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実用性と画像編集の楽しさを追求したスマートな端末「SH252i」
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■ 252iシリーズ第2弾
昨年、NTTドコモのカメラ付きのラインアップとして登場した25Xiシリーズ。昨年末からはセカンドモデルも登場したが、いよいよ10月からは252iシリーズが発売された。その252iシリーズ第2弾として登場したのがSH252iだ。筆者も実機を購入したので、レポートをお送りしよう。
■ 25Xiシリーズの存在意義
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NTTドコモ/シャープ『SH252i』。サイズ:47×94×22mm(折りたたみ時)、98g。ドレッシーブラック(写真)、エフェクティブブルー、カクテルシルバーをラインアップ
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過去にもこの連載で紹介してきたが、NTTドコモのPDCデジタル携帯電話には、主力モデルの50Xiシリーズ、普及モデルの20Xi/21Xiシリーズ、これらに含まれない6XXiシリーズがラインアップされており、昨年からはカメラを搭載したiショット端末「25Xiシリーズ」がラインアップに加わっている。しかし、昨年末に登場した504iSシリーズ、今年5月以降に登場した505iシリーズにカメラが搭載されたことにより、カメラ付きは25Xiシリーズのみの専売特許ではなくなりつつある。
では、50Xiシリーズに対して、25Xiシリーズの存在意義はどこにあるのだろうか。最新のシリーズで比較してみると、505i/505iSはiアプリが動作し、800MHz帯と1.5GHz帯のデュアルバンド対応で、最大28.8kbpsの高速iモードが利用可能だ(28.8kbpsは下り方向のみ)。これに対し、251i/251iSシリーズは800MHz帯のみのシングルバンド対応で、iアプリは利用できず、通信速度も最大9.6kbpsに限定されている。
そして、252iシリーズでは28.8kbpsの高速iモードに対応し、新たに「チャットメール」と呼ばれるリアルタイムに近いメール送受信の環境を提供している。デュアルバンド対応は見送られたが、505i/505iSシリーズの機能の一部を取り込むことにより、実用性の高いラインアップとして仕上げている。また、当然のことながら、価格的にも505i/505iSシリーズよりも割安なため、手軽にカメラ付きケータイを使いたいというユーザーには魅力的なシリーズとなっている。
今回紹介するシャープ製端末「SH252i」は、この252iシリーズの第2弾として登場した端末だ。NTTドコモにおけるシャープ製端末は、SH251iでiショット端末の先陣を切り、SH505iでは実用性の高いメガピクセル級のカメラ付きケータイとして評価を得ている。今回発売されたSH252iは、SH251i/iSとSH505iで培われたものを活かして開発された端末だ。シャープの担当者によれば、部分的にはSH505iを上回る機能も搭載しているという。実機を見ながら、その出来をチェックしてみよう。
■ 高精細な2.2インチCGシリコン液晶を搭載
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SH251iS(左)と比べると、大幅にデザインが変更され、サイズもコンパクトになったことがよくわかる
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メインディスプレイはQVGAサイズの表示が可能なCGシリコン液晶を採用
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製品のスペックや細かい仕様については、NTTドコモやシャープの製品情報ページ、近日掲載予定の「ケータイ新製品SHOW CASE」を参考にしていただくとして、ここでは筆者が購入した端末で得られた印象を中心に紹介しよう。
まず、ボディは折りたたみデザインを採用しているが、従来とはまったくデザインコンセプトが異なり、ボディそのものもコンパクトにまとめられている。従来のSHシリーズはどちらかと言えば、幅広なボディデザインの印象が強かったが、SH252iはスリムかつコンパクトで、SH251iSと比べてもひと回り小さくなった印象すらある。ボディに装備されるパーツの質感も変えることにより、アクセサリー的なイメージを演出している。これは女性ユーザーを強く意識しているためだろう。カメラは背面ヒンジ側の中央に装備されており、背面ディスプレイや背面ボタンとともに一体パネルにまとめられている。レンズ部の隣には、標準/接写の切り替えスイッチ、着信ランプを兼ねるピクチャーライトを備える。
ディスプレイはメイン側が240×320ドット/262,144色表示が可能な2.2インチTFTカラー液晶パネル、サブ側が96×64ドット/65,536色表示が可能な1.0インチSTNカラー液晶パネルを採用する。メイン側はSH505iよりもひと回り小さいものの、最近のシャープ製端末でおなじみのCGシリコン液晶であり、非常に高精細な表示が可能だ。表示フォントもおなじみのLCフォントを採用しており、視認性も非常に優れている。
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QVGAサイズを活かし、6カ月分のカレンダーを壁紙の上に表示可能
