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ワイドVGAとハイスピードで快適な環境を目指した「N904i」
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。携帯電話をはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。「できるWindows Vista」「できるポケット LISMOですぐに音楽が楽しめる本」(インプレスジャパン)、「お父さんのための携帯電話ABC」(NHK出版)など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。。


 今年4月に発表され、5月下旬から順次、販売が開始されているNTTドコモの904iシリーズ。その第1弾となるのがNEC製端末「N904i」だ。904iシリーズではもっともハイスペックの端末として注目を集めている。筆者も実機を購入したので、レポートをお送りしよう。


NTTドコモ/NEC『N904i』、サイズ:49×104×18.9mm、113g。Orange Cut(写真)、Pink Soda、Day and Night、Urban Blueをラインアップ

NTTドコモ/NEC『N904i』、サイズ:49×104×18.9mm、113g。Orange Cut(写真)、Pink Soda、Day and Night、Urban Blueをラインアップ
 「DoCoMo2.0」のキャッチコピーとともに、端末の販売が開始された904iシリーズ。「2in1」や「うたホーダイ」など、新しいサービスも同時に開始されたが、904iシリーズは903i/iTV/iXシリーズと比べ、今のところはラインアップが5機種と少ないこともあり、店頭でもそれほど大きな存在感を打ち出せていない印象だ。

 しかし、そんな904iシリーズのラインアップでも注目を集めているのが今回紹介するNEC製端末「N904i」だ。NEC製端末と言えば、元々、保守的と言われるNTTドコモの端末ラインアップにおいて、もっとも保守的と言われてきたメーカーだが、昨年あたりからデザインや機能面において、新しい取り組みを始めており、少しずつイメージが変わりつつある。特に、今回のN904iは「ルネサンス」というキーワードを掲げ、今までのモデル以上に、ドラスティックにNシリーズのイメージを変えようとしている。


従来のN903i(左)とは大きくデザインのコンセプトを変えてきたN904i(右)

従来のN903i(左)とは大きくデザインのコンセプトを変えてきたN904i(右)
 こうした動きの背景にあるのは、NTTドコモのラインアップの内、あるいは日本のケータイ業界全体でのシェアの大きな変化が挙げられる。国内ではNECとパナソニックモバイル コミュニケーションズが市場をリードし、長らくトップシェアを二分してきたが、ここ数年、シャープのSHシリーズが急速にシェアを伸ばし、多くの調査でもNEC、パナソニック、シャープの三強時代が来たと言われている。

 そこで、もう一度、奪われたシェアを取り戻すため、Nシリーズとして今までにないチャレンジをしようというわけだ。N903iやN703iD、N703iμまでの端末もこうした考えに基づいて開発されていたが、今回のN904iはデザインやスペックだけでなく、ユーザーインターフェイスの部分にまで踏み込んで、大きく変更されている点が注目される。


GPSからFOMAハイスピードまでのフルスペック仕様

 NTTドコモは904iシリーズとして、5機種を発表し、すでに4機種が市場に投入されているが、N904iはそのラインアップの中でもっともスペック的に充実している。

 まず、ネットワークへについては、HSDPA方式によるFOMAハイスピードに対応し、下り方向で最大3.6Mbps、上り方向も最大384kbpsの高速パケット通信を可能にしている。NECとしては、N902iX HIGH-SPEED以来、2機種目のFOMAハイスピード対応端末ということになる。904iシリーズからは型番に「HIGH-SPEED」という名称が与えられなくなったが、N904iは今回の904iシリーズで唯一のFOMAハイスピード対応モデルだ。FOMAハイスピードについては、P903iX HIGH-SPEEDなど、従来の対応端末のレビューでも触れたように、下り方向で最大3.6Mbpsという通信速度はあくまでも理論値でしかないが、実際にiモードのコンテンツ閲覧をしているときなどもサクサク感が違い、一度、使いはじめると、元の環境に戻りにくくなる印象もあるほどだ。後述するフルブラウザも含め、パケット通信を頻繁に利用するユーザーにとっては、魅力的なポイントだろう。ちなみに、通常のW-CDMA方式で利用した場合もFOMAハイスピードで利用した場合も料金は変わらないが、人口カバー率は2007年3月現在で約70%となっており、FOMAハイスピードの恩恵を受けられるのは当面、都市圏のユーザーに限られることになる。

