「G'zOne TYPE-L CAL21」開発者インタビュー
LIVE Gでアクティブなライフスタイルを提案するタフネススマホ
前モデルから1年以上の空白期間を経て、11月2日にauから発売されたG'zOneのスマートフォン新モデル「G'zOne TYPE-L CAL21」。従来のタフネス性能にさらに磨きをかけるとともに、4G LTEへの対応や気圧センサーの搭載、独自のクラウドサービス「LIVE G」の提供など、新しい要素もふんだんに盛り込んでいる。
単に耐衝撃・防水・防塵であるだけでなく、端末のポテンシャルを最大限に発揮するためのデザインにこだわり、ハードウェアとソフトウェアの両面において各部署が緊密に連携して開発が進められたという同端末。開発時の苦労や注目ポイントなどについて、NECカシオモバイルコミュニケーションズとカシオ計算機両社の企画・開発スタッフ8名にお話を伺った。
■新しい世代に入っていくG'zOne
――久しぶりの新モデルですが、G'zOne TYPE-Lのコンセプト、特徴などを教えていただけますか。
高木氏
G'zOne TYPE-Lは、おかげさまで発表以来、各方面で大変反響が高く、ご好評いただいています。今回のモデルはauの 4G LTEという新しい超高速通信サービスへの対応と、我々が新たに立ち上げるクラウドサービス「LIVE G」の2つを目玉として、G'zOneブランドが新しい世代に入っていくという意気込みで開発しました。
昨年発売したG'zOne IS11CAと比べて、スペック的にも、コンセプト的にも、別次元の全く新しいG'zOneを目指したものになります。TYPE-Lの「L」は、LTEとLIVE Gの頭文字から取ったもので、従来のG'zOneと同様に耐衝撃・防水・防塵を兼ね備え、新たに気圧センサーも追加しました。
――スマートフォンとしてはややサイズの大きい部類に入ると思いますが、タフネス性能を実現するための大きさなのでしょうか、それとも外観デザインとして決めた形状・サイズ感なのでしょうか。
杉岡氏
当然機能的なところが重視されますので、タフネス性能を実現するための構造がベースのデザインで、必要最低限のサイズになっています。現状はバッテリーやその他のデバイスを吟味したうえでの一番よいサイズ感であると思っています。あとは手で持ったときの“持ち感”というのも重要なので、そのあたりも踏まえた造形にしています。ただし、可能な限り小さくするというのは課題ではありますし、他社製品と比べたときに競争しうるサイズ感を追い求めていく必要があるとも捉えています。
NECカシオモバイルコミュニケーションズ マーケティング本部 ブランド&プロモーション部 主任 高木健介氏 | カシオ計算機 デザインセンター プロダクトデザイン部 第四デザイン室 リーダー 杉岡忍氏 |
――サイズが大きくなったり重量が増したりすると、耐衝撃を達成するために必要な性能も変わってくるのでは?
永峯氏
重さが今回約181gになりましたので、耐衝撃を実現するのは苦労したポイントの一つですね。とはいえ、フィーチャーフォンのG'zOne TYPE-Xも約179gでしたし、重さへの対処方法については実績があります。内側は比較的堅いナイロン系の樹脂を使って、外装はエラストマーやポリカーボネートなどの軟らかめの樹脂を使うという2重構造にすることで、外側で衝撃を吸収し、内部はしっかり守るという設計の基本思想は引き継いでいます。
猪俣氏
内部のデバイスに関しても各部品により性能や特性が異なりますので、ひとつひとつのデバイスを耐衝撃に対応するために、いろいろシミュレーションを実施し、試作を行いながら改善を図っています。デバイスの特性を見極めつつ端末構造も配慮しながら、より性能を上げる方法がないか常に考え設計していました。デバイス・構造の両面から改善を繰り返していました。
NECカシオモバイルコミュニケーションズ 商品開発本部 第一構造設計グループ 主任 永峯健司氏 | NECカシオモバイルコミュニケーションズ 商品開発本部 第一ハード設計部 マネージャー 猪俣 真一氏 |
NECカシオモバイルコミュニケーションズ モバイル事業本部 商品企画部 主任 佐合祐一氏 |
――同じく御社で開発しているタフネス性能を備えたMEDIASシリーズとは、どういった違いがあるでしょうか。
佐合氏