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背面ディスプレイはSTNカラー液晶を採用。カレンダー表示も可能
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ボタン類は方向キーと決定ボタンを組み合わせた「マルチガイドボタン」を中心に、左上に[iモード]ボタン、右上に[カメラ]ボタン、左下に[メール]ボタン、右下に[電話帳]ボタンがレイアウトされている。SH251iSとは明らかにレイアウトが異なり、SH505iのレイアウトを継承した形になっている。ただし、[iアプリ待受画面/View]ボタンはない。また、背面ディスプレイ側は従来通り、3つのボタンで構成されているが、ボタントップの面積が大きくなったため、操作性は良くなっている印象だ。
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ボタンレイアウトはSH251iSというより、SH505iを踏襲した印象
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背面ディスプレイ横の3つのボタンはSH251iSよりもひと回り大きくなり、操作しやすくなった
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■ 充実のショートカット機能でスケジュール帳を使いこなせ
次に、機能面を見てみよう。まず、メールはフォルダによる管理や自動振り分けに対応しており、振り分け条件などの仕様もSH505iとほぼ同じとなっている。新たに搭載されているのは「クイックiショット」と呼ばれる機能だ。あらかじめ宛先、題名、本文を登録しておけば、わずか2タッチでiショットメールが送信することができる。ビジネスや友だち同士のコミュニケーションにも便利だが、最近、人気を集めているiショットメールによる日記サイトの更新などにも便利な機能と言えそうだ。
電話帳や日本語入力の仕様も基本的にはSH505iと同等だが、日本語入力の「ケータイShoin2」には新たにUNDO(やり直し)機能が搭載されている。UNDO機能は日本語入力をしていて、一度変換した文字を消したり、削除した文字を復活させることができる。また、メール作成画面などでは定型文が利用できるが、SH252iでは[サブメニュー]からだけでなく、[メール]ボタンの長押しで呼び出すことができる。ちなみに、こうしたショートカットキーは[サブメニュー]内の「ボタン操作一覧」で確認することができる。この他にも有用なショートカットがいくつかあるので、ユーザーはチェックすることをおすすめしたい。
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メールの振り分けは題名やメールアドレスだけでなく、電話帳登録の有無でも設定可能
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MENU画面はSHシリーズでおなじみの縦横を使ったメニューを採用
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待受画面で[1][0][3][0]と入力。[iモード]ボタンや[決定]ボタンで、電卓やスケジュール機能を呼び出しが可能
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また、同じショートカットでは、待受画面からの電卓やスケジュール作成などをサポートしている。たとえば、待受画面でテンキーから[1][0][3][0]と入力すると、画面の最下段に[電卓]と[スケジュール]、[サブメニュー]が表示される。SH505iでは[電卓]が表示されたが、SH252iでは[電卓]を押せば、「1030」という数値が入力された状態で電卓が起動し、[スケジュール]を押せば、カレンダーが起動し、10月30日のスケジュールを入力することができる。さらに、[サブメニュー]から[クイックアラーム設定]を選択すれば、次に来る10時30分にアラームを設定することができる。いずれも非常に実用性を考えた機能と言えるだろう。ユーザーはぜひ覚えておきたい。
ちなみに、スケジュールについては、同様の待受画面からの数字入力で検索したり、スケジュール画面で分類別の検索、名前での検索などをサポートしており、かなり充実している。メモやメール画面からスケジュールを作成することも可能だ。ケータイでスケジュールというと、すぐにパソコンとの連携が連想されがちだが、SH252iのスケジュールはメールや電話帳との連携も充実しており、ケータイのみで手軽にスケジュールを管理したいというユーザーにはおすすめできるレベルの仕上りとなっている。
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入力した値に合致する日付が選ばれるので、この状態で[決定]ボタンを押し、スケジュールを新規登録する
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待受画面で[1][0][3][0]と入力した後、サブメニューから[クイックアラーム設定]を選べば、アラームの設定も可能
