レビュー
LINEのスマートスピーカー「WAVE」ファーストインプレッション
クローバとジェシカの成長への期待感
2017年8月31日 15:37
ハードもソフトも粗削り
まず驚いたのは、箱から取り出した時のWAVE本体の大きさ。カタログスペックの86.25×139.84×201.05mmという数字からサイズ感は理解していたつもりではあるが、改めて自宅に設置してみると、なかなかの威圧感だ。
なにはともあれセッティングということで、同梱のACアダプターと充電ケーブルを取り出し、WAVE本体に接続。ACアダプターは一般的なスマートフォンやタブレットで使用されるようなUSB Type-A端子なのだが、WAVE本体側は丸形端子となっており、スマホで一般的なMicro-B(いわゆるmicroUSB)やType-Cではないことがやや残念に感じる。バッテリー内蔵で持ち運べるというメリットを活かすためにも、ここは汎用性重視でMicro-BやType-Cでもよかったのではないかと思う。
電源が入るとネットワークのセットアップだ。パッケージには手順を説明するマニュアル等は付属しておらず、手元のスマホに「LINE Clova」アプリ(Android/iOS)をインストールし、画面内の指示に従って無線LANやLINEアカウントとの紐づけなどの設定を行っていく。WAVEを見つけるのに時間がかかり不安になったが、しばらくすると無事に認識し、その後はスムーズに設定が進んだ。
セットアップが終わると、あとは「クローバ」と話しかけ、ピロンと反応したら何かしゃべりかけて指示を出すだけ。トリガーとなる呼び名は、クローバのほかに「ジェシカ」も選択可能だ。ちなみに、初期設定のクローバを選択した状態で、「風呂場」とつぶやいたところ、ピロンと反応していた。なお、初期設定の音量はそこそこ大きめなので、夜中にセットアップする時などは、本体上部にある音量キーの位置はあらかじめ確認しておいた方がいいだろう。
現状、クローバがやってくれるのは、時刻や天気予報を教えてくれることと、アラームの設定、LINE MUSICの音楽再生ぐらい。残念ながら、iPhoneのSiriやAndroidのGoogleアシスタントと比べると、これといってLINEらしいところはなく、ほとんど何もできないに等しい。先行体験版には6カ月分のLINE MUSICのクーポンが付いているので、ちょっと雑談に応じるミュージックプレーヤーといった状態だ。
WAVEに期待したことではないが、BluetoothでスマホとペアリングすればBluetoothスピーカーとしても利用できるので、正式版が登場する秋まではスマホの方が手堅いという、なんとももどかしい状況が続くのかもしれない。
それでも膨らむ期待感
とはいえ、ネットワークの向こう側にあるAIは急速に成長・進化する可能性があり、そこに対する期待は大きい。
とりわけ、スペックシートに記載されている「IRブラスター」の存在は気になるところ。赤外線で周囲の対応機器を操作できるというものだが、スペックシート上には「TV remote control_Power, CH, Vol.」と記載されており、少なくともテレビの操作は今後のアップデートで行えるようになるようだ。
もっとも、テレビを音声でコントロールできて嬉しい時がどれほどあるかと言われると、料理するなどしていて手がふさがっている場面など、かなり限定的になってしまう。AIに期待するのはそういうことではなく、「行ってきます」や「おやすみ」という言葉に反応してテレビや部屋の明かりを消してくれたり、テレビを見ていて「この番組、つまらないね」と話しかけるとユーザーが興味を持ちそうなチャンネルを薦めてくれたり、時には「いつまで起きてるんだ。もう寝ろ」と諭してくれたりするようなインテリジェンスである。
また、LINEという強力なコミュニケーションツールを活かすような進化にも期待したいところ。逆に言うと、ライバルとなるスマートスピーカーやAIと比べた時のLINEの優位性は、そこぐらいかもしれない。帰宅時、クローバに「これから帰るよ」とLINEでメッセージを送ると、「では、お風呂を沸かしておきます」と返ってきたり、最寄り駅に到着する頃に「卵と牛乳買ってきて」というメッセージが飛んできたりする世界観だ。
はたして筆者の期待を超える形にクローバとジェシカが成長してくれるのか。何年かして「あの時WAVEを買ってよかった」と思えるよう、LINEには開発の継続をお願いしたい。