コンセプト面で言うと、G'zOneのターゲットは男性9:女性1という感じで、ほぼ男性向けのアウトドアを意識した製品としています。対するMEDIASシリーズは、ある程度男女ともターゲットにしていて、日常のアクティブなシーンにおいても気兼ねなく使える、というコンセプトですね。
■気圧センサーはもっと前から載せたかった
――新たに気圧センサーが追加されました。気温センサーを含め、端末へのレイアウトの仕方も難しそうですが。
佐合氏
以前のIS11CAでは、だいたいの標高がわかるツールを用意しました。そのときはGPSによる位置情報から標高を取得していたんですが、気圧センサーが入っていたほうがもっと正しい値を得られるだろうという話が出ていました。カシオには気圧センサーなどが搭載されたPRO TREKなどの時計製品があって、気圧センサーというのは基本的な要素という位置付けだったんですね。モバイル端末にも本当はもっと前から載せたかったんですが、ようやく満を持して、という感じで搭載できたものになります。
猪俣氏
センサー類のレイアウトについては、ある程度これまでの経験があります。今回の端末ではLTEのモジュールやアンテナ、各種チップのほかに、気圧・温度計といったいろいろなセンサーが付いていますので、耐衝撃ということで、それらを壊れない位置にレイアウトしながら、きちんとデバイスやセンサーの性能を出す事に配慮しました。
杉岡氏
G'z GEAR自体、“地球を感じる”というテーマからスタートしているので、その“地球を感じる”=気温・気圧などの環境情報の取得、ということにつながります。なるべく精度よく出したいという思いが当然あるので、端末を持ったときに一番手から遠い場所、というのを考慮に入れつつ、デザイン的な特徴になることも踏まえながらレイアウトしています。
――最初に搭載する機能を決めて、それを前提にデザインを検討する、という順番なんですね。
杉岡氏
そうですね。G'zOneは造形”と“機能を形にする”というところにずっとこだわってきたモデルですので、デザイナーとしてはそれをどうきれいなスタイリングに落とし込むか、というのが一番重要な部分でした。
猪俣氏
内部構造としては、基本として元々ある効率的な配置というのが存在しています。それをベースにしながら、端末のデザイン図が出てきたときに、新しいセンサーのスペースも考慮しつつ、基板上のどこにデバイスを配置するのが良いのか、基本構成をどうした方がいいのか、というのが決まってきますね。端末のどの部分のサイズや形を優先するのか、あるいは薄さを目指すのか、それとも全体の“持ち感”や角のラウンドにこだわるのか、というところでも形状は決まってきます。
カシオ計算機 デザインセンター プロダクトデザイン部 第四デザイン室 橋本威一郎氏 |
橋本氏
もちろんG'zOneは薄さを優先する製品ではありませんが、理にかなった最小限の造形を常に意識しています。その中で厚みが出たとしても、ラウンド感や全体のバランスを重視し、そのデザインで各デバイスを筐体に収めるにはどういう構成が可能か、ということを検討しました。そのあたりの部署間のすり合わせが最も大変でしたね。
――企画当初から“全部入り”を前提にしていたのですか。
佐合氏
赤外線、ワンセグ、FeliCaは、もはや外せません。特に販売の現場では、1つ欠けているだけでもお勧めしにくいというところがあるようです。いくらコンセプトが一般的な端末とは異なるG'zOneと言えども、基本を押さえておかなければいけないということで、最初から全部入りということで進めていました。
高木氏
我々は買い換え需要も重視しているので、実際のユーザーの声を聞くことが大切だと考えています。今回はIS11CAユーザーの意見を中心に、ユーザーが望むハードに対する要望はできる限りキャッチアップしようと考えました。
――ディスプレイに4インチ(480×800ドット)をセレクトした理由は?
佐合氏
スペック的に物足りなさを感じる方もいらっしゃることは確かですが、4インチだと片手で持って操作しやすいというメリットがあり、高精細にすると明るさが足りなくなってしまうというデメリットがあります。CPUやメモリの性能から見ても、このサイズが一番バランスのよい解像度ではないかと思っています。
――G-SHOCKとのBluetooth連携が可能になったのも特徴の1つですが、BLE(Bluetooth Low Energy)で接続できるのはまだG-SHOCKしかないんでしょうか?
