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光学2倍ズームでカメラ付きケータイを進化させた「V602SH」
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■ カメラ付きケータイから踏み出した新スタイル
昨年来、液晶ディスプレイを前面に露出できる端末の発売が相次いでいるが、カメラ付きケータイを生み出したボーダフォンのシャープ製端末にもスウィーベルスタイルを採用した「V602SH」が登場した。世界初となる光学2倍ズームを搭載するなど、今までのカメラ付きケータイから一歩踏み出したモデルという印象だ。筆者も実機を購入したので、レポートをお送りしよう。
■ カメラ付きケータイとデジタルカメラ
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ボーダフォン/シャープ『V602SH』。サイズ:50×99×25mm(折りたたみ時)、134g。ルビーレッド(写真)、ジェイドブルー、セラミックホワイトをラインアップ
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カメラ付きケータイとデジタルカメラの違いとは? この連載では過去にも何度となく、触れてきたテーマだ。昨年、J-SH53でカメラ付きケータイにメガピクセルカメラが搭載されて以来、いろいろな場所でカメラ付きケータイとデジタルカメラを比較する話題を耳にした。そのスタンスは人によって、さまざまだが、『ケータイ・イズ・ノット・イナフ Act.6』でも触れたように、筆者はデジタルカメラとカメラ付きケータイにはそれぞれの利点があり、カメラ付きケータイにはカメラ付きケータイとして満たすべき条件があると考えている。
また、カメラ付きケータイには高画素化が進んだとしてもデジタルカメラになかなか追い付けない要素(機能)がいくつかある。そのひとつがズームだ。現在、カメラ付きケータイに搭載されているズーム機能は、デジタルズームを採用している。デジタルズームはCCDに映し出された画像の一部分を切り抜いて拡大表示しているため、どうしても画質的に粗くなってしまう。これに対し、デジタルカメラなどで採用されている光学ズームは、レンズを動かすことによって拡大しているため、CCD本来の性能を引き出すことができる。つまり、一定の距離にある被写体を撮影するとき、デジタルカメラなどの光学ズームは画質を落とすことなく、拡大(ズーム)することができるのに対し、カメラ付きケータイでは被写体に近づくか、デジタルズームで画質を落として、拡大(ズーム)するしかなかったわけだ。
今回紹介するボーダフォンのシャープ製端末「V602SH」は、世界で初めてカメラ付きケータイの光学2倍ズームを搭載した端末だ。カメラ付きケータイを生み出したボーダフォンとシャープのコンビが再びカメラ付きケータイをデジタルカメラに一歩、近づけたということになる。また、V602SHはスウィーベルスタイルを採用することにより、昨年来、採用例が増えている液晶ディスプレイを前面に露出できるスタイルを可能にしている。デザイン的にも従来のV601SHから一新され、新たなる進化を始めた端末と言えそうだ。実機を見ながら、その出来をチェックしてみよう。
■ 液晶ディスプレイを反転できるスウィーベルスタイルを採用
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液晶ディスプレイが180度、ツイストするスウィーベルスタイルを採用
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製品のスペックや細かい仕様については、ボーダフォンとシャープの製品情報ページ、「ケータイ新製品SHOW CASE」を参考にしていただくとして、ここでは筆者が購入した端末で得られた印象を中心に紹介しよう。
まず、ボディは従来のV601SHがスタンダードな折りたたみデザインを採用していたのに対し、V602SHでは二軸回転式の「スウィーベルスタイル」を採用している。ベースとなるのは折りたたみデザインだが、端末を開いた状態で液晶ディスプレイを時計回りに180度、ターンさせることができ、その状態で再び折りたたむことができる。液晶ディスプレイ部は、端末を少しでも開いた状態からフルに開いた状態まで、どこでもターンできるようになっており、端末の開きが少ない状態のときはターンするディスプレイ部の角がボタン面に干渉するが、ディスプレイ部の角にはゴムが埋め込まれており、ボタン面が傷つかないようになっている。
