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撮って編集して遊べるコンパクトなiショット端末「P251iS」
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、メール端末、PDAまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindows XP基本編」「できるADSL フレッツ・ADSL対応」「できるZaurus」「できるVAIO Windows XP版」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。iモード用EZweb用J-スカイ用、H"LINK用(//www.hourin.com/H/index.txt)を提供。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。


パナソニック初の251iシリーズ

 昨年来、NTTドコモはカメラ付きケータイの新ラインアップ「251iシリーズ」を展開し、すでに主要メーカーが開発したモデルが投入されているが、パナソニックからも初の251iシリーズ端末「P251iS」が登場した。筆者も機種変更で購入したので、レポートをお送りしよう。


「恋するケータイ」第2章

NTTドコモ/パナソニックモバイルコミュニケーションズ『P251iS』。サイズ:48×91×25mm、95g。スタイルブラック(写真)、インフィニティシルバー、ストロベリーミルク、スパイスレッド(関東・甲信越地区のみ)をラインアップ
 ここ数年で、端末のデザインはストレートから折りたたみへ急速に移行したが、昨年あたりから同じ折りたたみデザインの中でも少しずつ変化が見え始めている。たとえば、パナソニックが「P504i」と「P504iS」で打ち出した「薄型化」も新しいトレンドの1つだろう。折りたたみデザインの端末には、液晶ディスプレイの大画面化や閉じた状態でボタンの誤操作が起きにくいこと、閉じた状態でディスプレイをOFFにして省電力化が可能になるなど、さまざまなメリットがあるが、その一方でボディが厚くなるため、ポケットなどに入れて持ち歩きにくいというマイナス面もあった。

 これに対するパナソニックの回答が薄型化であり、そのトレンドをハッキリと打ち出した昨年のP504iとP504iSは、市場でも高い人気を得ている。Pシリーズにおいて、最初に薄型ボディを強く打ち出したのは、2002年1月に登場した「P211i」だ。「恋するケータイ、P」というキャッチコピーで、若い女性ユーザーを意識した端末として登場した。さらに、その先祖となるのがパナソニック初の折りたたみデザイン端末「P209iS」であり、これも女性ユーザーを中心に非常に高い人気を得た端末だ。

 今回紹介するパナソニック製端末「P251iS」は、パナソニック初の251シリーズとして登場したが、P209iSからP211iへと続いた「コンパクト&薄型」のコンセプトを継承したモデルとも言える。キャッチコピーも「恋するカメラ付きケータイ『P251iS』」となっており、再び女性ユーザーを強く意識した広告を展開している。パナソニックのカメラ付きケータイと言えば、昨年登場したP504iSが高い完成度を見せてくれたが、P251iSではP504iSのノウハウがどの程度、活かされているのかなども非常に気になるところだ。P504iSとの比較なども交えながら、出来をチェックしてみよう。


手のひらサイズのコンパクトボディ

背面のややヒンジよりの部分にカメラとフォトライトを備える。この位置なら、普通に構えても指でレンズをふさぐことはない
 製品のスペックや細かい仕様については、NTTドコモやパナソニックの製品情報ページ「ケータイ新製品SHOW CASE」を参考にしていただくとして、ここでは筆者が購入した端末で得られた印象を中心に紹介しよう。

 まず、ボディはP209iSを彷彿させるコンパクトな折りたたみデザインを採用している。サイズ的にはP504iSなどよりもひと回り小さく、手のひらサイズといった印象だ。その半面、一連のラインアップで好評を得てきた「薄さ」はややスポイルされ、約25mmにとどまっている。それでもボディ全体がコンパクトなため、思ったほど厚さを感じさせず、バランス良くまとめられた印象だ。薄さがスポイルされた要因の1つが背面に装備されている31万画素のCCDカメラで、その隣には撮影時に使えるフォトライトを装備している。側面に装備されているイヤホンマイク端子は、最近のPシリーズに多い薄型タイプではなく、一般的な丸形タイプが採用されている。内蔵スピーカーは背面だけでなく、テンキー部上のヒンジ付近にも備えられており、本体を開いた状態でも音をきちんと鳴らすことができる。

 メインディスプレイは132×176ドット/65,536色表示が可能な約1.8インチTFTカラー液晶、背面ディスプレイは96×64ドット/65,536色表示が可能な約1.1インチTFTカラー液晶を採用する。最近の高機能端末の多くはメインディスプレイに2インチクラスの液晶パネルを採用しているため、P251iSはやや小さい印象もあるが、ボディサイズから考えれば、順当なサイズと言えそうだ。背面ディスプレイは本体を閉じた状態でカメラ機能を利用する「閉じたままショット」に使えるもので、横長タイプとなっている。

