レビュー

IP電話サービスの新顔「LaLa Call」を試す

IP電話サービスの新顔「LaLa Call」を試す

使い始めるとわかる、こだわりが随所に見える関西発のサービス

「LaLa Call」を使ってみた

 050から始まる番号のIP電話サービスは、国内外に安価に通話できることから以前より浸透は進みつつあったが、スマートフォンで基本的に無料通話分が付かないLTEプランが主流になったのを機に、さらに注目が集まってきている。3キャリアで共通の30秒21円より安価な料金設定のほか、サービス内容や機能でさまざまに特徴を打ち出したIP電話サービスが各社から提供される中、最近になって登場したのがケイ・オプティコムの「LaLa Call」だ。

 Android端末向けは9月25日に、iOS端末向けは11月11日に、それぞれアプリの提供をスタートしたばかり。ケイ・オプティコムは関西電力傘下の通信会社ということで、これまで関西を中心に「eo光」ブランドの光回線によるインターネットプロバイダーサービスなどを展開してきた。実に145万世帯以上が同社サービスを利用しており、関西ではメジャーな存在ではあるが、「LaLa Call」の開始により、いよいよ全国へと事業展開を図ることになる。

 IP電話といえば音質があまりよくない、携帯電話番号と違う番号になってしまう、といった点で利用をためらう人もいるかもしれないが、「LaLa Call」では実際のところどんな風に使えるのか、試してみた。

10個の電話番号と“出会える”仕組み

 「LaLa Call」は他のスマートフォン向けIP電話サービスと同様に、専用アプリから利用することになる。当然アプリをストアからダウンロードしなければならないわけだが、あらかじめ「eoID」というアカウントを取得し、「LaLa Call」の申し込みを行う必要がある。いきなりアプリを起動してもすぐには使えないし、アプリ上から申し込みできるわけでもないので要注意だ。

 ということで、まずは「LaLa Call」の公式サイトにアクセスして「eoID」の取得から始める。個人情報を入力して仮登録後、送られてくる確認メール内のリンクにアクセスして本登録しよう。「eoID」を取得したら次は「LaLa Call」の申し込みを行う。ここで選べる決済方法は、「eo光」会員以外はクレジットカードのみ。「eo光」会員であれば月々のプロバイダー料金の支払いに含めることも可能なようだ。

好きな「eoID」でユーザー登録する
個人情報を入力すれば仮登録OK。送られてくるメール内のリンクにアクセスすれば本登録が完了する
クレジットカード情報などを登録した後は、自局電話番号の設定。最初に表示される番号の後に9回までチェンジできるので、10個から選べることになる

 次に050から始まる自局電話番号の確認画面が表示されるのだが、「LaLa Call」ではありがたいことに、電話番号をある程度選べるようになっている。とはいっても、好きな番号を自由に指定できるわけではなく、最大9回まで別の電話番号候補にチェンジできる形。電話番号を1つずつ表示して、気に入らなければ次の候補を表示する。チェンジしてしまうとその番号は二度と現れない“一期一会”方式だ。できる限りキリ番やゾロ目に近い番号を狙いたくなるが、「前の番号がよかったのに……」なんてことにならないよう、妥協しつつ選んだ方がいいだろう。

 電話番号が決まったらアプリを立ち上げてログインし、画面に表示される手順に従って登録を完了させれば電話をかけられるようになる。最初に「トクトク表示の設定」画面が表示された時は、“通話時のおトク額表示”は必ずオンにして、現在契約している適切なキャリアとプランを選んでおきたい。ここで設定した内容に応じて、「LaLa Call」で通話するたびに料金が普段と比べてどれくらい得になったのか、わかりやすく表示してくれるからだ。この“おトク額表示”に、常に安さを追求する「大阪っぽさ」をなんとなく感じてしまうのは筆者だけだろうか……。

アプリを起動し、「eoID」でログイン
電話がかかってくるので、ガイダンスの通りアプリに表示された4桁の数字を入力すれば利用準備は完了
「トクトク表示の設定」では必ず“通話時のおトク額表示”をオンにしておきたい
通話完了時に通常料金と比べてどれくらいおトクになったかをわかりやすく教えてくれる

スタンプも使えるメッセージ送受信機能

名前(LaLa ID)で直接検索してフレンド申請できるほか、相手のそばで互いに端末をシェイクしてフレンドになることもできる

 通話以外の機能では、ユーザー同士でメッセージ交換できるのが特徴の1つ。名前で相手を検索したり、相手のそばで端末を“シャカシャカ”振ったりして互いに承認し、“フレンド”となった人とだけやりとりできる。同じサービスを利用している親しい間柄なら、わざわざ電話しなくても簡単な用件はメッセージ交換で済ませられるわけだ。最近のメッセージングアプリで一般的な吹き出しを左右に表示するチャット風の画面で、テキストのほか、画像や動画、位置情報、あらかじめ用意された絵文字とスタンプ画像を扱える。このスタンプ画像は今のところ8キャラ分、計48種類あり、どれも個性的。1キャラあたり8種類、喜怒哀楽などの感情を簡単に表せるものだけなので、今後種類が増えていくことを大いに期待したい。