実際の利用スタイルとしては、通常の折りたたんだ状態の「Close Position」、端末を開いた「Open Position」、液晶ディスプレイを反転させて折りたたんだ状態の「Viewer Position」、そして、液晶ディスプレイを背面のカメラ側に向けた「Self Shot Position」で利用することが可能だ。Close Positionは持ち歩き、Open Positionは通常のメールやコンテンツ閲覧、通話、Viewer Positionはデジタルカメラスタイルでの撮影やミュージックプレーヤー、動画ビューアの利用、Self Shot Positionはカメラでの自分撮りを想定している。液晶ディスプレイをターンさせるツイストヒンジはしっかりとした剛性感があり、操作感も全体的にしっかりしている印象だ。
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液晶ディスプレイを裏返した状態で折りたたむことができる
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カメラはボタン面の背面側に装備。カメラ部の右下にはモバイルライトが内蔵されている。カメラ部の左上にあるのがサブディスプレイ
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カメラはボタン面の背面側のヒンジ部寄りにセットされており、ヒンジ部は少し外側に盛り上がった構造となっている。シャープによれば、この部分に光学ズームを含んだカメラモジュールが内蔵されているという。本体右側面にはSDカードスロット、左側面には平型コネクタを採用したイヤホンマイク端子が装備されている。イヤホンマイク端子に付属のビデオ出力ケーブルを接続し、端末に表示されている画面をテレビなどに映し出すことができる(一部制限あり)。
液晶ディスプレイは240×320ドット/26万色表示が可能な2.4インチCGシリコン液晶パネルを採用している。スウィーベルスタイルを採用したことで、サブディスプレイは一行表示のモノクロ液晶が採用され、カメラ部横に装備されている。サブディスプレイには着信番号や電波状態、バッテリー状態などが表示される。
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メインディスプレイは2.4インチCGシリコン液晶パネルを採用。電池マークとアンテナマークのアイコンはV601SHの裏技と同じ手順で変更可能
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カメラ部横に装備されたサブディスプレイはモノクロの一行表示
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ボタン類は方向キーと決定ボタンを組み合わせた[マルチガイド]ボタンを中央上部に、左上に[ボーダフォンライブ!]ボタン、右上にユーザーショートカットを表示する[ダイレクト]ボタン、左下に[開始]ボタン、右下に[電源/終了]ボタンを配している。これらのボタンとテンキー部の間には、左から[クリア]ボタン、[スケジュール/メモ]ボタン、[文字]ボタンが並んでいる。ボタン類の配置そのものはV601SHとほぼ同じだが、キー形状などが変更されたため、外見の印象は少し異なる。右側面には底面側から順に、[C]ボタン、[シャッター]ボタン、スライド式の[ズーム/選択]ボタンが装備されている。これら側面のボタンはViewer Positionでカメラ機能を利用するとき、カメラ機能を呼び出したり、メニュー操作などに利用できる。
全体的にはV601SHに比べ、スリムになった印象で、デザイン的にもスクウエアなイメージが強い。特に、背面ディスプレイがなくなったためか、液晶ディスプレイ部が薄くなっており、全体的なスリム感の向上に寄与している。
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ボタン類はV601SHのレイアウトをベースにしながら、キー形状などを変更
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サイドキーはシャッターとスライド式キーなどを装備
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■ 3Dグラフィックスで表現されるインデックスメニュー
ボーダフォンのシャープ製端末と言えば、高機能ケータイの最先端的な存在だが、今回のV602SHもV601SHに搭載された機能を継承しながら、さらに機能を充実させている。
まず、メールはフォルダによる管理に対応し、自動振り分けも可能だ。振り分け条件はメールメニュー内の「メールボックス設定」で件名を登録するか、メモリダイヤルに登録されている各項目で受信メールの保存先フォルダを登録するしくみになっている。V602SHでは新たに振り分け条件として、「未登録アドレス振り分け」が加わったため、迷惑メールなどを一括して振り分け、消去しやすくしている。V601SHから搭載され、好評を得ている「送信予約メール」や「受信メール即読」も継承されている。
