俺のケータイ of the Year

ARROWS A 202F

ARROWS A 202F

関口 聖編

「ARROWS A 202F」

 2013年もさまざまな動きがあった。そうしたニュースのうち、特に注目が高い「ドコモ版iPhone」やNECカシオとパナソニックの撤退などについては、10大ニュースで紹介したい。その一方で、個人的に今後どうなるのだろう、と注目している動きの1つが、スマートフォンというハードウェアについてだ。

 というのも、今年は取材していて「どのキャリアも同じような機種が買えるようになったんだな」と感じる場面が増えたのだ。“Nカシ”や“パナ”がいなくなった今、さらにそう感じる機会が多かった。もちろんソフトバンクモバイルの冬モデルは機種数が限られていたり、auにはisaiがある、といった違いはあるのだが、注目を浴びるのは「パズドラ」のようなゲームアプリであり、「LINE」がスマホ業界の主役と言えるほどの存在感を得ている。はたまたiPhoneが最も売れる機種になって多くの人が使っている。どのキャリアでも同じハードになりそうなAndroidスマホ、そしてどのキャリアでも扱われている人気ナンバーワンのiPhoneという状況は、「ハードウェアが均質化してしまうのではないか」「どれを触っても端末そのものに違いを見出せないのではないか」と感じそうになってしまう。

 そうした状況が今後、どうなるのか要注目といったところだが、その一方でまだまだメーカーごとの工夫ポイントがたくさんある。そんな中で今年、もっともビビッと来たのが「ARROWS A 202F」の指紋センサー。富士通のスマホでは、背面に指紋センサーが用意され、ほぼ同型のドコモ版、あるいは冬に登場した後継機も、指紋センサーがスイッチになっており、カチっと押してスルッと指を滑らせれば画面ロックを解除できる。これがスムーズで便利この上ない。フィーチャーフォン時代から、操作の一手間を省く、というのはユーザーインターフェイスで工夫しがいのあるところ。「ARROWS A」の指紋センサーは数タップ分の操作を省いて、あっという間に使いたい場面に導いてくれる。暗証番号やパターンロックの場合、電車内で操作するのは、周囲の人の目を気にすることになるが、指紋センサーだとその心配もない。

 何かがお気に入りになる、そのきっかけはちょっとしたことだ。最初は気付かなかったけれど、日々、一緒に過ごす中で、さりげない仕掛けに気付いて他にはない魅力だと理解する。ここ最近の富士通製スマホは、かつてと比べて格段に使いやすくなっていて、以前の評価を目にした人からすると、ちょっと信じられないかもしれないが、その快適性への評価は数カ月利用したわたし自身の率直な感想。この「ARROWS A 202F」が今年一番のケータイだ。

 もう1つ、「迷惑電話チェッカー」のことも触れておきたい。スマホやケータイではないけれど、モバイルの利点をうまく使って犯罪などの被害からユーザーを守ろう、というそのコンセプトは、2013年に登場したさまざまな製品、サービスのなかでも特筆すべきものだ。その効果は、警察との実証実験でこれから数字で示されていくとのことだが、それでも遠く離れた親と暮らす人(わたしもその1人だ)にとっては心強いアイテムの1つ。来年もこうしたユニーク、かつ生活を変えるようなサービスに出会えることを祈っている。

関口 聖