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“学習グロースハック”で最適化、「スマイルゼミ」に特進クラス

 ジャストシステムは、専用ペンと10インチクラスのタブレットを使った小中学生向け通信教育講座「スマイルゼミ」の中学生コースで、新たに特進クラスを開講する。

 「特進クラス」は、難関とされる公立高校への入試をターゲットに学習していく中学生向けの講座。公立上位校での入試では、正答率3割以下の問題を解ける力、そして高い内申点を獲得する必要があるとして、いわゆる5教科のみならず、9教科でまんべんなく実力を高められるようなカリキュラムを採用する。

 たとえば中学3年生の8月には、中学で学習する内容を全て履修し終えて、その後は入試に向け実践的な問題に集中する。基礎的な学力向上では、アニメーションを使って視覚的にわかりやすく解説するほか、応用問題を解説も講師による動画解説で基礎的な問題の組み合わせであることを説明して、実際に問題へチャレンジする、という流れ。仮に中学1年生で受講し始めても、過去の入試問題のなかには中学1年生で学んだ内容に基づくものがあるため、そういった応用問題にチャレンジする。

1人1人に最適化する「学習グロースハック」

 教育専門ではなく、日本語入力のATOKなどを手がけるジャストシステムが「スマイルゼミ」を始めたのは2012年のこと。それまでも教育支援ソフトなどを手がけてきた同社が、そのノウハウなどを駆使しつつ、タブレットを採用することで、学習を始めた時間や、どこで息抜きをしたかなど、履修生の行動履歴を分析する仕組みを整えた。

 この行動履歴の分析、そしてその反映こそが、「スマイルゼミ」の大きな特徴とされる。こうしたサービスで利用される教材は、おおむね年度ごとに改訂されるパターンが多いなか、スマイルゼミでは、随時、改善を加える。たとえば、算数が苦手が子供には、教科名を伏せて「おたのしみ」などとした問題を用意すると、算数の教材への取り組みに比べて10%は取り組む割合が向上するのだという。また全ての履修者のデータをもとに、つまづくポイントややる気を失うところを見つけて、“いつ、何を、どのように学べばいいか、的確に示す”という「学習導線」を構築していく。

 データを分析・検証して改善を重ね、最適化を図る手法は「グロースハック」とも呼ばれ、Webサービスの開発などで採用されることがある。ジャストシステムでは、ソフト開発のなかで、グロースハックに慣れ親しむスタッフが多く、「スマイルゼミ」でもグロースハックの概念を採り入れることにした。同社では「学習グロースハック」として、開発と運用を一体型で進めており、改善ポイントが見えればすぐ反映させる、といったスピード感で取り組んでいるのだという。

毎日コツコツ積み重ねていく子供と、空いた時間にまとめて一気にやる子供では、問題を出す順番を変更する。これも一度やると、その行動履歴を分析して、次回、同じ問題に取り組んだとしても順番などは変わっているのだという

 こうした最適化の結果、履修者の学力も向上していき、これまで標準クラスしかなかったところ、さらに学力向上を図る「特進クラス」の設置に繋がった。

 タブレット自体は、これまで提供してきたものと同じ。これは動画などを扱う教材を取り揃えるとはいえ、書き味にこだわってオリジナルで開発したものであり、CPUなどのスペックもまだまだ十分との判断からだという。

関口 聖