また、V602SHはスウィーベルスタイルを採用しているが、通常のOpen Positionだけでなく、Viewer Positionでのメール閲覧も可能だ。操作は側面の[ズーム/選択]ボタンなどを利用するため、操作に慣れが必要だが、片手でも操作できるのはシチュエーション次第で便利と言えそうだ。また、着信メロディは40和音から64和音へと強化され、新たに着うたにも対応している。
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メールはフォルダによる管理、自動振り分けに対応。フォルダ名は自由に変更できる
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未登録メールアドレスを特定のフォルダに振り分ける条件も用意された
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日本語入力は「ケータイShoin3」にバージョンアップ。予測変換もわかりやすい
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日本語入力は従来の「ケータイShoin2」からバージョンアップした「ケータイShoin3」が採用されている。ケータイ Shoin3では近似予測変換の対象となる入力文字が3文字から5文字に伸び、メモリダイヤル登録時の人名優先変換などが強化されている。従来から採用されている時間帯に合わせて1文字変換の候補が変化する「推測頭出し変換」、辞書を追加できる「ダウンロード辞書」、五十音の各行の先頭のみを入力して変換する「ワンタッチ変換」なども搭載されている。
メニュー画面は9分割のアイコン表示を採用しているが、3Dグラフィックスで表示され、動きもユニークなものになっている。通常のメニュー画面の「インデックスメニュー」とミュージックプレーヤーや電子ブックビューアを呼び出す「オススメメニュー」の切り替えも画面がくるりと回るアニメーションが加えられている。ちなみに、メニュー画面はOpen PositionからViewer Positionに変更したときでも表示方向が変わらないため、場合によってはPositionを変更したとき、端末を持ち替えなければならないことがある。
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メニュー画面は9分割アイコン表示を採用。3Dグラフィックス表示によるユニークな動きも楽しい
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オススメメニューにもアニメーションで切り替わる。同じく9分割アイコン表示を採用
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V602SHをマイク代わりに歌える「ケータイカラオケV-kara」に対応
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Vアプリはボーダフォンライブ!で展開が始まった「256KアプリVer.2」に対応しており、V602SHには「イースVI~ナピシュテムの匣(はこ)」の体験版がプリインストールされている。対応アプリはまだ限られているが、ビデオ出力機能を利用すれば、テレビ画面に映し出してVアプリを楽しむことも可能だ。ちなみに、V602SHには3Dグラフィックス回路を内蔵したMPEG-4動画像処理LSI「T4G」(東芝製)、3Dエンジン「Mascot Capsule Ver.4」(エイチアイ製)がケータイとしてはじめて搭載されており、美しく立体的なグラフィックによるゲームを楽しめるようにしている。
同じビデオ出力を利用した機能としては、カメラで撮影した静止画や動画の再生があり、タテ撮りとヨコ撮りもそれぞれに合わせた画面表示も可能だが、V602SHでは端末のディスプレイに表示される画面をほぼそのまま、テレビ画面に映し出すことができる。つまり、メニュー画面はもちろん、メールやスケジュール画面、後述するSVG-Tファイルなどもテレビ画面に映し出せるわけだ。残念ながら、ボーダフィンライブ!の画面は著作権的な問題もあるため、表示されないが、その他の機能はほとんどビデオ出力が可能と考えて良い。
また、V602SHはこのビデオ出力機能を活かし、ボーダフォンライブ!で新たに提供される「ケータイカラオケV-kara」にも対応する。ビデオ出力ケーブルでV602SHをテレビに接続しておけば、曲データや歌詞画面をテレビに表示しながら、V602SHをマイク代わりにカラオケを楽しむことができる。キーコントロールやエコーなども搭載されているので、ホームカラオケ的な活用も可能だ。