 2つめのスペックのアドバンテージは、480×854ドット表示が可能な3インチのワイドVGA液晶を搭載している点だ。Nシリーズでは従来のN903iで480×690ドット表示が可能な2.5インチのVGA+液晶を搭載していたが、縦方向に50ドット長いというサイズはあまり広く見えないうえ、表示フォントが粗かったため、VGAクラスのメリットを十分に生かし切れていなかった。それが証拠に、903iシリーズではワイドQVGAながら、物理的なディスプレイサイズが大きいSH903iの方がユーザーの注目を集め、何度もトップセールスを記録している。


メールの表示フォントはVGAサイズに合わせたものになり、格段に視認性が向上している iモードの画面は残念ながら、ブラウザの制限もあり、粗いフォントでの表示となっている
メールの表示フォントはVGAサイズに合わせたものになり、格段に視認性が向上している iモードの画面は残念ながら、ブラウザの制限もあり、粗いフォントでの表示となっている。フォントを「細字」にすれば、荒さが目立たなくなるかもしれない

 今回のN904iに搭載されたワイドVGA液晶は、16:9比の本格的なワイド表示が可能なうえ、物理的なサイズも3インチと、通常スタイルのケータイとしては最大級となっている。表示フォントについてもメールはワイドVGAサイズに合わせたものが採用され、視認性が良くなっている。ただし、iモードサイトの閲覧については、共通仕様のブラウザの制限もあり、従来同様、粗いフォントでの表示となっている。


プリインストールされている「ゼンリン地図+ナビN」は起動画面にメニューが表示されるなど、従来よりも改良されている

プリインストールされている「ゼンリン地図+ナビN」は起動画面にメニューが表示されるなど、従来よりも改良されている
 対応サービスのスペックも十分に満たしている。903iシリーズでは無印の903iシリーズがGPSに対応していたのに対し、903iX/iTVシリーズはワンセグやFOMAハイスピードに対応する一方、GPSに対応しないというチグハグさが気になったが、904iシリーズは今のところ、GPSが標準仕様となっており、N904iも対応している。

 GPS対応アプリについては、N903iと同じ「ゼンリン地図+ナビN」がプリインストールされているが、起動画面にメニューが用意されたり、簡単モードで初心者にも使いやすくするなど、大幅に改善されている。表示もワイドVGAに対応しており、高精細な地図を表示できるが、FOMAハイスピードの高速通信のおかげか、データ量が多い割にストレスを感じない。


ユニークなもうひとつのフルブラウザ

 NTTドコモでは今年3月からフルブラウザに対応したパケット通信料の定額制サービス「パケ・ホーダイフル」を開始している。最終的な上限額は他社のパケット通信料定額制サービスと変わりないが、通常のパケット通信料定額制サービスの「パケ・ホーダイ」とは別のプランであり、実際の利用の有無にかかわらず、月額5,985円が請求されるというしくみはかなり敷居が高いと言わざるを得ない。とは言うものの、フルブラウザを活用できる料金体系ができたことは評価すべきだろう。


ビューアタイプのフルブラウザ。ドキュメントビューアなどで知られる英Picsel Technologiesの「Picsel Browser」をベースにしたもの 拡大縮小もスムーズで、ページ全体を表示することも可能 横画面での表示にも対応。ワイドVGA液晶ともマッチして、非常に見やすい
ビューアタイプのフルブラウザ。ドキュメントビューアなどで知られる英Picsel Technologiesの「Picsel Browser」をベースにしたもの 拡大縮小もスムーズで、ページ全体を表示することも可能 横画面での表示にも対応。ワイドVGA液晶ともマッチして、非常に見やすい