佐合氏
今のところはそうですね。サードパーティーさんがBLE対応機器を作れば普通に使えると思うんですけども、我々が確認しているのはG-SHOCKのみになります。スポーツ向け機器への対応については、BLEの競合規格であるANT+が一歩リードしている感じはありますが、BLEでもそういったスポーツ向け機器にしっかり対応していこうという動きがあります。カシオ計算機としても力を入れていきたい分野ですね。
■シンプルな六角形でシンメトリーを意識したデザインに
――端末デザインのこだわりを教えてください。
杉岡氏
前モデルのIS11CAは初のG'zOneスマートフォンということで、“登場感”を重視したデザインにしました。その頃北米で「G'zOne Commando」というモデルをリリースしていまして、Web上のクチコミを見ていると、IS11CAに共感してくれる人もいれば、Commandoの六角形のシンプルなデザインもいいよね、という声もあって、それらを参考に新たなデザインにトライしたという経緯があります。
またIS11CAを一ユーザーの立場で改めて使ってみて、アプリによって縦横に回しながら使うシーンも少なくないなと。Commandoのように上下左右ともシンメトリーであるということが理にかなっているのかな、と感じました。そこで、ベースのフォルムはCommandoを継承した六角形として、今までのG'zOneの流れみたいなものを途切れさせずに進化させたデザインにしています。
また、“全体で守られている”という造形が目に見えてわかった方がいいだろうという考えもあったので、今回は“フレームワークタフ”というコンセプトで、外骨格をフレーム状に覆うようにしていった、というのがデザイン上の一番大きなポイントですね。
NECカシオモバイルコミュニケーションズ ソフトウェア商品開発本部 仕様開発部 主任 千足英司氏 |
――ソフトウェアにおけるコンセプトや工夫などはありますか。
千足氏
G'zOne TYPE-Lはフィーチャーフォンからの買い換え需要も多いと思っていまして、ロック画面はフィーチャーフォンのサブ液晶的なイメージで作り込みました。同梱の充電台に設置した時に、スリープさせずに時計を表示させるという昔ながらの機能を搭載しているとか、ドロワーでアプリをカテゴリー分けして使いやすくする工夫もしています。
杉岡氏
全体的には“デジタル感”というところがフィーチャーされているようなデザインに落とし込んであって、背景の壁紙も岩肌の崖をワイヤーフレームで表した画像にしていたり、今言ったようなロック画面のインジケーターの表現も、ある意味オマージュ的に以前のG'zOneのサブ液晶が高機能に生まれ変わりました、というような表現にしています。グラフィックには毎回こだわっているのはもちろんのこと、核になっている「G'z GEAR」のイメージを踏襲し、進化させながらG'zOneならではの世界観を作り上げています。
フィーチャーフォンのサブ液晶をイメージしたというロック画面 | ドロワーは細かくカテゴリー分けされている |
ホーム画面の背景にはワイヤーフレームの画像 |
■クローズドな「LIVE G」の魅力
――クラウドサービス「LIVE G」を提供する理由と目的を教えていただけますか。
佐合氏
今までのG'zOneでは「G'z GEAR」というツールを提供してきましたが、スタンドアローンでその端末の中に閉じた世界でしか利用できず、エンドユーザーさんからも情報を共有できたらいいのに、という意見を多数いただきました。スマートフォンになり、クラウドやネットワークサービスで何かする、という方向になっていく中で、「G'zOneにふさわしいユーザーの心をくすぐるサービスは何か」と考えたときに、みんながどこへ行って何をしたか、みたいな情報をG'zOneのユーザー同士でシェアし合えれば面白いんじゃないかと考えたのが始まりです。
そういった情報が貯まってくると、たとえば1年前にそこへ行った人がどういう写真を登録して、どういうことを書き込んでいて、その場所の気温が何度だったとか、というのを目にすることができるわけです。それを見て自分もフィールドに飛び出したくなる、というようなサービスができるんじゃないかな、と考えました。
GPSや温度・気圧センサーなど、端末のセンサーの情報を利用することになるので、そのデータを集めていわゆるビッグデータとして活用するといった、メーカーとしての強みを発揮する方策を考えていかなければならない、というのもありました。そういった点を考慮して、今回「LIVE G」を始めてみようということになったんです。