 ボタン類はP504iSなどのレイアウトを踏襲したもので、中央に方向キーと決定ボタンを組み合わせたコマンドナビゲーションボタン、周囲に4つのソフトキーをレイアウトしている。各ソフトキーは左上が[電話帳]ボタン、右上が[リダイヤル・クリア]ボタン、左下が[メール]ボタン、右下が[改行・問い合わせ]ボタンとしての機能が割り当てられている。右側面には[カメラ]ボタンと[メモ/キャンセル]ボタンが備えられている。各ボタンのサイズはボディがコンパクトなため、あまり大きくないが、クリック感があり、操作性は良好だ。


メインディスプレイは約1.8インチのTFTカラー液晶。2インチクラスの液晶に見慣れていると、やや小さく感じる 背面ディスプレイも基本的にはメインディスプレイと同スペック。「閉じたままショット」では横長のファインダーとして使える ボタン類はP504iSなどと同じレイアウト。キータッチもなかなか良好。コマンドナビゲーションキー上に前面スピーカーも備える

31万画素CCDの使い道

 一方、機能面はどうだろうか。P251iSも基本的には従来のPシリーズのユーザーインターフェイスを継承しているが、直前モデルのP504iSよりもソフトウェアの機能などが向上されており、一段と使いやすさが増している。

 まず、メール周りではP504iSで採用されていなかったメールのフォルダ管理をサポートしている。フォルダは受信メールで30個、送信メールで10個を作成することができ、フォルダ名を変更するだけでなく、各フォルダに好きなアイコンを割り当てることができる。フォルダ間でメールを移動するときも複数のメールを選んで、一度に移動することが可能だ。振り分けも自動的に行なうことができるが、キーワードがメールアドレスや電話番号に限られており、Subjectでの振り分けは利用できない。

 日本語入力については、変換文字を予測する「インテリジェント変換」に対応する。予測文字への切り替えは左上のソフトキーを押すだけなので、比較的、操作はしやすい。入力方式は一般的なマルチタップ式に加え、2つの数字の組み合わせで入力する「ニコタッチ方式」を利用することも可能だ。ニコタッチ方式は「あ」「か」「さ」「た」「な」などの行を表わす数字と各行の何番目の文字なのかを組み合わせて入力する方式だ。たとえば、テンキーの[7][5]で「も」、[9][2]で「り」が入力されるといった具合いだ。マルチタップ式よりはタイプ数が少ないが、操作には慣れが必要だろう。

 そして、251iシリーズ共通の機能であるカメラ機能は、前述のように31万画素のCCDカメラを背面に搭載している。31万画素クラスのカメラは一部のハイエンド端末に搭載されているのみだが、これをいきなり普及モデルのP251iSに搭載してきたのは驚かされる。しかし、それ以上に意外だったのは、31万画素の使い道だ。


iショット(L)のサンプル画像(リンク先画像は無加工)。人物もくっきり写る印象(モデル:篠崎ゆき カメラモードはメインメニューから[カメラ]を選ぶか、側面の[カメラ]ボタンの長押し

 P251iSで撮影できるサイズは、96×64ドットの「サブスクリーンサイズ」、120×120ドットの「iショット(S)サイズ」、132×176ドットの「スクリーンサイズ」、288×352トドットの「iショット(L)サイズ」の4種類だ。他の31万画素クラスのカメラを搭載した端末は、いずれも640×480ドットのVGAサイズの撮影を可能にしているが、P251iSではVGAサイズに対応していないのだ。その代わりというわけではないが、iショット(L)よりも小さいサイズで撮影するときは、10段階に調節ができる最大4倍ズームを可能にしている。つまり、31万画素CCDの能力をサイズ以外の部分に活用しているというわけだ。

 撮影については、約10秒のセルフタイマー、1秒おきに4回の撮影ができる連続撮影ができ、保存画質も「ノーマル」「ファイン」「スーパーファイン」の3段階から選択することが可能だ。暗いところの撮影については、カメラ部横に装備されているフォトライトでの撮影だけでなく、夜景の撮影などに適した「ナイトショットモード」も用意されている。実際の撮影画像はサンプルの通り、くっきり写る印象だ。ただ、個体差なのかもしれないが、晴天の屋外でクルマなどを撮影すると、横方向に線のようなノイズが入ることが数回あった。


カメラモードでは[改行・問い合わせ]ボタン撮影サイズを切り替え可能。ナイトショットモード時は画面上にあるようなアイコン(月と星のマーク)が表示される フォトライトが装備されているが、P504iSで好評を得たショートカットは割り当てられておらず、[サブメニュー]から操作する必要がある