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SDカードスロットは右側面に装備。512MBまでのSDカードの動作が確認されている
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SVG-Tコンテンツ表示機能は、パソコンで作成したExcelやPDFなどのドキュメントを端末上で表示できる機能で、SH900iのドキュメントビューアに似たものと言えるだろう。ただ、V602SHでは専用サイト「ぎゃらも!ビュー」を通じて、SVG-T形式に変換し、サイトから送られてきたメールを端末上で再生するというしくみを取っている。PowerPointなどのデータを変換しておけば、取引先での簡単なプレゼンテーションもV602SHのみでできるわけだ。
ミュージックプレーヤーもV601SHから継承されているが、従来同様、ボーダフォンライブ!のウェブからミュージックキーをダウンロードして利用する。このミュージックキーは簡単に言ってしまえば、V602SHでセキュアMP3形式の音楽データを再生する機能を有効にするためのライセンスで、1,575円が掛かる。音楽データはパソコンで生成するほか、V602SHと音楽CDプレーヤーを接続し、ダイレクトに録音することも可能だ。録音もデジタル入力とアナログ入力の両方に対応する(録音には一部、オプション品が必要)。特に、今回のV602SHはSDカードの対応が512MBまで確認されているので、CD数枚分のデータを持ち歩くことも十分可能だ。
この他にも電子ブックビューアやボイスレコーダ、同社の液晶テレビ「AQUOS」などで録画した番組を再生できる映像ビューア、V601SHでも対応していたバウリンガルコネクトなど、かなり使い応えのある機能構成となっている。
■ ケータイ初搭載の2倍光学ズーム
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カメラモジュールはヒンジの突起部分に内蔵されている
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次に、注目のカメラ機能について見てみよう。前述のように、V602SHはV601SHと同じ200万画素CCDを採用しながら、ケータイ初の光学2倍ズームを搭載している。光学ズームの搭載は昨年あたりから話題になっていたが、端末の限られたスペースに機構を埋め込むのはなかなか難しいとされていた。シャープによれば、200万画素カメラの次は光学ズームしかないと考え、早くから開発に着手していたという。光学ズームは標準と2倍の切り替え方式だが、レンズは小型のステッピングモーターでギアを駆動している。開発では特にモーター部の熱対策などに苦労し、落下や閉じた状態での押し圧加重など、さまざまな試験が行なわれたそうだ。
カメラはV601SHなどと同じように[ボーダフォンライブ!]ボタンの長押し、インデックスメニューからの選択のほか、Viewer Positionにした状態で側面の[シャッター]ボタンを長押しでも起動できる。ファインダーはV601SHが画面上下に設定状態などを表わすピクト行が表示されていたのに対し、V602SHではこれらのピクトが透過型になり、液晶ディスプレイのほぼ全面をファインダーとして利用できるようにしている。
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背面に装備されたカメラは、200万画素CCDを採用し、AF機構と光学ズームを搭載
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メニューからカメラを起動するときは、カメラのモードを選択する仕様を採用している
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SHシリーズおなじみのショートカットキーも健在。ぜひ覚えて使いこなしたい