情報を登録した地点にはG'zマークなどのピンを置ける |
――位置情報を使ったサービスは他にも数多くありますが、それらとの違いはどこにあるんでしょうか。
佐合氏
G'zOneのユーザーって、使っている人を見かけると仲間意識みたいなものを感じる層なのかな、と思っています。そういったつながり感の強いG'zOneユーザー同士で、アウトドアアクティビティを楽しんでいただけるという点が特徴になります。最初から地図上に登録するピンのアイコンをアウトドアとかスポーツ、自然といったカテゴリーにあらかじめ絞ってしまっているのも、LIVE Gならではですね。
他のG'zOneユーザーのために情報を登録しようという気持ちになってくれる人がいるのではないかな、といった思いもあって、クローズドなSNS的なものにしました。社内でもいろいろ議論はありましたが、まずは登録できるカテゴリーを絞って、ある程度匿名の方が入りやすい形でスタートしてみようと。とりあえず始めてから方向性を修正するのもありでしょうし。
高木氏
昨今TwitterやFacebookなどSNSが普及して、誰でもスマートフォンでアクセスできる素地ができあがっています。そんな中でオープンなSNSではなく、あえてG'zOneユーザーのみのコミュニティにしたのには理由があります。G'zOneを買うお客様は、他とは違うものを持ちたいとか、アウトドアアクティビティに関心がある、という趣味嗜好が多いと我々は分析しています。そういう方々は、ある意味限定されたコミュニティで自分たちのならではの情報をシェアするところに魅力を感じていただけるんじゃないかと推測しています。
――写真などではなく位置情報にこだわっているのは?
佐合氏
写真とかデータだと、G'zOneじゃなくても……みたいなところがあると思うんです。自然、スポーツ、アウトドア、あるいはエコなど、G'zOneユーザーはそういうところに興味のある人たちなんだろうなあと。写真を共有するとしても、スポーツしている画とか、きれいな自然だとかをアップロードしてくれるものと我々は想像していて、まさかラーメンの画像が共有されることはないだろうと。いや、始まってみたらそうなるかもしれないんですけど(笑)。
NECカシオモバイルコミュニケーションズ ソフトウェア商品開発本部 仕様開発部 主任 後藤悦宏氏 |
後藤氏
ただ、どうしてもアウトドアという印象が強い端末ではありますが、アクティブに動くことがあまりないユーザーでも、TwitterやFacebookを使っているのであれば、G'z WORLDと連携し投稿のあった場所やフォロワーのアクティビティを知ることもできます。タイムライン(時系列)とは違った見え方で楽しむコトができると思います。まずはいろんなところで位置情報付きの写真を撮れば自動的に地図上に表示されるので気軽に楽しんで使って欲しいです。たまにG'zOneユーザーに向けて情報発信してもらえればと期待しています(笑)。
――海外向け端末のリリース時にLIVE Gもワールドワイドに対応するとのことですが。
後藤氏
北米などにも数多くのG'zOneユーザーがいます。それをアウトドアアクティビティや自然という共通の話題で繋げたいと思っています。言語の壁を越え、世界中のユーザーが共通のテーマで盛り上がり楽しめるそんなWORLD(世界)にしたいですね。そのうち実際にそこに行って、いろんなアクティビティを体験してもらえればと期待しています(笑)。
LIVE Gでは専用のユーザーIDやパスワードを登録する必要はなく、Googleアカウントで簡単に体験できますので是非楽しんで欲しいです。
――LIVE GはG'zOne TYPE-Lユーザー専用の無料サービスですが、マネタイズについてはどうお考えですか? 他の端末向けに公開したり、LIVE Gのノウハウをもとに新たなサービスを検討することも考えられるのでしょうか。
佐合氏
マネタイズは目標にしなければいけないところだと考えてはいますが、まずは始めてみて、どれだけお客様の間で盛り上がってくれるかが気になっています。盛り上がらないことにはマネタイズもままなりませんので。
後藤氏
LIVE Gをベースにした新たなサービスというのももちろん考えたいですね。しかし、まずは一発目としてどういう盛り上がりを見せるのか、というのが我々自身も楽しみだったりしますので、そこを見極めてから考えたいと思っています。
杉岡氏