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ところで、NTTドコモでは252iシリーズから端末のソフトウェアをオンラインで更新できる機能を提供している。SH252iにもソフトウェア更新機能が搭載されており、設定メニュー内から操作することができる。NTTドコモでは「マイクロソフトのWindows Updateのようなものとイメージして欲しい」としているが、そうであるならば、Windowsと同じように、どの機種でもほぼ共通の最小限の操作でソフトウェア更新のメニューにたどり着けるようにするべきだろう。
■ 画面を分割して操作できる多彩な画像編集
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カメラは31万画素のCCDを採用。切り替えスイッチで接写も可能
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続いて、カメラ機能を見てみよう。SH505iはメガピクセル級のカメラを搭載し、各方面で高い評価を得たが、今回のSH252iは31万画素のCCDによるカメラを搭載している。そのため、撮影できるサイズは480×640ドットの「VGA」、288×352ドットの「iショット(L)」、240×320ドットの「メイン待受」、144×144ドットの「iショット(S)」、96×64ドットの「サブ待受」の5種類となっている。
注意が必要なのは、iショット(S)がSH505iなどで採用されている120×120ドットではなく、N505iと同じ144×144ドットに変更されている点だ。N505iのレビュー記事でも触れたが、本来、こうしたサイズは統一すべきものであり、今後、144×144ドットに統一するのであれば、何らかのアナウンスをした方がいいだろう。ユーザーだけでなく、コンテンツプロバイダやソフトウェアベンダーなども混乱してしまう。
撮影時の機能としては、最大2倍の「ズーム」、5段階で設定できる「明るさ」、NORMAL/FINE/SUPER FINEが選べる「画質選択」、最大18枚の「連写」、夜景やスポーツなどが選べる「シーン別撮影」、内蔵及びダウンロードしたデータが利用できる「フレーム撮影」、5秒もしくは10秒が選択できる「セルフタイマー」などが搭載されている。これらのうち、連続撮影については、通常の連写やマニュアル連写だけでなく、カラーや明るさを自動的に変えながら9枚連続の撮影をする「ブラケット連写」、5枚の連写画像を合成して動きのある撮影ができる「オーバーラップ連写」などの設定も利用できる。ブラケット連写は明るさとカラーが変更されるため、大切な1枚を取るときに便利だ。オーバーラップ連写はスポーツのフォームチェックなどにも有効な機能だ。
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サブ液晶 |
iショット(S) |
メイン待受 |
iショット(L) |
VGA |
サイズ |
96×64 |
144×144 |
240×320 |
288×352 |
480×640 |
画質 |
NORMAL/FINE/SUPER FINE |
ズーム |
5段階(4倍) |
7段階(4倍) |
5段階(4倍) |
4段階(2.66倍) |
3段階(2倍) |
連写 |
18連写 |
18連写 |
9連写 |
6連写 |
× |
回転 |
○ |
○ |
○ |
○ |
× |
サイズ修正 |
iショット(S)*1 メイン待受*1 |
メイン待受 サブ待受 |
iショット(S) サブ待受 |
iショット(S) メイン待受 サブ待受 |
iショット(L) iショット(S) メイン待受 サブ待受 |
切り抜き*2 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
*1:拡大して余白追加 *2:リサイズ時。同一サイズは不可
画像のサイズや画質、セルフタイマーの設定などはいずれもカメラ機能を終了すると、リセットされてしまうが、SH505i同様、カメラ起動時の[サブメニュー]内にある[オートリセット]をOFFにすれば、設定を保持したまま、使うことができる。同じようにSH505iから継承したものとしては、カメラ起動時のショートカットが充実している点だ。テンキーの[3]でサイズ選択、[4]で画質選択、[5]で連続撮影、[*]でファインダー切り替えといった具合いだ。ちなみに、これらのショートカットは[サブメニュー]内の[ボタン操作一覧]で確認することができる。
これらの機能に対し、SH505iを明らかに上回るとも言えるのが画像編集機能だ。SH505iは505iシリーズの中でも最も優れた画像編集機能を搭載していたが、SH252iではユーザーインターフェイスを大幅に改良することにより、さらに画像編集を楽しく使いやすくしている。通常、多くの端末では画像編集をする際、撮影した画像を表示し、サブメニューなどから効果や編集機能を呼び出すが、SH252iではQVGAサイズの液晶ディスプレイを活かし、画面を左右に分割して、編集できるようにしている。左側に元画像、右側に編集後の画像、画面下に操作可能な機能のメニューが表示されるため、編集した画像の変化がよくわかる構造になっている。また、一連の編集機能は画像を保存しない状態で、くり返し操作することができ、直前の状態に戻す(アンドゥ)ことも可能だ。
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SH505iに引き続き、ショートカット機能が充実。[サブメニュー]の[ボタン操作一覧]でも確認が可能