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撮影できる静止画サイズは「デジタルカメラモード」が「1224×1632」ドット、「960×1280」ドット、「768×1024」ドット、「480×640」ドットの4種類。「写メールモード」が「240×320」ドット、「120×160」ドット、「120×128」ドットの3種類。一方、動画の方は「ムービー写メールモード」が「128×96」ドットと「80×60」ドットの2種類だが、Nancyコーデックを利用する場合は「80×60」ドット固定になる。簡易ビデオカメラとして利用できる「モーションカメラ(MPEG)モード」は「176×144」ドットと「128×96」ドットの2種類、高品質な動画を撮影する「ビデオカメラモード」は240×320ドットのみとなっている。これらの撮影サイズはOpen Positionのときに[0]ボタン、あるいは[ダイレクト]ボタンからの「機能」メニューで切り替えることが可能だ。Viewer Positionのときは[C]ボタンを押し、メニューを表示してから切り替えられるのだが、Open Positionのときと同じように縦長の画面でメニューが表示されてしまうため、ヨコ撮りスタイルで構えているときは、端末を持ち替える必要がある。
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カメラ起動時に「機能」メニューを表示すると、撮影時の機能設定が可能
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撮影時の機能としては、4/9/25枚の連続撮影ができる「連写」、夜景モードやスポーツモードが選べる「シーン別撮影」、2/5/10秒に設定できる「タイマー」、ノーマル/ファイン/ハイクオリティが設定できる「画質設定」などが用意されている。連写については写メールモード選択時に、明るさやモバイルライトの色を変えながら連続9枚の撮影ができる「ブラケット連写」、連写した5枚の静止画を合成する「オーバーラップ連写」が利用可能だ。モバイルライトは「オートフラッシュ」をONに設定することで、撮影状況に応じて、自動的に点灯させることも可能だ。V601SH同様、オートフォーカス機構も搭載されており、AFモードは「標準」「接写」「マニュアル」「風景」から選択することができる。
光学2倍ズームについては、Open Positionでは[ボーダフォンライブ!]ボタン、Viewer Positionでは[C]ボタンで表示されるメニューから「光学ズーム」を選んで、切り替える。切り替え動作は約1秒くらいなので、時間的なロスも少なく、画質を落とすことなく、被写体に寄った撮影ができるのは非常に便利だ。ただ、光学2倍ズームが活きるシチュエーションはそれほど多くないという見方もある。筆者もいくつかの場所で撮影してみたのだが、どちらかと言えば、テーマパークなどの屋外で撮影するときの方が便利に感じられた。また、V602SHの光学ズームは標準と2倍の切り替え式なので、デジタルカメラのリニアな光学ズームのような利便性はない。あくまでも少し遠くにある被写体を2倍ズームで拡大して撮影できる機能と割り切った方がいいだろう。
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カメラ付きケータイスタイル(タテ撮り)のファインダー画面。表示されるピクトが透過型になっている
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ヨコ撮りスタイルでのファインダー画面。こちらも同じく透過型ピクトを採用
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実際の撮影はOpen PositionやSelf Shot Positionで撮影する場合、中央の決定ボタンを押すと、オートフォーカスが動作し、シャッターが切れる。Viewer Position(ヨコ撮りスタイル)で撮影するときは、[シャッター]ボタンをそのまま押すと、オートフォーカスの動作後にシャッターが切れるが、[シャッター]ボタンの半押しでフォーカスロックをしてから、[シャッター]ボタンを押し切って(押し込んで)、シャッターを切ることもできる。また、Open PositionやSelf Shot Positionでは[開始]ボタンでフォーカスロックをすることが可能だ。
オートフォーカスの動作はV601SHが画面下段に、左右に動作するゲージを表示し、フォーカス動作が表現していたが、V602SHでは画面内に枠を表示し、中央に向かって、枠を縮めていくように表示して、フォーカス動作を表現している。被写体などによって、ピントが合わないときは、フォーカス枠中央に[×]印が表示される。V601SHと画面表示が変わったため、感覚的にはわかりにくいいのだが、ボタンを押してからシャッターが切れるまでのタイムラグがV602SHはV601SHに比べ、長くなっている。被写体や環境、設定によって異なるのだろうが、筆者の試した範囲では、V601SHが2秒弱であるのに対し、V602SHは0.5秒ほど、長くなっている。時間は手動計測なので正確ではないが、2台の端末を並べて撮影してもほぼ確実にV601SHの方が速くシャッターが切れる。フォーカスロックなどもできるため、実用上はあまり大きな問題ではないかもしれないが、少し気になる点だ。
