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世界初の3D液晶を搭載したiショット端末「SH251iS」
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早くもセカンドモデルが登場した251iシリーズ
昨年6月にNTTドコモがサービスを開始したiショット。その対応端末として登場した251iシリーズに、早くもセカンドモデルとなる「SH251iS」が発売された。画像を立体視できる3D液晶を世界ではじめて搭載したエポックメイキングな端末だ。筆者も機種変更で端末を購入したので、レポートをお送りしよう。
さらなる進化が続く液晶ディスプレイ
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NTTドコモ/シャープ『SH251iS』。サイズ:50×95×24mm、110g。ジェルホワイト(写真)、エレガントブラック、スカイシルバーをラインアップ
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今やケータイにとって、ディスプレイは最も重要な部品のひとつだ。ほんの数年前までは、電話番号などを表示するためのものでしかなかった。しかし、iモードの登場以降、メールやコンテンツを閲覧するための重要なデバイスとして認知され、急速に大型化が進み、その影響で端末も折りたたみデザインが主流になってきた。一昨年にはカラー液晶を搭載する端末も登場し、昨年にはほぼすべての端末にTFTやTFDなどの高品質な液晶ディスプレイが搭載されるようになってきた。ただ、その一方で、液晶ディスプレイの方式そのものには大きな変化がなく、今後は画面サイズの大型化や高精細化が焦点になると予想されてきた。
しかし、今回発売されたNTTドコモのシャープ製端末「SH251iS」は、3D液晶ディスプレイというまったく新しい機能を搭載することで、ケータイにおける液晶ディスプレイの新しい可能性を示している。3D液晶は人間の視差を利用し、特殊なメガネなどを使うことなく、立体的な画像を液晶ディスプレイ上で表現するもので、過去に展示会などでデモンストレーションが行なわれている。これをいち早くケータイに搭載し、今までのケータイにはないエンターテインメント性を実現したわけだ。
また、NTTドコモは昨年6月からカメラ付きケータイの新ラインアップ「251iシリーズ」を投入し、10月からは主力の「50xシリーズ」でもiショットサービスに対応したモデルを発売している。251iシリーズは基本的に21Xiシリーズにカメラ機能を付加したもので、iアプリやデュアルバンド(800MHz/1.5GHz)に対応していない点が現行の50Xiシリーズと異なる。SH251iSは初代モデルであるSH251iの後継モデルということになるが、251iシリーズ初のセカンドモデルであり、その開発の早さにはカメラ付きケータイの市場を切り開いてきたシャープの並々ならぬ意気込みが感じられる。実機を見ながら、その出来をチェックしてみよう。
アンテナ位置を変更した折りたたみデザインを採用
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SH251i(左)からアンテナ位置を変更し、全体的な印象もガラリと変わった
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製品のスペックや細かい仕様については、NTTドコモやシャープの製品情報ページ、「ケータイ新製品SHOW CASE」を参考にしていただくとして、ここでは筆者が購入した端末で得られた印象を中心に紹介しよう。
ボディは折りたたみデザインを採用しているが、従来のSH251iが液晶ディスプレイ側にアンテナを装備したデザインだったのに対し、SH251iSではボタン/バッテリー部側に装備し、ヒンジ部分からアンテナが伸びるデザインを採用している。液晶ディスプレイ側にアンテナを装備した折りたたみデザインは同じiモード端末のNシリーズなどが採用しているが、SH251iSでは敢えて差別化を図るために、敢えてボタン/バッテリー部側にアンテナを装備したそうだ。このレイアウト変更により、背面パネル側がスッキリとまとまり、背面ディスプレイを含めたトータルなデザインができるようになったという。ボディサイズはやや厚みが感じられるものの、幅は他の折りたたみデザインのiモード端末と同様にまとめられている。背面側には内蔵カメラと7色に光るピクチャーライト、サブディスプレイ、シャッターなどに利用できる3つのボタンを備えている。
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ディスプレイは2D表示もきれいな高品質の2.2インチTFTカラー液晶を採用
