバイルの特定基地局開設計画に対して、免許認定から2年以内の開業を求めている。同省移動通信課では「株主の移動ということで、現状は注視するしかない。株主移動について報告は受けているが、事業化に向けた影響はこれから話を聞いていきたい」と説明している。
正確には今年11月9日で、アイピーモバイルの免許認定から2年経つが、今後はどうなるのか。現時点で想定できる状況について、同課では「その時点でもしサービス開始の見込みがないということになれば、(2年以内の開始という)規定に反することになり、電波法の規定に基づき、認定の取り消しなどを検討することになるだろう。逆に、返上の申し出があれば、BBモバイルの時と同じく、電波監理審議会に諮問することはあるだろう。しかし、今日・明日の段階では、事業化への影響を判断する事実がない。やるべきことは動向を注視すること。アイピーモバイルも何もしていないわけではない。これまでも頻繁に進捗報告や相談などを受けている」としている。
■ URL
アイピーモバイル
http://www.ipmobile.jp/
森トラスト
http://www.mori-trust.co.jp/
総務省
http://www.soumu.go.jp/
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・ NextWaveと森トラスト、アイピーモバイル事業から撤退
(関口 聖)
2007/09/21 14:28
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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