特徴的なURLを入力するソフトキー。上下左右がつながり、仮想的な球状の構造。履歴によるオートコンプリートも利用可能

特徴的なURLを入力するソフトキー。上下左右がつながり、仮想的な球状の構造。履歴によるオートコンプリートも利用可能
 NTTドコモでは従来から90Xiシリーズを中心に、iモードブラウザと同じACCESS製のフルブラウザを搭載しているが、N904iにはこれに加え、新たに英Picsel Technologiesの技術による「ビューアタイプ」と呼ばれるフルブラウザが搭載されている。Picsel Technologiesと言えば、国内の携帯電話の多くでオフィス文書などを端末上で閲覧できるドキュメントビューアが採用されているが、ビューアタイプのフルブラウザも読み込まれたホームページが同じように描画され、拡大や縮小もスムーズに画面に表示される。表示は縦方向だけでなく、横画面表示にも対応する。NシリーズのFOMA端末でおなじみのニューロポインターも利用可能だ。

 ビューアタイプのフルブラウザは画面の描画だけでなく、URL入力のユーザーインターフェイスもユニークだ。画面に表示されたソフトキーを選びながら入力するが、上下左右がつながったような構造になっており、方向キーでカーソルを移動しながら、項目を選び、文字を入力するしくみとなっている。ソフトキーには英数字だけでなく、「.co.jp」や「.html」などの定型句も登録されており、URLを容易に入力することができる。

 従来モデルと同じACCESS製のフルブラウザは「スタンダードタイプ」として区別されているが、こちらも最大5つのページを切り替えながら表示できるタブブラウジングなどが新たに搭載されている。iモードブラウザとの切り替えやメール作成画面へのジャンプなどの機能も用意されている。Bookmarkは両タイプで共用する仕様となっている。


キーアサインの変更

 昨年あたりから変化が見られてきたNシリーズだが、NECは今回のN904iをNシリーズの変革の大きなターニングポイントと捉えている。スペックや機能面はここまで説明してきたとおりだが、それ以外の部分で、ある意味、非常に大胆な変更を加えている。それはキーアサインの変更だ。


従来のNシリーズから濁点や半濁点のキーアサインを変更。[開始]キーや[#]キー、[*]キーなどのキープリントに注目

従来のNシリーズから濁点や半濁点のキーアサインを変更。[開始]キーや[#]キー、[*]キーなどのキープリントに注目
 NTTドコモの端末は、iアプリなどの仕様を見てもわかるように、各開発メーカーごとにそれぞれの設計思想があり、ユーザーインターフェイスも異なる。そのため、NTTドコモのユーザーの間では、よく「私は今までもNだから、次もN」「ずーっと、Pばっかり使ってるから、これしか使えないんだ」といった声が聞かれる。メニュー画面などはFOMAになってから少しずつ整理され、ある程度、各社で共通化されてきたが、それでも各社のクセが強く出ているのが文字入力のキーアサインだ。実は、冒頭で触れた「ここ数年、SHシリーズが伸びてきた」という話の裏には、SHシリーズがこのキーアサインに着目し、他社ユーザーがSHシリーズに乗り換えられるように工夫してきたことも関係している。

 そんな中、NECはNシリーズのユーザーが慣れ親しんだキーアサインを頑なに固持してきたのだが、N904iではついにキーアサインに変更を加えている。たとえば、日本語入力の濁点や半濁点の入力は、他事業者向けのモデルも含め、Nシリーズ以外のほとんどのモデルは[*]キーに割り当てられている。Nシリーズは従来から[#]キーに割り当てられていたが、今回のN904iでは[*]キーに割り当てを変更している。同様に、[*]キーの長押しで改行、英字モード時に[#]キーで「 http:// 」など(従来は[*]キー)といった具合いだ。