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2D表示と同じ画像を3D表示。画面ではわからないが、SH251iSと約40cmほど離れると、3D表示に見える(筆者の場合)
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背面ディスプレイはSTNカラー液晶を採用。アニメーションを含む壁紙や撮影した画像を表示可能。もちろん、閉じたときのファインダーにもなる
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液晶ディスプレイは前述の通り、2D/3D切り替え表示が可能な2.2インチTFTカラー液晶を採用している。3D表示に対応している点ばかりが注目されているが、液晶ディスプレイは176×220ドット/65,536色表示が可能で、通常の2D表示についてもかなり高いクオリティを確保している。3D表示は確かにエンターテインメント性の高い機能だが、ケータイの液晶ディスプレイとしては2D表示が十分なクオリティを持っていなければ、意味がない。シャープはそのことを十分理解した上で、2D表示でも高品質で、なおかつ3D表示も可能な液晶ディスプレイを採用したということだろう。
注目の3D表示についてだが、3D対応液晶は「視差バリア方式」と呼ばれる効果を利用したもので、従来のTFTカラー液晶に、独自のスイッチ液晶を組み合わせることで、立体的な画像表示を可能にしている。トレーディングカードなどで「飛び出す○○」といった立体カードがあるが、3D液晶もあれとほぼ同じように見えると考えれば、わかりやすいだろう。ただ、あらかじめ用意された特定の画像のみが立体表示にできるだけでなく、内蔵カメラで自分が撮影した画像を3D対応画像に変換し、立体表示ができる点は大きく異なる。ちなみに、3D対応液晶で立体画像を見たいときは、まず3D対応画像を表示し、[マナー/3D]ボタンで表示を3Dに切り替える。もう一度、[マナー/3D]ボタンを押せば、元の2D表示に戻る。一方、背面に備えられたサブディスプレイは、96×64ドット/65,536色表示が可能な1.2インチSTNカラー液晶を採用する。サブディスプレイも比較的大きなサイズのものだが、これは前述のように、背面パネル側からアンテナ部がなくなったことが影響している。
ボタン類は方向ボタンと決定ボタンを組み合わせた「マルチガイドキー」を中心に、右上に[カメラ]ボタン、左上に[メール]ボタン、左右下に[開始]ボタンと[終了]ボタンをレイアウトしている。テンキー部分との間には、[メモ]ボタン、[クリア]ボタン、[マナー/3D]ボタンが並び、全体的にわかりやすい標準的なレイアウトになっている。
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背面からアンテナがなくなったことで、背面液晶の大型化も実現した
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ボタン類はシャープ製端末のレイアウトを踏襲。中央のマルチガイドキーの操作性も良い
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接写、連写、タイマーに動画も撮影できる31万画素CCDカメラを搭載
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内蔵カメラは手ぶれを抑えるためにヒンジ側にレイアウトされている
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iショット(L)のサンプル画像。高速道路のパーキングで友人の愛車「フェアレディZ」(ナンバーが「80」。意味わかるかな?)を撮影
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さて、SH251iSで3D液晶と並んで注目されるのが内蔵カメラだ。シャープはご存知の通り、J-フォン向けのJ-SHシリーズでカメラ付きケータイの市場を切り開いてきた先駆者であり、NTTドコモ向けにおいてもSH251iでiショット端末の先陣を切った。
今回のSH251iSの内蔵カメラは、従来のSH251iに続き、31万画素のCCDを採用している。スペック的には同等だが、細かい部分でのチューニングが行なわれ、使い勝手の面でもさまざまな改良が図られている。
まず、撮影可能なサイズは、480×640ドットのVGAサイズ、288×352ドットのiショット(L)、176×220ドットの待受画面サイズ、120×120ドットのiショット(S)サイズの4種類で、画質はNORMAL/FINE/SUPER FINEの3段階から選ぶことができる。撮影した画像は基本的にサイズを小さくする方向に限られるが、他のサイズに変換することも可能だ。ズームはiショット(S)選択時に等倍/2倍/4倍、待受画面とiショット(L)選択時に等倍/2倍に設定でき、明るさについては標準を含め、5段階に設定することができる。