テキストはもちろんのこと、画像や動画、スタンプなどもやりとりできる
地図上で指定した位置情報を伝えることも可能
ユニークなスタンプ画像は今のところ48種類用意されている
こちらは絵文字一覧

 通話まわりの機能については、無料で通話できる相手かどうか電話帳画面やダイヤル画面で確認でき、留守電や転送といった基本的な機能ももちろんそろえている。他のIP電話アプリとちょっと違うところとしては、非通知着信の拒否設定ができる点。使い始める前は気づきにくいところだけれども、こういった細かい機能の有無が、普通の電話から移行しても違和感なく使えるかどうかに関わってくる重要な部分だったりするので、うれしいところだ。

電話帳画面とダイヤル画面で無料通話できる相手かどうかあらかじめ確認できる

 あと、肝心なのは料金。基本料金は月額105円で、300円前後に設定されていることが多い他社IP電話サービスよりハードルは少し低い。通話料金は「LaLa Call」同士であれば当然のことながら無料で、その他の提携IP電話宛ても無料となる。有料IP電話宛ては3分7.77円で、他社IP電話サービスよりわずかに安価。固定電話宛ては3分8.4円で他の多くのIP電話と同じ。携帯電話宛ては1分18.9円、PHS宛ては1分21円となり、他より若干高めの設定だ。海外から「LaLa Call」を使う場合は国内と同様の料金設定で、国外への電話は1分6円からとなる。

 料金面だけを見て、他のサービスと使い分けを考えるのはなかなか難しいところがあるものの、「eo光」のユーザーなら月額基本料がタダになり、「eo光」の固定電話宛ても通話無料という他社にはないメリットもいくつかある。関西にある「eo光」の実家に電話をかけたり、関西在住の「eo光」ユーザーが出張先から自宅に電話するような使い方が多ければ、電話代をさらに節約できそうだ。月額基本料金の安さを考慮すれば、その分携帯電話との通話料が少しくらい高くても許容できる部分もあるだろう。

 なお、2014年1月31日まで、申し込み月とその後2カ月間の月額基本料が無料になるキャンペーンを行っている。この他に、「LaLa Call」のFacebookページから申し込むと豪華商品が当たる「LaLa Call年末応援キャンペーン」も開催しているので、試してみたいなら今がちょうどいいタイミングだ。

遅延、音質劣化は最小限。端末ごとのチューニングが利いている?

アプリデザインを3パターンから選べる機能もある。こちらは「デフォルト」

 「LaLa Call」で実際に通話してみたところでは、あくまでも個人的な感覚で言えば、なんとなく今まで試したどのIP電話アプリよりも遅延が少ない気がした。スマートフォンのIP電話だと、たいてい音声が1、2テンポくらい遅れるために、相手が応答する前に新たにこちらから聞き返してしまって会話が中断する、というパターンがよくあるのだけれど、「LaLa Call」の場合は一切そういったタイムラグを感じない。また、音質についても、はっきりとしたノイズを耳にすることはほとんどなく、中音域の人の声をしっかり聞き取ることができる。Wi-Fi環境でもLTE環境でも、その印象は変わることはなかった。

 音質については、ケイ・オプティコムによれば「機種(メーカー)ごとに適切なチューニングを施している」とのことで、iPhoneや各メーカーのAndroid端末の特性に合わせて、最も聞き取りやすいようにプログラムしているらしい。今までIP電話はビジネスに利用しにくいと考えてプライベートの使用に止めてきたのだけれど、「LaLa Call」でその価値観は変わった。今後、全国にユーザーが広がるにつれ、サーバー側の負荷が増え、ひょっとすると現在と状況が変わってしまう可能性もないとは言えないけれど、少なくとも筆者自身の満足度はかなり高い。

 通話を終えるたびに通常の電話料金と比較してどれくらい安くなったか明確にわかる画面表示の工夫、自局電話番号の選択や非通知着信拒否、メッセージング機能といった細かな気遣い、端末ごとにチューニングされた音質へのこだわりなどを体験する限り、後発のIP電話サービスという立場を逆にアドバンテージとして活かしているように思う。IP電話を巡る市場競争は、スマートフォンにおいてはまだ始まったばかりと言えるが、その中でも「LaLa Call」はこれからの勢いに期待できそうなサービスだと感じた。

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日沼諭史