 カメラモードの起動はメインメニューから選択するか、本体側面の[カメラ]ボタンの長押しを利用する。カメラを起動した状態で本体を閉じれば、「閉じたままショット」が可能な状態になり、表示も背面ディスプレイに自動的に切り替わる。再び本体を閉じれば、メインディスプレイに表示が戻るという仕組みだ。面倒な切り替え操作がなく、わかりやすい印象だ。同じパナソニック製端末のP504iSでは、カメラ起動時にいくつかの機能をテンキーなどの簡単に切り替えられるようにしていたが、P251iSにも継承されている。たとえば、[改行・問い合わせ]ボタンが撮影サイズの切り替え、テンキーの[2]が「ナイトショットモード」といった具合いだ。ただ、P504iSで搭載されていたテンキーの[1]での「くっきりモード」、テンキーの[3]での「ホワイトバランス固定」の2つのショートカットは機能そのものといっしょに削除され、重ね撮りができる「マルチショット」もサポートされていない。また、P251iSではフォトライトが追加されたのにも関わらず、テンキーのショートカットは利用できない。P251iSは普及モデルということなのかもしれないが、せっかくのショートカットが活かされず、P504iSよりも機能が少なくなっているのはやや残念な点だ。

 撮影した画像は[アクセサリ]内の[マイピクチャ]で閲覧することができる。ただし、サムネイル表示には対応しておらず、ファイル名による一覧表示のみとなっている。撮影サイズがスクリーンサイズより小さければ、さまざまな画像編集が可能だ。画像の一部分を切り抜く「トリミング」、複数の写真を合成する「合成」、セピアやモノクロなどへの「色調変更」、フレームやスタンプの追加などだ。ただ、ユーザーは31万画素の能力を活かすために、できるだけ大きいサイズ(高解像度)で撮っておき、あとでリサイズやトリミングをするものなので、iショット(L)で撮影してしまうと、まったく画像を編集できなくなるのは、少々いただけない仕様だ。また、ファイル名一覧でもサムネイル表示でも言えることだが、撮影サイズが画像を開いて[詳細情報表示]を選ぶまでわからないというのも面倒だ。

 ちなみに、撮影した画像の読み出しについては、すでに「携帯万能9」(SSIトリスター)や「ケータイリンクV」(ビレッジセンター)などが対応しているが、パナソニックも同社のサイトで「ムーバ Pシリーズ データリンクソフト」を提供している。


「そろそろカメラ付きかな」と考える女性なら「買い」?

 さて、最後にP251iSの「買い」について考えてみよう。まず、251シリーズは冒頭でも触れたように、基本的には2xxシリーズの派生モデル的な位置付けであり、iアプリなどは利用できない。また、210i/211iシリーズと違い、800MHz/1.5GHzのデュアルバンドにも対応していないため、通話については209i/503iシリーズ以前と同等ということになる。ちなみに、デュアルバンドが利用できる可能性があるのは首都圏に限定されるようだ。一方、251iシリーズの中で比較した場合、ボディのコンパクトさとカメラ機能がアドバンテージということになるが、SH251iSやD251iSのカメラ機能も優秀であり、絶対的なアドバンテージとは言いにくい。画像編集などの機能はP504iSのものを継承しているが、失われた機能もいくつかある。

 これらのことを総合すると、P251iSを「買い」と言えるのは、パナソニックが広告などで推しているとおり、若い女性ユーザーが中心ということになるだろう。「そろそろカメラ付きにしようかしら」と考えていて、あまり高機能さを求めないのであれば、候補の1つに挙げられる端末だ。特に、P209iSあたりの端末を使い続けているユーザーなら、サイズ的にもユーザーインターフェイス的にも近いので、買い換えにはオススメだ。

 ただ、個人的にはいくつか気になる点がある。P251iSはP504iSから約2カ月後に発売された端末だが、機能的に向上した点がそれほど多くないからだ。目立つところで言えば、メールのフォルダ管理くらいだ。31万画素CCDを採用したカメラ機能については、サムネイル表示もなければ、画像編集も撮影サイズによって制限される仕様のままだ。VGA画像を撮影できないのは、端末の方向性なのかもしれないが、せっかくの31万画素CCDを十分に生かし切れてない印象が残る。カメラ周りの使い勝手もP504iSで好評を得たショートカットを発展させることができていない。次期モデルではこれらの点を含め、さらに機能向上が図られることを期待したい。



URL
  P251iS ニュースリリース(NTTドコモ)
  http://www.nttdocomo.co.jp/new/contents/03/whatnew0122.html
  P251iS 製品情報(NTTドコモ)
  http://www.nttdocomo.co.jp/p_s/products/keitai/251i/p251is/p251is.html
  P251iS ニュースリリース(パナソニックモバイルコミュニケーションズ)
  http://www.matsushita.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn030122-2/jn030122-2.html
  P251iS 製品情報(パナソニックモバイルコミュニケーションズ)
  http://panasonic.jp/mobile/p251is/index.html
  「P-Keitaiコミュニティ」(パナソニックモバイルコミュニケーションズ)
  http://fan.p-keitai.net/


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(法林岳之)
2003/03/25 12:30

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