俺のケータイ of the Year

iPhone 5

iPhone 5

村元 正剛編

 今年、スマートフォン業界で最も話題を集めたのは「LTE」ではないかと思う。NTTドコモは2011年11月からXi対応のスマートフォンを発売していたが、「LTE」の名を一気に広める立役者となったのは、やはり「iPhone 5」だろう。

 au(KDDI)とソフトバンクモバイルは、iPhone 5が発売された9月21日にLTEサービスを開始した。従来、新しい通信サービスは、比較的狭いエリアからサービスインして、徐々に拡張されることが多かったように思う。しかし、LTEはサービス開始当初から、大都市圏を中心にかなり広いエリアをカバーし、インターネット上でも「こんな場所でつながった!」「ものすごい速度が出たよ!」といった話題で盛り上がった。auとソフトバンク両社も、実人口カバー率や基地局数などをめぐって舌戦を繰り広げた。筆者も、雑誌の企画などで、au版とソフトバンク版のiPhone 5を持ち歩き、あちこちで通信速度計測テストを行った。端末やコンテンツではなく、ネットワークがこんなに注目を集めたのは初めてだろう。もし、iPhone 5がLTEに対応していなかったら、日本のLTEは、ここまで急速に展開していなかったのではないかとも思う。

 今年は、Androidスマートフォンも大幅なスペック向上が進み、秋以降に発売されたモデルは、全機種がLTE(またはAXGP)にも対応している。しかし、総合的な使い勝手としては、依然としてiPhoneが勝っているように思う。片手でも持ちやすいサイズ感、シンプルな操作性、ストレスを感じない程度に持続するバッテリーなど、非常にバランスが取れたスマートフォンだと思う。そもそも性能には定評があるカメラも、シャッタータイムラグや保存に要する時間がいっそう短縮され、連写機能はないものの、快適に連続撮影できるようになった。iOS 6から追加されたパノラマも、簡単に、面白いほどキレイに撮れる。

 今年は「Instagram」などの写真SNSも普及した。iPhone 5では、スピーディーに撮影でき、LTEの恩恵でスムーズにアップロードでき、写真SNSとの相性も抜群だ。細かいことではあるが、iOS 6から中国版Twitterともいわれる「微博(weibo)」へのダイレクト投稿に対応したことも評価したい。iPhoneは以前から中国語の手書き入力に対応しているが、「微博」ユーザーである筆者にとって、写真付きツイートをすばやく行えるようになったのは非常にありがたい。音声エージェント「Siri」も、さまざまな言語に設定して利用できる。海外向けコンテンツも利用しやすいことは、世界中に多くのユーザーを擁するiPhoneならではの利点だろう。

 国内メーカー製の全部入りモデルや、5インチの大画面&ペンでシステム手帳のように使えるモデルなど、今年もさまざまなスマホも使ってみた。しかし、結局いちばん使ったのはiPhoneで、LTEに対応したiPhone 5からは、さらに利用頻度が高まっているように思う。

 3.5インチから4インチにサイズアップした画面は、当初は「縦に少し長くなっただけじゃん」という印象だった。しかし、しばらく使っていると、58.6mmという横幅を維持してくれたのは、むしろありがたかったなぁ~と思えてくる。ホーム画面に表示できるアイコンが1列(4個)増えたことも、後になってから便利さを実感できた。LTE対応により、通勤途中にオンラインゲーム(最近は「対戦ズーキーパー」ばかりですが)をすることも増えた。

 筆者はiPhone 3Gから使い始めて、iPhone 5で5台目となるが、4年以上使い続けても飽きていない。ベーシックな操作性を継承しつつも、着実に使い勝手を向上させてくるのは、すごいなぁ~と思う。依然として、ワンセグやおサイフケータイなど日本独自仕様には対応していないが、世界共通仕様でありながら、日本でいちばん使いやすいスマホと思えるのもすごいなぁ~と思う。LTE対応を機に、「やっぱり使いやすい」ということを再認識させてくれたiPhone 5を、筆者の今年のNo.1モデルに挙げたい。

村元正剛