画質についても少し気になる部分がある。V602SHのカメラとしてのスペックは光学2倍ズームを除けば、V601SHと同等のはずなのだが、撮影した画像を何枚か見比べてみると、V602SHは今ひとつクッキリ感に欠ける気がするのだ。筆者はデジタルカメラの専門家ではないので、本格的な画質に関する評価は他に譲るが、どうもV602SHではうっすらとモヤや掛かったように写ってしまうのだ。V601SHと同時に同じ被写体を撮影してもハッキリと差がわかるくらいの差がある。壁紙や写メールなど、カメラ付きケータイ的な活用であれば、あまり気にならないが、後述するプリントなどでの利用を考えると、もう少しブラッシュアップが必要ではないだろうか。
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標準のまま撮影すると、この程度。被写体との距離は2メートル程度
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同じ位置で光学ズームをすると、ここまで寄った写真を撮ることができる
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撮影した画像は本体メモリー、SDカードに保存でき、サムネイル形式とファイル名一覧形式で閲覧することが可能だ。保存については、自動保存も可能で、保存先もあらかじめ設定しておくことができる。画像編集についてはV601SH同様、QVGA画面を左右に分割し、加工前と加工後の画像を見比べながら、編集することができる。編集の各機能も画面下段にパレット式で並べられているため、非常にわかりやすい。具体的な編集機能としては、「サイズ修正」や「回転」、動きのあるフレームが追加できる「ムービングフォトフレーム」、文字が入力できる「テキスト貼付」、アルミ缶や万華鏡などの効果が加えられる「エフェクト」、顔写真を加工できる「フェイスエフェクト」などが用意されており、かなり楽しめる内容となっている。この他にも複数の画像を合成できる「画像合成」、最大4枚の画像を組み合わせられる「簡単アニメ」などが用意されている。
ちなみに、これらの画像編集は画像サイズによって制限があるため、最大サイズで撮影した画像はそのまま編集できない。その場合はファイルを開いた状態から「データフォルダに保存」を選ぶと、画像が変換されてQVGAサイズに変換された画像がデータフォルダに保存される。サムネイル表示の状態から「ファイルに保存」を選ぶと、120×160ドットの画像が同様にデータフォルダに保存される。
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画像編集はQVGAサイズの画面を左右に分割し、効果を見ながら編集できる環境を用意している
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撮影した画像はサムネイル形式、ファイル名一覧形式で閲覧が可能。読み出しもストレスなく、反応も比較的良好な部類に入る
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また、デジタルカメラモードで撮影した画像については、最大100文字のテキストやカレンダースタンプを貼り付け、オリジナルカレンダーやポストカードを作成できる「ポストカードメーカー」という機能が用意されている。V602SHはDPOFにも対応しているので、作成したデータをSDメモリーカードに保存し、DPEショップやプリンタでそのまま印刷することができる。筆者も実際にメモリーカードから印刷できるプリンタで試してみたが、なかなか便利な機能と言えそうだ。ただ、プリンタでフチなし印刷をすると、カレンダーやテキストを貼り込んだ場所によっては、切れてしまうことがあるので、あまり画像の端に寄せた位置にカレンダーやテキストを貼り込まない方がいいだろう。もっともこのあたりは端末側でもフォローして欲しいところだが……。
この他にもカメラ関連の機能としては、撮影した静止画などをプロモーションビデオのように表示する「マイ着信ムービー」、ムービー写メールの人物にビデオ加工アイテムで飾ることができる「ムービー変装」などが用意されており、撮った後も十二分に楽しめる環境を整えている。
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ポストカード機能では撮影した画像で、こんなカレンダーを作ることができる
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1224×1632ドットで撮影したサンプル画像。リンク先は無加工。(モデル:篠崎ゆき/スーパーウイング所属)