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元画像と比較しながら編集できるのが便利だ。画面はVGAサイズの画像を拡大して切り抜き、目元にモザイク処理を施した。こんなイタズラっぽい画像(笑)もすぐに作れる
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編集機能としては、「リサイズ」、感度アップや鮮やかなどの「画像補整」、怒るや微笑む、シワ隠しなどの「フェイスエフェクト」、波紋やきらきらなどの「画像エフェクト」、マークやスタンプを追加できる「フェイススタンプ」と「画像スタンプ」、画面上に日付や文字を追加できる「文字スタンプ」、左右90度と反転も可能な「画像回転」、2枚の画像を1枚の横長画像に合成できる「パノラマ画像合成」が用意されている。
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撮影した画像はサムネイル表示が可能。読み込みも表示も速い
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これらのうち、リサイズについては基本的にサイズを小さくする方向であれば、どのサイズからでもリサイズすることができ、リサイズ時に一部を拡大したり、枠の移動もできるため、必要な部分だけでを切り抜くことも可能だ。つまり、通常はVGAサイズで撮っておき、用途に応じて、サイズを変更したり、切り抜いて、メールに添付したり、待受画像に利用するといった使い方が簡単にできるわけだ。また、フェイスエフェクトはSH505iでも搭載されていたが、SH252iは大幅にユーザーインターフェイスが改良され、目や口の位置などをマーキングしなくても表情を変化させられるようにしている。
撮影した画像は「マイピクチャ」に保存されており、サムネイル表示が可能だ。このサムネイル表示の状態、あるいは画像を拡大表示した状態から左上のiモードボタンを押せば、iショットをすぐに送信することができる。iショットで送信できないサイズのときは、小さくリサイズした画像が添付されるが、VGAサイズの場合はiショット(L)とiショット(S)をリサイズ時に選ぶことが可能だ。ちなみに、iショット(S)よりも小さい「サブ待受」のときは周囲に白いフチが追加され、iショット(S)サイズの画像が添付されるのだが、これができるなら、「メイン待受」サイズの画像にフチを付け、iショット(L)サイズの画像を生成できても良かったのではないだろうか。
この他のカメラ関連機能としては、SH505iに引き続き、バーコードリーダーが搭載されており、QRコードの認識にも対応している。QRコードの認識を試してみたい人は、筆者の「携帯電話向けホームページのご案内」をご覧いただきたい。
■ 手軽に撮影した画像で遊びたい人は「買い」
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標準セットに含まれる卓上ホルダは、縦置きを採用。背面ディスプレイを活かすなら、このタイプの方が便利だろう
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最後にSH252iの「買い」について考えてみよう。252iシリーズ第2弾として登場したSH252iは、SH251iSの後継というより、SH505iの妹分モデルのようなイメージで開発された端末だ。カメラはメガピクセル級ではないが、カメラ機能の使い勝手はSH505iを上回るところもあり、高精細なCGシリコン液晶やコンパクトなボディとも相まって、手軽に楽しめるカメラ付きケータイとしてまとめられている。なかでも画像編集機能のユーザーインターフェイスは明らかにSH505iを超えており、今後のカメラ付きケータイの画像編集機能にも大きな影響を与えることになりそうな仕上りだ。また、カメラや画像以外の部分でもスケジュールを手軽に使えるようにするなど、実用面がよく考慮されている点も高く評価できる。
これらのことを総合すると、SH252iをおすすめできるのは、手軽に撮影した画像で遊びたいユーザー向けということになる。特に、画像編集はユーザーインターフェイスが改良されたことで、あまり画像編集に興味を持たなかった、もしくはわかりにくくて使わなかったユーザーでも手軽に楽しめるはずだ。ボディサイズもコンパクトなので、iアプリなどを必要としない女性ユーザーにはおすすめできる端末だ。
■ URL
ニュースリリース(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/new/contents/03/whatnew1008.html
製品情報(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/p_s/products/keitai/252i/sh252i/sh252i.html
ニュースリリース(シャープ)
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/031008-2.html
製品情報(シャープ)
http://www.sharp.co.jp/products/sh252i/
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(法林岳之)
2003/10/28 11:38
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