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8億のユーザーを持つ中国の「360セキュリティ」が日本進出

「全方位」の安心・安全機能で500万ユーザーを目指す

 360モバイル・セキュリティ・リミテッドは、同社のスマートフォンアプリ「360セキュリティ」の日本市場への本格展開にともなって、戦略発表会を開催した。

360モバイル・セキュリティCOOの黄炎氏と、タレントの橋本マナミ

 同社は、8億人のユーザーを持つ、中国のセキュリティ企業「奇虎360」(Qihoo 360)のグループ企業。香港に本拠を構え、セキュリティアプリ「360セキュリティ」を世界展開している。

 既に日本市場では300万人のユーザーを持つが、今回の日本市場への本格進出では、CM投入などによって2015年度内に500万人のユーザーを獲得するという目標を掲げる。

 発表会では同社COOの黄炎(コウ・エン)氏と同社バイスプレジデントの夏凡(カ・ハン)氏から日本展開への狙いと製品の概要が解説されたほか、CMに出演したタレントの橋本マナミが登場し、トークセッションが行われた。

「360セキュリティ」

夏凡(カ・ハン)氏

 「360セキュリティ」のアンチウイルス機能は、クラウドとローカルの2つのウイルス定義ファイルを併用した高速スキャンが特徴。他社のアプリでは1分程度かかるスキャンが、同アプリでは20秒程度で完了するという。クラウドの定義ファイルについては、未知のマルウェアを検出した際に効果を発揮し、「検出して1秒でクラウドの定義ファイルを更新し、2秒後には世界中の同アプリが検出できるようになる」(夏氏)とのこと。このほか、ダウンロードファイルのリアルタイムスキャンや脆弱性検知機能などを備える。

 同アプリでは、アンチウイルス機能のみならず、スマートフォンを便利に使うための機能を搭載している。動作に不要なプロセスを検知して停止するブースト機能や、システムやアプリのキャッシュなどの不要ファイルを削除するクリーンアップ機能では、独自のクラウドデータベースと照らし合わせて、不要なものをピックアップして、ユーザーに削除を提案するという。

 このほか、ゲームプレイ時に自動で起動し不要なプロセスを制限するゲームブースト機能や、アプリごとに起動パスワードを設定する機能、携帯電話を失くしたときに位置情報から探し出す機能を搭載している。

 また、わかりやすくシンプルなUIを意識して開発しているのも特徴。どの機能もワンタップで実行することができ、結果がアニメーションで直感的に表示されるようになっている。

セキュリティの意識の高い日本人の要望にあわせて開発し、世界へ展開

黄炎氏

 「日本は早くからインターネットを享受してきた国だ」と冒頭切り出した360モバイル・セキュリティのCOO 黄炎氏は「インターネットは生活の質を変えてきた一方で、生活のさまざまなシーンでマルウェアによる脅威にさらされるようになった」と指摘する。

 一般的に、中国の企業が海外進出を図る際は、最初の足掛かりとして東南アジアを選ぶことが多い。360セキュリティが日本を選んだ理由は、日本人の高いセキュリティ意識と、同社のビジネスモデルにあるという。

 インターネットが普及し渡ったためにセキュリティに対する意識が高く、またニーズもある日本人にとって求められるセキュリティアプリを開発することで、世界中のユーザーが満足するアプリを提供することができるようになる、と狙いを説明した黄氏。日本で同アプリの最新版を先行試用し意見を募るベテランユーザーや記者を100名募集する。先行試用したユーザーによるフィードバックをもとに、製品に取り込んでいきたいと語った。また、日本市場をメインターゲットに、2015年内にはiPhoneアプリの提供を開始することを明かした。

 ビジネスモデルは、「製品は無料」で全機能を提供し、広告を収益源とするもの。アプリ内にFacebookやGoogleが提供する広告SDKを組み込んでおり、ユーザーの操作の邪魔にならないような形で、最適化された広告を掲出するという。広告戦略については、信頼性と満足度を獲得することを重視してテレビコマーシャルや製品説明会を積極的に展開していく。

トークセッション

 「360セキュリティ」のCMは、橋本マナミと自撮りする猫が掛け合うという内容で、「ブースト機能」をアピールしている。トークセッションで登場した橋本マナミは、手放せないくらいスマートフォンを使っているという。怖かった体験を聞かれた彼女は「昔付き合っていた人に、スマートフォンの中身を見られて喧嘩になった」体験を挙げた。

 「360セキュリティ」を使ってみた彼女は、アプリの起動にパスワードをかけられる「アプリロック」機能がお気に入りだという。「スマホの中身を見られないように、360セキュリティおすすめです」とアピールしていた。

「360」にちなんで、回転台に乗ってアピールする橋本マナミ

会場の展示

石井 徹