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■ 「撮る」「観る」「聴く」「編集する」「遊ぶ」を全部楽しみたい人に
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スウィーベルスタイルの心臓部となるツイスト機構。かなりしっかりした剛性感を確保している
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さて、最後にV602SHの買いについて考えてみよう。V602SHは200万画素カメラに、ケータイ初となる光学2倍ズームを組み合わせ、カメラ付きケータイの最高峰を目指した端末だ。カメラ付きケータイのライバルとも言えるauのカシオ製端末「A5406CA」が320万画素カメラを搭載したのと対称的なアプローチを取ったことも非常に興味深い。
ただ、V602SHはV601SHまで続いてきた同シリーズの進化から新たなる方向性を目指したターニングポイント的な端末とも言えそうだ。その理由のひとつがスウィーベルスタイルというボディデザインの変化にある。カメラで撮るという行為を考えたとき、カメラ付きケータイはいわゆるタテ撮りスタイル、デジタルカメラはヨコ撮りがそれぞれ基本となっている。もちろん、異なる向きで撮ることは多々あるのだが、この2つのスタイルは被写体側から見た場合、かなり印象が異なる。筆者が過去に撮影した何人かのモデルさんに聞いても「撮られたときの気分が全然違う」という答えが返ってくる。シャープによれば、V602SHはカメラ付きケータイの撮影スタイルに選択の余地を残しながら、もう一度、撮る側と撮られる側の関係やそれぞれの心理を考え、今回のスウィーベルスタイルによるヨコ撮りスタイルを検討したという。筆者もまだそれほど撮影したわけではないが、確かにV602SHのヨコ撮りスタイルは、デジタルカメラに近い感覚で撮影ができている。ただ、ヨコ撮りスタイルでの操作性にはまだ検討の余地が残されており、光学2倍ズームの具体的な効果や画質など、今後のブラッシュアップを望みたい部分もある。
一方、機能面は誌面ですべてを紹介できないほど、充実しており、ユーザーとして不足に感じることはほとんどない。撮った画像は編集や加工で楽しむことができるし、ミュージックプレーヤーや電子ブックビューアなどの実用的な機能もうれしいし、ビジネスユーザーにはSVG-Tコンテンツビューアも便利だろう。しかもこれらの機能を単純に増やしていくだけでなく、それぞれの機能を実際にユーザーが活用できるようにガイダンスやヘルプを充実させている点も高く評価できる。
これらのことを総合すると、V602SHを「買い」と言えるのは、「撮る」「観る」「聴く」「編集する」「遊ぶ」といったケータイの使い道を余すことなく、楽しみたいユーザーということになる。ただ、これらの使い道をすべて使いたいという意味ではなく、そのいずれかを入り口に、少しずつ使い道を広げていきたいというユーザーにもおすすめできる仕上りだ。「デジタルカメラはいらないが、手軽にポストカードを作ってみたい」というのもアリだし、「ポータブルのミュージックプレーヤーとして使いたい」というユーザーのニーズにも応えられる。ケータイとはあまり関係のない部分で興味を持ち、使い込んでいく内に端末としての楽しさや利便性を理解するというアプローチもあり得るほど、間口の広い端末とも言えるわけだ。
ただ、惜しむらくはV602SHがPDC方式であるということだ。端末としての完成度は高く評価できるが、PDC端末である以上、通信速度やパケット通信料の単価などに制限があり、NTTドコモのFOMAやauのCDMA 1XおよびWIN端末と同じ土俵で語れなくなりつつある。V601SHのレビューでも触れたが、そろそろ次なるステージでこのシリーズの新たな展開を見てみたいと考えるのは筆者だけだろうか。
■ URL
ニュースリリース(ボーダフォン)
http://www.vodafone.jp/japanese/release_detail/20040510/20040510.html
製品情報(ボーダフォン)
http://www.vodafone.jp/japanese/products/kisyu/v602sh/
ニュースリリース(シャープ)
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/040630-a.html
製品情報(シャープ)
http://www.sharp.co.jp/products/v602sh/
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(法林岳之)
2004/08/10 12:22
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