SH251iSは動画の撮影機能も備えており、最大1件10秒(時間優先時)、もしくは5秒(動き優先時)の動画を最大50件まで登録することができる。動画のコーデックには株式会社オフィス ノアの「Nancy Technology」が採用されている。ただし、SH251iSで撮影した動画は、基本的に端末上でしか再生することができないため、どちらかと言えば、ビデオメモ的な活用が適している。
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接写で缶コーヒーのおまけを撮影。実物は全長約4cmのミニチュアだが、なかなか良く撮れる
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impressTVでおなじみの篠崎ゆきチャンを待受画面サイズでパチリ
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レンズ横の切替スイッチを接写にすると、画面上に花のアイコンが表示される。一般のデジタルカメラと同じ感覚だ
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カメラ部分は標準と接写の切替が可能で、レンズ横に切替スイッチを備える。N504iSのように、外付けレンズで接写に対応する端末もあるが、現実的な利用シーンを考慮すれば、やはり、スイッチなどによる切替式の方がはるかにスマートだろう。カメラ部分の横には7色に光るピクチャーライトを備え、カメラ起動時に[メール]ボタンを押すことで点灯する。3つの背面ボタンの左端ボタンの長押しでも点灯する。
その他の撮影時の機能としては、連続撮影、フレーム付き撮影、セルフタイマーなどが用意されている。連続撮影はiショット(S)選択時に6枚/秒、待受画面とiショット(L)選択時に3枚/秒の連写が可能で、ベストショットを見つけやすくなる。フレーム付き撮影は標準で9種類のフレームが用意されており、これを組み合わせた撮影が可能だ。ただし、フレームのダウンロードには対応していない。撮影した画像はサムネイル表示が可能な一覧画面で見られるが、表示が非常に早く、快適に使うことができる。
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カメラ起動時に呼び出せるメニュー。撮影サイズや画質などを設定することができる
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撮影サイズなどはカメラモードを終了するとリセットされるが、「オートリセット」をOFFに設定すれば、前回の設定値のまま、カメラを起動できる
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撮影した画像は3Dエディタにより、3D対応画像に変換したり、フレームや文字の追加、フェイスエフェクトなどの効果が追加でき、新規画像として保存することが可能だ。3D対応画像への変換は元画像がiショット(S)と待受画面サイズのときに利用でき、3種類の画像タイプと2段階の効果から選択できる。効果では立体感のある画像を狙って、[強調]に選択してしまいがちだが、筆者が試した限り、[標準]で効果を与えておき、どうしても立体感が得られないときに[強調]を選ぶ程度が適切なようだ。また、奥行きのある画像や背後に何かモノなどが写っている画像の方が立体感のある画像を作り出しやすいことも覚えておきたい。このあたりは実機で試行錯誤をしながら、感覚をつかんでいくしかないだろう。ちなみに、3D対応画像に変換しても3D表示が可能なのは3D液晶搭載モデルに限られるため、今のところはSH251iS同士でしか楽しむことができない。
この他には、iショット送信時、一時的に発信者番号通知を有効にする機能が搭載されている。F251iなどで好評を得た機能だが、ユーザーの使い勝手を考慮し、いち早く取り入れている。日本語入力ではJ-SH52/09などに搭載され、好評を得ているワンタッチ変換と推測頭出し変換が搭載されており、メールを作成しやすくしている。受信メールのフォルダ管理や自動振り分けもサポートされている。
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サムネイル表示は非常に速い。画面に見える「3D」の文字は、3Dエディタで3D対応画像に変換したもの
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動画の撮影も可能だが、SH251iS上でしか再生できない。ただ、動きはスムーズで、画質も良好だ