他機種への展開については、「G」という文字が入っているのでそのままのサービス名でいいのかという議論はあると思いますし、誰でも使えることが本当にいいことなのか、という考え方もあります。ベースは同じシステムにしながら端末によってコンテンツの見せ方を変えるとか、G'zOneだけはセンサーをフル活用した特別感のあるサービスにするのもいいかもしれません。
■1台1台異なる模様になっているレザートーン塗装
――開発にあたって苦労したポイントがあれば教えてください。
橋本氏
BLACKのボディカラーについては、主にフレーム部分にレザートーンという変わった塗装処理をしているんですけれども、塗装の粒の大きさや密度について何度も調整を重ねるところは骨の折れる作業でした。黒という色はG'zOneのイメージカラーの1つなのですが、今まで見たことのあるような黒じゃつまらない。何か違う新しさを感じるようなBLACKはないか、ということで、新しい質感を加えました。
本体側面のラウンド形状に活きる塗装といいますか、曲面によって光の溜まり方が異なってくるので、マットな部分と粒の部分のコントラストが見えるようにと気を遣っています。スマートフォンでは本体の大半がディスプレイで占められてしまいます。そうなったときに他の端末との違いを出すには枠しかないんですね。G'zOneならではの理にかなった処理という意味では、持ちやすい形で、手が無意識に求める形であるべきだと思うので、そういった形状と塗装処理の一体感も、今回すごく意識しています。
BLACKのモデルのフレームに採用されているレザートーン塗装 |
杉岡氏
IS11CAでも、しっとりしたゴムっぽい質感のBLACKにしていましたが、今回の塗装はそれを2層構造にしたような新しい手法でやっているものでして、模様みたいに入っている粒によってグリップ感が増すようになっています。技術的なハードルはかなり高い塗装なので、じっくり店頭で見ていただきたいですね。レザートーンは1台1台異なる模様になります。粒の大きさや密度がどれくらいだとちょうどいいか、その線引きの仕方によって、歩留まりにかなり影響があるところも難しい部分なんです。
橋本氏
極端に言えば、表側のパネルと背面側のパネルで質感が異なってしまう場合もあるので、合わせ目の見え方にまで気を遣いながら人間の目で選別しています。合格ラインを狭めにして厳しい条件で調整してるつもりです。
杉岡氏
新しいテクスチャーということで、背面カバーにディンプルを施しています。ただの粒々に見えてしまうかもしれないんですけど、やり方によってはくっきりしない、ダレた点の集まりになってしまいがちなところなんです。グリップも兼ねた部分なのでしっかり見せたいこともあり、塗膜の厚み、ツヤ感を吟味しシャープな印象に仕上げています。事前に北米で調査する機会があったのですが、ユーザーに対していろいろなテクスチャーの中でどれが一番グリップ感がいいと感じるかという調査の結果をもって、最終的にこのディンプルにしています。雰囲気でデザインを決めているのではなく、ちゃんと理詰めで決めているんです(笑)。
背面カバーのディンプル加工も、細部にこだわりが見える |
橋本氏
曲面などの斜めになっている部分ではそのままディンプルを打つと隙間が空いちゃうんですよね。卵形になってしまうこともあるんですけど、そういったところでも1個1個ドットを置いていくような細かい作業で作り込んでいます。
――最後に読者へメッセージがあればお願いします。
高木氏
G'zOneブランドは今年で12年目を迎えまして、auでは最も歴史のあるものになりました。G'zOneのブランドキーワードは“唯一なるもの”です。つまり“他とは違う”というポリシーのもと、唯一なるデザイン、機能、存在感というものにこだわって今までやってきていますし、開発メンバーも常に、“他とは違う”“G'zOneならでは”という視点を意識して物作りしている、そういうブランドです。
ここへ来て、その“唯一なるもの”というキーワードが、スマートフォン時代になってから、より際だってきているように感じています。というのも、今のスマートフォンはどれもスペックが横並びで差がわかりにくく、消費者としても何を買っていいのかわからない状況にあり、“他とは違う”G'zOneブランドの存在感がこれからより活きてくるのではないかと思うんです。ブランドポリシーの“唯一なるもの”を今後も重視して、強烈に支持してくださるファンに対してG'zOneを提供し続けていければと考えています。
――本日はありがとうございました。
2012/11/16 10:00