マルチタップで入力中、行き過ぎたときの逆トグルは[開始]キーに割り当てられている。画面にもガイドが表示され、わかりやすい

マルチタップで入力中、行き過ぎたときの逆トグルは[開始]キーに割り当てられている。画面にもガイドが表示され、わかりやすい
 さらに、Nシリーズの日本語入力で使いにくかったスペースの入力、マルチタップ入力時の逆トグルについても改良されている。従来はスペースを入力するのに、サブメニューから選択しなければならなかったが、N904iでは[#]キーのマルチタップ(英数字モード時以外)で入力することができる(従来のサブメニューからの入力も継承)。逆トグルはたとえば、「え」を入力するとき、[1]キーを4回押すところを5回押してしまい、逆順に戻したいときに操作する方法だが、従来のNシリーズではサイドキーに逆トグルを割り当てており、非常に操作しにくかった。N904iではこれを見直し、[開始]キーの押下で逆トグルを選べるようにしている。この他にも「ぁ」や「ぅ」といった小文字を入力するとき、「あ」や「う」といった文字を入力後、[*]キーで小文字に変換できるようにするなど、細かい部分にも変更が加えられている。しかもそれらをわかりやすくするため、キートップにもプリントをするなどの配慮が見られる。

 こうしたキーアサインの変更は、メーカーとして、非常に勇気のいるものだが、ケータイがこれだけ普及し、自社シリーズのユーザーに継続利用してもらうだけでなく、他機種からの乗り換えも無視できない状況になったこともあり、NECは敢えてチャレンジをしたようだ。既存のNシリーズのユーザーは少し戸惑うかもしれないが、筆者が試用した限り、比較的、慣れやすいように変更が加えられたという印象だ。


ユニークなボディデザインだが……

 NECが「ルネサンス」と位置付けるN904iだが、NTTドコモとしては初の海外デザイナーとのコラボレーションを実現し、イタリア人デザイナーのステファノ・ジョバンノーニ氏を起用している。


右側面にはイヤホンマイク端子、microSDメモリーカードスロットを備える。カバーの文字デザインも独特
スッキリと仕上げられた側面。折りたたみデザインのボディと内側を対比させたカラーリングが印象的 右側面にはイヤホンマイク端子、microSDメモリーカードスロットを備える。カバーの文字デザインも独特

折りたたみのスタンダードを作ったNシリーズを強調するため、ヒンジ部には独特の加工を施している

折りたたみのスタンダードを作ったNシリーズを強調するため、ヒンジ部には独特の加工を施している
 Nシリーズの端末は従来から「アークライン」や「Link Face Design」など、ボディ側面のデザインにこだわってきた印象があるが、N904iは折りたたみデザインであることを表現するため、ヒンジ部分に凹凸の加工を施し、敢えて目立たせるようにまとめている。

 また、端末を折りたたんだときの美しさを考え、ディスプレイ部とボタン部の間に、ボディ内側のカラーをアクセントとして表現している。個人的には、はじめてN904iを見たとき、「デザイン端末らしくないな」という印象を受けたが、取材などでデザインのコンセプトを聞き、実機を所有してみると、全体的にスッキリとまとめられながら、強すぎない程度にデザインのアクセントを持たせているという印象に変わってきた。


 ただ、ボディカラーについては、少し選びにくい印象も残った。筆者は悩みに悩んだ挙げ句、「Orange Cut」と名付けられたブラックを選んだが、筆者の周りで購入したユーザーは「Day and Night」が圧倒的に多い。その他のボディカラーを選ばなかった理由を聞くと、端末の外側と内側のカラーのコントラストが強く、イメージに合わないと判断したからだという。開いたときと閉じたときのコントラストは、デザイナーが敢えて狙ったものなのだろうが、やや戸惑うユーザーも多いようだ。


背面には6軸手ブレ補正を搭載したAF対応3.2Mピクセルカメラを搭載。突起がないため、指をかけないように注意したい 内蔵カメラは320万画素のCMOSを採用。QXGAサイズで撮影したサンプル画像。リンク先は無加工。(モデル:吉川ひとみ/写真集「IMPACT」限定発売中!)
背面には6軸手ブレ補正を搭載したAF対応3.2Mピクセルカメラを搭載。突起がないため、指をかけないように注意したい 内蔵カメラは320万画素のCMOSを採用。QXGAサイズで撮影したサンプル画像。リンク先は無加工。(モデル:吉川ひとみ/写真集「IMPACT」限定発売中!)