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SH251iSでもうひとつ注目したいのがパソコンとデータ転送が可能な「専用データリンクソフト」だ。NTTドコモは全機種ではないものの、以前から各機種ごとにパソコンと接続できるデータリンクソフトを販売していたが、SH251iSではカメラで撮った画像をパソコンで読み出したいというユーザーのニーズを踏まえ、専用データリンクソフトをシャープのホームページで無料公開している。パソコンへの転送には「USBデータリンクケーブルF001」が必要とされているが、筆者が試したところ、一部の携帯電話ソフトの付属ケーブルでも読み出しができている(他社製ケーブルは動作保証外)。専用データリンクソフトではカメラ画像の他に、送受信メールや電話帳、ブックマーク、スケジュールなどのデータも管理することが可能だ。ちなみに、SH251iSのカメラ画像読み出しについては、すでに市販ソフトの「携帯万能9」(SSIトリスター)が実現しており、「ケータイリンクV」(ビレッジセンター)も対応予定となっている。
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シャープのホームページで無料配布されている「専用データリンクソフト」。PCを持つユーザーなら、ぜひダウンロードしておきたい
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SH251iSで新たに採用されたメニュー。左右で上半分の項目(アイコン)を選び、上下で下半分のメニューを選ぶ。やや慣れが必要だ
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iショットを楽しみたいなら「買い」
さて、最後にSH251iSの「買い」について考えてみよう。SH251iSは世界初の3D液晶を搭載した端末として登場したが、液晶ディスプレイそのものは通常の2D表示においてもかなり高いクオリティの確保している。31万画素CCDを採用した内蔵カメラは、接写やズーム、連写、フレーム撮影など、豊富な機能が搭載されている。画質についても現在、国内で販売されているカメラ付きケータイで、トップクラスと言って差し支えないだろう。また、撮影した画像を楽しむためのデータリンクソフトを無料で公開するなど、ユーザーが楽しむための環境も整っている。惜しむらくはP504iSのように、カメラ起動時にワンタッチで撮影サイズや画質を変更するためのキーアサインがないことだが、その他の点については最強のiショット端末と言える仕上りだ。
しかし、SH251iSはあくまでも「251iシリーズ」であるという制約がつきまとう。504iシリーズのように、iアプリやデュアルバンドに対応していないため、504iシリーズと比較して、どうしても一歩譲る面がある。仮に、SH251iSが「SH504i」、もしくは「SH504iS」として登場していれば、「最強のiモード&iショット端末」として評価できただろう。
これらの点を総合すると、SH251iSはとにかくiショットのカメラ機能の可能性を追求したいユーザー向けということになりそうだ。iショットには過去の記事でも触れてきたように、いくつかの問題が指摘されているが、最大の難点であった送信元メールアドレスは今年2月から自分のメールアドレスが利用できるようになるため、使い勝手が改善される見込みだ。iアプリや赤外線通信がなく、デュアルバンド対応でもないという251iシリーズの制約が理解できるのであれば、文句なしに「買い」と言える端末だ。細かい部分に不満がないわけではないが、iショット端末としての完成度の高さは群を抜いており、買って損のない端末だろう。また、残念ながら、誌面では3D液晶のエンターテインメント性をお見せできないが、ぜひ実機を店頭などで試して、その「意外な楽しさ」を体験して欲しい。
・ ニュースリリース(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/new/contents/02/whatnew1113.html
・ 製品情報(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/p_s/products/keitai/251i/sh251is/sh251is.html
・ ニュースリリース(シャープ)
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/021113.html
・ 製品情報(シャープ)
http://www.sharp.co.jp/products/sh251is/
・ 「2D/3D切り替え表示可能な液晶ディスプレイの実用化に成功」(シャープ)
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/020927.html
・ SH251iS(エレガントブラック)
・ ドコモ、3D対応液晶搭載のカメラ付きiモード端末「SH251iS」
・ 第116回:3D対応液晶 とは
(法林岳之)
2003/01/07 11:59
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