 また、N904iでもうひとつ気になるのは、プリインストールされているiモーションだ。今回の904iシリーズにはプロモーションのため、映画「転校生」の予告編がプリインストールされているが、これが約10MBもあるため、N904iはiモーションで利用できるメモリの空き容量がほとんどない。しかもこの「転校生」の予告編は、microSDカードにも移動できないため、ユーザーは予告編を削除するか、iモーションのダウンロードを諦めるしかないわけだ。

 高品質なビデオクリップが楽しめることはN904iの特徴のひとつだが、メモリの空き容量がほとんどない状態で出荷するというのはあまりにも不親切ではないだろうか。映画の予告編に興味がなければ、削除することも気にならないが、逆にこの映画に思い入れのあるユーザーにしてみれば、予告編を削除することをためらってしまうかもしれない。今後、ケータイにムービーなどがプリインストールされるケースは増えてくるだろうが、こうした不親切な状態での出荷は避けるべきだろう。


ワイドVGA&FOMAハイスピードを活用したいなら「買い」

 さて、最後にN904iの買いのポイントについて、考えてみよう。従来から保守的なアプローチが多いとされてきたNシリーズだが、今回のN904iはキーアサインの変更など、NECが掲げる「ルネサンス」に相応しい変革を実行している。スペック的には、通常デザインの国内向け端末では最大級となる3インチのワイドVGA液晶が持つアドバンテージが大きく、それを活かすためのGPS対応アプリや2つのフルブラウザなどが用意されている。


スッキリとまとめられたボディ。背面には有機ELによるサブディスプレイを装備

スッキリとまとめられたボディ。背面には有機ELによるサブディスプレイを装備
 対応エリアはまだ限定的だが、FOMAハイスピードはフルブラウザやアプリによる通信だけでなく、iモードのコンテンツ閲覧などでもサクサク感も得られる効果があり、他の904iシリーズにはない快適な環境を実現している。2in1の説明については別の機会に譲るが、このサービスを必要としているユーザーは確実に存在し、少しずつ認知されつつあるようだ。

 これらのことを総合すると、N904iを買いと言えるのは、ワイドVGAを活かすフルブラウザやGPSアプリ、FOMAハイスピードの環境を活用したいユーザーということになる。ワンセグはないが、総合的なスペックは他の904iシリーズよりも一歩抜きん出ており、904iシリーズでは最強と言って差し支えない端末と言えるだろう。使い勝手の面も従来のNシリーズで指摘されていた点を改良し、他機種からの乗り換えユーザーも取り込む環境を整えている。ただ、前述のようにボディカラーについては、少し選択しにくい面もある。

 また、これは今回の904iシリーズに共通して言えることだが、次期モデルである905iシリーズに関する情報がインタビューで多くコメントされており、ユーザーとしては先のモデルが気になってしまい、904iシリーズをちょっと買いにくい状況になりつつある。特に、NTTドコモはauに比べ、端末の販売価格が高いことを考慮すると、より「買うタイミングを間違えたくない」と考えてしまうため、少し購入を躊躇しそうだ。このあたりをどう判断するのかも904iシリーズを買いと捉えるか否かの分かれ目になりそうだ。



URL
  ニュースリリース(NTTドコモ)
  http://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/page/070423_00.html
  ニュースリリース(NEC)
  http://www.nec.co.jp/press/ja/0705/2203.html
  製品情報(NTTドコモ)
  http://www.nttdocomo.co.jp/product/foma/904i/n904i/
  製品情報(NEC)
  http://www.n-keitai.com/n904i/

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(法林岳之)
2007/06/14 15:02

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